2010年6月13日 (日) 掲載

◎日韓友好45周年、節目を祝いムクゲ植樹

 【北斗】日韓基本条約が締結され今年で45年の節目に、韓国の国花で北斗市の花でもある「ムクゲ」を両国の友好親善の象徴として広めていこうと、市民団体「道南ムクゲの花を広める会」(浅利政俊代表)が12日、市内野崎の清川寺境内でムクゲの植樹祭を開いた。

 同会は今年4月、日本の花の会研究専門委員で、函館空襲を記録する会の代表を務める浅利代表ら有志5人で結成。今後、植樹祭のほか、ムクゲ図鑑の発行や会員の入会呼び掛けも行っていく。

 植樹祭には、在日本大韓民国民団函館支部の関係者や市内近隣から約20人が参加。冒頭、浅利代表は「今は日韓の交流が盛んだが、戦時中、多くの朝鮮人が日本で強制的に働かされていたことは知られていない。その中には祖国に戻ることなく命を落とした人もおり、ムクゲは亡くなった人の慰霊花だ」と述べた。

 次いで植樹に移り、あらかじめ仮植えされた苗木の根元に、参加者がスコップで土をかぶせていった。「紫盃(しはい)」「日の丸」の2品種計10本を植樹し、それぞれ「北斗号」「清川号」などの名前が付けられた。

 参加者は苗木の前で、韓国民謡「アリラン」や「ふるさと」「さくらさくら」を歌い、両国の友好親善の思いを新たにした。

 同支部の崔千浩(チェ・チョンホ)支団長(60)は「友好の輪が広がるよう協力していきたい。次回は韓国の苗木を持ってきて植えたい」と述べた。両親と一緒に参加した函館亀田小2年の黒江仁美さん(7)は「花が咲くのが楽しみ」と話していた。

 清川寺は国指定史跡の戸切地陣屋跡地につながる一本道沿いにあり、桜並木の名所として知られる場所。浅利代表は「ムクゲとサクラが咲く場所として両国の発展の象徴にしたい。ともに協力して新たな未来を築いていく一助になれば」と語っていた。

 植樹したムクゲは8月中旬に開花する予定で、10月まで咲き続けるという。(鈴木 潤)



◎函館市の「事業仕分け」、7、8月公開で実施

 函館市が実施に向けて検討を進めてきた「事業仕分け」の概要が固まった。名称を「函館市事業レビュー」とし、2008年度に行った内部の仕分けで改善が必要と位置づけられたものを中心に20事業を抽出、7、8月にかけて公開で実施し、その必要性を精査する。今月下旬から一般市民からの委員公募も行う。

 市は政策シンクタンク「構想日本」の手法を取り入れ、08年度から仕分け方法を検討。各事業の担当部署が約2000の事業の中から必要・不要、外部委託が可能かなど4項目で自己評価した結果では「不要」が9件、「民営化が適当」が30件、「外部委託可能」が89件など、計203件で改善の余地があるとされている。

 「事業レビュー」ではこれらの中から20事業を選び、8人体制で委員を置く。コーディネーターを含む学識経験者、経営専門家ら6人を市長が選び、残る男女各1人を市民から公募する。

 7月下旬に第1弾として、約1週間で10事業を扱い、8月下旬に残る10事業を審議。事業の説明から評価に至る所要時間は60分をめどとするが、拙速な判断を避けるため、事業評価は説明・質疑応答と日にちを分けて行う考え。

 評価結果は、そのまま市の方針決定とせず、判断材料の一つとして活用する方針。市行政改革課は「基本的には事業の事後評価の方法として行う。部局に関係なく、市民にわかりやすく幅広い分野から事業を選びたい」と話している。(千葉卓陽



◎ひろめ舟まつり 舟こぎ競争に歓声

 海の恵みに感謝し、豊漁を祈願する函館市南茅部地区最大のイベント「第25回ひろめ舟まつり」(実行委主催)が12日、臼尻漁港で開かれた。好天の中、市内外から大勢の見物客が訪れ、名物の舟こぎ競争に声援を送った。

