2010年7月5日 (月) 掲載

◎南茅部地区で唯一の喫茶店「珈夢」オープン

 地域の新たな社交場に―。函館市南茅部地区で唯一の喫茶店「珈夢(かむ)」がこのほど、臼尻町149の南茅部漁協本所そばにオープンした。メニューには地元特産のコンブを使った特製うどんも並び、店主の小林元昭さん(61)は「心が和むまちのホッと<Xテーションになれば」と話している。

 切り盛りするのは昨年3月に市職員を定年退職した元昭さんと妻の博子さん(57)。同地区では約10年ぶりの喫茶店の開業で、「人と人とがつながる地域の語り場をつくろう」と、元昭さんが40年前から温めていた夢を実現した。

 メニューには小林夫妻ら地元有志でつくる「南かやべ土産をつくる会」が考案した南茅部産の粉末コンブ入りのうどん「麺恋(めんこい)」(400円)も並ぶ。こしのあるつるっとした食感が特長の細めんで、6月に新発売したゴマ入りタイプも味わえる。

 地元出身の元昭さんは学校給食センター長を務めていた1996年に調理師免許を取得。オープン前には市内の料理教室に1年間通いつめて腕を磨き、専門店でコーヒーの入れ方を修業するなどして開業準備を進めてきた。

 自宅に隣接する店舗は2階建てで、中央には国内に70台しかないフランス製の高級スピーカーが鎮座する。音楽好きの元昭さんが集めた1000枚以上のCDからジャズやクラシック、ポップスなどを日替わりで流し、来店客のリクエストにも応じるという。

 コーヒーは注文を受けてから豆をひくこだわりで、ケーキやホットサンドなどの軽食も提供する。「静かな漁村で非日常のひとときを過ごしてほしい」と元昭さん。営業時間は午前11時―午後5時。月曜定休。問い合わせは同店TEL0138・25・3063。(森健太郎)



◎白熱!北前船競漕

 【江差】第57回江差かもめ島まつり(江差観光コンベンション協会主催)は2日目の4日、江差港で第32回全道北前船競漕(きょうそう)大会が開かれた。町内外から40チームが出場。色鮮やかな北前船が水上での熱戦を繰り広げた。

 同港が道開発局の「みなとオアシス」の登録を受けた記念大会として開かれた。南ふ頭に設けられた1周約160メートルの特設コースを舞台に、4隻の北前船がタイムとかじさばきの妙技を競った。4隻が乱戦を繰り広げる海上の折り返し地点は最大の見どころ。8人のこぎ手は、船首で打ち鳴らされるドラの音に合わせて、懸命にかいを振るった。

この日の港内は、強い風が時折吹き寄せ、猛ダッシュをみせたチームや、船が流されて悪戦苦闘する姿も大勢の観客を楽しませた。決勝レースでは、桧山南部に勤務する消防署員の合同チーム「ザ・RESCUE(レスキュー)」が1分32秒62のタイムで優勝。10万円の賞金を勝ち取った。

 この日は、かもめ島にある漁業の守り神・厳島神社のご神体をおみこしに移し、江差の沖合を巡る海上渡御のほか、演歌歌手の北原ミレイさんと川野夏美さんの歌謡ショーも開かれ、大勢の人でにぎわった。

 北前船競漕大会の決勝順位は次の通り。(かっこ内は決勝タイム)

 ○1ザ・RESCUE(1分32秒62)○2一心(1分33秒05)○3滝沢(1分35秒75)○4矢口港湾建設A(1分39秒18)(松浦 純)



◎職人技に興味津々

 「第27回技能士と市民の集い」が4日、函館職業能力開発促進センター(ポリテクセンター函館、函館市日吉町3)で行われた。親子連れら約600人が来場し、経験を積んだ職人から伝統技術を教わり、交流を深めた。

