2010年6月17日 (木) 掲載

◎8月21日から「国際科学祭」充実の全24プログラム

 多彩なイベントや実験などを通して科学の魅力を伝える「はこだて国際科学祭2010」(サイエンスサポート函館主催)が8月21日から29日まで、函館市内3地区8会場で開かれる。昨年に続き2回目となる今年のテーマは「食の未来を函館から考える」。身近な問題である“食”の可能性を切り開いていく。

 同祭は函館市と函館圏の高等教育機関、市民団体などが連携して主催。環境をテーマにして行われた昨年の科学祭は、子どもから大人まで幅広く楽しめる全19プログラム71イベントのバラエティーに富んだ内容が評判となり、入場者数延べ8500人を集めるなど全国的にも注目を集めた。改行 今年はさらに内容を充実させ全24プログラムに拡大。開催場所も昨年の5会場から、函館市青少年センター、市中央図書館、市総合保健センターなどを新たに加えるとともに、初の試みとして市電を貸し切りにした「S(サイエンス)列車で行こう!」という函館ならではの催しも用意した。

 注目イベントのひとつは“おいしく、食べる”の科学展。昨年11月に東京の日本未来館で開かれて反響を呼んだ展覧会の国内初の巡回展で、函館市地域まちづくりセンターが会場となる。

 このほかにも函館市臨海研究所で飼育しているチョウザメの様子をインターネットでリアルタイムに上映する「チョウザメシアター」や、ビールの味覚センサーの話を聞きながらジャズ演奏を楽しむ「函館サイエンスライブ2010サッポロビール」、マクドナルドの人気キャラクターが小学校低学年に向けた食育プログラムを届ける「ドナルドの食育教室」など、多彩なイベントが満載となっている。

 主催代表で公立はこだて未来大の美馬のゆり教授は「函館の夏を代表するイベントとして定着するように、昨年以上に魅力的なプログラムをそろえた。1万人の動員を目指したい」と意欲を見せている。

 各イベントの参加料金は一部を除いて無料。事前予約が必要なプログラムの受け付け開始は7月下旬を予定している。同祭に関する詳しい情報は公式サイト(http://www.sciencefestival.jp/festival/index.html)を参照。(小川俊之)



◎函館どつく 3期連続黒字

 函館どつく(函館市弁天町、岡田英雄社長)は16日、2010年3月期決算を発表した。売上高は前期比22・5%増の347億9800万円、経常利益は同86・2%増の16億6300万円の増収増益となった。3期連続の黒字で、前期までに10億円を超えていた累積赤字を解消した。

 純利益は同2・8倍の25億4400万円で2期連続の黒字。昨年6月に新造船のキャンセルに伴う違約金を特別利益として計上したためで、これにより前期までに12億2900万円あった累積赤字は解消された。

 部門別の売上高では、14年3月まで安定した受注を抱える主力の新造船部門が、同40・8%増の270億600万円と好調。修繕船部門は民間受注の低迷で同12・9%減の52億5700万円。橋梁(きょうりょう)陸機部門は公共事業の削減が響き、同20・2%減の25億3300万円だった。

 11年3月期は、今年10月からの大型船修繕ドックの稼働や、年間8隻体制の安定した新造船受注などに支えられ、修繕船売上高で約400億円、経常利益で約20億円の黒字を見込んでいる。

 このほか、役員人事で常務執行役員だった吉川廣治氏が取締役に、室蘭製作所副所長で船舶部長の相良好正氏が執行役員にそれぞれ新任された。(森健太郎)



◎JR経営分離問題で市長発言 市議会「言い過ぎ」「よく言った」

 函館市議会第2回定例会は16日から一般質問が始まり、6氏が登壇した。懸案事項となっている、北海道新幹線札幌延伸後の函館駅―新函館駅(仮称)経営分離問題については4氏が質問。西尾正範市長はJR北海道に対して同区間の経営継続を求めるという従来通りの考えを示したが、各氏からはJRに申し入れした際の市長の姿勢や発言に対し「言い過ぎではないか」といさめる声や、「遠慮する必要はない」との意見も上がり、議員間でも賛否が分かれる形となった。

 西尾市長は5月19日にJR北海道本社(札幌)に対して同区間の経営継続を申し入れた際、応対した菅野光洋新幹線計画室長に対し、1999年から04年まで行われた現駅周辺の再開発に関し、100億円以上を投じたことを説明した上で「JRが同区間を運営する前提でなければ、新幹線はいらない」などと話していた。

