2010年6月10日 (木) 掲載

◎電動自転車貸し出しへ あすから市内で初

 函館市や函館商工会議所などでつくる北海道新幹線新函館開業対策推進機構は11日から、JR函館駅前や西部地区で電動アシスト自転車を貸し出す新事業を始める。初年度は計8台を用意し、地域の観光振興や交通インフラの充実を目指す。同機構によると、電動自転車のレンタルは市内では初めて。

 坂の多い函館の新たな移動手段として観光客らに役立ててもらおうと、新幹線開業効果を高める「アクションプラン(行動計画)」の一環で企画。同機構がリースした電動自転車をロワジールホテル函館(若松町14)と地域交流まちづくりセンター(末広町4)に4台ずつ配備する。

 事業名は函館サイクリングの略称で「はこりん♪」。電動自転車は27インチのシティーサイクル型で、充電式のモーターで最大20キロ程度走行できる。3段の変速機や前かごも付いている。利用できるのは中学生(適用身長145センチ)以上で、貸出場所以外への返却はできない。

 貸し出しは11月7日まで。初年度の料金は4時間まで800円、一日で1200円。貸出時間は午前9時半から午後6時まで。同機構は「狭い路地や坂道など車で行きにくい場所を巡り、函館の新たな魅力を探してほしい」とPRしている。

 9日には市内の観光関係者向けの体験試乗会もあり、JTB函館支店の福山道弘営業課長(46)は「後ろから背中を押してもらうような感覚で、急な上り坂でも楽に走れた。普段は気付かない景色も見られ、点在した名所を巡るのには最適」と太鼓判を押していた。申し込み時には身分証の提示が必要。予約、問い合わせはロワジールホテル函館TEL0138・22・0111、市地域交流まちづくりセンター同22・9700。(森健太郎)



◎生ごみ処理に微生物活用 消滅型のヴァニッシュ菌

 【七飯】土壌から採取し特殊培養した微生物群「ヴァニッシュ菌」を活用した生ごみ処理の実証実験が25日まで、七飯町東大沼の松田牧場で行われている。函館市豊川町の清掃会社「ピリカサービス」(佐藤敬子社長)が実用化を目指して取り組んでいる処理方法で、9日は七飯町や鹿部町の職員、議員ら約60人が見学した。

 ヴァニッシュ菌は札幌市の研究機関「BN研究所」が培養した微生物群で、廃棄物を炭素や水素などに気化分解し、消滅させる働きをする。同社は「ごみを焼かない、埋めない処理」を基本理念に、ヴァニッシュ菌の実用化を目指している。

 実証実験では、木材チップや廃棄牧草などでできた菌床約10トンに毎日生ごみを混ぜていき、5月24日からこれまで約4・5トンを投入し、気化分解を行っている。

 見学会では、同社の社員が「消滅型の処理なので菌床の体積はほぼ一定に保たれ、汚水も流れない。環境に負荷を与えない」と効果を説明。その後、ポリバケツ10個分に入った生ごみを重機で菌床に混ぜ合わせた。来場者も菌床に触るなどして見守っていた。この日、混入した生ごみはほぼ1日で減量処理されるという。

 同社の佐藤社長は「早期に実用化し、普及を進めていきたい」とし、ごみの減量化が課題の七飯町の中宮安一町長は「すばらしい処理方法と思う。導入に向け前向きに検討していきたい」と述べた。(鈴木 潤)



◎函館市の純資産は1977億円 08年度の財務書類まとめ

 函館市は2008年度の財務書類をまとめた。市の財務状況を明らかにした報告書で、普通会計ベースでの市の純資産を1977億4700万円(市民一人あたり69万4000円)と試算している。

 06年に総務省が示した指針を受けてまとめたもので、公会計に企業会計の考え方を導入している。

 普通会計ベースで、市の保有財産と、それをどのような財源で賄ったかを示す「貸借対照表(バランスシート)」、資産形成に結びつかない行政サービスにかかる経費と、直接対価として得られた財源とを対比させた「行政コスト計算書」に加え、純資産の対前年度との変動状況を示す「純資産変動計算書」、年度当初と年度末の資金の増減を表示する「資金収支計算書」を新たに作成した。

 普通会計ベースでの基金や出資金などの金融資産、土地・建物など有形固定資産を含む市の資産は3842億9500万円(同134万9000円)で、地方債や退職手当引当金など負債は1865億4800万円。差し引いて純資産は1977億円余りで、資産のうち、市民の持ち分割合を示す純資産比率は51・5%となった。

 これに一部事務組合や広域連合、第三セクターなどを加えた連結ベースでの純資産は2989億6500万円(同104万9300円)。総資産は6296億1700万円(同220万9800円)。

 行政コストは1023億5900万円で、社会保障給付などの「移転支出コスト」が全体の約半分を占める。純資産は07年度に比べて25億6400万円増、資金収支も地方債発行額を抑制したことで2億3800万円のプラスとなっている。(千葉卓陽)


◎函大 初戦突破 全日本大学野球

 【東京】第59回全日本大学野球選手権大会(全日本大学野球連盟、読売新聞社主催)の2日目が9日、東京ドームなどで開かれ、道学生野球連盟代表の函館大は1回戦で中国地区大学野球連盟代表の東亜大と対戦し、2―1で勝利し2回戦進出を決めた。

 2年ぶり3回目出場の函館大は1年の鈴木和也選手(神奈川・横浜創学館)、4番の長谷川拓哉選手(3年、埼玉・聖望学園)が本塁打を放ち、エースの佐藤将太郎投手(3年、神奈川・横浜創学館)が粘りの投球で相手打線を1点に抑えた。スタンドには選手の親や同大のOB・OGのほか、公務で出張中の西尾正範函館市長が応援に駆けつけ、盛大な声援を送っていた。

 函館大は大会3日目の10日、東都大学野球連盟代表で2年前の覇者・東洋大と2回戦を行う(東京ドーム、午前11時半試合開始予定)。(山崎純一)


◎調理師への第一歩 大妻高で戴帽式

 函館大妻高校(池田延己校長)で9日、調理師を目指す食物健康科1年生にコック帽を与える「戴帽式」が行われた。白衣を身に着けた同科3期生42人が料理の道を歩む決意を新たにした。

 包丁研ぎや調理器具の扱い方などの基礎教育を終えた1年生が、6月から専門的な料理を学ぶ調理実習に入る前に、調理師への第一歩として実施している。保護者らが見守る中、生徒たちは1人ずつ名前を呼ばれ、教諭に真新しいコック帽をかぶせてもらった。

 金丸隆一教頭が「今日の日を目標に向けた決意の日にしてほしい」と激励。来賓の函館水産物商業協同組合調理講師の秋保栄さん、アイスカービング会長の伊藤眞悟さん、函館割烹(かっぽう)調理師会会長の樋口七郎さん、同会幹事長の坂本勝彦さんも出席し、生徒にエールを送った。

 最後に生徒全員で「地域社会に貢献できる調理を目指します」などと誓いの言葉を斉唱。大江美鈴さん(15)は「コック帽をいただいて気合が入った。おいしいと言ってもらえる料理を作りたい」と話した。(宮木佳奈美)