2010年6月20日 (日) 掲載

◎函館競馬場熱く 待望の新装オープン

 函館に競馬が帰ってきた―。日本中央競馬会(JRA)函館競馬場は19日、新装オープンし、大勢のファンが2年ぶりの夏競馬を満喫した。「函館競馬場グランドオープン記念」を含む12レースが実施され、熱気あふれる場内にファンの歓声がこだました。

 午前8時35分に木下勇二同競馬場長、「CLUB KEIBA」のJRAナビゲーター大泉洋さんらがテープカットし、新たな門出を祝った。開場と同時に、人々はなだれ込むように場内へ。木々をモチーフにした解放感あふれる場内を目で楽しみながら、競馬新聞を片手にレースの予想を練っていた。

 全面ガラス張りのパドックシートから外に出ると、パドック上の出走を控えた馬の迫力ある肢体が目の前に。多くのファンが身を乗り出して見つめていた。スタンド席、芝生席は家族連れ、カップルで埋まり、レースが始まると、ファンのボルテージは最高潮に。地鳴りのような響きの中を馬たちが駆け抜けていった。

 東京から夫婦で訪れた会社員、駒野茂さん(48)は「去年、函館に来たときは工事中だったので、中を見ることができて、うれしい」と笑顔。函館市内の男性会社員(51)も「早く馬券を当てて、ビールが飲みたい」と汗をぬぐいながら話していた。場内では大泉洋さんのトークライブも行われ、観客を大いに盛り上げていた。

 同競馬場は、2008年7月31日に工事に着工。2010年5月31日に完成した。5階建てで、高さ26.93メートル、総収容人員は3万人となり、投票窓口は、173窓と旧競馬場よりも規模を拡大した。総工費は120億円。競馬場関係者は「グランドオープン初日に約1万2000人の方に来場していただいた。夏競馬はこれからが本番。楽しんでほしい」と話していた。(黒田 寛)



◎駒ケ岳12年ぶり開山 登山愛好者ら勇壮な自然堪能

 【森】火山活動のため1998年10月から入山が禁止されていた駒ケ岳(1131メートル)が19日、約12年ぶりに山開きされ、待ちわびた愛好者ら約80人が登山を楽しんだ。規制解除されたのは、4本ある登山道のうち赤井川ルート(森町)のみ。初日は6合目の駐車場でオープニングセレモニーが開かれ、久々の山開きを祝った。(鈴木 潤)

 駒ケ岳は98年10月の小噴火以降、山頂から半径4キロ以内の入山規制が続いていた。2000年9月から約2カ月間、小噴火が複数発生したが、その後、噴火活動は静穏に推移し、近年は登山愛好者や周辺の観光協会が入山規制の解除を求めていた。

 オープニングセレモニーには近隣の4市町(函館市、森町、七飯町、鹿部町)の首長や担当職員ら約100人が出席。佐藤克男町長が「駒ケ岳は勇壮な自然があり、さまざまな分野の資源活用が期待される。登山者にはルールを守って楽しんでほしい」と歓迎のあいさつを述べ、登山道の前でテープカットをした。

 その後、登山者は駐車場を出発。ゆっくりとした足取りで登山道を歩き、眼下の景色を楽しみながら標高900メートルの「馬の背」を目指した。

 千鷲会山登りの会(千歳市)のメンバーで、仲間4人とともに訪れた中本守さん(70)は「駒ケ岳は初めて。雲海や眼下の景色をじっくり堪能しながら登ります」と話した。大沼観光協会の堀元会長は「久々に6合目まで来たが、改めて感動した。多くの人にこの素晴らしい景色を見てほしい」と語っていた。

 初日の登山者には、駒ケ岳火山防災会議協議会から記念のキーホルダーが贈られたほか、同観光協会もミネラルウオーターを差し入れした。

 登山道の開放は10月31日まで原則土曜、日曜、祝日に限定し、時間は午前9時から午後3時まで。学校の夏休み期間中に当たる7月24日から8月17日は毎日開放する。

 登山希望者は3日前までに届け出が必要で、函館市と森、七飯、鹿部の3町の住民は各市町の防災担当課へ、それ以外は森町に届ける。携帯電話の所持が必要。



◎色鮮やかに咲き誇る 花と緑のフェス開幕

 はこだて花と緑のフェスティバル(実行委主催)が19日、函館市若松町の旧クイーンズポートはこだて前広場で開幕した。会場には華やかに咲き誇った花々や美しく整えられた草木の庭園が設けられたほか、ステージイベントなど多彩な催しを開催。快晴の天気の下、約7000人の市民らが来場しにぎわった。20日まで。

