2010年5月8日 (土) 掲載

◎「花いっぱい道づくりの会」が「みどりの愛護」国交相表彰

 2004年から函館新道沿線で花の植栽活動を行っている市民団体「函館花いっぱい道づくりの会」(折谷久美子代表)が、本年度の「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰を受けることが決まった。折谷代表は「活動開始からわずか6年でこのような名誉ある表彰を受けることは本当にうれしい。多くの皆さんの支えのおかげ。この活動を未来につなげていけるように頑張りたい」と喜んでいる。

 同表彰は花と緑の愛護に顕著な功績のあった民間の団体の功績をたたえ毎年行っており、本年度は全国86団体、道内からは道づくりの会と芸術の森フラワーロードに花を咲かせる会(札幌市)の2団体が選ばれた。

 道づくりの会は、函館の玄関口となる国道5号函館新道(石川・桔梗地区)沿線の植樹ますで花を育て、函館を訪れる人たちをもてなしの心で迎えようと、NPO法人や地元町会など7団体が函館開建函館道路事務所、函館市土木部、市住宅都市施設公社とボランティア・サポート・プログラムを結び活動を開始。初年度は150人が参加し、約150メートル区間に花苗5500株を植樹した。

 その後、近隣の小中高校や、スポーツ少年団などから参加が相次ぎ、昨年度は27団体約850人が、約600メートルの区間に1万本の花苗を植樹するまでに拡大した。

 構成団体の中核となる「NPO法人スプリングボードユニティ21」の理事長でもある折谷代表は「函館新道を利用する人たちに喜んでもらおうと始めた活動が、このように評価され大変光栄なこと。これを励みにして、今後も子どもからお年寄りまで幅広い年代の人たちと一緒に手を取り合って、100年先までこの活動が続くように頑張りたい」と意欲を見せている。

 23日に兵庫県で行われる表彰式には折谷代表が出席。6月12日に函館新道で行われる本年度の植栽活動で受賞報告を行う。(小川俊之)



◎函館保護司会連合会と地区保護司会、60周年記念誌発行

 函館保護司会連合会、函館地区保護司会(共に奥野秀雄会長)はこのほど、創立60周年を記念した記念誌「更生の礎」と「更生の絆(きずな)」を発行した。1949年からの道南地域における更生保護の歩みや各支部、関連団体の活動を紹介。奥野会長(73)は「地域社会への感謝や先人への敬意、さらなる連携などをテーマに昨年、記念事業を進めた。これからも地域社会に認められる更生保護制度であり続けるために、活動を発展させていきたい」と話している。

 昨年60周年を迎えた更生保護制度施行記念事業の一環。地区保護司会は10年ぶり、連合会は初めての記念誌発行となる。題字はそれぞれ、更生の心をはぐくみ、互いに信頼、尊重していく気持ちを込めて奥野会長が揮毫(きごう)した。両誌とも、年表や写真、資料を盛り込み、各支部、関連団体の活動の歴史をまとめた。編集作業に携わった連合会理事の見上忠男さん(73)は「作業を進める上で、先人が築いた業績の素晴らしさを知った。これからさらに飛躍していかなくてはならない」と決意を新たにする。

 今後の活動について、奥野会長は、更生保護制度に対する認知度や社会の期待が高まっているとする一方、地域社会にアピールする機会である「社会を明るくする運動」の認知度が下がっていることに課題があるとする。奥野会長は「過ちを犯した人の立ち直りを支えることは我々がやらなくてはならないが、地域主導で犯罪が起きない地域づくりを進めなくてはならない。市民に関心を持たせ、一緒に参加してもらう取り組みを進めていきたい」と話している。(今井正一)



◎昨年の不正薬物の密輸2件増の16件 税関まとめ

 2009年に函館税関管内(道内と青森、秋田、岩手の東北3県)で発生した不正薬物の密輸入などの関税法違反事件の概要によると、摘発件数は前年比2件増の16件で、種類別では大麻と覚せい剤が大半を占めた。同税関は5月を取り締まり強化月間に定め、各港湾や空港での水際対策を強化している。

 不正薬物や銃器類など「社会悪事犯」の管内の摘発件数は07年が19件、08年が14件だったが、「全国的には増加傾向にある」(同税関監視部)という。管内では昨年の16件すべてが不正薬物の密輸で、内訳は覚せい剤が6件、大麻が9件、ケシがらが1件だった。

 主な事例では昨年6月、ベトナムから韓国・仁川空港を経由して新千歳空港に帰国した邦人女性が、スーツケースを二重工作して覚せい剤約2.8キロを隠し持っていたケースや、同11月にロシアから小樽港に入港したロシア人乗組員が、身辺や船室に覚せい剤計約3キロを隠していた事件があった。

