2010年7月1日 (木) 掲載

◎五稜郭駅華やかに 函水、函商、大野農業「花の駅長さん」始動

 JR北海道から「花の駅長さん」に委嘱された函館水産、函館商業、大野農業の3高校の生徒らが30日、JR五稜郭駅(函館市亀田本町)で活動を開始した。3校の生徒が協力して駅舎の前やホームなどに花のプランター40個を配置した。

 「花の駅長さん」は駅を花で飾り、利用者をもてなす試みで、3校合同で3年前から五稜郭駅で行っている。この日は、各校から計19人の生徒が参加した。

 花は大野農業高園芸科が栽培したマリーゴールド、ベゴニア、ロベリアで、8月末まで楽しめるという。花の栽培を担当する同校3年の由利弘章君は「種まきから始めて自分たちで育てた花が、駅利用者の励みになればうれしい」と話していた。

 このほか、函館水産高は生徒が新島襄に関する調査に取り組んできたことにちなみ、新島襄が10歳の時に描いたというナデシコの苗と種を20セット、肥料50袋を用意。これを大野農業や函館商業の生徒が駅利用者に無料配布した。ナデシコを受け取った亀田本町の老林キミ子さん(78)は「大事に育てて花を咲かせたい」と喜んでいた。

 活動は8月末まで。期間中、函館水産高では7日午後6時半から、同駅舎横にミニシアターを設置し、宮沢賢治作品を題材にした自主製作アニメを上映する。(宮木佳奈美)



◎便数変わらず座席増 A―net新千歳移転

 全日空(ANA)グループのエアーニッポンネットワーク(A―net)が1日、丘珠空港から撤退し、道内拠点を新千歳空港に移すのに伴い、函館空港発着の丘珠便は北海道エアシステム(HAC)のみになる。HACは増便で対応するが、利用の多いビジネス客らの足に少なからず影響が出そうだ。

 A―netの函館―丘珠線は2002年7月に就航。搭乗率は同年の79・0%が最も高く、07年は69・7%、08年は63・5%。09年は景気悪化に伴う出張の手控えや新型インフルエンザの影響で53・5%と低迷したが、採算ラインとされる6割をほぼ維持してきた。

 A―netの函館―新千歳線は丘珠線と変わらず一日5往復10便で、機材の大型化に伴い、座席数が56席から74席に増える。このほか、函館発の最終便の出発時間がこれまでより1時間45分遅い午後7時55分となり、新たな需要を取り込みたい考えだ。

 一方、HACの函館―丘珠線は1日から、従来の一日3往復から4往復に増便。同社によると、7月は前年比約2倍の5割近い予約が入っているといい「函館―丘珠線はHACの中核路線。空白時間帯だった昼間の便を増やすことでA―netの利用者をうまく取り込めた」と手応えを語る。

 函館市港湾空港振興課は、丘珠線の利用者の大半を占めるビジネス客の利便性低下に一定の懸念を示したうえで「道東や道北などへの乗り継ぎが便利になることに期待し、状況をみながら利用拡大に協力していきたい」としている。(森健太郎)



◎現職と新人一騎打ちの公算

 【江差】任期満了に伴う江差町長選(11日投開票)の告示が6日に迫る中、選挙戦の構図は、3選を目指す現職の濱谷一治氏(65)=無所属=と、新人で元町議の田畑豊利氏(54)=同=の一騎打ちとなることが固まった。8年ぶりの選挙戦となる町長選では、濱谷氏は2期8年間の町政運営に対する評価が問われる一方、田畑氏は厳しい財政事情や地域の衰退で高まる町民の閉塞感の受け皿となり得るかが焦点になる。

 濱谷氏は上ノ国町出身。江差高卒。1964年同町役場入り。町議会事務局長、桧山広域行政組合総務課長、保健福祉課長などを経て2002年7月の町長選で現職の若山昭夫氏を破り初当選。06年の前回選挙は無投票当選だった。財政再建の継続やトヨタ系企業と連携した産業振興などを掲げ、町職員労組を中心に自治労や連合系労組の支持を得ながら現職の強みを生かした選挙戦を展開する。当初は無投票3選の観測が流れ楽観ムードが広がったため、陣営では組織の引き締めを図っている。