 同フェスは1994年から実施され、毎年6月に開催。豊かな生活の提案などを目的とした毎年恒例のまちづくりイベントとして、市民や観光客に親しまれている。

 今年は会場中央に、日本庭園やイングリッシュガーデンなどで構成した、心地よい花の香りがただよう「フラワープロムナード」を設置。ベンチなども設けられ、来場者は美しい庭を眺めながらくつろいでいた。このほか、園芸オークションやフラワーデザイン講習会が開かれたほか、ステージイベントでは市内で活動する「函館リコーダーコンソート・フィオリ・ムジカーリ」のコンサートも行われ会場を盛り上げた。

 市内の松田みゆきさん(44)は「家で花を育てている。多彩な庭を見ているとアイデアをもらえる」と話し、娘の亜弓さん(8)は「きれいな花がたくさんあってうれしい」と花々を眺めていた。

 20日は会場内に飾られた花で作った花束を格安で販売する「エンディングオークション」などを開催する。午前10時―午後4時。(山田孝人)


◎陶器まつり 全国各地から50万点

 全国陶器まつり(全国陶器まつり振興会主催)が19日、亀田八幡宮(函館市八幡町3)駐車場特設会場で始まった。全国の有名産地直送の日常食器から高級美術品まで約50万点を展示即売している。27日まで。時間は午前10時から午後6時。

 陶器の魅力を幅広く知ってもらおうと毎年開催している全国巡回展。函館ではこれまでゴールデンウイーク期間に実施していたが、今年は全国的な天候不順の影響で約2カ月遅れとなった。

 初日は天候にも恵まれ、待ちこがれた常連客などで午前中からにぎわった。会場には九谷焼、有田焼、伊万里焼、美濃焼など有名産地の食器類などが100円からの手ごろな価格で販売されているほか、特別出品として人間国宝の吉田美統氏、徳田八十吉氏らの作品も並び、陶器の世界の奥深さを感じさせる。

 市内北美原から家族ら4人で訪れた中村広美さん(36)は「欲しかった皿を格安で購入することができた。期間中にまた足を運びたい」と笑顔を見せていた。

 同振興会代表の若林義治さんは「函館には毎年開催を楽しみにしてくれているお客さんが多いので気合が入る。値切り交渉など店とのやりとりも楽しんでほしい」と話していた。(小川俊之)


◎W杯、惜敗も健闘たたえる 函館から大声援送る

 応援、より過熱―。サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会は9日目の19日、日本代表の2戦目が行われオランダに0―1で惜敗した。この勝敗が決勝トーナメント進出を大きく左右するとあって、函館市松風町15の「バー・オウンゴール」(福士将宏ジェネラルマネージャー)には、サポーターら約70人詰めかけ、画面に映し出された試合を見守り、大声援を送り続けた。

 午後8時半にキックオフすると、会場中に割れんばかりの声援がこだました。前半はお互い一歩も譲らぬ展開。オランダ陣内を駆け回る日本代表にサポーターたちは「いいぞ!」「OK、OK」などと応援。ファウルを受けると、大きなため息が店全体を包み込み、華麗なスルーパスが通ると「よし!」の声と拍手が店内に飛び交った。

 試合が動いたのは後半8分。オランダ代表スナイダーのシュートでゴールネットが揺れた瞬間、店内には「あー」という悲鳴が響き渡った。その後本田選手、岡崎選手らがオランダゴールに迫るが、オレンジ色の壁を崩すことはできなかった。試合終了後には、日本代表の健闘を「ニッポン」コールでたたえていた。

 ひと際大きな声援を送り続けた市内在住の自営業、三木紀一さん(70)は「次戦につながるいい試合だった。決勝トーナメント進出を信じている」と力強く語っていた。(小杉貴洋、黒田 寛)