2010年7月3日 (土) 掲載

◎サッカーW杯パラグアイ戦 函館市の水道配水量乱高下

 サッカー・ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の日本対パラグアイ戦が行われた6月29日深夜から同30日未明にかけ、函館市内の水道の配水量が試合経過と連動して激しく増減を繰り返していたことが分かった。勝利の呼び水≠ノはならなかったが、市水道局は「市民の多くがトイレや入浴を我慢してテレビにかじり付いて応援していたのでは」と推測している。

 市水道局浄水課によると、道道函館上磯線(産業道路)以南の市内中心部を主な配水エリアとする赤川低区浄水場では、1時間換算した1分間ごとの配水量が、試合が始まる前の29日午後10時すぎには約1000立方メートルあったが、試合が始まった同11時には588立方メートルまで落ち込んだ。  その後は通常、使用量が減る夜間の水道管の減圧を経て下降線をたどり、前週(22日)の同時刻より250立方メートル程度少ない状態で推移。ところが、ハーフタイム中の同11時50分には853立方メートルまで跳ね上がり、一気にこの日のピークに達した。

 後半戦が始まると、配水量は急降下し、後半戦は白熱した試合同様、「我慢の時間帯」に。試合中は前週の半分相当の約200立方メートルと低調に推移していたが、後半終了後の30日午前零時55分には一転、第2のピーク≠迎え、その後は延長戦やPK戦の間隙(かんげき)を縫って乱高下した。

 試合終了後の同1時52分は深夜としては異例の536立方メートルまで上昇。同課によると、夜間の配水量は未明になるにつれ減少していくのが通例で、市内にある別の浄水場でも同様の傾向が浮かび上がったという。同課の担当者は「テレビ観戦に熱中した人が多く、ハーフタイムや試合後に一斉にトイレに駆け込んだのだろう」と分析している。(森健太郎)



◎湯川と乙部の海水浴場 17日にオープン 道南トップ

 道は、渡島・桧山の海水浴場計11カ所の開設時期を決め、水質状況をまとめた。函館市湯川海水浴場と乙部町の元和台海浜公園「海のプール」がともに17日オープンで、道南のトップとなる。

 函館市は湯川のほか、入舟町前浜海水浴場で、北斗市は七重浜海水浴場、谷川地区遊泳場、茂辺地地区遊泳場、石別地区遊泳場で、いずれも24日オープンの予定。

 桧山は、せたな町の三本杉海水浴場が19日、同町の平浜海水浴場と江差町のかもめ島海水浴場がともに24日、せたな町のふとろ海水浴場が25日にそれぞれ開設する。

 海水浴場の水質調査は、ふん便性大腸菌群数や化学的酸素要求量(COD)、透明度、油膜の有無、病原性大腸菌O―157および水素イオン濃度(pH)などが対象項目。

 調査の結果、水質最良「AA」は入舟町前浜(函館)とかもめ島(江差)、元和台海浜公園(乙部)、せたなの平浜、ふとろの計5カ所だった。  比較的水質の良い「A判定」は、湯川(函館)と茂辺地、谷川、石別(いずれも北斗)、三本杉(せたな)。七重浜(北斗)はB判定だった。改行 渡島・桧山ともに閉設時期は8月中旬から下旬を予定している。(田中陽介)



◎まちづくりで協定 サッポロビール、HDと函館市

 函館市は2日、サッポロビール(寺坂史明社長)、同社持ち株会社のサッポロホールディングス(村上隆男社長)との間で、函館市のまちづくりに連携して取り組む「協働・共創のまちづくりに関する協定」を締結した。食文化の育成や環境などの分野で、幅広くまちづくり活動で協力しあう目的。

 サッポロビールは創業地・北海道で各種社会貢献活動を行っており、これまで道庁、札幌市と同種の協定を結んでいる。函館では昨年の開港150周年に合わせ、カウントダウンモニュメントを設置したほか、メーン行事「ドリームボックス150」でもメーンスポンサーとして協賛。市との関係が深まったことで、今回の協定に至った。

