2010年7月13日 (火) 掲載

◎【参院選】公明横山氏が初当選

 11日投開票の第22回参院選で、比例代表に立候補した公明党新人の横山信一氏(50)=函館市区選出前道議=が57万9793票を獲得し、念願の初当選を飾った。一方、同じく比例代表に出馬した民主党新人の板倉一幸氏(59)=前函館市議=は7万521票を得たが、民主党が比例で獲得した16議席の枠に入ることなく涙をのみ、2氏の明暗がくっきりと分かれた。横山氏の当選で、函館・道南を地盤とする国会議員は民主党の逢坂誠二衆院議員(51)に続き、2人目となる。

 横山氏の選挙事務所(札幌市中央区)には、公明党道本部の稲津久代表、佐藤英幹事長ら30人が待機。他地域の党候補の当選がテレビで流れると、支持者からは「早く終わってくれ」「次は横山だ」と声があがったが、一向に当選確実は出ず、じりじりとした時間が過ぎた。

 12日午前3時過ぎにようやく当選の報が流れると、支持者から大歓声が沸き起こった。別の場所で待機していた横山氏は当選確定から約5分後に事務所入り。満面の笑みで万歳三唱を3度行い、稲津代表らと固い握手をかわした。

 横山氏は「今は本当に感謝の気持ちでいっぱい。新人で名前を知ってもらうことに苦労したが、漁業関係をはじめ多くの方々に支持をいただき、当選を勝ち取ることができた」と、感無量の様子で喜びを語った。

 1月末に出馬を表明してからわずか5カ月間の戦い。横山さんは「函館の方々には道議時代から応援していただいた。恩返しのつもりで国政に臨みたい」と力を込め、「得意の水産分野を生かして海洋立国を目指したい」と意気込んだ。稲津代表は「水産漁業の振興、北海道新幹線の札幌延伸、福祉政策の充実、発展振興に力を注いでほしい」と期待を込めた。 (池田美佳)



◎【参院選】批判と激励 交錯 民主大敗で道南の有権者

 民主党大敗で終わった参院選。有権者は選挙結果をどう受け止め、今後の政治に何を期待するのか。選挙から一夜明け、道南の住民からは「当然の結果」との批判がある一方、「もう少し頑張ってほしい」と再起を望む声もあり、叱咤(しった)と激励が交錯した。

 「消費税増税に触れたのは、商売をしている者として支持はできない。増税は経営を直撃する」と話すのは、函館市、自営業二本柳秀樹さん(59)。「想像していた通りの結果。活気がなくなりつつある地方都市の現状も視野に入れた政策展開をしてほしい」と訴える。江差町、主婦佐藤泰子さん(46)は「消費税のアップはとても心配。税金がどのように使われていくのか不透明だ」と指摘し、「民主党には期待していたが、予算がないのに子ども手当など、現金バラまき型の政策には共感できない」と不信感をあらわにした。

 政権交代からわずか10カ月後の厳しい審判について、現政権の迷走ぶりを敗因とする声も相次いだ。松前町、男性教員(29)は「増税発言で誤解を招いたのもあるが、政治とカネ、普天間基地問題などがっかりすることが多かった」と残念がる。七飯町、柔道指導員藤川清吉さん(72)は「消費税増税の問題ではなく、党の体質への批判だ」とみる。同町、会社員山田督さん(26)は「民主党政権になって、よくも悪くも身近に変化を感じられなかったことが、今回の結果につながった」と分析。函館市、主婦徳山てい子さん(62)は「政権交代に期待したが、二転三転する政策に失望した」と話す。

 今後の衆参ねじれ現象について、北斗市、市民団体代表山口勝利さん(58)は「議員が党利党略に縛られすぎ。一人一人が良心的な判断ができる国会、政治運営を望みたい」と要望。函館市、男性会社員(43)は「選挙後の政治家同士の足の引っ張り合いはもうこりごり。国民に直結した問題を解決してほしい」。江差町、自営業、三浦勝利さん(49)は「政党対立が続く状況が続いても経済は回復しない。政策によっては与野党の歩み寄りも必要」と強調する。

 一方で、少なからず現政権への期待感も残っている。「お灸をすえられたと思って再起してほしい」と木古内町、パート千葉美緒さん(29)。消費税については「お客さんが商品を買い控えるので、個人的なことを言えば上げてほしくはないが、増税も止むを得ない。国民のことを真剣に考えた政治運営をしてほしい」と菅首相に望む。北斗市、無職渡辺昭さん(66)は「菅首相のリーダーシップには疑問符がつくが、国民のためにも安定した政治をしてほしい。民主党がもっと頑張り、何年間かは、しっかりと政権を担うのがベストだ」。函館市、無職新谷則さん(75)は「国政をしっかりとかじ取りし、国民にしわ寄せがこないように導いてほしい」と願う。 函館市、主婦(48)は「娘が来年大学を卒業予定だが、就職先が決まっていないので、雇用対策をきっちりしてほしい。そのためにも投票したので、当選した議員には頑張ってもらいたい」と話す。同市、道教育大3年神原悠里さん(21)は「年金制度の確立や子育て支援の充実を期待してきたが、現時点では中途半端な印象がぬぐえない」とし、「与野党とも今回の結果から国民が何を望んでいるかをしっかりと読み取り、誠実な政治を実行してほしい」と注文を付けた。



