2010年7月29日 (木) 掲載

◎ダム見学 水の大切さ再確認

 市民に水資源の大切さを知ってもらう「水と緑の祭典」(道、函館市主催)が28日、函館市亀田中野町の新中野ダムとダム公園を会場に開かれた。市内の小学生とその保護者ら約100人が参加し、水や自然をテーマにしたさまざまなイベントを楽しんだ。

 「森と湖に楽しむ旬間」(21―31日)にちなんで毎年この時期に実施し、今年で24回目。子どもたちはグループに分かれて、新中野ダムや浄水場の見学、巣箱やコースターを作る木工工作などに挑戦した。

 このうちダム見学では、作業用のエレベーターを使って中心部に到達。室温約10度の天然クーラー状態に子どもたちはびっくりしながら、市民の生活を支えるダムの役割を実感していた。このほか、木材を使って巣箱やコースター、マガジンラックなどを作る「記念工作」やプランターにヒャクニチソウやケイトウなどを植える「花を植えよう」など多彩な催しが用意され、子どもたちは歓声を上げながら夏休みの一日を楽しんでいた。

 道教育大附属函館小3年の蒔田瑛功君は「ダムの中が涼しいのにはびっくりした。木工作業は楽しかった」と笑顔を見せていた。(小川俊之)



◎2人乗り小型飛行機遭難か 知内上空で不明に

 【知内】28日午前10時31分ごろ、新潟空港(新潟市)から丘珠空港(札幌市)に向かった中日本航空(愛知県豊山町)の2人が乗った小型飛行機(セスナ206式、定員6人)が、青森県の竜飛(たっぴ)岬の上空で千歳空港航空管制官と交信した後、消息を絶った。道警や第一管区海上保安本部などはレーダーから消えた知内町付近で遭難したとみて捜索している。

 小型機に乗っていたのは、いずれも中日本航空の社員で、操縦士の秦功さん(46)=愛知県あま市=と、カメラマン古田昭二さん(60)=同県江南市=。2人は28日以降に上川管内美瑛町で航空写真を撮影するため丘珠空港に向かっていたという。

 同機は午前8時49分に新潟空港を離陸。秋田県や青森県上空を通り、津軽海峡や茂津多岬、積丹岬など渡島半島西側を経由して午後零時49分に丘珠空港に到着する予定だった。同機は最長でも5時間半飛行できるだけの燃料しか搭載していない。

 中日本航空などによると、午前10時半ごろ、「(青森県の)竜飛岬の上空を通過中」との交信を最後に連絡が途絶え、その10分後の同40分ごろ、知内町付近の上空で航空自衛隊のレーダーから機影が消えたという。運航時に操縦士に持たせる携帯電話に連絡を試みたところ、呼び出し音は鳴ったが、応答はなかった。

 道警は28日午後、木古内署に現地対策本部を設置。道警などによると、乗員の携帯電話の衛星利用測位システム(GPS)の位置情報では、知内町の燈明(とうみょう)岳と丸山の間付近を示していた。同署などは情報収集とともに捜索に当たったが、日没のため終了。29日は午前5時から道警、自衛隊、地元消防などが連携し捜索を再開する予定。

 道警によると、知内町内の女子高校生(16)は「午前11時過ぎごろ、自宅から南側(燈明岳方向)約30メートル先にある林の上空をすれすれに白っぽい小型飛行機がゴーッという大きな音を立てながら、飛んでいるのを見た」と証言。また、同町内の農業の男性(54)は「午前11時半ごろ、自宅から数キロ先に燈明岳があり、その間にある畑の上空を低空飛行する小型の飛行機を見かけ、その後、燈明岳の方から、ドーンという音が聞こえた」と話している。

 函館海洋気象台によると、28日の道南は大気の状態が不安定で、南西のやや強い風が吹き込んでいた。観測所がある木古内町では、午前10時41分に5・4メートルの最大風速を観測。日中は曇り空で、山頂付近は雲がかかり視界が悪かったという。



◎大間原発 建設差し止め求め提訴

 青森県大間町に建設中の大間原子力発電所の建設反対を訴える市民団体「大間原発訴訟の会」(函館市、竹田とし子代表)は28日、国と事業者の電源開発(東京)を相手取り、同原発の建設差し止めや慰謝料などを求めて、函館地裁に提訴した。

