2010年6月26日 (土) 掲載

◎旧幕府軍兵士しのぶ…碧血碑慰霊祭

 箱館戦争で戦死した旧幕府軍兵士の霊を慰める「碧血碑(へっけつひ)慰霊祭」(箱館碧血会主催)が25日、函館市谷地頭町の碧血碑前で行われた。同会会員や市民ら約80人が参列。碑前に手を合わせ、祭られている約800人の兵士を追悼した。

 碧血碑は箱館戦争終結から5年後の、1874(明治7)年に建立。この日は旧暦の5月16日で、旧幕府軍の運命が決した千代岡陣屋陥落の日にあたる。1941(昭和16)年の同会(柳川昭祈治会長)の会合で法要日と決めた。慰霊祭は今年で142回目。

 同市船見町の実行寺の住職らが読経する中、会員、一般の順に焼香。この日は歩兵頭として活躍した伊庭八郎の弟、武司のひ孫で千葉県浦安市の金田秀昭さん(65)が3年ぶりに参列し、碑に手を合わせた。

 終了後、同会の柳川厚史副会長(42)は「兵士たちを祭るとき、大勢の人が手伝ってくれたと思うが、毎年市民が弔う気持ちを持って参列してくれることにも感謝したい」と話していた。

 金田さんは、慰霊祭に先立ち、南北海道史研究会会員の近江幸雄さん(73)の案内で、五稜郭タワーや五稜郭公園を訪れた。タワー展望台では晴れ渡る市内を見て「五稜郭は良い場所にあり、死角をなくすためにされた星形が美しく見える」と話した。同公園管理事務所近くにある、伊庭八郎が埋葬されたとされる場所でも手を合わせた。間もなく完成する箱館奉行所庁舎を見て、「八郎も奉行所で評議などしたと思う。次の来函時はぜひ訪れたい」と話していた。(山崎純一)



◎有効求人倍率0・31倍 3年ぶり前年割れ歯止め…5月道南雇用情勢

 函館公共職業安定所が25日に発表した渡島・桧山管内の5月の雇用失業情勢によると、有効求人倍率は前年同月と同じ0・31倍で、2007年7月以降、34カ月連続していた前年割れの状況に歯止めが掛かった。求人数の増加が要因だが、依然として仕事を求める3人に1人も仕事がない低水準で推移している。

 有効求人は前年同月比2%増の3813人で35カ月ぶりに増加。一方、有効求職者は同0・6%減の1万2119人で、2カ月連続で前年同月を下回った。同職安は求人数の回復に対して求職者が1万2000人台と高止まりしていることから「依然として厳しい状況にある」との判断を据え置いた。

 雇用の先行指標となる新規求人倍率は同0・13ポイント上昇の0・62倍と急伸し、4か月ぶりに前年数値を上回った。同職安は「前年が急速な景気悪化で落ち込んだ時期。一昨年の水準(1732人)よりはまだ低く、底入れとは言えない」(同職安)と指摘する。

 新規求職者は同1・2%増の2603人、新規求人は宿泊や飲食サービス、製造業などで増加に転じ、同28%増の1615人と、9カ月ぶりに前年を上回った。同職安は「求職活動が長期化しているため、求人の改善に対して求職者が減っていないのが実態。今後の景気動向次第で再び悪化する可能性もある」としている。(森健太郎)



◎函館でも歓喜の渦…サッカーW杯日本決勝T進出

 サムライジャパンの雄姿に、函館のサポーターも熱狂――。サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会で、日本が2大会ぶりの決勝トーナメント進出を決めた25日深夜(日本時間)の対デンマーク戦。函館市若松町15の「バー・オウンゴール」(福士将宏ジェネラルマネージャー)で大型スクリーンに声援を送り続けた約30人のサッカーファンも、勝利の美酒に酔いしれた。

 この日は午前3時半キックオフということもあり、第1戦、第2戦に比べ人数は少なかったが、運命の大一番ということもあり、応援のボルテージは最高潮。本田圭佑選手がフリーキックから先制点を挙げると、早くも総立ちで歓喜の渦に包まれた。

