2010年7月17日 (土) 掲載

◎箱館奉行所で内覧会

 国の特別史跡「五稜郭跡」内に函館市が復元工事を進めていた「箱館奉行所」で16日、報道陣を対象とした内覧会が開かれた。当時の絵図面や古写真を基に、忠実に再現された雄姿と重厚な造りの内部が姿を現した。一般公開は29日から。

 復元工事は2006年に開始され6月30日に完了。総工費は約28億円。当時の発掘調査結果などを基に、内部の間取りや柱の材質、建物前に植えられた梅の木の位置など、最高の技術を駆使して往時を再現した。材質は東北産のスギやヒバなどを使用している。

 約2700平方メートルあった同奉行所の3分の1に当たる、約1000平方メートルを復元した。残りの建物部分は、地面に建物が存在した部分に線を引いて当時の威容を表現した。

 内部は一の間から四の間まで、小樽の畳職人が手がけた最高級の備後畳を敷き詰めた72畳の広さを誇る大広間や、箱館奉行の執務室の「再現ゾーン」や、五稜郭設計の経過や築城の情報などを紹介する「歴史発見ゾーン」など5ゾーンで構成されている。

 同奉行所は幕末の1864(元治元)年に北方警備の拠点として設置され、後に箱館戦争の舞台となった。旧幕軍降伏後の71(明治4)年に解体された。開館時間は午前9時―午後6時(11月から3月は午後5時まで)。入場料は大人500円、学生や生徒、児童は250円。(山田孝人)



◎箱館奉行所オープン盛り上げろ/関連グルメ続々誕生

 函館市の五稜郭公園内に箱館奉行所が29日、復元オープンするのを目前に控え、市内の飲食・食品業者が手掛ける記念の関連グルメが続々と誕生している。大河ドラマの幕末ブームにも乗り、各社は駅弁にハンバーガー、ビールなど、あの手この手で商機をにらみ、新商品開発が熱を帯びている。

 弁当製造販売のみかど(若松町)は20日から、JR函館駅で函館ゆかりの幕末の志士にちなんだ「土方歳三おとこ飯」(1050円)を売り出す。赤色が好きだったとされる土方から連想し、はこだてわいん(七飯町)の赤ワインに付け込んだ赤べこのはこだて和牛を五穀米入りのご飯に巻いた。

 ロール中央には道南産のアスパラ3本で土方家の家紋「左三つ巴」をイメージ。おとこ飯の名の通りボリューム満点だが、企画担当者は「キウイソースを添えて女性にも受け入れられる味に仕上げた。そのままでもしょうゆをつけても楽しめ、土方のようにいろいろな『表情』を持っています」と売り込む。

 市内・近郊で外食チェーンを展開するラッキーピエログループは1日から、五稜郭公園前店(五稜郭町)限定で「箱館奉行所いにしえバーガー」(400円)を販売している。古くから道南で食べていたと推測されるイカやホタテ、玉ねぎのフライ3種が入り、「多い日では一日20個ほど売れるひそかな人気商品」と同店。

 地ビール製造販売などのマルカツ興産(豊川町)は10日から、140年前のビールを再現した「箱館奉行所麦酒」(350円)を数量限定で販売中。文献などを基に明治初期に流通し始めた「糖度が高く、苦味が強い」という味を目指した。同社によると、既に2000本弱が売れる好評ぶりで、売れ行き次第で増産も検討している。

 いずれの商品も開発担当者が往時に思いをはせ、想像力を頼りに生み出したたまものだが、「奉行所の完成を盛り上げたい」という思いは一つ。各社は「観光客だけでなく市民にも味わってもらい、まちを挙げて機運を高めたい」とPRに力が入っている。(森健太郎)



◎函館市、昨年度の税収326億円/前年比12億円減

 函館市はこのほど、2009年度分の市税収納結果をまとめた。収入総額は326億5187万円で、08年度比12億383万円の減少。長引く不況の影響で企業の収益や個人所得が減り続ける中、収納率は現年度分、滞納繰越分とも前年度を上回ったが、滞納分の調定額が大きいため、全体の収納率は91・0%と、前年度から0・8ポイント減る結果となった。

 市税務室によると、市税の調定額は現年度分が330億9006万円、滞納分が27億9055万円。これに対し、収納額は現年度分が321億4321万円、滞納分5億867万円。収納率は現年度分が97・1%(08年度比0・1ポイント増)、滞納分18・2%(同2・0ポイント増)と、ともに上昇した。

