2010年5月30日 (日) 掲載

◎地域の健康、安全祈願 恵山で山開き

 函館市の霊峰・恵山(標高618メートル)で29日、恵山仏教会(蔦龍明会長)主催の山開きが行われた。住民約120人が登山し、33体の観音石像に健康や安全、大漁などを祈願。山ろくの公園のツツジも満開直前で、住民は「今年も地域の無事を願うばかり。恵山は自然の宝庫できれいな花にさわやかな登山、おいしい魚もたくさん捕れるし、本当に最高だ」と古里の魅力を語った。

 恵山は活火山。「函館・道南大辞典」によると、江戸時代の豪商・高田屋嘉兵衛が海上安全の観音石像を奉安したという。また、山頂付近には賽の河原(さいのかわら)が広がり、頂上に恵山権現堂がある。海を挟み、向かい合う青森・下北半島の恐山とは姉妹霊山で、信仰が厚い。

 山開きは、禅龍寺の渡会元康住職ら3人が執り行った。児童から年配者まで大勢を連れ添い、山道の観音石像一体一体にご詠歌を唱え、お供えして巡った。33番観音石像前で渡会住職らが旧恵山町全地区の檀家全員の屋号、名前を読み上げ、無病息災や地域発展のほか、古里を離れて過ごす出稼ぎ家族の健康・安全なども祈願した。

 母親、祖母と一緒に参加した函館えさん小学校1年の山内愛梨さん(6)は「たくさんのお願い事をした。お願いの一つは、運動会が近いのでけがをしないで頑張れるように拝んだ」とにっこり。渡会住職は「天気にも恵まれ、多くの協力で無事山開きを終えることができた。みんなの思いが伝わり、観音様も地域を見守ってくれると思う」と話していた。

 一方、山ろくの「つつじ公園」には2万本のツツジが自生(恵山一帯は60万本)。公園内の郷土博物館前の標準木が満開となり、恵山支所は28日に開花宣言をした。

 快晴の29日は、各地から訪れた観光客でにぎわった。京都府長岡京市の今村房治さん(74)は「地元のツツジは真紅だが、恵山には淡いピンクもあってきれいだ。心が和む色合い」とご機嫌だった。

 ツツジは6月上旬から中旬にかけて満開となる見込みで、長い間花見を楽しめそうだ。開花状況は同支所ホームページで紹介している。(田中陽介)



◎「函館に医学部招致を」 有識者らがシンポでメリット説明

 函館五稜郭ロータリークラブ(當摩浩平会長)創立40周年記念シンポジウム「函館に医学部招致の必要性を探る」が29日、函館市大森町のホテル函館ロイヤルで開かれた。市民ら約300人が来場。西尾正範函館市長をはじめとする関係者や有識者4人がパネリストとして登壇。それぞれの立場から医学部招致に対する考えを述べ、「招致を強く進めていくべき」とまとめた。

 この日登壇したのは西尾市長のほか、札幌医科大学前理事長の今井浩三氏、公立はこだて未来大の中島秀之学長、テーオー小笠原の小笠原康正社長。コーディネーターは日銀函館支店の市川信幸支店長が務めた。

 シンポジウムで西尾市長は「腕の良い医者を養成する臨床の大学にしたい。現場にこだわった医科大学になれば」と語り、道南や北東北の医師確保や地域医療体制強化の必要性を語った。今井氏は「道南に医学部ができれば東北を含めた経済圏を医療面から支えることになり、地域活性化につながる」とした。

 中島学長は医療とITとの連携で得られるメリットを説明した上で「未来大に医学部ができればITと医療の利点をしっかり理解した医師を育てることができる」と利点を説いた。小笠原社長は経済人としての観点から語り「医学部招致は新産業の創出と同様。新設が待たれる」と話した。

 市川支店長は「マニフェストで医師数を1.5倍にするとしている、民主党政権の下で誘致活動を進めることが効果的で、今が大きなチャンス」とまとめた。このほか来場者との質疑応答などが行われた。(山田孝人)



