2010年8月18日 (水) 掲載

◎サンクスと道内FM6局がコラボ6商品発売へ

 大手コンビニエンスストアのサークルKサンクス(東京)は24日から、FMいるか(函館市元町)など道内のコミュニティーFM6局と共同で企画したご当地商品≠U品を、全道のサンクス194店で一斉に発売する。地域に密着した同社初の試みで、各地ならではの味やアイデアを商品化した。

 商品を通じて地域に根差した店舗をPRしようと、同社が道内6局のコミュニティーFMと共同で企画。函館地区ではFMいるかの番組内で7月から「こんなデザートが食べたい!」と銘打ち、リスナーから函館らしい商品のアイデアを募っていた。

 17日に初披露された函館地区の商品は「函館山みたいなチーズムース」。スポンジケーキの上に山型のチーズムースをのせ、雲や雪をイメージした生クリームをあしらった。ホワイトチョコで山頂の電波塔を表現したり、ムースにブルーベリーのアクセントを加えたりと、見た目も味もこだわった。

 番組には1カ月間で50件以上の味や具材のアイデアが寄せられ、FMいるかは「想像以上の出来。売れ行きに期待している」。サンクスの担当者も「社内にはない発想もあり、今までにない特色ある商品に仕上がった」と話す。

 このほか、FMおたる(小樽市)の「たるたる丼」(485円)、三角山放送局(札幌市西区)の「おにぎり風カレーパン」(116円)など、リスナーの声を基に開発された地域色豊かな商品がずらり。6品には各FM局のロゴ入りシールが張られる。「函館山みたいな—」は一個250円(税込み)。9月20日まで道南のサンクス23店をはじめ、道内全店で取り扱う。(森健太郎)



◎リヤカー引き全国ごみ&笑顔拾い

 【七飯】リヤカーを引いて沿道のごみを拾い歩きながら全国を旅している熊本県宇土市の上村剛さん(35)が17日、七飯町に到着した。6月に東京を出発し、ゴールの札幌を目指す旅も67日目。上村さんは「初めての北海道。おおらかなイメージがあり、期待しています」と話し、各地で出会う人々の笑顔も拾い集めている。

 上村さんは地元でボランティア活動を行うNPO法人「青年協議会」の代表理事。08年から「人拾いとごみ拾いの旅」を始めた。地元九州全県を踏破した後、昨年は、熊本から大阪、大阪から東京までの約1800キロの旅を達成した。ごみ拾いと合わせて、各地の難病連と協力して、難病支援活動に理解を求める啓発の取り組みも行っている。

 今回は、6月12日に東京・明治神宮前をスタートし、東北の太平洋側を北上。今月15日にフェリーで函館に到着した。16日は同市内で休養に充て、17日に旅を再開した。東京から青森までの約890キロの道のりで集まったごみは、空き缶約4300本、ペットボトル約3500本、燃やせるごみは約150袋(60リットル換算)になる。

 上村さんのリヤカーはごみを積むと重さ約200キロになる。目に付いたごみを火ばさみで拾いながら進むため、日が暮れるまで歩いても、1日に進める距離は15─20キロが限界だ。「空き缶ひとつで捨てた人がどんな人か分かる。新しいごみが多い場所は掃除が行き届いているということ。厳しい自然環境の北海道は、環境問題にも厳しいのでは」と話す。

 18日は、国道5号沿いを進み森町を目指し、今後、噴火湾沿いを北上しながら、9月11日に旅を終える予定。上村さんは「『根性あるね』ではなくて『根性いいね』と言われたい。根っこの部分が良くなっていけば、いろんなことが良くなっていくはず」と話し、こつこつと歩みを進めている。

 上村さんの活動は、青年協議会ホームページ(http://seinen-kyougikai.jp/wp/)で確認できる。



◎江差線経営分離問題で北斗市が要望書の共同提出要請

 北海道新幹線が開業する2015年度末までに、江差線の五稜郭—木古内間(37・8キロ)がJR北海道から経営分離されることを受け、北斗市は17日までに沿線の函館市と木古内町に対し、国に財政支援策を求める要望書の共同提出を要請した。木古内は賛同の意思を示したが、函館は態度を保留している。

 同路線に関して、住民の足確保の面から「鉄路維持」を基本方針とする北斗市は、国が並行在来線を抱える自治体に対し、地方負担の軽減策について具体的内容を示していない点を重視。今月11日の市議会特別委員会で早期の財政支援策提示を求め、道内選出の国会議員に対し要望書を提出する方針を確認している。

 17日午前には高谷寿峰市長と小泉征男市議会議長が函館市役所を訪問。小柏忠久副市長、吉田崇仁議長、能川邦夫副議長らと約30分間会談し、共同での要望書提出を求めた。高谷市長は取材に対し「国からの支援策がなければ、(江差線をどうするか)議論が先に進まない。沿線自治体が共同で意見書を上げることで強力な動きになる」と述べた。

