2010年6月12日 (土) 掲載

◎特定検診受診率、2009年度も低調

 40―74歳が対象の特定健康診査(いわゆるメタボ健診)で、函館市の2009年度の受診率は、対象者の18.8%(1万25人)にとどまった。目標とした35%には遠く及ばず、初年度の08年度(20.0%、1万682人)をも下回る低率。市国保年金課は、前年度の受診者が受けなかったり、新型インフルエンザ流行の影響で減少したと考える。10年度目標は45%(2万7038人)だが、達成は極めて困難な状況だ。

 国は08年度、メタボリックシンドロームの予備軍や対象者を削減し、健診受診率を65%とするなどの目標を定め、特定健診をスタートした。同市では市総合保健センター(五稜郭町)や個別医療機関などで健診を行っている。

 12年度の結果は、後期高齢者支援金の加算・減算基準となり、どちらに転ぶかは65%のラインで決められる予定。達成できなければ、最大で約3億5000万円のペナルティーにつながることから、この目標に向かって段階的に受診率を向上させる計画を立てている。

 08年度は25%の目標に対し、既に5%足りなかった。達成できなかったことを受けて09年度は、受診券を持参しない場合でも受けられるよう態勢を工夫したり、回覧板を使った周知、電話での個別啓発などを行った。しかし、35%に引き上げた目標との差は一気に開く結果に。前年度をも下回ったことで、市民を健診に向かわせる抜本的な対策が必要となっている。

 同市は6月、本年度の健診をスタートした。受診率対策としては、胃や肺、大腸など、3種類のがん検診と同時に受けられる町会館などの場所を、旧市内で5カ所(09年度)から17カ所に増加。この日程をカレンダーにして全戸配布した。さらに啓発するポスターを市内各所に張り、積極的な受診を促している。

 同課は「今のところどこまで効果があるかはわからない」とするが、市立函館保健所には順調に問い合わせがきているという。特定健診についての問い合わせは同保健所TEL0138・32・2216。(小泉まや)



◎龍馬記念館、来場者2万人達成

 昨年11月15日にオープンした「北海道坂本龍馬記念館」(三輪貞治館長、函館市末広町8)が10日、来場者2万人を達成した。同日、同館内で開かれた市民有志らで構成される「函館龍馬愛好会」の席上で三輪館長から報告されると、参加した会員が拍手で喜びを分かち合った。

 同館は昨今の幕末ブームや北海道と龍馬の関係、そのゆかりの人物にスポットを当てた珍しさも手伝い、連日観光客らが詰め掛ける。3月末に1万人を達成したばかりで、この日も団体客や修学旅行生など約300人が来場した。記念セレモニーなどは行われなかったが、異例の早さに三輪館長は「まさかこんなに早く突破するとは思わなかった。たくさんの人に蝦夷地開拓という龍馬の夢を知ってもらえてうれしい」と感激しきりだった。

 また、地元郷土史研究家や市民が集まり龍馬を通じて幕末の知識を深める同愛好会では、三輪館長の「おかげさまで2万人を達成することができました」の声に拍手と歓声が起こった。ある参加者は「交流は人を変える。関わり合いが少ない時だからこそ、龍馬の力の偉大さを感じる」と話し、参加者全員がこれからも解説などに力を入れ観光客らに楽しんでもらえる館を目指そうと、更なる飛躍を誓っていた。(小杉貴洋)



◎遭難、ヒグマに注意を 上の沢タケノコ園オープン

 【上ノ国】上ノ国町湯ノ岱国有林の「上の沢タケノコ園」が11日に開園した。桧山管内南部では、山菜採りに伴う遭難事故が例年を上回るペースで相次いでいることから、江差署、町役場、桧山振興局、桧山森林管理署の4機関が合同で、来園者に注意を求めるチラシを配るなどして、事故防止をPRした。

 良質なタケノコが採れることで人気がある同タケノコ園。開園時刻の午前6時ごろには、ゲート前に200台を超える車が長い列を作り大渋滞。中には10日午後6時からゲート前で泊まり込み“一番乗り”を果たした男性もいるなどタケノコ熱は過熱気味。1時間ほどで約250台の車両と約600人が入山した。合同PRには、桧山振興局の深山英寿地域政策部長ら約15人が参加。遭難防止やヒグマへの注意を求めるチラシを配りながら「気を付けてタケノコ採りを楽しんで」と呼び掛けた。江差署は「週末にはさらに多くの来園者が予想される。遭難発生に備えて厳戒態勢が続く」としている。