 これに松尾正寿氏(新生クラブ)は「市のトップとして一歩下がって、じっくり条件を見極めてから話をすべき。発言には気をつけてほしい」とただしたが、同市長は「地域を枯渇させるような新幹線ならいらないというのは、市長としては当然語るべきこと」と譲らず。「目先の利益よりも信義信頼が大事だ。札幌延伸に向けて運動できる条件整備をしてほしいと申し上げた」と述べた。

 また阿部善一氏(民主・市民ネット)も「感情論が選考しており、論理的に説明をすべき。最後には市が孤立する可能性がある」と指摘した。

 一方、能登谷公氏(市民クラブ)は「言い過ぎとの意見もあるが、市長はよく言ったと思う。函館の盛衰にかかわる問題であり、遠慮はいらない」と後押し。渡島総合振興局との関係強化や超党派での国、道への申し入れを求めた。

 高橋佳大氏(共産党)も、整備新幹線新規着工には沿線自治体が経営分離に同意することが条件となることから、「JRと市は同格であり、市の姿勢が札幌延伸に水を差すとの批判はあたらない」と理解を示した一方、「後志管内余市町で鉄路存続を求める住民組織が設立されている。連携することも必要では」と質問。同市長は「後志とも連携しながら調整していく必要がある」と述べた。

 本会議ではこのほか、陳情3件を議会運営委員会に付託、1件の取り下げを承認した。(千葉卓陽)


◎JR経営分離問題 七飯町長、函館市の対応に懸念

 【七飯】七飯町の中宮安一町長は16日の第2回定例町議会で、北海道新幹線の札幌延伸後に函館―新函館(仮称)間を並行在来線として経営分離する方針を示しているJR北海道に対し、函館市が不同意の姿勢を示していることに対し、「(函館市が)同意しないことは札幌延伸はないと受け止めている」と述べ、函館市の対応に懸念を示した。

 奥村浩之氏の一般質問に答えた。

 質疑の中で、先月中旬に開かれた道新幹線建設促進道南期成会の理事会の議論が取りざたされ、総会の場に並行在来線の問題を諮りたいと提起した西尾正範函館市長に「期成会の方針と異なる」と述べたことを打ち明けた。

 本紙の取材に対し、中宮町長は西尾市長の主張に理解を示した上で、「近く国が札幌延伸の判断を示す見通しの中で、今議論すべき問題ではない」との考えを示した。

 町内では、函館総合車両基地の整備が進められ、車両の開発や検査などを行えるフル規格の基地となるには札幌延伸が条件とされている。

 中宮町長は「フル規格の総合車両基地にすることが町にとっての企業誘致」と述べ、札幌延伸の実現に力を注ぐ姿勢を改めて強調した。

 定例会は16日開会し、会期は18日までの3日間。(鈴木 潤)


◎ハートランドフェリー 2航路利用で復路無料

 【奥尻】奥尻航路を運航するハートランドフェリー(札幌)は、7月から9月に奧尻町と江差・せたな両町を結ぶ2つの航路を乗用車などで利用する観光客を対象に、復路の車両航送料金を無料とするキャンペーン事業を展開する。18日から利用予約の受け付けをスタートする。

 江差航路、せたな航路の双方を利用し(1)1車1台につき2人以上が乗船(2)2観光で奧尻町の宿泊施設を1泊以上利用する―などの条件がある。乗用車や軽自動車などが対象で、5メートル未満の乗用車で「せたな―奧尻―江差」を利用すると、復路の奧尻―江差便(1万8040円)の航送料金と運転者1人分の運賃が無料になるという。キャンペーン期間中を通じて900台程度が対象となる。上限に達した時点で予約を終了するほか、各運航便ごとに台数の制限がある。

 キャンペーンは、江差、せたな、奧尻の3町による「奥尻航路活性化プロジェクト」の一環。道の地域づくり総合交付金(地域再生加速事業)を活用して航送料金を負担する。予約は電話のみで受け付ける。「キャンペーンを利用したい」と伝えるとよい。申し込みは江差支店TEL0139・52・1066、せたな営業所TEL0137・87・3963、奥尻支店TEL01397・2・3131へ。(松浦 純)