 しかし、税収の柱である市民税をみると、個人は人口減による課税人員や所得水準の減少が響き、115億4006万円(同2億3921万円減)で、収納率は88・6%(同1・1ポイント減)。法人も139億4083万円(同7億5846万円減)で、収納率も90・0%(同1・2ポイント減)。同室は不安定な金融情勢が続くことで、金融保険業や製造業などが軒並み減少したとみる。

 固定資産税も昨年度は評価替えの年にあたり、134億2765万円(同9054万円減)、収納率も91・0%(同0・5ポイント減)にとどまった。

 2年前から開始したインターネット公売は、08年度が車1台が落札、53万8650円とまずまずのスタートだったが、昨年度は絵画、鏡台など3点、7万6000円と減った。市民生活の苦しさからか、差し押さえを行っても担保となる物品が少ないことを表している。

 市は本年度から開始したコンビニ収納のほか、誠意が見られない滞納者に対する差し押さえを強化することで、税収確保に努める方針。同室は「景気低迷が続く中で、妙案はないのが現状。貴重な自主財源の確保に向けて、地道な活動を続けていく」と話している。(千葉卓陽)



◎イカール星人の店がオープン

 函館朝市”エキニ市場”内に16日、イカール星人の「オフィシャルショップ」がオープンした。イカール星人の映像サイトを作成したProject Ika−Rに参加し、同店を運営する映像制作会社シンプルウェイの阪口あき子社長がイカール星人らとともにテープカットを行い、カメラを持った大勢の観光客らからフラッシュを浴びていた。

 函館朝市協同組合連合会函館駅二商業協同組合の藤田公人理事長が「函館はイカの街。イカール星人の魅力で朝市から全国を『侵略』してほしい」とあいさつ。観光客、市場関係者から大きな拍手を受けた。テープカット後には、詰めかけた観光客が、イカール星人と記念撮影に興じる一幕もあった。

 同ショップは、午前5時から午後2時まで営業。トランクス(1580円)やステッカー(210円)携帯電話のストラップ(840円)などの雑貨から、いかめし(740円)、さきいか(420円)などの食品まで、多彩なキャラクター商品が並んでいる。

 ストラップを購入した東京都の自営業土屋秀一さん(52)は「動画共有サイトを見てイカール星人のファンになった。商品を購入できてうれしい」と顔をほころばせていた。阪口さんは「現在は約50種類を販売しているが、今月中には70種類に増やしたい」と話していた。(黒田 寛)



◎アルザス・ローヌワインを楽しむ中国料理コンクール、後藤さんが準グランプリ

 函館国際ホテル(函館市大手町5)のチャイニーズ&グリル「アゼリア」の料理人後藤統さん(25)がこのほど、東京で行われた「第8回アルザス・ローヌワインを楽しむ中国料理コンクール」で準グランプリを受賞した。後藤さんは「信じられない。自分の力ではなく、周りが助けてくれたおかげ」とはにかみながら話していた。

 同コンクールは日本中国料理協会などが主催。ワインに合う中国料理を考え新たな食事のスタイルを模索することを目的に開催。毎年全国の中国料理人が挑戦し、今年は「前菜」と「熱菜」部門に計90作品が応募され、10点が予選通過。後藤さんが見事に準グランプリを獲得した。

 後藤さんは七飯町出身。幼いころから料理が好きで、函館調理師養成専門学校卒業後、2005年同ホテルに入社。毎日新たな事に取り組む仕事場の雰囲気に刺激され、おいしいものを作るため日々模索していたという。

 受賞作品の「牛肉料理二種の味わい」は、牛肉にトーチという中国の調味料を絡めた濃いめの味が特徴の一品と、カブに牛肉を詰めて蒸した色鮮やかな作品で、どちらもワインと非常に合う料理となった。「前回までワインに合う食材を考えチーズなど取り入れていたが、予選も通らなかった。今回はおいしい中国料理を作るという原点に返った」と振り返る。

 今後の目標について「もっと勉強して、みんなにおいしいと言ってもらえる料理を作っていきたい」と意気込んでいる。

 同レストランでは8月上旬から期間限定で受賞作品を提供する予定。(小山博美)