2010年7月24日 (土) 掲載

◎箱館奉行所、オープンへ着々【函館】 入念にスタッフ研修

 国の特別史跡「五稜郭跡」に復元された箱館奉行所のオープンを29日に控え、最終の準備作業が各方面で進められている。奉行所正面広場の整備のほか、同奉行所の指定管理者「名美興業」はスタッフ研修を入念に行っている。

 23日には、奉行所の歴史などを紹介する展示パネルの搬入がほぼ終了。工事経過や建設に携わった職人の技術を映像で披露するコーナーの整備や、入場券売機の設置作業を行った。奉行所正面広場で行っていた舗装工事は21日に終わり、この日はベンチの設置や芝張りなどを行った。今後は案内板の取り付けや、奉行所裏側の整備を11月末までに終える予定という。

 名美興業では、開館時の混雑を想定した演習に向けた準備をした。昼過ぎの降雨時にはスタッフが雨戸閉めに追われるなど、オープンまで忙しい日々が続きそうだ。市教委文化財課の阿部司課長は「29日に万全で来場者を迎えられるようにしたい」と話している。(山田孝人)



◎本年度普通交付税 道南全市町で増加 雇用対策費新設など

 国から受ける本年度の普通交付税の配分額が23日、決まった。渡島管内11市町の総額は652億451万円で、前年度比4.7%増。桧山管内7町の総額も188億7854万円で同3.8%増となった。雇用対策や地域資源の活用などに必要な経費を算定する「雇用対策・地域資源活用臨時特例費」の新設や、景気低迷による市税や法人税の減収を補う形となり、道南全市町で増加となった。

 渡島総合振興局によると、新設の「雇用対策・地域資源活用臨時特例費」は全国で4500億円。このうち3000億円が雇用対策に充てられる。

 渡島管内では、函館市が前年度比4.5%増、14億7580万円増えた。北斗市は同4.4%増、2億4613万円の増だった。

 大幅な伸び率となったのが森町。同7.0%で、3億523万円増えた。その主な要因は、合併特例債償還費の増(元利償還金の増)や保健衛生費の増、市町村民税所得割の減によるものだった。

 知内町は同6.7%増で1億2523万円増えた。保健衛生費の増と地域振興費(人口)の増、固定資産税(償却資産)の減が要因となった。

 桧山管内の江差町は、同2.0%プラスで4982万円の増だが、渡島・桧山両管内で一番低い伸び率。上ノ国と厚沢部の両町はともに4.8%増だった。

 一方、交付税の不足分を起債(借金)で賄うことができる臨時財政対策債は、渡島で同44.7%増、桧山が同15.0%増と、ともに拡大。普通交付税と臨時財政対策債発行可能額を合わせた実質的な交付税収入は、渡島が総額で753億7771万円(前年度比8.8%増)、桧山は208億5140万円(同4.8%増)だった。

 全国の普通交付税総額は15兆8797億円(同6.8%増)、全道は7734億6400万円(同3.8%増)だった。(田中陽介)



◎駒ケ岳開山効果、着実に 観光振興に期待高まる

 【森】駒ケ岳(1131メートル)が6月19日に12年ぶりに開山して1カ月が経過し、20日までに道内外から1500人余りが登山した。周辺の宿泊施設では、登山目的の宿泊者も目立ち始め、登山遠足を実施する小中学校も出てきた。学校などの夏休み期間に当たる24日から8月17日までは登山が毎日可能となり、登山と絡めた宿泊プランやツアーが企画されるなど、地元の関係者はさらに観光振興への期待を寄せている。(鈴木 潤)

 夏休み以外の駒ケ岳登山は土日と祝日のみ可能で、3日前までに届け出が必要。駒ケ岳火山防災会議協議会(事務局・森町)によると、20日までで事前に1999人が届け出をし、1545人が登山した。登山した人のうち、道内からは575人(函館、七飯、森、鹿部を除く)で、道外からも245人が訪れた。