 田畑氏は同町出身。江差高卒。会社員などを経て1999年7月に町議初当選。2003年の改選で落選するまで1期務めた。07年の町議選では落選した。有力な支持母体は持たないが「マチの大学を創ろう」のスローガンを掲げて、廃校になった旧道立江差南高を活用した環境系大学創設を中心に、町長や町議の多選禁止、町長報酬の半減、議員報酬を月額制から日当制とするなどのユニークな公約を掲げて独自の戦いを展開。現職に対する批判票の取り込みも狙う構えだ。

 町長選は6日告示。期日前投票は7日から10日まで。午前8時半から午後8時まで町役場住民ギャラリーで行う。投票日は参院選と同じ同11日。町内9投票所で午前7時から午後8時まで投票を行う。開票開始は同9時半。開票は町文化会館大ホールで行う。(松浦 純)


◎道選管あの手 この手…若者に投票呼び掛け

 参院選の投票率向上を目指し道選管渡島支所(寺山朗支所長)は、国政選挙などで特に投票率が低い若年層への啓発に力を入れている。若者の利用が多いコンビニエンスストアでチラシ配布などを行い、貴重な1票を無駄にしないよう呼び掛ける。

 道選管によると、函館市の投票率は1992年7月の参院選から2009年8月の衆院選まで、道内市で連続12回の最下位。近年で最も低かったのは95年7月の参院選で37・84%(道内平均46・92%)だった。

 町村平均の投票率も、渡島は03年11月の衆院選から09年8月の衆院選まで連続5回、14管内でワーストだった。07年の前回参院選では、函館市55・24%、北斗市55・37%と35市中でワースト1、2位となる不名誉な記録も。

 同支所は投票率向上に向けて、特に低い20、30代の底上げを図る。昨年8月の衆院選に続き、コンビニエンスストアに協力を要請し、渡島・桧山管内113店にポスターを掲示するほか、レジ袋へのチラシ入れは75店で3、9日の両日に計3万枚を予定している。

 8日には地元ラジオ局「FMいるか」に関係者が出演。五稜郭公園で9日から始まる「市民創作函館野外劇」でも会場放送を行い、広く投票を呼び掛ける。

 11日の投票日に都合がつかない場合は期日前投票を利用できる。函館市では本庁舎のほか、亀田、湯川、戸井、恵山、南茅部の各支所と椴法華総合センターの計7カ所で投票所を開設している。10日までで、午前8時半―午後8時。(田中陽介)


◎日本代表 頑張った サッカーW杯

 サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会決勝トーナメントで、惜しくもパラグアイに敗れた日本代表。しかし、自国開催以外で初のベスト16入りを果たしたイレブンに、函館市内のサッカー関係者やサポーターからも温かい声が寄せられた。

 函館市松風町15の「バー・オウンゴール」(福士将宏ジェネラルマネジャー)には29日深夜、100人近くのサポーターが詰めかけた。

 初のベスト8進出に向け、サポーターの応援も過熱。PK戦での敗戦が決まると、嘆息の声が店内を包んだが、すぐに健闘をたたえる拍手が響いた。涙をユニホームでぬぐう選手たちの姿に見入っていた同市日吉町の永長利朗さん(24)は「負けたが、選手はみんな頑張った」と笑顔を見せた。

 市内のサッカー関係者も日本代表の奮闘に手ごたえをつかんだ様子。函館サッカー協会の永沼秀興会長(69)は「敗れはしたものの、非常に素晴らしい試合。個々の力では負けていない。日本が世界に通用すると感じた」と力強く語った。

 函館サッカー協会副会長で道教育大函館校の田中和久教授は今回の日本代表の活躍について「控え選手やスタッフを含め、チームが一丸となってチャレンジしたことが結果につながった。将来サッカー選手を目指す子どもたちにも大きな夢を与えてくれた」と評価する。その一方で「4年に一度の盛り上がりに終わらせないために、日本サッカー協会はJリーグの人気回復にも力を入れるべき」と指摘した。(黒田 寛)