2010年7月11日 (日) 掲載

◎牛角道南2店 LED照明導入 環境対策と経費削減

 函館市内・近郊で焼き肉店「牛角」を運営するカンエー(函館市浅野町、菅原徹社長)は、函館美原店(同市美原1)と上磯店(北斗市七重浜4)の看板や店内の大部分の照明に発光ダイオード(LED)を導入した。省エネ効果の高い照明器具に切り替えることで、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減し、環境対策を充実させる狙い。  LED照明の販売、施工を請け負う環境土木建築業のカドック(函館市赤川町)によると、大型外食チェーンで店内外の照明にLEDを本格採用するのは道南では初めて。

 カンエーでは6月下旬、両店の天井や看板照明など屋内外のハロゲンランプなど約250個をLEDに一斉に切り替えた。設置費用は2店で約400万円。消費電力は従来の10分の1で、照度はこれまでと同じかそれ以上の明るさを保つ。

 LED照明は寿命が約4万時間に上り、一日8時間使用しても10年以上は交換不要とされる。白熱電球の約20倍、蛍光灯の4―6倍長持ちする。白熱電球の約10倍の価格がネックだが、「長い目でみれば初期投資以上の経費節減、省エネ効果が得られる」(カドック営業部)という。

 また、紫外線の放出量が少なく、虫を寄せ付けにくい衛生面から、飲食店や病院、美容院などで導入が進んでいるという。カンエーの佐藤有飲食部門マネージャーは「企業の環境問題への積極的な取り組みをPRでき、投資費用も3年で元が取れる。エコで明るい店で安心して飲食を楽しんでほしい」と話している。(森健太郎)



◎「困った時は助け合い」中島廉売火災で被災した奥野商店に、業務用冷蔵庫プレゼント

 函館市の中島廉売火災で被災し、6月24日に新装オープンした奥野商店(奥野隆宏代表)に、同廉売の同業者から業務用冷蔵庫がプレゼントされた。奥野商店の先代に魚の仕入れなどを教わった中島町22、魚卵・冷凍魚販売店、野沢商店の野沢賢一代表(66)で、野沢さんは「先代の時から36年来のつきあい。困ったときは助け合うのは当然」と言葉少なに笑う。

 野沢さんが現在の店を構えたのは、36年前。当時営んでいた青果業から現在の商売へと移る際、先代の奥野譲さん(75)から商品の目利きや、仕入れ業者の紹介などを受けた。「当時はすべてが初めての経験だった」と語る野沢さん。譲さんに付いて、必死に技術を学んだ。

 3月16日に火災が起き、奥野商店が被災し、その後仮店舗で営業を開始した時は、じっと見守った。新たに新店舗でのオープンが決まり、譲さんから隆宏さん(44)へと代替わりしたとき、「今度は俺が恩返しをする番」と、今まで身に付けた技術を、隆宏さんに伝授した。

 「筋子の選び方や、良い魚の見わけ方を徹底的に教えてもらった」と隆宏さん。開店祝いに、ほぼ新品の業務用冷蔵庫を贈った野沢さんは「他にはなんも贈らねえぞ」。

 隆宏さんは「廉売関係者やお客さまはもちろんのこと、野沢さんから冷蔵庫をいただかなければ、店は再開にこぎつけられなかった」と話す。野沢さんは「別に特別なことをしたわけじゃない。同じ廉売で店を構える者として手助けをしただけ」と表情を変えずに語り、「これで少しは恩返しができたかな」と武骨な顔がほころんだ。(黒田 寛)



◎参院選きょう投開票 大勢判明 選挙区12日午前零時前後

 第22回参院選は11日に投票、即日開票される。昨年夏の政権交代後初めての国政選挙で、道選挙区(改選数2)には新人6人が立候補、比例代表には函館に地盤を持つ2氏が出馬し、6月24日の公示以来、17日間の舌戦を繰り広げてきた。与党・民主党は6月の首相交代で支持率が回復したものの、菅直人首相が公示前に表明した消費税の10%増税論議が最大の争点となり、野党が攻撃を強める構図となっている。民主党・国民新党の連立政権の姿勢や実績をどう評価するか、有権者の審判が下される。