 このほか、同7月にはインドから盛岡市内に送られた国際郵便に大麻樹脂約1.2キロが隠されていた事案もあり、近年は手口として小口化、巧妙化している。今年2、3月には台湾から新千歳空港に入国した台湾人男性が粘着テープで体に巻き付けて隠していた覚せい剤計約3キロを発見、摘発した。

 同税関監視部は「近年は全国で不正薬物の乱用や鉄砲類を使った殺傷事件が発生し、その多くが海外から密輸されている。今後も取り締まりを一層強化し、市民らの情報提供と検査協力をお願いしたい」と呼びかけている。密輸に関する情報提供はフリーダイヤル0120・461・961。(森健太郎)


◎木直小と磨光小の統合必要 函館市教育審議会が教育長に答申

 函館市学校教育審議会(高村昭三会長)は7日、函館市教委から今年3月に諮問を受けた木直小学校と磨光小学校の統合に関し、「統合が必要」との答申を多賀谷智教育長に行った。統合校を磨光小とし、来年4月の統合に向け努力するよう求めている。市教委は今後検討に入るが、答申内容は地元の要望に沿っており、実現への作業はスムーズに進むとみられる。

 統合をめぐっては、木直小PTAが今年2月、児童数減少に伴う教育環境悪化への懸念や、同校児童が磨光小のスポーツ少年団で活動を行っている点を理由に、市教委に統合を要望していた。

 同教育審は諮問を受け、現地調査や意見聴取などを実施。答申は「小規模校の長所を認めつつ、児童数の推移や保護者、地域の意向を踏まえ、統合が必要」と結論付けており、@来年4月の統合実現A遠距離通学の児童向けスクールバスの運行B児童、保護者の不安解消―に留意するよう求めた。

 高村会長は「早く統合してほしいとの意見が大多数だった」と説明した一方、「児童の不安をきたさないよう、教員配置にも配慮してほしい」と求めた。多賀谷教育長は「答申を尊重しながら、具体的に検討したい」と述べた。

 市教委は今月11日の委員会で答申内容を報告、今月中に両校の保護者や地域住民を対象に説明会を開く考え。今後は両校PTAから統合の同意書を得た上で、市学校設置条例の改正を市議会に提案する流れとなる。(千葉卓陽)


◎函館市のくらし支援室、初年度の利用555人

 函館市が昨年度設置した、多重債務などの相談を受け付ける「くらし支援室」には初年度、555人から526件の相談が寄せられた。このうち多重債務者の対応を司法書士や弁護士などに引き継いだのは192人。市は本年度、相談員を1人増員し5人とするなど、相談体制の強化を図った。小山内実室長は「市民の悩みを解消する室の役割は重要」と位置付け、引き続き問題解決に全力を挙げている。

 同室がこのほど、初年度の相談件数などをまとめた。月別の相談件数は、開設直後の4月が最も多い78件で、翌5月は52件。65件だった3月は2番目に多く、このほか9月が48件、10月が49件など。

 555人中、電話のみの対応だったのは35.0%(194人)。面接を予約して来庁対応した場合の方が65.1%(361人)で多数を占めた。来庁者は状況の詳細な確認や助言、整理などで1件当たり平均3―4回(1回1時間半程度)面談を行った。

 相談者の男女比は、男性が52.3%(290人)、女性が47.7%(265人)。相談者の居住地割合(件数当たり)は函館市が94.9%とほとんどを占めた。市外は5.1%で、渡島管内は北斗市と七飯、森、木古内、福島、松前の5町、桧山管内は江差・奥尻町からだった。

 弁護士などに対応を引き継いだ192人の解決方法は、債権者と弁護士間で返済方法を和解する「任意整理」が最多の129人。次いで自己破産が49人、裁判所が認可した再生計画に基づいて債務を返済する「個人版民事再生」は11人など。

 これらの人のうち、市税などの滞納者は44.3%に上る85人で、滞納件数は延べ132件であることが判明。内訳は市税59件、国民保険料50件、水道料金8件、自動車税などその他は15件だった。小山内室長は「問題の解決が、滞納した税の支払い開始につながった事例もあった」とする。

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 6月18日に改正貸金業法が完全施行される。今回変わる大きな点は、個人の借入総額が原則として年収の3分の1以下に制限される「総量規制」の導入と、金利を最大20%に引き下げる「グレーゾーン金利の廃止」。

 同室には既に昨年度から、総量規制を見据えた金融機関の対応により、複数の機関から借りてやりくりしてきた人が生活資金に困ったとの相談が寄せられている。小山内室長によると「このような人は徐々に増えている」といい、「切羽詰まっても絶対にヤミ金から借りることはせず、支援室に相談してほしい」と呼び掛ける。

 同室の相談時間は午前9時から午後4時。事前に電話連絡、予約すると待ち時間がない。問い合わせは同室TEL0138・21・3160。(小泉まや)