 同原発は、電源開発が函館市と津軽海峡を挟んだ大間町に一昨年5月から建設中。商業用原子炉(改良型沸騰水型原子炉)の全炉心に世界で初めて、使用済み核燃料を再処理して回収するプルトニウムと濃縮ウランを混ぜて作るMOX燃料を使用する。

 訴状によると、▽炉心の予定敷地から約300メートル地点に民間住宅があることは立地審査指針を満たしていない▽ABWRの構造的問題、MOX燃料を使用する危険性▽津軽海峡の海底活断層の評価など、大地震を想定していない▽恐山や恵山など、噴火の可能性がある火山地域に立地されることの危険性▽重大事故が起きた場合、大間および原子炉から最短距離18キロしかない函館市、道南地域に壊滅的な放射能汚染が懸念される|などを理由に看過できない多くの問題があるとしている。

 この日の訴状提出には、原告団の代表者や支援者ら約50人が参加。原告団は東京と函館の弁護士17人をはじめ、計170人で、この中には「自然界代表」として、大間と戸井のマグロ計2匹も名を連ねた。竹田代表は「核と人類は共存できない。原発を何としても止めたいという意志を確認し、原発を未来に残してはいけないという信念で頑張っていく」と話した。

 電源開発の広報は「訴状が届いていないのでコメントは差し控えたい」としている。



◎有効求人倍率0・33倍 6月の道南

 函館公共職業安定所は28日、渡島・桧山管内の6月の雇用失業情勢を発表した。有効求人倍率は前年同月比0・03ポイント上昇の0・33倍で、2007年7月以来36カ月ぶりに前年同月を上回った。求人の増加と求職者の減少が要因だが、リーマンショック前の一昨年と比べるとまだ低い水準で、同職安は「依然として厳しい状況にある」としている。

 有効求人は同7・3%増の3899人で、2カ月連続で増加。これに対し、有効求職者が同1・5%減の1万1892人と3カ月連続で減少し、倍率を押し上げた。有効求人倍率は前月(5月)に前年同月と同率となり、雇用環境は改善傾向もうかがえる。

 雇用の先行指標となる新規求人倍率は前年同月を0・08ポイント上回る0・62倍で、2カ月連続で改善。新規求人が同9・8%増の1713人と2カ月連続で前年を上回った一方、新規求職者は同3・4%減の2775人で、2カ月ぶりに前年同月を下回った。

 産業別の新規求人では、函館市内の介護福祉施設の新設などで、医療・福祉が同45・9%増と急伸したものの、ウエートの大きい製造業やサービス業、小売業などの落ち込みが続き、同職安は「求人の増加が一部業種に偏っており、雇用環境全体の底上げとは言い難い」と話す。

 世界同時不況で急速に景気が悪化する前の08年6月と比べると、新規求人は同26・8%(459人)減、新規求職者は同0・8%(217人)増と悪化しているのが現状だ。同職安は「水準としては低いままで、先行きも楽観できない状況が続く」としている。(森健太郎)



◎宮本さん名曲響かせ 札響函館公演

 札幌交響楽団函館公演が28日、函館市民会館で開かれた。スメタナの連作交響詩「わが祖国」やチャイコフスキーのバレエ音楽のほか、ソリストに若手バイオリニストの宮本笑里さんを迎えたプログラムで来場者を楽しませた。

 同会館開館40周年記念事業として市文化・スポーツ振興財団が主催。宮本さんは初来函で、モンティの「チャールダーシュ」、マスネの「タイスの瞑想曲」といった名曲の小品のほか、TBS系テレビ「THE世界遺産」のテーマ曲で服部隆之さんの「LES enfants de la Terre〜地球のこどもたち〜」を演奏。哀愁の表現や人間の感情を高い技巧で響かせファンを魅了し、アンコールではエルガーの「愛の挨拶」を奏でた。

 後半は同交響楽団がチャイコフスキーのバレエ音楽「くるみ割人形」「眠りの森の美女」「白鳥の湖」を抜粋で披露。なじみ深い名曲を迫力のサウンドと壮大なハーモニーで響かせた。(山崎純一)