2010年5月31日 (月) 掲載

◎江差屏風、蝦夷絵巻に魅せられ 旧相馬邸で一般公開

 6月1日にオープンする旧相馬邸(函館市元町33)で30日、内覧会が行われ、蝦夷絵巻(えぞえまき)と江差屏風(びょうぶ)の一般公開と講演会が開かれた。両作品が公開されたのは初めて。講師は道立近代美術館主任学芸員の五十嵐聡美さんが務め、来場者は作品の歴史とその奥深さを学んだ。

 江差屏風は18世紀中ごろ、アイヌ民族の風俗画確立の草分けとなった小玉貞良により制作された。ニシン漁で活気づく江差が描かれ、人々の生活や家の造りなどを細かく表現している。後にアメリカに渡るなど、約250年間世界を回り、20年ほど前に日本へ戻ったという。

 蝦夷絵巻とは、アイヌ民族の風習を紹介した絵巻。18世紀に小玉貞良工房で制作され、アイヌ民族のよるクマ猟やクマ送りの儀式の様子を描いている。当時、蝦夷地は人々にとって未知の世界であり、その様子を伝える絵巻は献上品や土産ものとして珍重された。表紙には、中国製の絹織物・蝦夷錦が施された珍しい作品。五十嵐さんは「屏風などが民家(相馬邸)で公開されることは貴重な機会」と話し、来場者は作品に秘められた魅力に思いをはせていた。

 両作品は年に1度公開予定。6月中旬から同邸で複製品が年中一般公開される。千葉から来場した笠嶋義夫さんは「細部まで描かれ見応えがあり、どちらも素晴らしい作品」と話していた。(小山博美)



◎商品求め盛況 上磯駅前商店街で記念イベント

 【北斗】JR上磯駅前商店街(北斗市飯生)の再開発工事が3月に終了したのを受けて、100円商店街と称した記念イベント(上磯駅前商店会主催)が30日、同商店街で開かれ、大勢の買い物客でにぎわった。

 再開発工事は商店街の衰退に歯止めをかけるため、2002年から着手。国や道の補助を受け、総工費は約19億円。市道の拡幅工事や公園整備などを進めたほか、新規商店の参入や既存商店の業種転換を推進してきた。

 イベントは商店街のメーンストリート約270メートルを歩行者天国にして実施。オープニングセレモニーでは、同商店会の吉田義廣会長が「さらに努力を重ね、商店街をにぎやかにしていきたい」とあいさつ。高谷寿峰市長、海老沢順三前市長、小泉征男市議会議長ら6人がテープカットし、上磯小吹奏楽部がメーンストリートを演奏しながらパレードした。

 菓子店や飲食店など24店舗と大野農業高の食品科学科が100円商店街に参加し、それぞれ屋外に売り場を設けて100円商品を販売。無料の飲食コーナーも開設され、店舗によっては先着限定サービスも行い、家族連れらが好みの品を買い求めていた。

 定期的に買い物に訪れる市内富川の菅井光子さん(71)は「いつもこれぐらいにぎわえばいいですね。今後も続けてほしい」と満喫した様子。市商工会の宮崎高志会長は「ハードは整った。後はニーズを検証しながら活性化につなげていきたい」と話していた。(鈴木 潤)



◎函館で国宝共演=@中空土偶と合掌土偶お目見え

 2つの国宝が函館に―。道内初の国宝「中空土偶」が展示される特別展「縄文の至宝―世界遺産をめざす15遺跡と土偶―」(市立函館博物館主催)が7月24日から9月26日まで、函館市青柳町の同博物館で開かれる。今回は青森県八戸市出土の国宝「合掌土偶」(複製)もお目見えする。また世界遺産登録を目指す道内や北東北の遺跡で出土した土偶も展示されるなど、縄文の宝が函館に集結する。

 「中空土偶」は尾札部町の著保内野遺跡から出土し、2007年6月に国宝に指定。「合掌土偶」は八戸市の風張1遺跡から出土し、09年3月に指定された。

 展示は市民や観光客から根強いニーズがあることから毎年実施。両土偶が同時に並ぶのは、同博物館では初めて。また「縄文文化交流センター」(臼尻町)の来年秋のオープン(予定)に伴い、同博物館での「中空土偶」展示は今回が最後となる見込み。

