2010年7月21日 (水) 掲載

◎いぶし作業 縄文期のにおい…大船遺跡・竪穴住居

 函館市南茅部地域・大船町の国指定史跡「大船遺跡」で復元されたかやぶき竪穴住居(今年4月完成)で、煙のいぶしが始まった。害虫からかやぶき屋根を守る住居維持作業で「煙のにおいや炎の色合いで、縄文時代の暮らしぶりを感じられるよう」と関係者は話している。

 大船遺跡は縄文時代中期、約4500年前の遺跡。1996年の発掘調査で竪穴住居96棟をはじめ、貯蔵穴やお墓などが発見され、総出土品は18万点に上る。

 かやぶき屋根の竪穴住居は高さ4b、広さ約36平方メートル。いぶし作業は16日から実施。遺跡近くのヤナギやオンコなどの木々を土間で燃やす。

 作業は午前中だけで、駐車場付近には「竪穴住居から煙が出ていることがありますが、維持管理のためで、火災ではありません」のお知らせ看板が設置されている。

 管理人の二本柳敏子さん(60)は「炎を上げすぎず、煙をたくさん出すのは難しい。でも、雰囲気はすてき」と来場を呼びかけている。

 午前9時―午後5時。無休。(田中陽介)



◎5月の生活保護率 函館再び増加

 函館市の5月の生活保護率は43.3パーミル(パーミル=人口1000人当たりの被保護者数)となり、前年同月(41.0パーミル)と前月(42.9パーミル)をそれぞれ上回った。今年の3月と同じ水準に戻ったが、保護を受けにくい夏基準にもかかわらずの増加は、状況のさらなる悪化を示している。道南全体も増加傾向にあり、ほとんどの自治体が軒並み前年同月を上回っている。

 5月の函館の保護者数は、前年同月比540人増の1万2217人。1万2317人で過去最多となった3月よりは少ないものの、保護率は再び上がり並んだ。一方で世帯数は、前年同月比438世帯増の8638世帯で、単身の増加が目立つ。

 同福祉事務所によると、新たな保護世帯は「医療費が払えなくなった高齢者世帯と、失業後に貯蓄が底をついた働ける世帯が特に多い」。保護開始の理由では、「手持ち現金の減少、預金喪失」が42世帯と最も多く、次いで「世帯主の傷病」が16世帯で、この2パターンが大半を占める。

 このほか、道南で最大の都市である函館に職などを求めて転居した保護世帯も多いようだ。同福祉事務所は「北斗市など渡島管内の自治体から転入した保護世帯は少なくない」と指摘。これは北斗市と渡島管内の町部の保護率がそれぞれ、長期的には増加(北斗は前年度比1・4ポイント増、渡島町部は同0・6ポイント増)しているにもかかわらず、短期的には2カ月連続で減少していることからもうかがえる。

 道南の町で最も増加率が高かったのは、前年同月比4.2ポイント増加した奥尻町。保護率が最も高いのは、これまでと変わらず江差町で、前年同月(44.4パーミル)と前月(46.4パーミル)をそれぞれ上回った。逆に下がったのは、木古内と上ノ国、厚沢部の3町のみだった。

 全道の保護率も、昨年5月(26.4パーミル)からことし5月(28.3パーミル)にかけて増加した。5月に最も高かったのは釧路市の51.8パーミルで、次いで三笠市が48.0パーミルだった。前月に3番目の高率で函館と並んだ歌志内市は、44.5パーミルとなったため、函館は全道4番目に。しかし同福祉事務所は「相変わらず申請が続いており、道内での位置が下がったとはいえ状況が改善したとはいえない」と楽観視できない状況を指摘する。(小泉まや)



◎「レトロモダン」婚礼写真…旧小林写真館で人気

 一生の思い出はレトロな空間で―。道内に現存する最古の写真館「旧小林写真館」(函館市大町)で撮影される記念写真は、創業当時の函館らしさに現代の遊び心がミックスされた“レトロモダン”が受け、婚礼写真を中心に人気を集めている。写真発祥の地「函館」を見守り続けてきた館には今、新しい息吹が吹き込まれ人々の幸せな表情があふれている。

