2010年7月9日 (金) 掲載

◎創建100周年「中華会館」特別公開始まる

 今年で創建100周年を迎えた函館中華会館(函館市大町1)の特別公開が8日から始まった。中国文化を今に伝える建物の節目の年を多くの人たちに見てもらおうと、8月23日までの期間限定で開館する。

 同館は函館在住の華僑が出資し、1910(明治43)年に建築された。国内に唯一現存する清朝末期の建物で、くぎを1本も使用しない中国式レンガ造り。館内には、三国志の英雄で華僑が尊崇する「関羽」をまつる関帝壇があり、金ぱくや朱の漆塗りが施された華やかな装飾が特徴だ。2001年には国の有形文化財にも指定されている。

 100年記念として、1000円を喜捨すると館内の写真撮影が許可される。その写真を持っていると家内安全などのご利益があると信じられていることから、多くの来場者がカメラのシャッターボタンを押していた。また、関帝壇を中心にある4つの部屋には書画や陶磁器などの貴重な美術品も展示され、美しい中国工芸品に見入っていた。

 同館を管理する社団法人函館中華会館の陳上梅理事長(81)は「中国の歴史と芸術のすばらしさ、奥深さを1度ご覧ください」と話している。

 開館時間は午前11時から午後4時まで。入館料は大人600円、高校生350円、小中学生200円。問い合わせは同館TEL0138-22-5660。(小杉貴洋)



◎がん検診伸び悩む…函館市09年度

 函館市民の2009年度のがん検診受診率は、助成対象となっている5種類の検診のうち、胃がんと大腸がん、乳がんは前年度より伸びたが、肺がんは前年度比0.1ポイント減の5.4%、子宮がんは同0.5ポイント減の23.7%と減少した。市立函館保健所は「受けやすい環境づくりに努めている」とするが、全道、全国の受診率よりも低い傾向は変わらず、伸び悩んでいる。

 同保健所が実績をまとめた。保健所健康づくり推進室によると、対象年齢が35歳以上の胃がん検診と、同40歳以上の肺がん検診は、07年度までは基本健診と一緒に受けることが定着していたが、08年度に特定検診となり初年度の受診時期がずれたため、「一緒に受けられなくなった」という認識を持たれるようになった。この影響で、08年度は両検診の受診が大きく落ち込んだ。

 09年度、胃がんは前年度比0.3ポイント増の5.7%となり若干持ち直したが、肺がんはわずかに減少し5.4%で、回復の兆しはみられない。全国(08年度、胃10.2%、肺17.8%)や全道(同、胃11.8%、肺11.8%)の受診率と比較すると、大きな開きがある。

 大腸がん(40歳以上が対象)は、08年度に導入した検診キットを自宅に送付するシステムが好評だ。07年度までの3カ年は連続して2.9%だったが、08年度は4.0%に、09年度は5.0%と一気に増加した。全国や全道のレベルはこちらも大きく下回るものの、同室は「着実に伸びており、このまま増やしたい」とする。

 乳がん(40歳以上が隔年で対象)は前年度比0.4ポイント増の12.1%に、子宮がん(20歳以上同)は同0.5ポイント減の23.7%に。09年度にスタートした「女性特有のがん検診」での無料受診分を含まないため、実際の受診率はさらに高く、増加傾向にあるとみられる。

 受診率増加策として本年度は、特定検診と胃、肺、大腸の3種類のがん検診を同時に受けられる場所を増やし、全検診日程を掲載したカレンダーを配布した。同室は「カレンダーを見ての問い合わせや申し込みが多く、順調に受診されているようだ。セットで受けると1カ所で済むので楽だということをもっとPRしたい」と話している。がん検診への問い合わせはTEL0138-32-1532。(小泉まや)



◎「海炭市叙景」高評価…東京で完成披露試写会

 函館出身の作家、佐藤泰志(1949―90年)の遺作を元に、函館市民有志が製作に参加した映画「海炭市叙景」(熊切和嘉監督)の完成披露試写会がこのほど、東京・五反田のIMAGICA東京映像センターで行われた。出席した映画関係者約60人からは「想像以上の出来」と高い評価を得た。作品は海外の映画祭へのエントリーも決定。今後、世界中に“函館”の名を発信する。

 同映画は、今年2月から3月にかけて主要キャストが来函し、市内や近郊で撮影。昨年5月には在りし日のゴライアスクレーンを背景にした先行撮影も行われた。また、実行委が製作資金をねん出するため募金活動をしたり、キャストに地元市民を起用するなど、市民参加型で作り上げた。