◎養殖ガゴメ、函館市・石崎町で今季初水揚げ

 独特の粘りと栄養の豊富さが人気のガゴメ(トロロコンブの仲間)が函館市石崎町で29日、今季初水揚げされた。養殖もので「長さ、幅ともにいい。天気が悪くて心配したが、順調に育ってくれた」と漁業者は胸をなでおろしている。

 ガゴメは、抗免疫作用があるとされる粘性多糖類「フコイダン」が脚光を浴び、今では道南水産物の“エース”。石崎地区では、現在3軒の漁業者が養殖に取り組む。

 澤田肇さん(48)は午前4時に出漁。漁場は漁港沖合500b付近で、初日は800本(約200キロ)を水揚げ。大きいもので長さ1.8メートル、幅50センチほどあり、自宅前にずらり干した。澤田さんは「もっと早く揚げる予定だったが、曇り続きで遅れた。汚れを心配していたが、何も付いていない。今年は例年以上に質がいい」と自信を見せる。

 石崎のガゴメは大きいのが特長。「ここでは『風呂敷ガゴメ』と呼ぶ」と地元漁師。養殖ガゴメは、この1週間で水揚げ、出荷作業を終える。(田中陽介)


◎大腸がんテーマに市民講座 最新治療法など学ぶ

 函館市民講座「よくわかる大腸がんのお話〜早期発見から最新治療まで〜」(函館新聞社、市立函館病院、函館五稜郭病院主催)が29日、函館市民会館で開かれた。市民ら約300人を前に、函館や札幌の最先端の医療現場で活躍する医師が、大腸がんの最新治療法について分かりやすく解説した。

 講座は2部構成で、第1部では市立函館病院消化器病センターの遠山茂医療部長・外科科長を座長に、同センターの笠島浩行外科主任医長が「大腸がんの診断と進行度別最新治療」をテーマに講演。笠島氏は「大腸がんは進行度によって治療法が大きく異なる。早期発見ならば開腹せずに内視鏡治療も可能。再発の確率も大きく低下する」と強調した。

 第2部は市立函館病院の木村純院長を座長に、KKR札幌医療センター斗南病院腫瘍内科の辻靖化学療法センター長が「大腸がんの抗がん剤治療について」と題して講演。辻氏は「最近は患者の持つ遺伝子の種類によって、どの抗がん剤が効果があるかが判断できるようになってきた。ただ、抗がん剤は効果は高いが副作用も必ずあるので、どの段階で抗がん剤治療をストップするか見極めることが医者にとっては難しい」と話した。  (小川俊之)


◎児童はつらつ、歓声こだま! 函館市内運動会シーズン 

 函館市内は運動会シーズンを迎えた。29日は小学校48校のうち11校で予定していたが、前日までの天候不順で30日に順延した学校もあり、5校で開催された。久々の青空の下、校庭には子どもたちの元気な声がこだました。

 このうち、千代ケ岱小(大堂譲校長、児童143人)は校庭のぬかるみ整備のため1時間遅れで開始。児童会長の6年生、深沢凌都君が「一生懸命頑張りましょう」とあいさつし、1年生の笠原丞君と浦上彩さんの選手宣誓で開幕した。徒競走では、児童たちが懸命に疾走し、ガッツポーズでゴールインする姿も見られた。4年生の立石陸君は「徒競走で1位になり、勝ってうれしかった」と笑顔だった。

 青柳小(加藤潔校長、児童243人)では大勢の地域住民も訪れた。6年生の運命走ではドラマ「踊る大走査線」のテーマ曲が流れる中、選んだカードに書かれた「O型の人」などの条件に合う人を会場から連れ出してゴールを目指した。父母や地域住民も連れ出され、児童と一緒に走る姿に会場から大きな声援が送られた。児童会長の6年生、木下未来さんは「組体操でフィナーレが決まって、運動会の楽しい思い出ができた」と話していた。

 市内の小学校の運動会は多くが30日に開かれ、6月上旬までに終える予定だ。(宮木佳奈美