 同署管内では、4月7日に上ノ国町で山菜採り中の60代女性が一時行方不明になった。5月19日に厚沢部町で遭難した77歳女性の行方は分かっていない。同30日には奥尻町でタケノコ採りをしていた52歳女性が転落死している。今月6日には厚沢部町でタケノコ採りに伴う遭難騒ぎが続発。通信施設の管理道に無断侵入した函館市の60代男性が行方明になり警察官に救出されたほか、林道で車が立ち往生して徒歩で帰宅しようとしていた町内の80代男性が衰弱した保護される騒ぎがあった。

 同タケノコ園は380ヘクタール。開園時間は午前6時。安全管理のため午後1時にゲートを施錠する。入園料は1人700円。今月下旬までの開園する。問い合わせは桧山森林管理署TEL0139・64・3201。(松浦 純)


◎「JRに経営継続要請」 函館市、市議会、経済界など

 北海道新幹線札幌延伸時にJR北海道が函館駅―新函館駅(仮称)間を並行在来線として経営分離する方針を示している問題で、函館市と函館市議会、函館商工会議所の各首脳は11日午後に会合を開き、JR北海道による経営継続を求めることで一致した。同日に市役所で会見した西尾正範市長は「全市的に取り組みを進めたい」と述べ、一丸の姿勢をアピールした。

 この問題で3者が会合の場を持ったのは初めて。函館市は西尾市長と小柏忠久副市長、市議会は吉田崇仁議長、能川邦夫副議長、商工会議所は高野洋蔵会頭と森川基嗣、松本栄一、木村孝男の各副会頭が集まって協議し、JRの経営継続を求める方針を確認した。

 同市長は同区間について「第三セクターでの運行はノウハウもなく難しい。ローカル鉄道のレベルではない」と強調。94年に市と道が同区間のアクセスについて交わした覚書の存在など、過去の経緯を例に「道が責任を持って調整していただきたいということを、強く要請していく」と述べた。

 同市長はまた、市町会連合会(敦賀敬之会長)が経営継続に向けた署名活動を行うことを明らかにし、「方針を後押ししてくれるものと受け止めている。住民組織の活動も含め、地域を挙げて運動を展開したい」とした。

 市町連は14日の正副会長会議で、署名活動の実施と具体的な数値目標を決め、16日の常任理事会と理事会で正式発表する方針。敦賀会長は取材に対し「地元の民意として動きたい。16日が実質的な活動のスタートになる」と話している。(千葉卓陽)


◎今年も「いか踊り」熱く 誕生30周年で行事目白押し

 函館夏の風物詩として市民権を得た「いか踊り」が誕生して今年で30年目を迎える。記念すべき年を多くの人たちと祝おうと、函館いか踊り実行委員会(吉川平八郎委員長)では、19日に祝賀パーティーを開催する。8月には毎年恒例の函館港まつり、青森県のねぶた祭り参加などイベントも目白押しだ。年月を経てますます“いか踊り”が熱くなっている。

 いか踊りは1981年に市民有志らによって製作された。その背景には函館港まつりに参加する若年層の少なさがあった。「若者が楽しめて子どもから大人まで親しめるものがあれば…」。その思いは飲み仲間だった26人の市民によって形になった。

 いかさし、塩辛、いかそうめんなど函館名物を盛り込んだコミカルな歌詞に、ユニークな踊りも、最初は受け入れられず少人数が楽しむに過ぎなかった。ところが回を重ねるごとに認知度は高まり、現在では3万人パレードのうち半数がいか踊り参加者という人気ぶりだ。

 ここ数年は全国での知名度も上がりイベントに呼ばれることも多くなった。同実行委は「すぐに覚えてもらえるから地元の人と打ち解けやすい」と話す。また、阪神淡路大震災の時にも被災者を見舞い演舞した。「元気をもらった」「勇気をありがとう」などの声に「少しでも力になれたことがうれしかった」と回想する。

 これからが本格的ないか踊りシーズン。実行委も「函館名物を生かして地域活性化ができれば」と意気込みを強くしている。30年が契機となってこれからも市民に愛され続ける。(小杉貴洋)