2010年8月15日 (日) 掲載

◎10月の産業教育フェアに出場、片柳さんが全国水産高の代表に

 函館水産高校(村松裕史校長、生徒483人)の片柳ひかるさん(水産食品科3年)が、10月に茨城県で開かれる全国産業教育フェアに、全国の水産高校を代表し出場することが決まった。道内の水産高校では初めてという快挙。「挑戦することの大切さと、それにより得られたもの」と題する発表で、自身が同校で経験した挑戦やボランティア体験などを盛り込んだ。片柳さんは「プレッシャーはあるが、聴衆に伝わるように精いっぱい頑張ります」と話している。

 片柳さんは、道内の水産高校の推薦を受けて、4日に仙台市で行われた「全国高校水産・海洋系産業教育体験発表メディア審査会」に、映像で出場。道内からは初めて最優秀賞に輝いた。

 発表内容は、道教育委員会が主体となり行った「北のくにづくり事業」(2006―08年度)や、福島県の高齢者福祉施設での奉仕活動、東海大の海洋調査船に乗船したことなどをまとめた。挑戦する気持ちがどのように沸き上がったかや、行動することの重要性などを痛感したことなどを挙げ、「これらの貴重な体験は自分が今後成長していく上でどれもプラスになる、一生の忘れられない思い出」としめくくった。

 「文章にまとめたり、撮影に苦労した」という片柳さん。受賞の知らせを聞いた時は「まさかと思った」ほど驚いたという。今後は体験の様子をまとめた映像資料を作るなどし、大会に備えるという。出場を勧めた学級担任の宮崎和貴教諭は「積極的に体験したことを伝わりやすくまとめたことが評価されたのではないか」と話している。

 全国産業教育フェア「さんフェア茨城2010」は10月16日に、茨城県つくば市で開催。全国の農業や工業、商業など9学科の代表者各1人と茨城代表の、合わせて12件が発表される。(小泉まや)



◎小中2校がタイムカプセル掘り起こし

 函館市内の小中学校2校で14日、卒業生が在校時に思い出の品を詰めて埋めたタイムカプセルの掘り起こしが行われた。当時の学級担任や保護者も参加し、一緒になって子どもの自分が残したプレゼントとの対面を果たした。(小泉まや)

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 ○…函館上湯川小学校では、1998年度の6年2組(39人)が、中庭の滑り台横に埋めたタイムカプセルを掘った。卒業式後の99年4月5日に埋めており、それぞれが6年生の時に使った思い出の品や1人ずつ撮影したビデオテープ、自分への手紙などを入れていた。

 当初は二十歳の時に開ける計画だったが、卒業生の年齢は23または24歳に。この日は12人の卒業生と、学級担任だった清水美帆さん(40)、保護者らが集まった。

 重機に続き、スコップで掘り、土中に埋めたプラスチックケースが見えると、皆が「見えた!」と声を張り上げた。中には水が入り込みランドセルや電子機器など一部は腐食していたが、学級内の掲示物などは当時のままの色彩で保存されていた。

 自分からの手紙を受け取った木元卓矢さん(23)は「『立派になれよ』など偉そうな表現に腹が立ったけれど、書いた記憶が全くないので、感慨深い内容でした」と話していた。

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 ○…函館港中学校では、2000年度の3年生3クラス(121人)が、タイムカプセル「リメンバー号」を探した。クラスごとにケースに詰め、学校の裏庭に並べ埋めたが、目印とした木が見当たらず場所が深いなど、炎天下の探査は難航を極めた。

 卒業生約60人と、当時の担任や保護者が参加。重機とスコップを駆使して汗だくで作業したが、正確な場所が分からず、排水管に到達するなどのハプニングも起こった。全員のおぼろな記憶を頼りに約3b四方を掘り進めた結果、着手から約1時間後、ついに箱の角を発見。大きな拍手に包まれ、そのさらに30分後に次々と箱が掘り起こされた。

 入っていたのは、10年後に飲もうと約束したワインや、各自の思い出の品、自分にあてた手紙など。1人分ずつ密封された袋に入れられており、各クラスの元担任が全員の名前を呼んで手渡した。

 受け取った卒業生は、「こんなものが入っていた」などと互いに見せ合いながら、感慨に浸っていた。結婚して名前が変わった長谷川(旧姓中山)めぐみさん(24)は、合唱コンクールの楽譜を見て「ピアノ伴奏に苦労したことを思い出しました」と話していた。



◎乙部でお盆の成人式

 【乙部】乙部町教委が主催する「成人のつどい」が14日、町民会館で開かれた。同町はお盆の帰省シーズンに合わせて成人式を開催しており、進学や就職で故郷を離れている新成人も交えて大人への仲間入りを喜び合った。

 成人式には1990年4月2日から91年4月1日に生まれた35人が出席。色鮮やかな浴衣姿で参加した女性もみられた。生まれ育った故郷の様子を参加者全員で見学会も行われた。中川眞一郎教育委員長は「政治や経済が複雑な様相を呈する中でも、国際性を養い希望と活気に満ちた時代を創り上げるため、英知と行動力を持ってほしい」と式辞を述べた。寺島光一郎町長は「乙部出身であることに胸を張ってほしい。私たちも誇れる町づくりを進めていきたい」とあいさつした。