 グリーンピア大沼(森町赤井川)は「宿泊予約を受けた段階で登山者かどうか分からないが、外出時に登山のスタイルで出かける宿泊客を目にするようになった」とし、開山効果を実感。20日からは登山道までの送迎を行う駒ケ岳登山の宿泊パックを始めた。

 同町内のペンションも「個人から10人前後のグループの登山客を受け入れた」と話している。

 学校の登山遠足も行われ、これまで2校が届け出をして実施。そのうちの一つ、道教育大附属函館中は20日に実施し、担当教諭は「生徒の達成感を育み、火山の勉強につながる」と教育効果を口にする。

 森、七飯、鹿部の観光団体などでつくる環駒ケ岳広域観光協議会(堀元会長)は秋に行うイベントで、登山を絡めたツアーを企画。「登山と絡め地元の味覚や温泉などをアピールしていきたい」としている。

 大沼体験観光づくり実行委員会(渡辺邦浩委員長)は8月10、11日に山の植物や火山の解説をする登山ガイド講座を開講する。

 折からの登山ブームも加わり、内外から幅広く親しまれているが、山岳ガイドの資格を持つ函館山楽クラブの丸岡進一会長は「登山のルール・マナーを啓発していく必要がある」と指摘している。



◎「市民自治確立を」 函館市議会委、自治基本条例の見直し案

 函館市の第3セクター「函館国際貿易センター」の新社長に、共栄運輸相談役の兵頭法史氏(66)が就任した。民間からの社長就任は初めてで、兵頭氏は「法令順守に努めながら、函館港の活性化に役立ちたい」と話している。

 同社は2003年に市の貿易・経済振興を担う目的で、市や経済界が出資して設立。08年には元専務による不正経理問題が発覚、売上高もサハリン2のプラント工事終了に伴い、近年は減少傾向が続いている。

 社長は設立時から市の助役・副市長が務めていたが、市はことし6月、自主自立の経営の観点と今後のビジネス展開を見据え、民間から新社長を起用する方針を示していた。

 兵頭氏は函館市生まれ、早大卒。1999年から今年5月まで同社社長を務めた一方、同センター設立時から取締役を務め、先月下旬の株主総会で社長に選出された。任期は4年間。前社長の谷沢広副市長は取締役として残る。

 兵頭氏は取材に対し「不正経理問題も一段落し、新たな出発としたい」と意気込みを語るとともに「韓国とのコンテナ航路は年々取扱数量が増えており、さらなる掘り起こしが必要。幅広く増やしていくよう努力したい」と話している。(千葉卓陽)



◎函太郎美原店、27日オープン 道南4店舗目 過去最大の104席

 道南や東北地方で飲食店14店を展開する吉仙(函館市宇賀浦町、山中秀男社長)は27日、同市中道2の産業道路沿いに回転ずし店「函太郎美原店」をオープンする。道南4店舗目で、席数は過去最大の104席。住宅街の美原地区への初進出で、地元密着の店舗を目指す。

 レンタルビデオ店だった空き店舗を全面改装。店舗面積は約420平方メートルで、家族向けの6人席をはじめ、少人数のカップルや夫婦向けに4人席を増やした。回転レーンから離れた可動式のテーブル席も計26席分あり、団体客にも対応できる。

 店内設備では、初めて熱源にオール電化を採用。すしが回るレーン上のライトには発光ダイオード(LED)照明を導入した。電気代などのコスト削減に加え、回転するすしの乾燥を防ぎ、虫を寄せ付けにくい効果もあるという。 23、24日はプレオープンとして午前11時半―午後1時半と、午後5時半―同7時半まで限定営業。25、26日は休業し、27日午前11時にグランドオープンする。同店は「これまで以上に地元の方に愛される店にしたい」と話している。営業時間は午後10時まで(ラストオーダーは同9時45分)。問い合わせは同店TEL0138-83-8431。(森健太郎)