2010年6月2日 (水) 掲載

◎思い出の写真を供養…関係者ら30人参加

 道南写真館協会(加藤昇会長)の写真供養祭が1日、函館市豊川町の「北海道写真発祥乃地」記念碑前で開かれた。各家庭から寄せられた大量の写真がおはらいを受け、長年にわたる役目を終えた。

 思い出や歴史ある写真を丁寧に供養して処分する場として、6月1日の「写真の日」にちなんで毎年開催し、この日は関係者約30人が出席。冒頭で碑前祭として同地碑を詣で、おはらいを済ませた後、函館八幡宮の中嶋敏幸宮司が集められた写真を供養。会場は厳かな雰囲気に包まれた。

 供養された写真の中には、北海道の写真界の黎明期を支えた木津幸吉、田本研三が撮影した写真も含まれており、参加した関係者は「明治時代からの伝統ある写真を市民が持っているという事実に、写真に携わる者として感慨深い」と驚いていた。

 北海道写真館連合会名誉会長の原田修身さんは「函館は北海道の写真の発症の地といっても過言ではない。古い写真を大切にしていたことが感じられる」と話していた。段ボール箱30個相当の写真は、同協会が後日処分する。(黒田 寛)



◎観光客23万人減の433万人…函館市09年度

 函館市の2009年度の観光客数は前年度比23万人(5%)減の433万2000人で、5年連続で500万人を割った。3年連続で減少し428万7000人の1989年(平成元年)の水準にまで落ち込む厳しい結果となった。ただ前年同期比で7・5%減を記録した上期に比べ下期は同0・2%増の145万6000人となり、市観光コンベンション部は「ある程度減少数も底をついてきたのでは」とみている。

 1日に市が発表した。09年度上期(4月―9月)は前年同期比約23万人減の287万6000人。月別では4月の落ち込みが一番激しく同16・4%減の25万5400人。シルバーウイークの9月を除き、全月で前年を下回った。

 下期(10月―10年3月)は香雪園の紅葉ライトアップなどが好評を博し、同4・5%増の28万3200人を記録するなど健闘。そのほかの月もほぼ前年並みか若干上回るなど回復の兆しをみせている。

 交通機関別の客数ではETC(自動料金収受システム)の休日割引などの影響で、乗用車がほぼ前年並みとなる約72万人。航空機は減便や路線廃止などにより前年比12・8%減の約53万人、フェリーは高速船が期間限定運航になったことなどから同16・8%減の約22万人となった。鉄道では海峡線が同1・2%増と健闘し函館本線を合わせて同3・6%減の約115万人にとどまった。

 市の観光客は98年の539万人をピークに減少傾向にある。同部は長引く不景気による国内客の旅行意欲の低下や団体ツアーの減少を要因に挙げ、09年度に限ると新型インフルエンザの流行も大きく影響したという。

 本年度は箱館奉行所や函館競馬場がオープンし、東北新幹線の新青森開通を控え関西からの季節便も1便増えた。同部はこれらと、個人や少人数に対応した多彩な観光メニューの創出などで集客増につなげたい考えだ。

 同部は「今年は1月―5月に前年を上回る堅調な数字が出ている。前年比で100%を越え、500万人を目標としたい」と意気込んでいる。(山田孝人)



◎戸井高校が募集停止へ

 道教委は1日、2011―13年度の公立高校配置計画案を公表した。今回新たに示した13年度の計画で、渡島・桧山管内は、戸井高校の募集を停止し、15年3月末で廃校とするほか、長万部高校の中高一貫教育を12年度で終了することが盛り込まれた。7月に渡島、桧山など道内各地区で地域別検討協議会を開き、9月に最終決定する。(宮木佳奈美)

 同日示された計画案によると、13年度の道内の中卒者の見込み数は4万7877人で、11年度から3年間で3560人減少する見通し。渡島管内でも13年度までに169人減、桧山管内は27人減と減少傾向が続く。