 新成人を代表して町中達成さん(元和)と藤田理奈さん(潮見)は「良き社会人や職業人となり、ふるさと乙部町の地域社会や国家社会の繁栄のため努力します」と誓いの言葉を述べた。1人ずつ名前を読み上げられた新成人は、阿部一町議会議長ら来賓から祝杯を受け、笑顔で清酒が注がれた杯を飲み干し、固い握手を交わした。

 桧山管内では、上ノ国、乙部、奥尻、せたな、今金の5町が、8月の帰省シーズンに合わせて成人式を開催。1月に成人式を行うのは江差と厚沢部の2町だけで、真夏の成人式が主流となっている。上ノ国町では15日午後3時から、町保健福祉総合センターで式典が行われる。(松浦 純)


◎企画【戦時下の青春・下】村岡昭男さん(82)

 1934年3月、父親の転勤で函館の宝来町に移り住んだ。「4月から入学する東川小学校への準備を進めていたさ中、3月21日に西部地区を焼き尽くした函館大火が起こった。東川小学校は焼けてしまい青柳小に行くことになった」。家族は全員無事に避難し命は助かったが、翌朝に大森浜の海岸に数多くの焼死体がごろごろと転がっていたのをはっきりと覚えているという。わずか6歳の少年にとってはあまりにも強烈な出来事だったが、これはこの先訪れる苦難の第一段階に過ぎなかった。

 焼け野原となった函館の街をよみがえらせたのは、逆境に立ち向かう市民のたくましさだった。翌35年夏には、復興の願いを込めて第1回函館港まつりが盛大に開かれるなど、急ピッチで街はよみがえっていった。幼ごころに「どんな逆境でも下を向いていてはいけない」と痛感したという。

 43年、東京の大学に進学。下宿していた神谷町のアパートで45年3月10日の東京大空襲に被災した。焼夷弾(しょういだん)の炎が衣服に飛び散り、あわてて火を消しながら建物の外に脱出。辛うじて命を取り留めた。それでも東京を離れようとは思わず、4月には目黒の無線電信講習所に入学。ここは無線通信兵を養成する機関であり、実質的に兵役を志願した形になる。「当時は若者が戦場に赴くのは当然の義務と教えられていたので疑問はなかった」と振り返る。

 その後すぐに、現在の韓国ソウルに派遣されたが、無線兵として最前線で戦闘することなく終戦を迎える。再び救われた格好の命だが、本当の戦争の恐ろしさを体感するのはこの直後だった。新たに設置された38度線によって、その時点で南側にいた兵士と北側にいた兵士がアメリカとソ連の双方の管理下に置かれたのだ。「私はたまたま南側にいたのでしばらく捕虜として扱われた後、帰国となった。しかし北側の仲間には数年にわたってシベリアに抑留され亡くなった人も少なくない」。志願兵として国に預けた命だったが、あらためて生きることの大切さを痛感した。

 帰国後は半年ほど夕張での炭鉱労働を命じられ、慣れない仕事をこなしながら46年にようやく函館に帰還。無線の技術を生かした仕事に就き、ようやく平穏な日々を過ごすことになる。失われた青春時代を取り戻すかのように、バイクや旅行など多彩な趣味を持ち、50代後半から始めた卓球では本道代表として全国大会に出場する活躍ぶり。「とっくに失っていたかもしれないこの命。せっかく生かしてもらったのだから、楽しまなければもったいない」。壮絶な修羅場をくぐり抜けてきたからこそ重みある言葉だ。(小川俊之)



◎来月26日に養蜂家ら招きイベント

 【乙部】全国の青年養蜂家が参加するイベント「蜂蜜(はちみつ)の里の森づくり」が9月26日、乙部町栄浜にある「北の魚つきの森」で開かれることが決まった。天然のはちみつ生産や豊富な水産資源をはぐくむ森づくりの大切さを、養蜂家、漁業者、林業家、地域住民が一体になって考える。

 イベントは、乙部町、乙部町魚つきの森づくり協議会(中川眞一郎会長)と道養蜂協会青年部(札幌)の共催。魚つきの森を会場に、記念植樹とともに、はちみつ生産に欠かせない、豊かな森づくりへの理解を深める。イベントには全国ではちみつの生産に携わる若手の養蜂家が参加を予定しているという。

 全国の養蜂家は、季節ごとの花を求め、ミツバチとともに1年をかけて全国を旅する。ミツバチの活動は、天然の植物や農作物の受粉を助けるなど、大切な働きがあるが、近年はみつ源≠ニなる森林の減少や、自然環境の変化に伴うミツバチの減少や大量死が全国各地で問題化。国産はちみつの危機が叫ばれている。

 豊かな森林に囲まれた同町は、初夏にかけて天然のはちみつを採取する大切な拠点になっている。同協議会は昨秋から、養蜂家が町内で採取した最高品質のはちみつを乙部ブランドのオリジナル商品として販売。濃厚な甘みがある町内産はちみつの人気が高まりを見せている。

 こうした中でのイベント開催に、同町は「豊かな森林は海洋環境をはぐくむだけでなく、水資源の保全や再生可能な資源である木材供給にも欠かせない存在。森の恵みであるはちみつが採取できる森林が全国で失われる中、豊かな森を守り育てることを再認識する契機になれば」としている。雨天時は栄浜ふれあいセンターで開催する。

 参加申し込みは9月20日まで。問い合わせ・申し込みは乙部町農林課林務係TEL0139-62-2311へ。(松浦 純)