2010年8月19日 (木) 掲載

◎八雲の特産品ずらり 丸井今井産直市

 八雲町の特産品だけを集めた「まるごと八雲産直市」が18日、丸井今井函館店(函館市本町)の地下特設会場で始まった。道南の一つの自治体に特化した食品催事は、同店では2月に開催した「道南森町フェア」に続き2回目で、初日から大勢の買い物客でにぎわった。24日まで。

 八雲物産協会と同店の主催。地元以外であまり知られていない食材や加工品などを広くPRし、地場産品の販路拡大につなげる狙い。渡島総合振興局が地域連携事業の一環として協会と店の橋渡し役となり、開催費の一部を補助した。

 今回は町内のチーズ製造や水産加工会社、漬物販売店など9社が出店。酪農が盛んな八雲の牛乳を使ったチーズや八雲牛のハンバーグ、明太子、漬物をはじめ、地元の醸造会社のみそやしょうゆ、熊石地区の海洋深層水からできた塩など、「食卓を彩るほとんどがそろう」(主催者)という品目の多さが特徴だ。

 中でもこの日の朝収穫したばかりのナスやトウモロコシ、カボチャなどの新鮮野菜や、ハーブなどで味付けしたチキンは人気で、午前中で売り切れる商品も。同協会の高橋静副会長は「自慢の安心・安全・新鮮な地場産品を多くの人に知ってもらい、八雲に足を運んでもらえるファンを増やしたい」と話していた。

 催事は午前10時―午後7時(最終日は午後5時まで)。21日午後2時からは野菜の詰め放題イベント、22日午後2時からは数量限定で福袋の販売もある。

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 また、同店7階催事場では同日から、中元用の詰め合わせギフト商品をばら売りする「ギフト解体セール」も始まった。会場にはコーヒーや食用油、めん類など食品約500品目と、タオルや調理器具などリビング用品約70品目がワゴンに並び、開店と同時に割安な商品を求める買い物客が訪れていた。 (森健太郎)


◎企画「ACTION!北海道新幹線」/第2部・函館のいまB新駅名 思惑見え隠れ

 「駅のある行政区の名前とするのが自然だ」「今までの運動の経緯、知名度を考えると函館は外せない」――。6月25日、北斗市議会の新幹線建設促進調査特別委員会(中井光幸委員長、委員8人)は、JR渡島大野駅付近に建設される新函館駅(仮称)の駅名について初めて公の場で意見を交わした。

 委員がざっくばらんに出し合った私見の中には「北斗駅」「北斗函館駅」など具体的な駅名が挙がった。委員会としての合意形成、関係機関への交渉方法などは今後の議論に委ねられることになったが、「北斗」の文字を駅名に入れることで一致。事実上、駅名改称の“運動”が始まった瞬間でもある。今後、市議会としても合意形成を図り、高谷寿峰市長に申し入れする考えで中井委員長は「市民の声も聞き、委員会として結論を出したい」と話す。

 開業まで5年を切り、駅舎のデザインコンセプトも決まり、来年度以降、建設する鉄道建設運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)が駅舎のデザインを複数案提示する流れとなっている。付随して駅名議論も当然出てくる。

 駅名はJRが決定権を持つ。道をはじめ地元自治体の意向、利用者に分かりやすいかなどを考慮し、開業の1年くらい前に決定することとなっている。

 これまで新函館駅は仮称として長く使われ、関係者間では定着しつつある。北斗市側は「あくまで仮称だ」と、仮称の既定路線化に不快感を示す。

 駅名改称議論は2006年、北斗市の海老沢順三前市長が就任時に「駅名を北斗駅にしたい」と発したことをきっかけに沸き起こった。この時、函館市側が反発をした経緯がある。

 函館市の西尾正範市長は3月の市議会定例会で「集客の上で、全国的にも周知されている名前が一番いい。新駅の名称から函館を外すことはならないと考えている」と答弁し、このスタンスは一貫して変わらない。

 高谷市長は駅名については公式の場で言及していないが、議会の意見を尊重するとみられる。

 駅名に関して関係自治体を巻き込んだ公の議論はまだ行われていないが、さまざまな意見が交差する。そこには住民感情が見え隠れする。北斗市の幹部は「合併で誕生したまちをアピールする絶好の場」と駅名に北斗が入ることに期待を寄せる。そして函館市側は、函館の文字が消えることに反発する声が多い。

 これまで既存の新幹線駅の中では異なる要望案が出たケースもあり、12月に開業予定の「七戸十和田駅」(七戸町)の場合、近隣の市町でつくる圏域の協議会が「七戸十和田」と決めたのに対し、同町の議会などは「七戸町」を主張し、JRに両案を示した。

 七戸町の新幹線担当者は「当時の町長は板挟みになり苦労した。地元の意向、圏域の発展、協力を考慮していく必要がある」とする。 (鈴木 潤)



