2010年5月9日 (日) 掲載

◎色鮮やか甘い香り えびね祭開催

 【江差】第18回北海道えびね祭(北海道えびね会主催、函館新聞社など後援)が8日、江差町文化会館(茂尻町71)で開幕した。鮮やかな色彩が魅力のエビネランなど約150鉢が一堂に会し、大勢の愛好家が心地よい春の香りを楽しんでいる。9日まで。

 桧山管内のエビネラン愛好家でつくる、北海道えびね会(室井正行会長)が毎年開催。会員が丹精を込めて育ててきたエビネランはいずれも見ごろを迎えており、珍しい山野草とともに展示している。エビネランの栽培は難しく、作品を出展した会員は、気温や水分の管理に細心の注意を払い、展示当日を迎えたという。

 エビネランは、白、黄、紫などの色鮮やかな花が、垂直に伸びた茎から競い合うように咲くのが特徴だ。初日の8日には、道南各地から大勢の愛好家が訪れた。町内の男性(72)は「色鮮やかな花は魅力的だ。甘い香りがとても素晴らしい」と話していた。9日の展示は午前9時から午後4時まで。会場では抹茶とお茶菓子のサービスもある。

 問い合わせは同会館TEL0139-52-5115。(松浦 純)



◎「興味ある」7割超 「函館ブランド調査」結果

 函館市が昨年度、民間に委託していた「函館ブランド調査」の分析結果がまとまった。札幌市と首都圏の住民を対象に調査したところ、函館のイメージについて「古くから歴史があるおしゃれな街」との認識が強く、スイーツやクリスマスファンタジーは認知度が低いながらも札幌、首都圏ともに7割以上が興味を示していることなどが分かった。市はこの結果をもとに、観光資源の掘り起こしを進めていく。  ブランド総合研究所(東京)が昨年実施した「地域ブランド調査」で函館が全国1位となるなど、人気や魅力が高い一方、観光客数が年々減少していることから、イメージと実態の差異を解消する目的で調査を実施。公募の結果リクルート北海道じゃらん(札幌)に委託し、昨年9月下旬に札幌と首都圏の20歳以上の男女計2060人を対象に調べた。

 質問は函館のイメージや各主要施設、観光資源の認知度など大きく10問。イメージを問う設問では「古い」が全体で69%だった一方、「歴史がある」「夜景がきれい」などは90%以上、「おしゃれ」も札幌47・8%、首都圏40・5%があてはまると回答した。

 観光資源の認知度・興味度は夜景やいさり火など、主にソフト面で23項目を尋ねた。ハンバーガーやラーメン、「やきとり弁当」などのご当地グルメについては、知っているとの回答が札幌で79.3%、首都圏で34.9%と開きが見られたが、「興味がある」「やや興味がある」と答えたのは札幌85.7%、首都圏76.2%といずれも高かった。地元和洋菓子店が取り組む「函館スイーツ」や、12月の「クリスマスファンタジー」は認知度は札幌でともに30%台、首都圏で10%程度と低いものの、興味度はともに7割を超えた。  同社は調査結果を踏まえて情報発信や継続的な提供体制の確立、特定の層をターゲットにした特別な観光メニューづくりなどを提案しており、市はこれをもとに観光施策を強化していく考え。

 市ブランド推進課は「知られていないが興味はある“伸びしろ”が高いものが多いことが分かった。効果が高いと思われるものから順次、事業化を図りたい」と話している。(千葉卓陽)



◎故山形道文さん著「われ判事の職にあり」が復刊

 函館弁護士会会長、函館漢詩文化会主宰など幅広く活躍し、2009年3月30日、80歳で亡くなった山形道文さんが1982年に出版した『われ判事の職にあり』が出門堂(しゅつもんどう、佐賀)の「肥前佐賀文庫」シリーズとして、復刊出版される。戦後の食糧難の時代、経済事犯を裁く身として、飢えてもヤミ米を食べないと法に従い、栄養失調で亡くなった佐賀出身の山口良忠判事のドキュメントをまとめた一冊。山形さんの妻、悦子さん(74)は「山口判事の古里の文庫として収まったことで安Gヒ(あんど)できた」と話している。