 今月1日には150周年記念事業のメーン会場だった緑の島に記念碑(御影石製、高さ1.35メートル、幅1.1メートル)を設置。8月21日に開幕する「はこだて国際科学祭2010」(サイエンスサポート函館主催)では、“大人の科学教室”としてビールの味覚センサー実験やジャズ演奏などで協力する。

 市役所で行われた調印式では、西尾正範市長とサッポロビールの寺坂社長が協定書に調印した。西尾市長は「今回を契機にいいパートナーとして、新しい価値を作り出す作業をしていきたい。つながりを大事にしたい」と期待。寺坂社長も「もっと多くの人に函館に来てもらうため、少しでもお手伝いができればありがたい」と話した。(千葉卓陽)


◎いか踊り体操 先生ら勉強 講習会

 函館独自の健康体操「函館いか踊り体操」が、本年度の函館市立五稜郭林間学校(市教委主催)でラジオ体操に代わって取り入れられる。2日に函館本通小学校で開かれた学校指導員会議の中で、教員らが講習を受け、体操の一連の動作を学んだ。

 85回目を数える本年度の林間学校は24日から28日までの5日間、五稜郭公園で行われ、31校から302人が参加する予定。例年、参加児童は毎朝ラジオ体操を行っていたが、今年は期間中の3日間、いか踊り体操を実施する。

 講習では、林間学校長の小松一保・本通小校長が「地域に密着した体操を取り入れるのでぜひ覚えてもらいたい」と話し、体育講師の増野玲子さんが体操の動きを説明。学校指導員ら15人は増野さんを手本に、おなじみの音楽に合わせて体を動かした。東山小教諭の梨木正人さん(43)は「楽しい体操なので子どもたちに伝えられたら」と話していた。

 いか踊り体操は増野さんの原案を基に関係団体や市立函館保健所の意見を取り入れ、2008年に完成。転倒予防にもつながる動作を盛り込み、子どもから高齢者まで親しめるのが特徴。同保健所の天羽悦子参事は「子どもたちから発信してもらい、体操の普及につながれば」と期待している。(宮木佳奈美)


◎立松和平さんの遺志を継ぐ 桧山古事の森で育樹祭

 【江差】2月に急逝した作家・立松和平さんの提唱により、数百年後の道南で神社仏閣や城郭など歴史的建造物の保存・修復に必要となる、ヒノキアスナロ(ヒバ)の資源備蓄を進める、江差町椴川国有林の「桧山古事の森」で2日、林業関係者による育樹祭が開かれた。参加者は立松さんの遺志を引き継ぎヒバの美林を後世に残そうと、下草刈りや除間伐などの保育作業に汗を流した。

 育樹祭は桧山古事の森実行委員会(山田米蔵委員長)が主催。桧山振興局、桧山森林管理署のほか、桧山管内の林業会社などから約20人が参加した。山田委員長は「古事の森を守り育てることで立松さんへの追悼としたい」とあいさつ。参加者は草刈り機やチェーンソーでヒバの苗木に日光が届くよう、草刈りや除間伐を行った。古事の森の育成に携わる道指導林家の坂野正義さんは「30センチに満たなかった苗木も芯となる幹が立ち始め、これからどんどん成長する。立松さんも天国から見守ってくれるはずだ」と話した。

 立松さんが提唱した古事の森構想は、城郭や神社仏閣など文化財の保存・修復に必要な木材の備蓄に向けて、数百年の長い年月をかけて、国内では確保が難しくなったヒノキやケヤキなどの巨木を不伐の森≠ニして住民の手で守り育てるもの。林野庁を中心に京都の鞍馬山、奈良の春日山、和歌山の高野山など全国で取り組みが拡大している。

 道南の歴史的建造物にも多用された桧山産のヒバは、江戸時代からの伐採で枯渇状態にある。文化財の修復に欠かせないヒバの確保は大きな課題だ。桧山古事の森は2003年、天然ヒバが自生する椴川国有林の約5fが全国3番目、道内で唯一の指定を受けて植樹活動をスタートした。05年の植樹会には、生みの親である立松さんも参加し、地域の子どもたちとともに200本の苗木を植樹した。(松浦 純)