2010年8月11日 (水) 掲載

◎姥神大神宮渡御祭・下町巡行

 【江差】姥神大神宮渡御祭は祭礼2日目の10日、繁栄を極めた北前船時代の情緒を伝えるいにしえ街道≠ネどをめぐる下町巡行が行われた。

 早朝から夏空が広がった江差町。最高気温が28・9度に達する中で渡御行列が巡行を開始。猿田彦命を先頭とする同神宮のみこし行列に13基の山車が付き従い、いにしえ街道沿いの街並みを練り歩いた。山車行列の先頭は、戦国武将・伊達政宗の人形を飾った、新地・緑丘・円山町の「政宗山(まさむねやま)」が務めた。羽織やはんてんを身にまとった大勢の祭人は「結構なお祭りです」とあいさつしを交わしながら、沿道の家人からご祝儀を受け取ったり酒や料理のもてなしを受けた。

 午後8時すぎには、色鮮やかな灯火に彩られた山車が愛宕町商店街に勢ぞろい。沿道にはにぎやかな調子の祭ばやしとともに勇壮な掛け声が響き渡り、祭礼の熱気は最高潮に。同10時過ぎからは、巡行を終えた3基のみこしを同神宮の拝殿に納める「宿入之儀(しゅくいれのぎ)」も行われ、大勢の観光客を魅了した。

 祭礼3日目の11日は上町巡行。渡御行列は正午前に同神宮を出発し、漁師町の面影を残す、津花、海岸、南浜、柏町を経て、高台の陣屋、茂尻の各町をめぐる。日没後には、上野町や本町などの市街地を巡行。午後9時ごろには新地町の繁華街にすべての山車が横一線に並び、3日間の祭礼は壮大なフィナーレを迎える。(松浦 純)



◎09年度函館市、観光客平均旅費4年ぶり3万割れ

 函館市と函館国際観光コンベンション協会は、観光客を対象に行った2009年度観光アンケートの結果をまとめた。それによると、市内で使った1人当たりの旅行費用の平均は宿泊客が2万9894円(前年度比2437円減)となり、4年ぶりに3万円を割った。世界同時不況などの影響による消費低迷が浮き彫りとなった結果で、調査を基に市が試算した函館観光の経済波及効果は同42億円減の1605億円となっている。

 アンケートは昨年4月からことし3月までの間、函館山や元町周辺、五稜郭公園など市内の観光スポットで面接方式で実施。2420人から14項目で聞き取りを行った。回答者は男性37・2%、女性62・8%。

 一人あたりの消費額は、宿泊客が前年度から2159円減の3万1644円、日帰り客は同244円減の9486円。このうち宿泊客の使い道をみると、宿泊費は消費平均額の39%に当たる1万2327円だったが、前年比からは約950円の減。市観光振興課は「景気低迷に加え、市内各ホテルの宿泊料値下げが影響している」と分析する。

 このほかの調査項目をみると、函館に来た回数を問う項目では、「初めて」と答えた人のうち、道内客は31・5%を占め、前年度の23・9%から大きく上昇。高速道路の休日1000円割引などの影響で、乗用車で来る客が増えたとみられる。

 「誰と来たか」の設問では、家族旅行が約半数でトップを占めた一方、団体旅行は4%(前年度15・8%)にとどまり、近年の傾向通り個人客が増えていることを裏付けている。従前から多かった50歳代で1・5%(同10・1%)60歳代でも6・4%(同29・9%)に落ち込んだ。

 また、函館の観光情報の入手先についての質問(複数回答)では、「旅行雑誌やガイドブック」が60%以上を占めたが、「インターネット」との回答も33・3%(同20・5%)と伸びを示している。

 市は本年度、観光入り込みや宿泊客の増加に向け、観光客自らに街なかを散策してもらう「まちあるき観光」への取り組みを強める。同課は「函館の街をゆっくり楽しんでもらうことで、飲食や宿泊の面で経済効果を高めていければ」と話している。(千葉卓陽)



