2010年6月6日 (日) 掲載

◎豊川ふ頭でツチクジラ初水揚げ

 渡島・桧山管内の日本海を操業海域とするツチクジラ漁は5日、本年度1頭目を捕獲し同日、函館市豊川町の豊川ふ頭に水揚げされた。ツチクジラとしては今年全国初の捕獲となる。性別は雌で体長約10メートル、重さ約9トンと平均的な大きさだった。処理場で解体するクジラ肉は7日朝のセリにかけられ、市内や近郊の鮮魚店などで販売される。

 国際捕鯨委員会(IWC)の管理対象外となるツチクジラ漁は、農林水産省許可による商業捕鯨として函館では1999年度から捕獲枠8頭で開始。2005年度から10頭の捕獲が認められた。

 操業したのは和歌山県太地町漁協の捕鯨船正和丸(15.2トン)。本年度は5月25日に解禁され、1日から初出漁していた。函館の操業は30日までで、10頭を捕獲した時点で終了する。

 この日は午前3時10分に松前港を出港した。乗組員によると、同5時ごろに江良沖約18キロでツチクジラ6頭の群れを発見し、同8時半ごろにモリを打ち、同11時半ごろに捕獲した。同船は午後5時50分ごろに函館港に入港。今年は水温が低いため、頭数は少なめという。同ふ頭に接岸後、ツチクジラはクレーンでトレーラーに積まれ、市内の処理場に運び込まれた。(山田孝人)



◎4月の函館市内大型小売店 売上高3年ぶり前年比増 

 函館商工会議所がまとめた4月の函館市内大型小売店6店の売上高は前年同月比3.7%増の27億800万円で、2007年2月以来3年2カ月(38カ月)ぶりに前年同月実績を上回った。各店の催事やセールなどが好調で、同会議所は「低迷していた消費動向に明るい兆しがみられる」としている。

 全8品目のうち「身の回り品」を除く7品目が前年同月を上回った。3月に続き低温の影響が懸念されたが、集計対象店舗の一つ、ワコービル(函館市若松町)内の北海道鉄道博物館のオープンや、百貨店の催事、大型スーパーの新生活商戦などが好調に推移し、数字を押し上げた。

 品目別では、食料品が同5.4%増の7億9300万円でトップ。衣料品は7億8500万円で同1.8%増にとどまったが、「低温の影響で不振だった春物の売れ行きが3月から4月後半へとずれ込んだことが影響した」(同会議所)という。

 食堂・喫茶は同18.1%増の2300万円。このほか、家庭用品が同14.0%増、雑貨が同9.2%増と軒並み堅調だった。同会議所は「少子化で一人にかける予算が多いのか、子ども関連の商品の売れ行きがいい。新設された郊外店に流れる傾向も一段落したのでは」とみている。

 4月は集計対象店舗の全店が対前年比でプラスに転じた。同会議所は「店舗間の価格競争や消費者の節約志向はまだ続いているが、催事や特売などの集客策が売り上げ増につながっている。5月も運動会商戦やプレミアム商品券の発売効果などに期待したい」と話している。

 道南の各経済指標にも個人消費の持ち直し基調が表れてきた。日銀函館支店が2日に公表した4月の金融経済動向で、個人消費は「耐久消費財を中心に持ち直している」として判断を上方修正。同支店は「消費者の節約志向は根強いが、耐久消費財以外の高額品にも動きが出始めた」と指摘する。

 函館財務事務所も5月下旬に発表した今年1―3月期の経済レポートで、個人消費について「一部に持ち直しの動き」と判断し、2期ぶりに上方修正した。同事務所は「昨年の世界同時不況後の低水準からの反動増や、緊急経済対策などの政策効果で消費の下げ止まり感もみられる」と分析している。(森健太郎)



◎子ども手当どう使う? 函館市では7日に支給

 今月から支給が始まった子ども手当。道南では函館市が各自治体のトップを切って、7日に約2万世帯(約3万人)に一人あたり2カ月分2万6000円を支給する。厳しい経済状況が続く中、家計にとっては本来うれしい追加収入であるはず。函館の支給対象者も「もらえるのはうれしい」とするが、財源ねん出のための増税などの懸念もあり、全面的な歓迎ムードがいまひとつ伝わってこない。

 函館市内で子ども手当の使い道を尋ねたところ、多く返ってきた答えは貯金だった。5歳の女児を抱える北美原の主婦(39)は「小学校入学を控えているので教育資金として貯蓄に回す」と話し、政策としての子ども手当てに対しては「もらえればラッキーという感じぐらいとしか思えない。いつまで(支給が)続くか分からないのであまり多くは期待していない」と手厳しい。中学1年の娘を持つ桔梗の会社員女性(45)は「高校入学の準備資金として貯蓄したい。もらえることはうれしいが、財源確保のために税金を上げられるのはいやだ」とこちらも手放しで喜んでいない。