 戸井高校は1学年1学級のみで、10年度は定員40人対して入学者は27人。今後も地域で中学卒業者の大幅な増加は見込めず、道教委は「実態として旧函館市内の高校への進学が多いことなども総合的に勘案し、募集停止を判断した」を説明する。

 長万部高校については、09年度に公表された同計画で11年度の1学級減が示されているため、指針に基づき自治体と協議し、中高一貫教育を終了する方針。

 道教委は06年に策定した「新たな高校教育に関する指針」に基づき、毎年度、次年度から3年間の具体的な配置計画とその後4年間の見通しを示している。指針では、1学年3学級以下の小規模校が原則、再編対象で、2学級以下の場合、中学卒業者数や学校規模、欠員状況、地元からの進学率、地域の同一学科の設置状況などを総合的に勘案し、順次、再編整備を進めている。


◎函館―大間フェリー航路 年内は運航継続

 函館―大間(青森県)間のフェリー航路の存続問題で、同航路の運航事業者の津軽海峡フェリー(函館市港町3)は1日、当初は8月末までとしていた暫定運航を、財政支援や新造船の導入を前提に12月末まで継続すると発表した。新造船就航までは現行船で最長2012年度まで運航するとし、存廃に揺れた同航路は当面存続される見通しになった。

 同社が5月31日に青森市内で青森県と大間町と6回目の事務レベル協議を行い、当面の運航継続について合意した。同社は昨年から現行船「ばあゆ」(1529トン)の老朽化に伴い新造船導入の必要性を訴え、新造船就航までの運航継続に向け「自治体側の支援する姿勢」(CS旅客部)を求めてきた。

 協議では、同航路の年内の運航で赤字が出た場合、町と県が折半で年間6000万円を上限に補助金で支援することを決定。新造船の規模や運航形態、費用負担などは6月中をめどに結論を出す。同社は「公設民営の運航方法も選択肢の一つとして検討してもらうことを確認できた」としている。

 大間町では、町議会が新造船の大きさについて現行と同規模の「1500トン級」が相当と結論づけた一方、同社は「就航率の向上や観光振興には安定運航が不可欠」として「2000トン級」を提案。今後も、船体規模のメリット・デメリットをまとめて町議会に説明するとしている。(森健太郎)


◎社長 民間から起用へ…国際貿易センターあり方まとめ

 函館市は1日までに、第三セクター「函館国際貿易センター」の今後のあり方をまとめた。同社の自主・自立的な経営を見据え、現在谷沢広副市長が務める社長を民間から起用する方向で調整を進める一方、市が筆頭株主として51%を持つ現在の出資比率は、当面の間維持する考え。4日の市議会経済建設常任委員会委員協議会で報告する。

 同社は市の貿易・経済振興を担う目的で2003年9月に市や経済界が出資して設立。08年には元専務による不正経理問題が発覚し、市議会の調査特別委員会は昨年7月、市に対し、筆頭株主として同社の信頼回復に努めるよう指摘していた。

 市は今後の同社との関係に関し、同社が市内企業から商品を仕入れ、韓国との定期コンテナ航路を活用して韓国、中国との取引など事業拡大に努めている点を踏まえ、「三セクとしての存在意義を明確にし、自主・自立的な会社経営を見据えながら関わっていく必要がある」と総括。

 同社に対するポートセールスの業務委託を継続する一方、昨年度から市直営で行っている港町ふ頭コンテナヤードの管理運営は来年度以降、指定管理者を公募するとした。

 同社の売上高は2006年度の5億5207万円をピークに、サハリン2のプラント工事終了に伴って減少が続き、昨年度は最盛期の8・7%となる4803万円まで落ち込む見通し。

 出資比率の引き下げは、同社の苦しい経営状況から現時点では困難とする一方、役員に関しては、これまでの経過や今後のビジネス展開の方向性を見据え「代表取締役は民間企業経営者がふさわしい」として調整を進めている。(千葉卓陽)