◎新人警官お手柄、コンビニ強盗未遂の早期逮捕に貢献

 新人警察官、奮闘—。函館西署管内で1日に発生したコンビニエンスストア強盗未遂事件で、同署地域課の遊佐武巡査(27)が容疑者の早期逮捕に貢献し、道警函館方面本部の木下外晴本部長から「即賞」が授与された。遊佐巡査は今年4月、夢を実現させて警察官としての一歩を踏み出したばかりで、「これを契機に市民の安心・安全を守る警察官として一歩ずつ成長できれば」と話している。

 1日未明、コンビニに男が押し入り、女性店員に刃物を突き付けて「金を出せ」と脅したが、店員が木刀で抵抗したため何も取らず逃走した。その後の捜査で遊佐巡査は、防犯カメラに映っていた男が以前、別件で取り扱った男と酷似していることに気付いた。同署地域課員と連携し、発生から約4時間でのスピード逮捕に至った。

 その時の状況を「人相着衣などで見当はついていたが、初めての逮捕に不安もあった。自供したと聞いたときは安どして涙が出そうだった」と振り返る。一緒に即賞を受けた同課の佐々木隆嘉巡査部長(47)は「まだまだ不慣れな部分も多いが、積極的な姿勢で仕事に臨んでいる。これからが楽しみな存在」と期待する。

 遊佐巡査は警察官だった父親の背中を追い、幼少からの夢を実現した。今はその喜びに浸る間もなく、忙しい日々を送っている。「いつかは父を越えて、この仕事に就いて本当によかったと思えるようになりたい」と笑顔を見せる。若手警察官の高い志と、それを支える署内のチームワークで地域の安心・安全が守られている。(小杉貴洋)


◎函館税関、引き揚げ者の通貨など返還呼びかけ

 15日の終戦記念日を前に、函館税関は、終戦後に海外から引き揚げた人から上陸港で預かった通貨や証券などの返還を呼びかけている。同税関では保管総数の約3割しか返還が進んでおらず、「家族でも心当たりがあれば気軽に問い合わせてほしい」としている。

 保管しているのは、樺太(サハリン)や旧満州(現中国北東部)からの引き揚げ者が税関などに預けた通貨や国債などの証券類。連合国軍総司令部が当時、インフレ防止のため国内への持ち込みに一定の制限を設け、超過分を各税関などで預かっていた。

 昨年は1年間で113人から照会があり、22人に171件が返還された。同税関で預かった2万8000人のうち現在も1万8000人分以上が眠ったまま。近年は持ち主が亡くなったり、忘れたりしているケースも多く、実際に返還されるのは毎年20人前後にとどまっている。

 返還は通年で行っていて、当時の預かり証がなくても、持ち主の名前や生年月日、上陸港などが分かれば、本人以外に親族でもできる。同税関は「いずれも資産価値はないが、思い出の品として貴重なものも多いはず」と話している。問い合わせは同税関監視部監視部門TEL0138・40・4244。(森健太郎)


◎フェリー乗降場で交通安全街頭啓発

 夏休みやお盆で観光客と帰省客があふれる津軽海峡フェリー(函館市港町3)乗降場で10日、交通安全街頭啓発が行われた。関係者約100人が参加。フェリーで来函したドライバーらに啓発品を手渡し「安全運転で楽しい北海道の旅を」と呼びかけた。

 函館市の主催。函館中央署、函館西署、函館西地区安全運転管理者協会、同フェリー、近隣の3町会など計13機関が協力した。

 啓発前に函館市の須田正晴市民部長が「交通安全はみんなの願い。来道者にすてきな思い出をつくってもらうためにも、暑いですが啓発活動にご協力を」とあいさつした。

 青森からのフェリーが到着すると、下船する乗用車とバイクを警察が誘導し、参加者が観光地図やパンフレット、安全運転を呼びかけるチラシを配った。「気をつけて行ってらっしゃい」の声にドライバーは「ありがとう」と笑顔で応えていた。

 千葉県習志野市の会社員、高橋直人さん(31)はバイクで道北旅行の予定で「温かな歓迎を受けた。きれいな北海道の自然を満喫しながら、安全運転に気をつけたい」と話していた。(田中陽介)