2010年7月10日 (土) 掲載

◎函館史 華やかに 野外劇開幕

 市民創作・函館野外劇の第23回公演「星の城・明日に輝け」(NPO法人市民創作「函館野外劇の会」主催)が9日夜、国の特別史跡・五稜郭跡(五稜郭公園)で開幕した。市民や観光客のほか、修学旅行で来函した仙台白百合学園中の生徒ら120人を含む約900人が来場。コロポックルのナレーションに合わせた函館の一大絵巻を、息を詰めて見守った。

 開演に先立ち、函館観光大使、野外劇大使の歌手平田まりさんが、自身で作詞した「五稜の星」を熱唱。観客から大きな拍手を受けた。主催者あいさつでは、同会の寺坂伊佐夫副理事長が「市民主体でつくり上げる野外劇を最後まで見届けてほしい」と述べた。谷澤廣函館市副市長の来賓あいさつに続き、野外劇のテーマ曲「星のまちHAKODATE」を作った作家新井満さんが「この歌は市民の応援歌。いつも心の中で歌って」と話した。

 劇では、高田屋嘉兵衛の登場により函館が繁栄し、西洋諸国が来港する場面など、華やかなフラッグダンスと青や緑の光線が交錯するステージに観客は酔いしれた。箱館戦争の場面では銃や大砲の迫力が観客を圧倒。エンディングには出演者と観客がペンライトを振り、テーマ曲を合唱。会場が一体となり、感動を分かち合った。(黒田 寛)



◎黒々 天然コンブ 恵山地域で漁開始

 渡島東部沿岸の天然コンブ漁が、函館市恵山地域を皮切りに始まっている。長いもので5メートルほどの黒々としたコンブが水揚げされ、漁師たちは「頑張って、いいコンブを採るから、みんなにたくさん食べてもらいたい」と意気込んでいる。

 えさん漁協(高島武俊組合長)は、尻岸内地区が5日から、古武井地区が6日から漁を始めた。高級だしとして関東で人気の三石(みついし)昆布だ。

 コンブ漁は、天候と波に左右される。夜明け前から漁師の代表が当日の出漁条件を見極めて、漁の決定、中止を判断するという。

 早朝から霧が立ち込めた9日は古武井のみで出漁。午前4時に町内放送が流れ、同5時から1時間半の漁だった。

 海積神社の前浜には、磯舟10隻ほどが密集。漁師は、かぎ棒で海底のコンブをたぐり寄せ、両手で豪快にコンブを次々と抜いた。

 高岱町の成田ふで子さん(63)は「コンブの成長具合はまずまずだけど、曇りがちな天気が心配。天日干しが一番いいから」、古武井町の福沢啓雄さん(81)は「今年のコンブはいつもより長い。これから身が厚くなって、もっと品質が良くなる。恵山のコンブは高級品だ」と自信たっぷり。

 同漁協本所によると、漁は8月中旬に最盛期を迎え、例年9月末まで。20日ごろからはマコンブ漁も始まり、夏休み中の子どもたちも早朝から浜仕事に精を出す。

 戸井や椴法華、南茅部でも今月中旬から8月上旬に天然コンブ漁が始まる。(田中陽介)



◎函館白百合高 まんが甲子園本選に出場 7年ぶり

 函館白百合学園高校アニメーション部が8月7、8日に高知県で開催される「第19回まんが甲子園(全国高等学校漫画選手権大会)」(高知県など主催)の本選に出場する。同校の出場は2003年以来7年ぶり。本選に挑む部員たちは「あこがれの大会に出られてうれしい」と喜んでいる。

 まんが甲子園は、全国の高校から予選テーマに沿った作品を募集。今回の応募総数は280校で、予選審査を通過した30校が本選大会に出場できる。本年度の予選テーマ「3D」「○○無料化」のいずれかを選び、そのテーマに沿った漫画をB4サイズの画用紙に作画する。