◎犠牲者の冥福祈る…函館市戦没者追悼式

 本年度の函館市戦没者追悼式(市主催)が18日、若松町の市総合福祉センターで開かれた。遺族会や市議会など関係団体、一般市民ら約210人が参列し献花。終戦から65年目の夏を迎えた太平洋戦争の犠牲者を追悼し、平和への誓いを新たにした。

 式では始めに西尾正範市長が「過去を振り返って次の世代に語り継ぎ、再び戦争の惨禍を繰り返すことのないよう恒久平和を確立することが我々に課せられた責務。このことが犠牲になられた方々の御霊(みたま)を鎮めることになる」と式辞を述べた。

 続いて遺族代表で戦争遺児の金木悦さん(81)が「私たちはこの大戦が残した教訓を心に刻み、戦争のない平和な社会を築くため、たゆまぬ努力をすることを誓います」と平和への思いを語った。金木さんの父親は海軍施設建設のため戦地に赴き亡くなった。戦場に向かう日、家族に気づかれぬよう、そっと家を出た父の姿がいまだに脳裏に焼き付いているという。

 参列した寺嶋涼子さん(74)、小松京子さん(72)姉妹は「いつになっても戦争のことは忘れられない」と目に涙を浮かべながら語った。追悼式は無宗教で行い、現在の形となったのは1995年から。日露戦争から太平洋戦争までの戦没者は旧市内で4797人、旧4町村で609人の計5406人。(山田孝人)



◎「海炭市叙景」11月に先行上映

 函館出身の作家、佐藤泰志(1949―90年)の遺作を市民有志が映画化した「海炭市叙景」が、全国に先駆け11月27日から函館で上映されることが決まった。同映画製作実行委(菅原和博委員長)が主体となり、公開までの3カ月でさまざまな広報活動を展開。函館の原風景がふんだんに盛り込まれた“自信作”を全国にPRする。

 函館を彷彿(ほうふつ)とさせる地方都市「海炭市」で暮らす人々が描かれた作品。熊切和嘉監督をはじめ、小林薫さん、南果歩さんら主要キャストのほか、市民エキストラも出演した。同実行委ではこの作品で全国約7万人の観客動員数を目指している。

 18日からは同実行委メンバー約30人が市内各所で、完成したばかりのチラシを配布した。9月12日には市地域交流まちづくりセンター(末広町4)でエキストラ出演した市民が登場するトークライブや初の写真展も開催する。

 また、9月上旬には山口県で行われる「全国コミュニティシネマ会議」でも特別上映が決定。11月18日には、制作協力者を招待した試写会を市芸術ホール(五稜郭町37)で開き、監督や主要キャストなどが駆け付ける予定という。

 菅原委員長は「函館が舞台になった映画の中では最高の仕上がりだと思う。今までとは一味も二味も違う作品をより多くの人たちに楽しんでもらいたい」と話す。

 同作は函館市本町のシネマアイリスを皮切りに、12月上旬から全国約60館で公開する。アイリスでは9月上旬から前売り券を発売する。 (小杉貴洋)


◎専門家委を函館で初開催…縄文遺跡群

 「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」の世界遺産登録に向けた基本コンセプトを整理する「第4回縄文遺跡群世界遺産登録推進専門家委員会」(委員長・菊池徹夫早大教授)が23日、函館市で開かれる。全国の考古学者ら7人でつくる委員会で、函館での開催は初めて。

 同委員会は同遺跡群の世界遺産登録に向けたエリアや縄文文化の定義、遺跡の位置付けなどの考え方を統一するため昨年6月に設置された。同委員会で示された考え方は国に提出する推薦書に盛り込まれる。また北海道や青森県など関係道県の担当課長らでつくる、「縄文遺跡群世界遺産登録推進会議」に意見を述べる役割も担う。

 同委員会には6人の専門委員のほか、文化庁や関係道県、遺跡が所在する12市町の担当者が顔をそろえ、函館市からは阿部千春市教委生涯学習部参事らが出席する。

 今回は22日から、大船遺跡(函館市)や鷲ノ木遺跡(森町)など道南の対象遺跡を視察するほか、魚の骨や土器などを廃棄していたといわれる「貝塚」を持つ各遺跡所在地の担当者が、調査研究成果の報告を行う。また第1―3回委員会で議論を重ねてきた、同遺跡群全体の考え方も議題に上る予定。

 同遺跡群は道南のほか、青森県の三内丸山遺跡、岩手県の御所野遺跡、秋田県の大湯環状列石など15遺跡で構成。2008年9月に世界遺産暫定リスト入りした。15年度の本登録を目指している。

 また同委員会が開かれる函館市役所では、1階市民ホールで大船遺跡出土の土器や、世界遺産登録へ向けた取り組みなどを紹介する「北の縄文パネル展」(渡島総合振興局、市など主催)を開いている。24日までで、午前8時45分―午後5時半。 (山田孝人)