 山形さんは29(昭和4)年青森県弘前市生まれ、旧制函館中学、東大法学部卒業。67年に函館市内で弁護士開業した。47年、裁判官を志していた同中学3年のとき、山口判事の死亡を報じる新聞記事に衝撃を受けた。同記事の見出しが本のタイトルである。

 山口判事はヤミ米を買った72歳の女性に禁固刑を宣告し、自身は“銀メシ”を口にせず、配給もので生活した。33歳で亡くなった当時、死んでまで法を守ろうとする頑固者と評された。しかし山形さんは、法律実務家の山口判事が感じていた法の理念と現実の法や実際に発生する事象とのギャップは何か、そこから本来の山口判事の像を探ろうとした。

 取材は最初、矩子(のりこ)夫人に断られたが、山口判事の問題を自分の問題とする気持ちが通じ、以降、肺の病と戦いながら約30年にわたり、遺族や恩師、同期の法曹関係者を尋ね、山口判事の判決文まで調べた。「生前、佐賀は第二の古里と言っていた」(悦子さん)。判事が自分で選んだ死の道に向かう決意、あふれる隣人愛まで徹底的に調べ、山口判事の人柄を塗り直した。本は82年に文芸春秋から出版、5版を重ねたが絶版となった。

 出門堂は佐賀の福博印刷が展開する出版部門。同文庫は硫黄島で玉砕した海軍航空部隊指揮官、市丸利之助など、地元の偉人たちの功績を紹介する。山形さんが亡くなる2年前(07年)、出門堂の古川英文さんが山形家に手紙をしたため、復刊を依願した。山形さんは「売れないから(復刊は)無理でしょう」と話したが、何とか形にしたいという古川さんの熱意で復刊が決まった。

 同本はシリーズ4巻目。文字を大きくし、表現の一部を分かりやすく修正した。山形さんの生前には間に合わなかったが、出門社の意向で、初版発行の日付は一周忌の3月30日とした。

 348ページ、A5変形判。2500円。主要書店で5月中旬から販売予定。(山崎純一)


◎1万8800人大声援 函館で日本ハム戦

 プロ野球パ・リーグ公式戦、北海道日本ハムファイターズ対東北楽天ゴールデンイーグルス戦が8日、函館市のオーシャンスタジアム(千代台町)で開かれた。両チームのエース対決で緊迫した投手戦となったが、日本ハムが延長10回にサヨナラ勝ちし、スタンドは大歓声がこだました。

 年に1度(2試合)行われる“道民球団”のプレーを見ようと約1万8800人で満員となった。日本ハム・ダルビッシュ、楽天・岩隈の両投手はピンチを迎えても後続から三振を奪い、ともに9回を無失点に抑えて降板。投手が変わった10回、日本ハムは稲葉がサヨナラ安打を放ち、ファンに函館開催2年ぶりの勝利の喜びを与えた。

 9日は午後1時から同球場で開かれる。予告先発は日本ハム・武田、楽天・田中。なお、外野の当日券は売り切れとなっている。(山崎純一)


◎元七飯町長 金澤精一さん死去

 【七飯】元七飯町長の金澤精一(かなざわ・せいいち)さんが7日午後10時、多臓器不全のため入院していた七飯町内の病院で死去した。82歳。函館市出身。自宅は七飯町本町1の4の14。葬儀は七飯町と金澤家の合同葬で行う。通夜は15日午後6時から、告別式は16日午後1時から、いずれも七飯町本町5の6の1、七飯町スポーツセンターで開かれる。喪主は妻・幸(ゆき)さん。葬儀委員長は中宮安一七飯町長。

 金澤さんは1928年、函館市生まれ。函館商業高を卒業後、46年七飯村(当時)役場に入り、総務課長、産業課長を歴任。67年助役に選任。74年七飯町長に初当選し、連続5期20年務めた。

 在職中は84年に現在の役場庁舎を完成させたほか、92年に文化の森構想として、町文化センターや歴史館の整備に着手するなど文化振興に尽力した。98年に勲四等瑞宝章。

 中宮町長は「突然の訃報に驚いており、非常に残念。今の七飯町の礎を築いたのは金澤さんであり、これまでの多大な功績を後世まで伝えることが私の責務と思う。今は、ご冥福をお祈りするばかりです」とコメントした。