 函館地区建築技能士会(石岡保代会長)と函館技能士会(遠藤正司会長)の主催。会員100人が講師役となり、来場者に工作や刃物研ぎなどを手ほどきした。

 工作広場では、道具箱や本立て、竹馬、ティッシュ箱を製作。耳に鉛筆を挟んだ“職人スタイル”の会員が子どもたちにくぎ打ちやのこぎりの使い方を丁寧に教えた。

 児童らは真剣なまなざしで作品づくりに取り組み、「よし、うまくいった。面白い」と笑い声が響いた。布団や座布団、表札、まな板などの販売も人気。七夕飾りをプレゼントするコーナーは開会とともに大勢の子どもたちでにぎわった。

 父親と来場した青柳小2年の木村光(らいと)君(7)は「おもちゃ箱とティッシュ箱をつくった。金づちで木の板にくぎを打つのが面白かった。また来年も来たい」とにっこり。建具部会の田原武雄さん(79)は「来場者と一緒にものづくりを楽しむことができた。子どもが目を輝かせて喜んでくれたことがうれしい」と話していた。(田中陽介)


◎「将来の自立」を支援

 函館市福祉事務所は、生活保護世帯の自立支援プログラムとして、新たに「生活保護子ども健全育成プログラム」を開始する。乳幼児から高校進学までの子どもがいる世帯を対象に、子どもの自立意欲を高める目的で、進路や学力などを確認、指導する。初年度は高校進学を控えた中学校3年生に対し、重点的に実施。同福祉事務所は「高校を中退する場合が多いので、学歴の重要性を認識してもらうことで安定的な就職につなげたい」と話している。

 生活保護世帯への自立支援プログラムはこれまで、「生活保護受給者等就労支援事業」や、履歴書の書き方など就職活動のいろはを教える「市生活保護就労支援プログラム」など7種類が行われてきた。世帯主向け中心だったが、最近では保護世帯としての状況が世代を超えて引き継がれる事例も多く、次の世代となる世帯内の子ども向け対策の必要性が高まっている。

 新たなプログラムは、国が示したモデルメニューを参考に行う。子どもの年代により対象は○1乳幼児期○2小学生○3中学生○4高校生―の4段階に分ける。

 最も早く着手する中学生向けでは、中3の子どもがいる世帯の保護者に対し、進学に必要な受験料や入学準備金、教材代などの費用を示し、これらの費用をまかなう方法を説明する。さらに進学先を確認し、個別のケースごとに必要な支援を行う。

 本年度の対象者は155人。まずは7月から10月にかけての家庭訪問時に、担当するケースワーカーが費用についての資料を配布。その後は進学希望や最終進学先を、それぞれの段階で確認する。

 中学生以外への対応は順次開始する予定。乳幼児期では育成状況を確認し、必要に応じて保健指導員が助言や同行訪問する。小学生に対しては、通学状況や学力を定期的に確認。高校生段階では自立の重要性を説明し、進学時には世帯の状況に合わせた対応を行う計画だ。

 同福祉事務所は「1人でも多くの子どもが勉強に励み、将来は自立への道を歩んでほしい」と期待している。(小泉まや)


◎夏の到来、風流な浴衣

 ホテルテトラ(函館市梁川町17)屋上で開かれているビアガーデンで4日、女性スタッフが浴衣姿で接客するサービスが始まった。浴衣姿のスタッフが会場を行き来するたび会場が華やぎ、夏の到来を告げているかのよう。利用客からの評判も上々だ。

 10年近く続けているサービスで、女性スタッフに着る機会の少ない浴衣に親しんでもらい、夏らしさを演出する目的で実施している。同ホテルの吉川政見さんは「毎年、この取り組みを楽しみにしてくれるお客さまもおり、『いつから始めるの?』という声をよく聞く」と話す。

 学生時代の友人2人とビアガーデンを訪れた青森県の会社員、熊谷浩二さん(25)は「浴衣を見ると夏が来たのを実感する。ビールもジンギスカンも、よりおいしく感じる」と笑顔で話した。浴衣姿で初めて接客した成田友紀さん(18)は「まだ着慣れていないけれど、夏らしくて気に入っている」と笑顔を見せた。

 同ホテルでは8月中旬まで、浴衣姿での接客を行う予定。吉川さんは「ぜひ夏を体感しに足を運んでほしい」と来場を呼び掛けている。(黒田 寛)