 道選挙区に立候補したのはいずれも新人で、届け出順に民主党の徳永エリ氏(48)、=新党大地、国民新党推薦、幸福実現党の大林誠氏(37)、自民党の長谷川岳氏(39)、みんなの党の中川賢一氏(43)、共産党の畠山和也氏(38)、民主党の藤川雅司氏(53)の6人。比例代表には186人が出馬し、道南関係では民主党新人の板倉一幸氏(59)、公明党新人の横山信一氏(50)が立候補した。

 徳永氏は札幌などで約30年間テレビリポーターを務めた経験を生かし、無党派層を主要ターゲットとした選挙戦を展開してきた。「生活者の声を国政に届けたい」とし、子育て施策の充実などを訴えている。

 長谷川氏は食料、水資源、エネルギー分野の活性化を掲げる一方、YOSAKOIソーラン祭り創設者の知名度を生かして活動。公明党との選挙協力の枠組みから、比例代表の横山氏への支援も呼び掛けている。

 中川氏は自民党、民主党以外の「第3極」としての立場を強調。札幌や、いとこの故中川昭一氏が地盤とした十勝など都市部を中心に活動し、函館でも8日に演説。増税反対や公務員改革を訴えた。

 畠山氏は、消費税増税への反対姿勢を明確に打ち出すとともに、米軍普天間飛行場の無条件撤去、中小企業への支援策などを訴えた。

 藤川氏は連合北海道が支援。札幌市職員や札幌市議を務めた経験を生かして「即戦力」をアピールした。公示後には社民党道連との選挙協力を結んで支持拡大を図っている。大林氏は独自の戦い。

 期間中は函館にも各党の「大物議員」が入った。各候補とも選挙戦終盤は大票田の札幌市中心に遊説し、支持を訴えた。

 大勢判明は選挙区が12日午前零時前後、比例代表は同日未明の見通し。(参院選取材班)


◎函館学第1回講座 北大水産学部の歴史学ぶ

 函館市内の8高等教育機関が連携し、合同公開講座で見聞を広める「『函館学2010』第1回講座」が10日、ロワジールホテル函館(若松町)で開かれた。北大名誉教授の米田義昭さんが「北大水産学部 いま・むかし」をと題して講義し、約210人が聞き入った。

 キャンパス・コンソーシアム函館(会長・中島秀之公立はこだて未来大学長)の主催で、本年度は11月27日まで6講座を予定している。

 米田さんは水産学部の沿革を資料で説明。1879年に札幌で学科が誕生し、1935年に函館へ学部が移った経緯を紹介し「道南において水産はなくてはならないもの。特に函館は地域発展を支える重要な存在で、住民の強い要望と経済的な支援を受けて学部の移転があった」とした。

 卒業生からの立場、また大学関係者からの視点として水産学部の学生や教授らの気質を「やんちゃ。バンカラな気風」と表現。「この伝統的な雰囲気が研究成果を輝かせ、水産業の発展の実績をもたらしている」とした。そして「漁業は学術の一つ」という言葉を強調し▽人材育成▽世界に誇れる知の集積▽地域貢献―を課題に挙げ、「水産学部の使命は旧来から変わらない」と結んだ。(田中陽介)


◎おいしいスイーツ堪能 グリーンプラザにカフェ 大門活性化で社会実験

 函館市の条例で商行為が規制されている松風町の市有地「はこだてグリーンプラザ」で10日、オープンカフェを営業する本年度の社会実験が始まった。1回目は市内の洋菓子店「ペシェ・ミニョン」と「ペイストリー・スナッフルス」が出店し、自慢のお菓子や軽食などを提供した。

 駅前・大門地区のにぎわい創出を目指し昨年度から行っている試み。本年度は10月まで計10回の実施を予定している。

 この日は、雨が降るあいにくの天気のため、テントの中にテーブルやいすを並べる形になったが、人気店舗の登場とあって親子連れや友人同士などが数多く来場。通常は店舗で販売していない特製かき氷や焼き立てのワッフルなどの特別メニューが人気を集めていた。このほか、子どもたちが楽しめる輪投げやサッカーゲームなども行われた。

 両親と訪れた田中英樹君(千代台小5年)は、焼き立てのフランスドッグをおいしそうにほおばりながら「外で食事をするのはとても気持ちがいい。またこういう場所に来てみたい」と笑顔を見せていた。

 ペシェ・ミニョンのマネージャー笹尾佳代さんは「昨年に続き2回目の出店だが、今回のために用意したメニューが好評でほっとしている。この場所で継続してオープンカフェの営業ができれば、地域の活性化にもつながるのでは」と話していた。(小川俊之)