 後半に入り、デンマークの反撃をかたずを飲んで見守っていた来場者だが、岡崎慎司選手の決定的な3点目で勝利を確信。終了のホイッスルが鳴り響くと同時に全員がハイタッチで勝利を祝った。

 市内在住の看護師、竹内美和さん(33)は「感無量。日本代表を信じて応援してよかった」と感激の様子。妻の出産に立ち会うため来函していた埼玉県在住の会社員、難波大志さん(26)は「昨日無事に子どもが生まれた。日本も勝利と二重の喜び」と笑顔を見せていた。

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 函館のサッカー関係者も日本代表の活躍に興奮を隠さない。日本サッカー協会公認S級コーチの資格を持つ函館工業高校サッカー部の藤原英晃監督(49)は「しっかりプランを持って戦っていた。世界に日本のサッカーの力を示せたと思う。地元の指導者や子どもたちにとって大きな励みになった」と分析。函館サッカー協会4種(少年団)の小川昭博委員長(38)は「これをきっかけに野球に押されていたサッカー人気が再燃してくれれば」と期待する。

 サッカーショップ「カナリア(函館市本通4)」を経営する尾森儀明さん(34)は「(試合を観戦し)寝不足だけど、気分はいい。このまま勝ち進んでほしい」とエールを送った。(小杉 貴洋、黒田 寛、小林省吾)


◎函館―新函館 経営分離問題 経済界も署名実施へ

 北海道新幹線札幌延伸時の函館駅―新函館駅(仮称)間経営分離問題で、函館市と函館市議会、函館商工会議所の各首脳が集まっての会合が25日、市内で開かれた。今後の対応策について協議し、商工会議所が主体となり、JR北海道による同区間の経営継続を求める署名活動を行う方針を示した。早ければ参院選後の7月中旬にも活動をスタートさせるとみられ、すでに署名活動の実施を決めている市町会連合会(敦賀敬之会長)と合わせ、全市的な活動とする構えだ。

 市、議会、経済界の3者は今月11日に初会合を開き、JRによる同区間の経営継続を求め、共同歩調を取ることで一致していた。

 この日の会合では函館市は西尾正範市長と小柏忠久副市長、市議会は吉田崇仁議長、能川邦夫副議長、商工会議所は高野洋蔵会頭と森川基嗣、松本栄一、木村孝男の各副会頭が出席。22日に札幌で行われた市、道、JRの3者会談について、西尾市長が協議内容を報告した。

 市町会連合会が署名活動の実施を決めていることから、経済界も町連と足並みをそろえ、署名活動を行う意向を表明。市もこれに協力する考えを示した。

 開始時期は未定だが、7月11日に参院選投票があり、高野会頭らが市の公式訪問団として7月5―11日に姉妹都市のハリファクス(カナダ)を訪問することから、会頭らの帰国後に具体策を協議する方針。

 高野会頭は取材に対し「現駅―新駅間のアクセスは、函館の将来ために何が何でも必要なもの。JRに運行してもらうためにはあらゆる方法や手段を取りたい」と話した。(千葉卓陽)


◎新駅名に「北斗」入れるべき 北斗市議会新幹線特別委で意見一致

 【北斗】北斗市議会の新幹線建設促進調査特別委員会(中井光幸委員長)が25日、開かれた。JR渡島大野駅付近に建設される北海道新幹線新函館駅(仮称)の駅名について議論を始め、「北斗」の2文字を入れるべきとする意見で一致した。今後も議論を重ね、委員会として結論を出し、高谷寿峰市長に申し入れする方針。

 駅名の決定はJRが、道をはじめ地元自治体の意向などを考慮して決定することとなっている。

 議論では、駅のある行政区の名称にするのが自然だとして「北斗駅」を主張する案と、函館圏域として運動してきた経緯や知名度などから「北斗函館駅」とする案が二分する格好となり、さまざまな意見が交わされた。

 今後の関係機関との交渉手法も議論され、北斗駅で強行する意見に対して、最低限、北斗を入れてもらうという観点で慎重に進めるべきとした意見も出された。

 委員からは「両論併記は結論が出ないのと同じ。委員会として一つの案に絞るべき」との意見があり、「北斗駅」か「北斗函館駅」のどちらかに絞る方向。(鈴木 潤)