 毎年応募を続けている同部は「3D」を選択。2011年の地上デジタル放送完全移行(地デジ化)のPRキャラクター「地デジカ」にちなみ、「将来テレビが『3D化』したら…」との発想で、3D化のキャラクター「スリーディーイカ」を描いた。函館名物のイカをメーンキャラクターにし、テレビ画面には「20XX年7月、3D化完了」と表示した。原案は部員の寺井琴美さん(3年)が出し、部長の米谷良美さん(同)が作画、副部長の前田美幸さん(同)が着色を担当。イカ独特の質感と光沢感が出るよう構成や色のグラデーションで工夫し、3Dをイメージして立体感を出したという。

 本選では、5つのテーマ候補の中から、当日に第一次競技、敗者復活戦、決勝戦でそれぞれテーマが発表され、各5時間半で作品を仕上げる。決勝には20校が進出できる。都合で寺井さんは出場できないが、米谷さん、前田さん、横内里奈さん(3年)、中村茉耶さん(2年)と小野寺花さん(1年)の5人1チームで出場する。米谷さんは「全国の強豪と競えるのが楽しみ。決勝を目指して一致団結し、ほかの部員の分も頑張りたい」と意欲を見せている。(宮木佳奈美)


◎大稲荷神社祭り 45年ぶりに神輿

 大縄稲荷奉賛会(幸坂福益会長)は、10日に行われる大縄稲荷神社の祭りで45年ぶりに、60年以上前に作られた大縄稲荷神輿を担いで町内を練り歩く。伴走する車から餅まきもする予定で、同会の岡本暢通さんは「これを契機に伝統を復活させたい」と意気込んでいる。

 神輿は祭り開催の際、車に積んで町内を回っていたが、担当者が不在となり、ここ数年は実施していなかった。しかし、「伝統の火を消してはならない」と岡本さんらの発案で、北斗市や七飯町からも担ぎ手を集め、今回実施することになった。

 神輿は大縄町界隈を練り歩いた後、中通りを通って、神社へ戻る。岡本さんは「自分が小さいときはにぎわいのある活気ある祭りだった。今回の神輿復活を機に、町内の人も参加したくなるような、地域に根付いた祭りにしたい」と話している。神輿は同午後4時に大縄稲荷神社を出発する予定。(黒田 寛)


◎仕分け20事業対象 函館市26日から開始

 函館市が準備を進めてきた事業仕分け「函館市事業レビュー」が、26日から開催されることが決まった。仕分け対象となるのは、公用車の集中管理や環境保全啓発、市道の維持補修など20事業で、総額11億9630万円(本年度事業費ベース)がふるいにかけられる。7月と8月の2期に分けて実施し、公募市民を含めた評価委員8人がどのような判断を下すかが焦点となる。会場はいずれも市水道局4階会議室(末広町5)。

 対象事業は、市が08年に行った内部の仕分けで、いずれも「外部委託が可能」「改善が必要」と判断されたものが並んだ。部局を問わずに抽出された中で、道路清掃や除雪をはじめとした市民生活に密接にかかわる事業も選ばれている。

 実施日は今月26―30日と8月23―27日の計10日間で、午後5時半から開く(7月30日は午後6時半から)。2期に分けて集中的に開催し、1つの事業につき説明と質疑で40分、評価20分をかける予定。拙速な判断を避ける目的から、事業の評価は質疑を行った翌日に行う。一般市民の傍聴も可能で、各日の開始30分前から会場で受け付ける。

 市は評価結果をそのまま市の方針決定とせず、判断材料の一つとして活用する方針。「終了後には対象事業の選定や、手法についての検証を行いたい」(行政改革課)としている。(千葉卓陽)

 公募以外の評価委員は次の通り(カッコ内は肩書、敬称略)

 鎌田ふくみ(鎌田公認会計士事務所税理士)木村健一(公立はこだて未来大教授)高木康一(道教育大准教授)中野晋(五稜郭タワー常務)原一彰(函館の歴史的風土を守る会委員)原田恵理子(にっぽん生活文化楽会代表)