 今回は国宝2つの展示のほか、会場を@じだいAくらしBわざCこころ―の4ゾーンに区分けし、各遺跡の貴重な出土品を並べる。自然との共生の下で高度に発達し成熟した採集、狩猟、漁労文化などの様子を浮かび上がらせる。同時に世界遺産暫定登録リストに記載されている「北海道・北東北の縄文遺跡群」の資料を展示し、15年の世界遺産本登録に向けた市民の機運を高める狙いもある。

 同博物館は「博物館では恐らく最後の展示ということで、2カ月間と過去最長の会期を設定した。ぜひ国宝の完成度の高さを直接見てほしいし、多くの人に縄文時代に興味を持ってもらえれば」と話している。資料保全のため8月31日から最終日までは「中空土偶」は複製を展示する。問い合わせは同博物館TEL0138・23・5480。(山田孝人)


◎住宅用火災警報器設置、義務化まであと1年

 消防法改正に伴い、道南の各自治体では条例により、来年5月31日までにすべての住宅で住宅用火災警報器の設置が義務化となる。函館市消防本部の調査では、未設置者の約9割が必要性を認識している一方、「猶予期限まで時間がある」「設置しなくても罰則がない」などと、消極的な意見も依然としてあるという。同本部予防課は「設置期限まであと1年あるが、火災はいつ起こるか分からない。大切な命を守るために一日も早く設置してほしい」と呼び掛けている。

 警報器には煙感知式と熱感知式の2種類があり、家電量販店やホームセンターなどで1台3000―5000円前後の価格帯が主流。価格は若干高めだが、1台が作動すると、同一屋内の複数台が同時に鳴動する連動式のタイプもある。

 一般に住宅火災では火が燃え広がるよりも早い段階で、屋内に煙が広がる。市の火災予防条例では、就寝中の逃げ遅れを防止するために、すべての寝室と2階建て以上の住宅では避難経路となる階段に煙式の警報器設置を義務化。住宅火災の火元になりやすい台所は、煙または熱式タイプの設置を推奨している。

 また、市内の奏功事例では▽たばこの火種の落下に気付かずに外出した後、警報音に気付いた隣人が通報してぼやで済んだ▽仏壇のロウソクの火が燃え移ったが、屋外にいた家人が警報音に気付き、自力消火した―など、07年以降17件が報告されている。

 同本部では職員をはじめ、消防団員や各町会の協力を得て、市内での普及啓発活動を展開している。同課は「万が一の火災でも警報器でいち早く火災に気付き、逃げ遅れを防いだり、被害を最小限に食い止めることができる。設置済みの人は正常に作動するかを確認してもらいたい」としている。(今井正一)


◎子どもら救助体験に挑戦 海保函館航空基地一般公開

 第一管区海上保安本部函館航空基地(函館市赤坂町65)で30日、基地一般公開が行われた。天気にも恵まれ市民ら約600人が足を運び、ヘリコプター見学や救助体験などさまざまな催しを楽しんだ。

 同海保の活動を広く一般に知ってもらおうと、毎年この時期に開催。会場には同基地が保有するヘリコプター「くまたか」が展示され、来場者が自由に乗り込み、座り心地などを楽しんでいた。

 また、子どもたちを対象にした訓練体験では、斜めに張られたロープを滑車付きのワイヤを使って滑り降りる「ブリッジ救助体験」が人気を集めた。歓声を上げながら移動する子どもたちの姿を、家族がしっかりとビデオやカメラに収める様子も目立った。ブリッジ救助体験に挑戦した同市高丘町の猪又陸翔(りくと)ちゃん(3)は「お父さんの姿が見えたので怖くなかった。ヘリコプターも見てみたい」とはしゃいでいた。

 同基地の清藤健市次長は「海上保安庁の仕事に興味を持ってくれるきっかけになり、将来この中から海の安全を守るために活躍してくれる人が一人でも多く出てくれればうれしい」と話していた。(小川俊之)