 同館は神戸出身の写真家・小林健蔵(1876〜1954年)の写真館として1907(明治40)年に建築された。第2次大戦後は、約半世紀にわたって使用されない状態だったが、昨年8月に、市内美原で谷杉写真館を営む谷杉アキラさんによって営業が再開された。

 完全予約制の同館。売り上げの全額が建物の維持費に充てられている。谷杉さんは「お客さんに喜んでもらえることが幸せ。商売は二の次」とし、今日も100年以上前の館主の燕尾(えんび)服に身を包みながら、シャッターを切っている。

 19日に婚礼写真を撮影しに来た市内の渡辺長則さん(30)と妻の佐代子さん(32)は、あるカフェで谷杉さんの作品を見て感動し来館した。二人は「昭和初期のウェディングドレスは今でも違和感なく着れた。今からどんな風に仕上がるか楽しみ」と笑顔だった。

 写真は特殊技術で和紙に印刷され、独特の風合いが特徴の「コバヤシカラー」仕上げ。1枚1枚を手作業で貼り付け、革張りの特製表紙で製本された、こだわりのアルバムが完成する。価格は6万円(毎週木曜日は特別価格3万円)。8月1〜3日は特別価格で撮影する。問い合わせ・申し込みは同館TEL090-1386-4840まで。 (小杉貴洋)



◎函館プラネタリウムの会 NPO法人認可

 函館プラネタリウムの会(村井茂理事長)が1日、法務局からNPO法人の認可を受けた。同会は認可後、即座に登記申請し、現在、亀田中野町62に建設中の直径7・2bのドームを有する「函館プラネタリウム館」の整備に力を注いでいる。村井理事長は「ようやく活動が軌道に乗ってきた。会員全員で頑張ってきたことが形になり感慨深い」と話している。

 同会は、6年前から市営熱帯植物園で年4回、四季の星座の上映を行っていた村井理事長の「函館の子どもたちに星空のすばらしさを伝えたい」との思いに賛同する仲間が集まり活動が本格化。昨年12月に設立総会を開き、NPO法人化にこぎつけた。

 プラネタリウムの上映施設はすべて手作りで、星空を投影するドームの天井や外壁も会員自らが白く塗った。総会開催時には板張りが目立った内装もすっかり整備が整い、後は一般を対象とした利用開始を待つばかりとなった。すでに複数の小、中学校から「子どもたちにプラネタリウムを体験させたい」という依頼が来ているという。

 8月8日には同会の設立記念講演会として、札幌在住の星景写真家、中垣哲也さんを講師に招くとともに、中垣さんの撮影したオーロラの上映と「夏の星空」プラネタリウム上映会を実施する。「最終的には天文台を併設し、函館を天文分野の発信地にしたい」と村井理事長の夢は膨らむ。同会では現在、賛助会員を募集しており、「星空や天体に興味のある人はぜひ協力してほしい」と呼びかけている。

 8日の上映会は午前10時、11時半、午後1時、2時半の4回の予定で、入場料は大人400円、中高生100円、小学生以下無料となっている。問い合わせは、メールアドレスplanetarium@kireinaha.info(同会事務局)TEL0138-47-3163(同分室)(黒田 寛)



◎大学生、野菜直売で勝負…町活性化へ企画

 函館市内の大学生が、市内近郊で採れた新鮮野菜を直売して売り上げを競う初の試み「野菜直売甲子園 in 五稜郭」(同実行委主催)が19日、函館市本町地区を会場に開かれた。約40人が7チームに分かれ、それぞれに工夫をこらした販売方法で市民や観光客らにアピールした。

 同イベントは、市内近郊で採れた新鮮野菜を学生が販売することで、町の活性化につなげようと企画された。参加チームはそれぞれ1万5000円の予算の中で仕入れからディスプレイ、宣伝までを行い、最終的な売り上げを競った。

 各販売場所では、手作りのカラフルなレシピを並べたり、浴衣や着物の和装でインパクトを出したりと、学生ならではの多彩なアイデアで売り上げアップを狙っていた。

 中島町の60代女性は「偶然通ったらやっていたので、アスパラやニンジンなどを買った。学生がこのような試みをすることは素晴らしいと思う」と話していた。実行委員長の長川沙生さん(道教育大4年)は「来年以降も取り組みが継続できるように頑張りたい」と意気込んでいた。(小川俊之)