2010年8月17日 (火) 掲載

◎今年は残暑厳しく 函館の8月後半も平年以上の暑さに

 16日の道南地域は高気圧に覆われ、ぐずついた天気が回復、函館をはじめ各地で真夏日を観測した。函館海洋気象台によると、17日以降も平年以上の暑さが続く見込みで、8月後半も残暑が厳しくなりそうだ。

 同気象台によると、16日の函館は午前11時57分に最高気温30・6度に達し、8日ぶりに真夏日を観測。北斗市も30・6度を記録し、木古内では31・1度、八雲では30・2度に達した。

 朝から日差しが強く、中心街や観光スポットでは日傘を差しながら歩く女性が見られ、噴水のある公園では子供たちが水遊びに興じていた。

 海水浴場もにぎわい、北斗市内の七重浜海水浴場は午後3時すぎまでに500人以上が来場する盛況ぶりで、家族連れや若者グループが海で泳いだり、砂浜でバーベキューを楽しんでいた。

 このほかの地域の最高気温は、長万部29・2度、森28・7度、松前27・9度を記録し、各地とも平年と比べ2—7度高い気温となった。

 8月の函館が5日に3年ぶりの真夏日を観測し、8日まで4日連続の30度超え。特に6日は観測史上4番目となる33度を記録した。前線の影響で11、12日と大雨に見舞われたが、16日は朝から晴れ、気温が上昇した。(鈴木 潤)



◎企画「ACTION!北海道新幹線」/第2部・函館のいま@苦境脱却へホテルも懸命

 「5年後に迫る新函館開業を占う最高のテストケース。開業効果を最大限発揮するには、青函の連携なしに語れない」。東北新幹線新青森開業を12月に控え、北海道新幹線対策推進機構の事務局を務める函館商工会議所の永澤大樹地域振興課係長の言葉に熱がこもる。

 新青森開業は函館にとって「第一の開業」だ。新幹線で青森に降り立ち、特急一本でつながる道南を訪れる旅客は少なくない。同機構は9月中旬、宇都宮や大宮など北関東に照準を合わせた観光プロモーションに乗り出し、百貨店の北海道物産展にぶつけて函館の魅力を売り込む。

 函館の観光関係者は口をそろえて青函の「連携」を強調する。新青森開業から3カ月後の2011年3月には九州新幹線が全線開業し、新函館開業前年の14年度には北陸新幹線の開業が控えるからだ。「青森、函館とも単独ではオール九州、オール北陸に立ち向かえない」(永澤係長)。

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 開業後をにらんだ需要を狙い、函館市内で相次いだホテル進出は頭打ちだ。08年度末に過去最大の1万室を突破したホテル・旅館の総客室数も、昨年度末には前年度比1・6%減の9907室となり、4年ぶりに前年を割り込んだ。

 函館の観光客数も伸び悩み、価格競争に拍車をかける。函館駅前では一泊2000円台のホテルも登場。小規模な老舗を中心に休廃業も目立つ。今年に入り、築70年以上の銀行建物を活用した「ホテルニューハコダテ」(元町)も休業に追い込まれた。

 ホテルパコ函館(大森町)は08年からの大規模増築計画を工事途中で断念。主に高齢者を対象にしたマンション建設に切り替えた。大橋勉支配人は「開業効果に期待はあるが、先行きの見えない函館のホテル市況の方が深刻」と悲観的だ。近年は大門地区の衰退に伴い「酔客もめっきり減った」とため息をつく。

 一方、開業を見据えた独自の取り組みも出てきた。同機構が6月から始めた電動自転車のレンタルは観光客に好評だ。貸出場所のロワジールホテル函館(若松町)では7月の稼働率が7割以上に。週末は予約で埋まることもあり、「坂の多い西部地区の移動手段に便利」(同ホテル)。

 函館朝市そばのホテルニューオーテ(若松町)は4月、シングルルームを減らして家族向けの4、5人用の客室を増やす大改装に踏み切った。斎藤利仁社長は「飽和状態のホテル業界で生き残るには、ビジネス需要の回復を待つより、個人旅行で伸びている家族層にターゲットを絞った方が得策」と脱ビジネスホテル≠掲げ、新たな需要開拓に力を入れる。(森健太郎)

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 12月4日の東北新幹線新青森延伸と2015年度の新函館駅(仮称)開業に向けて、通年企画の第2部では各地で進む取り組みのほか、並行在来線など、道南が抱える課題を探ります。



◎100歳以上の高齢者不明 函館でも所在調査進む

 全国各地で100歳以上の高齢者が行方不明となっている問題で、函館市は国、道からの通達に基づき、高齢者の所在調査を進めている。16日現在、市内で行方不明となっているケースは出ていない。

