2010年7月8日 (木) 掲載

◎箱館奉行所が完成!? 駅員の手作り模型、五稜郭駅に

 箱館奉行所が29日にオープンするのを前に、JR五稜郭駅(函館市亀田本町)のコンコースに7日、駅員が手作りした奉行所の模型がお目見えした。廃材を利用して半年がかりで仕上げた労作で、17日から夏の運行が始まるSLの模型と並んで利用客の目を引いている。

 奉行所のオープンを記念し、多くの人に五稜郭駅を利用してもらおうと、同駅営業指導係の内村宏一さん(57)を中心に全駅員約40人で手分けして今年2月から模型作りに着手。業務で使用した廃材などを利用し、部品や設計図も一から手作りした。

 特徴的な屋根瓦は5センチ四方に切った紙ファイルを約6000枚張り合わせ、一枚一枚に独特のカーブを施す精巧さ。戸板の格子や間仕切りも竹ひごを細かく削り分け、約1000本を張り付けた。同駅の高梨潤駅長も「五稜郭駅の宮大工」と内村さんらを称賛する。

 全体の大きさは縦50センチ、横35センチ。休日などに少しずつ手掛けた内村さんは「下見して撮った写真から設計図をつくるのに苦労した。駅員みんなの協力があったおかげ」と控えめに完成を喜ぶ。絵の具や木目シールなどは100円ショップでそろえ、総工費は500円程度という。

 同駅コンコースにはSL函館大沼号の大小3機の模型も展示している。模型の展示は8月末まで。問い合わせは同駅TEL0138・41・3745。(森健太郎)



◎ろうそく1本ちょうだいな 函館市青柳町で七夕祭り

 七夕の7日、函館市青柳町会(佐藤信夫会長)は町会館玄関前に設置したササに、手作りの吹き流しや地域住民90人の願いが書かれた短冊を飾った。女性部の役員らが前日から手づくりした彩りのある飾りは、会館前できれいに風にそよいでいた。

 午後5時を過ぎると、親に手を引かれた浴衣姿の子どもたちが次々と会館を訪れ、「竹に短冊七夕祭り―」」と元気よく歌を歌い、菓子を受け取った。子どもたちのかわいらしい笑顔に町会員も「よく来たね」「きちんと歌が歌えてえらいね」と思わず顔がほころんだ。

 函館谷地頭保育園年少組の和田悠麻ちゃん(4)と瑞羽ちゃん(2)の兄妹は「お菓子をもらえてうれしい」とはにかみながら話していた。(黒田 寛)



◎786人の冥福祈る 青函連絡船殉職者慰霊法要で遺族ら参列

 1945年の米軍攻撃や、54年の洞爺丸台風被害により青函連絡船乗船中に殉職した乗組員を慰霊する法要が7日、函館市青柳町の「青函連絡船海難者慰霊碑」前で開かれた。遺族や関係者ら約80人が参列し、亡くなった786人の冥福を祈った。

 1908年から88年まで青函をつなぐ大動脈として活躍した青函連絡船だが、1945年7月14日には米海軍艦載機の攻撃を受け、10隻が撃沈され船員438人が死亡。また54年には洞爺丸台風(台風15号)の被害により洞爺丸を含め5隻が沈没。死者・行方不明者合わせて計1430人という未曽有の大惨事となり、船員殉職者も348人に上った。

 法要はこの二つの大惨事を風化させないことを目的に、青函連絡船殉職者遺族会が主催。函館市仏教会やJR北海道、函館市などの協力で毎年行っている。この日は市仏教会の僧侶2人が読経する中、参列者が順番に焼香した。

 遺族会の渋谷武彦会長(76)は「海難事故から半世紀以上が経過し遺族の高齢化が進む中、毎年大勢の人たちが足を運んでくれることはありがたい。今後もできるかぎり続けていきたい」とあいさつした。

 来賓の青函連絡船OB会の高木宏二会長は「毎年この日を迎えると、気持ちが引き締まる思い。多くの市民にこの悲しい出来事を語り継いでいきたい」と話していた。(小川俊之)