 試写会には函館から、同映画製作実行委の菅原和博委員長を含む実行委メンバー、キャストなど17人が参加。試写会後のパーティーで、熊切監督は「今まで撮った作品の中で最高傑作。函館の皆さんの協力なしでは作れなかった」とスピーチした。菅原委員長も「感激している。映画完成に至るまでのすべてを知っているので今は客観的に見れないが、閉そく感のある現代に希望を感じさせる作品」と自信をのぞかせた。

 冒頭で、幼い兄弟ががれきのような街を歩くシーンを撮影するなど、原作に忠実に、かつ現代にもリンクするメッセージ性のある作品に仕上がった。菅原委員長は「シャッター通りが目立ち、若者が出ていくという地方都市が抱える現状は、世界中の国にも通じる普遍的なテーマ」と話す。

 同日開かれた会議では、海外の映画祭への出品も決まり、「函館の街も含め、世界でどれだけの評価が得られるか知りたい」と参加者から期待の声が上がった。

 同映画は、10月26日に協力者を対象にした試写会を市芸術ホール(五稜郭町37)で実施。その後、11月下旬の函館での先行上映を皮切りに、12月上旬から東京、札幌など60カ所で順次公開予定となっている。(小杉貴洋、黒田 寛)


◎「彩風塘 函館店」が北斗市産「北寄貝フェア」

 函館市昭和3の中国料理店「彩風塘 函館店」(佐藤優店長)は9日から8月31日まで、北斗市産のホッキ貝を使った「北寄貝フェア」を開く。提供するのは、湯引きやあんかけ焼きそばなど4品。ホッキの持ち味を生かした自慢の料理がメニューに並ぶ。佐藤店長は「地元のホッキ貝を本格広東料理でぜひ味わってほしい」と話している。

 同店は昨年9月にオープン。開店以来、地元の食材にこだわったメニュー作りをしている。今回は、引き締まった身と歯ごたえが特徴の北斗産のホッキを使ってフェアを開くことを決めた。フェア開催にあたって、上磯郡漁協と北斗市地産地消推進協議会も協力。試食会で漁協関係者らの意見を聞き、参考にした。

 フェアのメニューは「湯引き香港風」(1000円)、「あんかけ焼きそば」(980円)、「XO醤炒め」(1260円)、「ホッキ貝とホタテの辛味和え」(980円)。お薦めの「湯引き」は、生で食べてもおいしいホッキをさっと湯に通し、ネギとショウガをのせ、しょうゆだれで味付けしている。

 また、ホッキ貝の料理のほか、同漁協管内で水揚げした知内産のマコガレイやクロゾイなどの魚を日替わりで提供。客の要望に応じて調理する。

 メニューを考案した同店の内村卓生料理長は「シンプルに調理するのが広東料理の基本。新鮮なホッキの味と食感を生かすことができた」と話している。

 営業時間は午前11時半―午後3時、午後5時―10時まで。定休日は第2、4月曜。問い合わせは同店TEL0138・34・7260。(松宮一郎)


◎昨年度の売上1000万円突破…上ノ国町物産センター

 【上ノ国】2009年6月にオープンした上ノ国町物産センター(原歌3)では、町内産の新鮮な農水産物が人気を集め、昨年度の売上額が1000万円を突破するなど、順調な滑り出しをみせている。

 同センターは「道の駅上ノ国もんじゅ」の1階を改装。昨年6月20日から営業をスタートした。物産センター連絡協議会(丸山由美子会長)に参加する農家や漁業者が新鮮な地場産品を持ち寄り、生産者の顔写真入りの商品棚で販売している。

 鮮度抜群の朝どり野菜をはじめ、春先にはギョウジャニンニクやタケノコといった天然物の山菜も人気を呼んだ。町内の木工愛好家の作品のほか、天の川から引き上げた1000年前の古木を加工した木製品など商品のすそ野も広がっている。

 売上額は昨年6月20日から今年3月末までの約9カ月で1084万円に上った。1日平均では約4万4000円を売り上げた計算だ。当初は19人でスタートした連絡協議会も3月末までに会員が30人に増加。初めてのゴールデンウイークを迎えた4、5月には道内外から観光客が訪れ、2カ月間だけで447万円の売り上げた。

 センターを運営する町観光振興公社(社長・工藤昇町長)は「年間を通じた売り上げは昨年をさらに上回ることが予想される。今後も安全で安心な生産者の顔が見える農水産物の提供を進めていきたい」と語る。道の駅2階にあるレストラン「グルメブティックもんじゅ」でも、地場産ヒラメを丸ごと天ぷらにした「てっくい丼」などのオリジナル料理が好評だ。同社は「物産センターとレストラン部門の相乗効果に期待している」とする。

 物産センターは午前10時から午後6時まで。レストランは午前11時から午後8時まで。問い合わせは道の駅上ノ国もんじゅTEL0139-55-3955へ。(松浦 純)