◎【参院選】長谷川氏 まんべんなく得票

 自民長谷川氏、民主徳永氏の勝利で終わった参院選道選挙区。道南では長谷川氏がまんべんなく得票を集めた一方、徳永、藤川両氏は民主党同士で票を分け合った。

 長谷川氏は渡島で6万6342票、桧山で1万票以上を集め、道南の18市町すべてでトップを獲得。07年の前回参院選で勝利した同党の伊達忠一氏が取った票よりも9750票多く、消費税増税論議を持ち出した民主への批判票に加え、無党派層も数多く取り込んだ。

 党道8区支部の川尻秀之支部長代行は「民主の2人分には及ばなかったが、大きく支持をいただいた。景気浮揚に伴う雇用の創出などに期待する声が、長谷川氏への投票につながった」と話す。

 徳永氏は道南全体で約54900票を集めたが、3位の藤川氏とは3500票差。函館、知内、木古内、長万部では藤川氏にリードを許した。民主は2氏合計で10万6267票を獲得したが、昨年の衆院選における逢坂誠二氏の得票からは約6万4800票落としており、道南の有権者も民主党の政権運営に厳しい目を向けたことを裏付ける。  党道8区総支部の道畑克雄幹事長は「民主党にとって不利な状況だった。批判票が自民やみんなの党に流れた」と振り返る。

 また、みんなの党の中川賢一氏は大きな支援組織を持たず、道南地方には公示前、公示後を通じても函館市に1度入ったのみで、浸透には及ばなかった。共産党の畠山氏は消費税増税反対を明確に訴えたが、埋没。幸福実現党の大林氏も支持が広がらなかった。 (千葉卓陽)



◎【参院選】公明上積み、横山氏手堅く

 参院選比例代表での、各政党の得票数(政党名と候補者名の合算)が確定した。横山信一氏(50)が初当選した公明党は道南全体で前回得票より約4700票伸ばし、3万3136票を獲得。その中の7割以上が横山氏への個人票で、当選を後押しした。一方、民主党は得票数は道南で第一党だが、落選した同党の板倉一幸氏(59)への個人票は道南全体で7921票と伸び悩み、候補者名の得票が当落を左右する参院比例代表のシステムが十分浸透しなかったことがうかがえる。

 民主党は道南全体で前回から約6600票を減らし9万653票だったが、道南での得票第1党の座を守った。ただ、改選第一党となった自民党は道南全体でも4万9537票にとどまった。

 民主は大票田の函館で5万3361票を獲得。前回から3703票減らしたが、自民を2万8000票余り引き離した。北斗市で8947票、渡島9町合計でも1万9843票を取った。

 一方、板倉氏の得票は地元函館で5245票で、民主全体の得票数の9.8%と低迷。道南全体でも7921票で、陣営が目標とした3万票には遠く及ばなかった。

 自民は函館で2万5400票、北斗で4443票と伸び悩み、渡島9町でいずれも前回得票を下回った。桧山7町の合計は6769票で、民主に1731票引き離された。

 公明は函館で1万9334票で、前回から2631票上積み。このうち、全体の77%となる1万4889票が横山氏への票だった。道南全体でも3万3136票を集め、横山氏個人には2万3773票が集まった。

 道内初選挙となったみんなの党は、道南全体で2万票弱を獲得。共産、社民、国民新も前回から票を減らし、苦戦した。 (千葉卓陽)



◎駅前の道路整備着手へ 

 【木古内】道は本年度、2015年に予定している北海道新幹線開業に連動して行う、木古内都市計画道路事業に着手する。計画は本年度から5カ年で、木古内駅から中央通までの約220メートルの道路の歩道を6bに広げるほか、駅前広場の整備も行う。本年度は用地の測量、支障物件の調査をする。町の事業として行われることが決まっている駅前整備計画と合わせ、木古内町内の新幹線関連工事が本格化する。

 12日に開かれた町議会臨時会で、道が国の事業認可を受け工事に着手することを、大森伊佐緒町長が行政報告の中で明らかにした。整備事業は国の認可を受け、道が実施する。計画は10年度から14年度までの5カ年。道では総事業費を9億円と見込んでいる。

 道の計画では、木古内駅から中央通までの駅前通り約220メートルの歩道部分を現在の2メートルから6メートルに拡幅。車道は10メートル片側1車線通行のまま。歩道を合わせた幅員は22bになる。駅前通りに面しているほとんどの家屋が支障物件となる見通しで、駅前広場整備と合わせ、支障物件は20件を超すと見込んでいる。

 また、現木古内駅舎の南側に作るロータリー型の駅前広場の面積は約4900平方メートル。大型バス5台分のほか、タクシーや自家用車の停車帯を設ける。町の事業として実施する駅前整備計画では、駅前広場にモニュメントや屋根(シェルター)、駅前通りにはベンチと街灯などを設置することを盛り込んでいる。

 木古内町まちづくり新幹線課は道の計画について、「駅前通り整備は町民の悲願。駅前を中心として町が大きく変っていくので、町民に期待も大きい。新幹線開業に向けたまちづくりに結びつけたい」としている。

 木古内駅前商店街組合の竹田博泰会長(74)は「駅前通りの整備は町と商店街を活性化させる最後のチャンスと受け止めている。町全体で取り組んでいきたい」と大きな期待を寄せる。同組合事務局長の吉澤徹さん(60)も「新幹線駅にふさわしい駅前を作っていくことがこれからの仕事。新幹線駅と観光交流センターを核として、多くの人が訪れるような場所にしたい」と話している。 (松宮一郎)