 貯金以外の使い道について、小学4年女児と3歳の男児を抱える日吉町の主婦(32)は「習い事などの教育費や子どもの洋服購入などに使いたい」と話す。制度自体については「学校の給食費を無償化にするなどのほうが効果的では。結局は税金のばらまきのような気がする」と疑問視する。

 一方、子ども手当をめぐり活発化すると思われたビジネスシーンだが、昨年春の定額給付金の支給時に比べると目立った動きは少ない。定額給付金が生活支援や消費拡大をうたっていたのに対し、今回は「教育」「子育て」のイメージが強いことが派手な商戦展開につなげにくい大きな理由とみられる。

 そんな中、知恵を絞ってアイデアを形にしている姿も。函館市湯川町の花びしホテルでは4、5月の期間限定で「先乗り子ども手当て館内利用券給付!プラン」を実施。12歳までのこども一人に館内で利用券を配布する内容。同ホテルでは「子供連れの家族に喜んでもらいたいと企画した。予想以上に好評だった」と話す。

 また、埼玉県のスポーツ企画会社「スポーツサンライズコム」が19日に森町で開催するテニス大会「函館ドリームオープンジュニア」では「子ども手当てキャンペーン」として、参加料金3100円を1300円に割り引き。昨年秋行った大会より参加者が1割以上増えているという。同社では「子ども手当を有効に使ってもらおうと企画したが、予想以上に好評だった」と一定の効果を感じている。(小川俊之、小杉貴洋、小山博美)

 


◎680人が救難技術競う 函館で全道大会

 漁船海難防止・水難救済センター全道大会(北海道漁船海難防止・水難救済センター、実行委主催)が5日、函館市海岸町船だまりで行われた。道内の漁協ごとに漁業者で組織する救難所員が救難技術を競った。

 同センター10支部に108ある救難所員の訓練大会で、海難の未然防止の徹底と海難救助に関する知識や技術の向上を目的に毎年行われている。同センター渡島支部のある函館での開催は10年ぶり。開会のあいさつで同センターの山田邦雄理事長は「漁船の海難事故は後を絶たないが、レジャー型の海難事故も発生し、救難所の役割が増していることから、所員の技術向上を図ることが大切」と強調した。

 今年は道内の各救難所から750人が出席し、このうち渡島支部にある17救難所の所員680人が競技に参加した。競技では、往復100メートルのタイムを競うゴムボート操法、海難船舶に救助用ロープを渡す救命索発射器操法、心臓マッサージと人工呼吸による心肺蘇生(そせい)法の総合得点で順位を争った。このほか、総合訓練では函館海上保安部が浸水船、火災船の救助訓練を実演。函館航空基地所属ヘリコプターによるつり上げ救助訓練も行われた。

 競技の結果(総合1―3位)は次の通り。▽1位=吉岡、2位=長万部、3位=戸井。(宮木佳奈美)


◎函大有斗決勝逃す 駒岩崩せず惜敗

 【札幌】第49回春季道高校野球大会(道高野連など主催)第5日は5日、札幌円山球場で準決勝を行った。7年ぶりの決勝進出が懸かった函大有斗は、駒大岩見沢に0―2で惜敗。エース・堤口竣太(2年)が中盤から尻上がりに調子を上げて2失点に抑えた。しかし、打線が援護できず、47イニング無失点中の屈指の守備に2安打で零封された。

 函大有斗は2安打と、相手の堅守を最後まで崩すことができなかった。片口伸之監督は「完敗。何もできなかった。相手投手はコントロールがいいので積極的に打っていたがうまくやられた。選手たちにはまだ好投手を打てるだけの技術がない」と拙攻を嘆いた。

 北照戦で4点奪った初回と同じような展開だった。しかし、この日最大のチャンスを生かせなかった。片口監督は「満塁をうまく攻められれば。でもうちで一番当たっていた打者だったので悔いはない」と話す。2回以降は波に乗り切れず、相手の巧みな配球に翻弄(ほんろう)された。4番・花田充主将(3年)は無安打にうつむいた。「4番として打てず悔しい。最後まで的を絞り切れなかった。完全に抑えられた」と表情を曇らせた。

 それでも今大会は、春のセンバツベスト8の北照を破ってのベスト4。大きな自信となり、夏は打撃強化を最重要課題にして13年ぶりの甲子園出場を狙う。片口監督は「ここから一つ抜け出すには今回くらいの好投手を打たないと。粘り強さ、打ってやろうという気持ちがほしい。さらに打撃を工夫しなければならない。まともに勝負できるように頑張りたい」と巻き返す。(小林省悟)