 メーンイベントの舟こぎ競争は46チームがエントリー。木製の磯舟に6人1組で乗り込み、かじ取りやこぎ役、拍子役を分担する。漁港内には400メートルと600メートルのコースが設けられ、折り返し地点を上手に回れるか、チームワークが合うかどうかが勝敗のポイントだ。

 最初に行われた初心者対抗戦では、多くの舟が真っすぐに進むことができず、見物客の笑いがあふれた。11チームが出場した定置漁業会長杯には地元の漁師が出場し、唯一予選を行った。観客席には同僚らが陣取って太鼓をたたき、大漁旗を振って声援を送っていた。

 特設ステージでは演歌歌手、香田晋さんの歌謡ショーや郷土芸能発表などが行われ、海産物販売などの出店も数多く軒を並べ、祭りを盛り上げていた。

 舟こぎ競争の各レースで優勝したチームは次の通り。

 ▽初心者対抗戦?KKB8▽共愛会理事長杯(女子対抗戦)?いろは丸レディース▽函館市役所本庁・支所対抗戦?恵山支所「乱気」▽ひろめ舟祭り杯(一般・職場対抗戦)?スナックどんじゃりと愉快な仲間達▽南かやべ漁業組合長杯?安浦支所▽定置漁業協会長杯?チガイニ小田原水産(千葉卓陽)


◎11カ国76選手、白熱のレース 自転車のACCアジア杯

 自転車競技のACCトラックアジアカップ2010日本ラウンド(アジア自転車競技連合、日本自転車競技連盟主催)が12日、市営函館競輪場(金堀町10)で開幕した。アジア11カ国から76選手が出場。14日までの3日間にわたり、ワールドクラスのレースを展開する。

 同大会は2003年に誕生し、国内開催は4度目。初日はスプリントと団体追い抜き競走の2種目が実施された。アジアの選手たちは市民の声援をバックに函館の風を切りながら疾走し、総勢20人の日本選手団も力あふれる走りを披露した。

 観客も世界レベルの迫力あるレースを一目見ようと、大勢詰め掛けた。趣味で自転車に乗り始めたという市内上野町の平川公一さん(35)は「本物のアスリートの走りを間近で見ようと、競輪場に初めて来た。タイヤのきしむ音がものすごく迫力に圧倒された。また大会があれば見に来たい」と満足そうだった。

 各日とも競技開始は午前9時で、入場無料。抽選で電動アシスト自転車などが当たる来場者プレゼントも行っている。問い合わせは実行委員会大会事務局TEL03-3589-0723。(後藤 真)


◎開学10年さらなる一歩を 未来大で記念式典

 公立はこだて未来大(中島秀之学長)の開学10周年記念式典が12日、函館市亀田中野町の同大体育館で開かれた。地元自治体の首長や議員、道内外の大学などの教育関係者ら約300人が出席し、創立10年の節目を祝った。

 中島学長は式辞で「開学10年で大学としての第一歩は確実に踏み出せた。常に未来に視点を置き、次の10年に備える活動を展開したい」と述べた。構想が浮上する医学部新設については「ITと医療は関係が深く、今後ますます連携が必要。学部創設で世界に類のないユニークな大学になるはず」と歓迎した。

 来賓の公立大学協会の矢田俊文会長は「未来大の教育理念は日本の大学ランキングでも高い評価を得ている」とし、西尾正範函館市長は「函館の将来にとってキーになる大学。医学部創設は医師不足の道南にふさわしく、地域振興にとっても極めて高い可能性がある」と祝辞を述べた。

 式典では同大の後援会や同窓会の寄付団体に中島学長から感謝状が贈られ、式典後には記念講演や祝賀会も行われた。

 同大は2000年4月に函館、北斗両市、七飯町の2市1町で構成する函館圏公立大学広域連合が設置して開学。03年には大学院、04年には産学官連携の窓口となる「共同研究センター」を設置。昨年度までの卒業生は計1539人に上る。システム情報科学部の単科大学で、本年度から複雑系科学科を「複雑系知能学科」に変更し、2学科5コースに学科を再編した。(森健太郎)