 一方、函館市議会は今後、各派代表者会議を開き、提出の是非を審議する方針。吉田議長は「要望を真しに受け止め、検討しなくてはならない」と話した。

 16日には木古内町を訪問し、大森伊佐緒町長、竹田實議長と会談。大森町長は「財政負担の問題はあるが、鉄路維持は一番望ましい形。協力したい」と応じ、北斗側の要請に賛同するとともに「中央での要請活動が終わった後、知事とも懇談する機会を設ける必要がある」と提案した。

 また竹田議長は、北斗市と同様の意見書案を9月の定例会で提案、可決を目指し、議員間での調整に入る意向を示した。(千葉卓陽、松宮一郎)


◎JICAで赴任の3人が帰国報告

 2008年度のJICAボランティア第1次隊員として、アフリカなどに赴任していた函館市出身の3人が17日、市役所を訪れ多賀谷智教育長に帰国報告をした。3人は現地で撮影した写真を見せながら、赴任と通じて学んだことや今後の抱負を語った。

 訪問したのはネパールで環境意識啓発活動に従事した東山の吉岡幹人さん(26)、ボツワナのNGOでエイズ教育を行った島泊町の山田可奈子さん(30)、タンザニアで子どもたちに物理を教えた堀川町の池田友亮さん(24)。2年間の任期を経て、このほど帰国した。

 懇談で吉岡さんは現地での生活を振り返り「ホームステイをして暮らしていたが、病気になった時に本当にホストファミリーが親身になって看病してくれた。人のあたたかさを感じた」と話した。山田さんは「エイズの感染率が高い国で、性に対しておおらかな所。日本との価値観の違いを強く感じた」と語った。池田さんは「現地の子どもたちは電気がない中でも、ロウソクの光で勉強を頑張っていた。日本の子どもたちに今の環境は当たり前ではないということを伝えたい」とした。

 3人は今後それぞれ、就職活動をしたり、引き続き国際貢献活動を続けるという。多賀谷教育長は「学んできた貴重なことを多くの人に伝えてほしい」と述べた。(山田孝人)



◎企画「ACTION!北海道新幹線」/第2部・函館のいまA新駅「入り口」布石着々

 「おーい、みんな仕事だぞ。きょうはお世話になった地元の人たちのために働こう」。ボランティアのひと声で、子どもたちは木のチップを作ったり、まき割りなどの作業に和気あいあいと取りかかる。

 NPO法人ねおす(札幌)がJR流山温泉駅周辺(七飯町東大沼)を拠点に運営する「大沼ふるさとの森自然学校」が今夏実施した、大沼子ども長期自然体験村・南北海道子どもワーキングホリデーでのひとこま。集まった小学生から高校生28人のうち、21人は横浜市から来た“都会っ子”だ。

 自然学校は、JR北海道が同駅周辺で所有する約170ヘクタールの土地を有効活用し、新幹線開業で道南を訪れる人々の受け皿を作る目的で、同法人とJRが連携して昨年6月に設立。長期自然体験村は敷地内でテントを張って自給自足の生活をしながら、地元の大学とジョイントして沼の水質浄化に取り組んだり、地元漁師のコンブ干しを手伝う活動などを通じて、環境問題を自ら考えてもらう趣向だ。

 「新駅のゲートウェイ(入り口)として素晴らしい場所。地域住民の方々と協働しながら、ここを学びの森にしていきたい」。同自然学校のキャンプディレクター、穴沢剛行さん(37)は力強く語る。現在は寝台特急「北斗星」でやって来る子どもたちも、5年後には移動手段が新幹線に変わる。穴沢さんは「活動は常に未完成。地元を巻き込んだトライを繰り返すことで来たるべき時期に備えたい。いつかはこっちから向こう(東京)に行くキャンプもやりたい」。子どもたちの屈託のない姿に目を細めながら、着々と布石を打ち続ける。

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 一方で、観光地・大沼の地盤沈下は深刻の度を深める。函館大沼プリンスホテル(同町西大沼温泉)は今年の営業を11月23日までとし、冬期間の休業を決めた。この状況を裏付けるかのように、七飯町内全体の観光入り込み客数も165万8500人(前年度比17万3400人減)と減少傾向が続いている。

 大沼観光協会は現状打破に向け、組織形態を現在の任意団体から一般社団法人への移行作業を進めており、今秋にも「七飯大沼国際観光コンベンション協会」(仮称)として新たなスタートを切る。同協会の堀元会長は新幹線の開業が法人化の後押しになったとし、「七飯町の将来を考える上で(法人化は)絶対に通る道。お客さんが来てよかった、と思えるような着地点を作るのが我々の仕事」と力を込める。

 勝算はある。同協会が昨年、定額給付金の支給に合わせて実施したバスツアーでは、地区内の飲食店で使えるミールクーポンを参加者に配布。アンケートを取ったところ「接遇がよかった」との回答が多数を占めたという。周辺3町で昨年から進める「環駒ケ岳広域観光協議会」も人脈の幅が広がり、新たな体験メニューづくりも進む。

 「誘致したお客さんが納得しない限り、一過性の場所で終わる。昔と違って観光のニーズが多様化しているだけに、いろいろな産業の間をつなげていく取り組みを強めたい」と堀会長。地道な活動をいかに継続するかが5年後のカギを握る。(千葉卓陽)