◎函館に貢献、市功労者に7人 産業経済など長年尽力

 函館市は7日、2010年度の市功労者を発表した。前函館表装協会会長の小池田宏氏(83)、前亀田商工会会長の竹林良雄氏(75)、前函館国際観光コンベンション協会副会長の中野豊氏(75)、函館地方電気工事協同組合理事長の佐藤征次氏(71)、函館商工会議所副会頭の松本栄一氏(70)、前函館建築板金事業協同組合理事長の伊藤隆義氏(69)、南かやべ漁業協同組合代表理事組合長の鎌田光夫氏(65)の7人。表彰式は8月1日午前11時から、市民会館小ホールで開かれる。

 市功労者表彰はことしで62回目。市の産業経済や保健福祉、防災などに長年にわたり貢献した公益功労者が対象となる。

 小池田氏は表装協会の理事、副会長、会長を歴任し、土木建設分野の技能者育成や技能向上に尽力。東本願寺函館別院の光雲殿など、市内の社寺仏閣の内装や表装を数多く手がけ、伝統文化保護にも貢献した。1994年には黄綬褒章を受章している。

 竹林氏はミリオンシューズ代表取締役で、亀田商工会の要職を歴任。92年には赤川通商店街振興組合理事長として、美原商店会との合併を実現。また美原台町会会長として、自主防災組織設立に尽力したことも評価された。05年には道産業貢献賞を受賞。

 中野氏は五稜郭タワー代表取締役社長。コンベンション協会の副会長として、東アジアからの観光客誘致を推し進めて観光発展に貢献した。市民創作函館野外劇への支援など、市民活動にも積極的に携わった。03年道産業貢献賞受賞。市の教育委員も務めた。

 佐藤氏は04年、電気工事協同組合の組合長に就任。道電気工事業工業組合の副理事長を務め、道内の電気保安の確保に努めた。また函館消防設備協会会長として、消防設備士の人材育成などにも取り組んだ。98年道産業貢献賞、昨年には黄綬褒章を受章。

 松本氏は65年にホンダメイト函館(現・ホンダカーズ南北海道)を設立。82年から商工会議所常議員、08年副会頭となり、銭亀沢商工会との統合や丸井今井函館店の存続運動で指導力を発揮した。05年国土交通大臣表彰、06年には黄綬褒章を受章している。

 伊藤氏は、伊藤板金工業所代表として経営を担う一方、92年から建築板金事業協同組合理事長として若手職人の育成に貢献。卓越した技術を生かし、箱館奉行所の「大棟鬼板銅板巻」など市内の歴史的建造物の板金加工を数多く手がけた。04年黄綬褒章受章。

 鎌田氏は03年、長年の懸案だった旧南茅部町の6漁協の合併に力を尽くした。南かやべ漁協組合長就任後はコンブ種苗生産施設や製氷・貯氷施設などの整備に取り組み、昨年には道産業貢献賞を受賞。南茅部町議会議員も16年間務め、地域発展に貢献した。

 表彰者は西尾正範市長を座長とする市表彰審議委員会が選考し、決定した。被表彰者は本年度の7人を加え、個人606人、10団体となる。(千葉卓陽)


◎内定目指し表情真剣 合同企業説明会に学生ら130人

 来春に大学や短大などを卒業予定の学生らを対象にした「2010合同企業説明会」が7日、函館市若松町のロワジールホテル函館で開かれた。厳しい就職戦線の突破に向け、市内の学生ら約130人が「内定」を目指し、真剣な表情で採用担当者の説明に耳を傾けた。

 函館地方法人会、函館商工会議所、道中小企業家同友会函館支部の共催で、毎年この時期に開催している。今年は道南の食品製造や建設、金融など14社・団体が参加。厳しい雇用情勢を反映して昨年より5社少なく、採用予定数はいずれも若干名の狭き門となった。

 参加した学生は昨年より30人ほど減ったが、市内の学生を中心に、札幌や青森、東京などからUターンの就職希望者も。参加者は会場内の各企業のブースを回り、業務内容や採用スケジュールなどについて熱心に質問したり、メモを取ったりしていた。

 3社の面談に臨んだ市内の女子短大生(19)は「希望する求人が少なく、不況の影響を感じる。地元で何とか就職したいので、職種なんか選んでいられない」とあせり顔。ある採用担当者は「函館は女子の数が多く、東京や札幌に流れがちな大卒男子の確保は難しい」と話していた。(森健太郎)