 市介護高齢福祉課によると、調査対象者は市内に住民登録があり、すでに100歳以上となっているか、来年3月末までに100歳を迎える高齢者132人(男性20人、女性112人)。最高齢者は105歳。

 市は国、道からの通達を受けて@職員による本人面会A入院、入所中の施設や医療機関への確認B近隣住民や介護サービス事業所職員など第三者への確認—の方法で調査。本人面会による確認は、在宅で介護サービスを受けていない高齢者のみが対象で、16日までに該当する12人と面会し、所在を確認した。

 施設や医療機関への確認作業は17日以降に行う考え。同課は「多いところだと6人が同じ施設に入所している。電話での確認か、直接職員が施設に出向いて会うかなど、事業者と話を詰めていく」と話している。道には25日、国には9月3日までに報告する。(千葉卓陽)


◎矢不来館跡「和人の重要拠点と推測」 発掘調査グループ

 【北斗】弘前大(青森県弘前市)と愛知学院大(愛知県日進市)の合同調査グループが7月30日から、中世に構築されたとされる矢不来館跡の発掘調査に入り、13日に終了した。期間中、銅製の仏具や茶器など200点余りが出土したほか、丸太を立てた跡とみられる「柵木列」などが確認された。同グループの代表で弘前大の関根達人教授(44)は「今回の調査で館が(アイヌが蜂起した)コシャマインの戦い(1457年)の後に最盛期があり、遺物などから茂別館同様、和人の重要な拠点だったことが推測される」としている。

 同グループは現在、中世以降の北方交易と蝦夷地の内国化に関する研究を進めており、その一環で矢不来館跡を調査。同館が造られた年代や現存期間を特定し、館の歴史的な意義を探るのが狙い。来年度も調査を行い、12年度中に調査報告をまとめる。関根教授のほか愛知学院大の藤澤良祐教授(55)、両大学の学生約20人が調査に当たった。

 矢不来館は、中世に蝦夷地に渡ってきた下国安東氏が構築した道南12館の一つ「茂別館」の北約2キロにある。所在が分からなくなっていた時期があったが、1979年に上磯地方史研究会の落合治彦会長が確認した。茂別館の隠し砦(とりで)説、本陣説、アイヌのチャシ(施設)説などがあり、詳しい史実は十分に解明されていない。

 調査グループは期間中、2000年に市教委が調査した場所を含む126平方メートルを発掘調査。濠(ほり)に隣接し、館の中でも最も高い場所に当たる。中国産とみられる茶器、茶臼、越前焼のつぼ、銅製仏具、砥石、すずりなどの石製品が遺物として見つかった。ほとんどが火事か何かで焼けた痕跡が見られたという。陶磁史を専攻する藤澤教授は「15世紀後半から16世紀初頭のものとみられる」と推測する。

 確認された柵木列は館が改修された裏付けとなり、改修後がより強固な館となったとみる。

 来年は3つある濠を調査する意向で、堀とそばにある土塁の関連性を探る。関根教授は「来年は(調査場所が)宗教施設か、御殿だったのか館の中でどのような機能を果たしていたかや、居住者の身分、生活様式、コシャマインの戦いとの関連性などを明らかにしていきたい。遺物などほとんど手つかずの状態にあるので、今後の調査に期待したい」と話す。

 落合会長は「今後の調査に期待したい。矢不来館の解明が進むことによって道南の中世の歴史がいっそう明らかになると思う」と話している。(鈴木 潤)



◎国保税率引き上げへ基本方針提示 北斗市で住民説明会

 【北斗】2011年度からの国保税率引き上げを検討している市は16日、市公民館(市本郷)で国保財政健全化に関する市民説明会を開いた。市は、単年度の赤字を出さず、1人当たりの税額が渡島管内の平均額を下回らない範囲での税率改正とする基本方針を提示。佐藤克彦民生部長は「国保特別会計は非常に厳しい状況。上げ幅は最低限度となるよう検討した」と述べ、理解を求めた。

 市の国保特別会計の赤字額は09年度単年で約1億5000万円、過去5年間の累積額は約8億3570万円となっている。11、12年度2年度平均で1億9246万円が不足すると見込み、税率の算定を進めている。

 説明会では、税額算定時の所得割、資産割などの基準割合を見直し、給与収入世帯、年金収入世帯別など、16のモデルケースを示した。例えば、40代の夫婦2人、被扶養の子2人の4人家族、年収300万円の世帯では、1人当たりの負担額は、年額で現行7万5600円から2万2200円の増額となる。この世帯の固定資産税額が5万円の場合は、同1万7200円の増額となる。

 市は、茂辺地住民センター(17日)、七重浜住民センター(19日)、総合文化センター(20日)でも同様の説明会を開く。時間はいずれも午後6時半から。(今井正一)