2010年8月2日 (月) 掲載

◎函館港まつり開幕

 函館の夏を華やかに盛り上げる「開港151周年記念函館港まつり」(同実行委主催)が1日、開幕した。あいにくの雨交じりの天候のため、「箱館開港パレード」などが中止となったが、「函館ペリー来航回顧ボート競走」は予定通り行われ、海上で繰り広げられる激しいバトルに市民や観光客らが熱い声援を送った。

 同競走は、1854(安政元)年にペリー提督率いるアメリカ艦隊が箱館に入港した際、日本の役人が小舟をオールで漕いで米艦船に乗り移った史実にちなみ、昨年の「函館開港150周年記念事業」に協賛して初めて実施。本年度からは函館港まつりの協賛イベントとして継続することになった。

 男子31チーム、女子8チームが出場。それぞれ2―3チームずつに分かれ、函館市青函連絡船記念館摩周丸付近の岸壁からスタートし、往復150メートルのコースを勝ち抜き方式で争った。一般(男子)の部はteam汐吹(江差)、女子の部は縄文レディース(函館)が優勝した。

 昨年に続き連覇を果たした縄文レディースは、旧南茅部地区で市埋蔵文化財事業団の発掘作業員として活動するメンバーで構成。リーダーの横山ゆかりさん(29)は「(連覇の)プレッシャーはあったが、チームワークの勝利。来年以降も記録を伸ばしたい」と喜んでいた。

 この日は華やかな歴史絵巻が繰り広げられる「箱館開港パレード・高田屋嘉兵衛からペリーへ」や「陸上自衛隊第11音楽隊演奏会」などが中止となったが、函館駅前や大門グリーンプラザ付近などには数多くの屋台が立ち並び、浴衣姿の市民や観光客らでにぎわいを見せていた。

 2日は午後4時半から「ワッショイはこだて(十字街・松風コース)がスタートし、函館港踊りやいか踊り、八雲山車行列「勝太鼓」などが披露される。(小川俊之)



◎函館市功労者7人を表彰

 2010年度函館市功労者の表彰式が1日、函館市湯川町1の市民会館小ホールで行われた。本年度の受賞者7人に西尾正範市長から表彰状と記念品が手渡された。

 功労者は前函館表装協会会長の小池田宏氏(83)、前亀田商工会会長の竹林良雄氏(75)、前函館国際観光コンベンション協会副会長の中野豊氏(75)、函館地方電気工事協同組合理事長の佐藤征次氏(71)、函館商工会議所副会頭の松本栄一氏(70)、前函館建築板金事業協同組合理事長の伊藤隆義氏(69)、南かやべ漁業協同組合代表理事組合長の鎌田光夫氏(65)。いずれも、市の産業経済や保健福祉、防災などに長年にわたり貢献した公益功労者として評価を受けた。

 式には約100人が出席。西尾市長は「函館市の発展のために多大な貢献をしてくれたことに敬意と感謝を表したい」の式辞を述べ、表彰者にに表彰状と記念品を手渡した。

 被表彰者を代表して小池田氏が「このような意義深い受賞は身に余る光栄。私一人の力では決してここまで頑張ってこられなかった。家族や関係者の協力には深く感謝している」と謝辞を述べた。(小川俊之)



◎09年度の渡島管内観光客数が最低

 渡島総合振興局は、2009年度の渡島管内観光客の入り込み数と訪日外国人宿泊者数を発表した。観光客数は924万7500人で、08年度の973万5800人を48万8300人下回り、対前年比5・0%の減少。現行方法で調査を始めた1997年以降、最少となった。世界的な経済不況や新型インフルエンザ流行などで、観光への消費者意識の冷え込みが大きく影響した。外国人宿泊数は中国からの観光客が大幅に伸び、本年度も好調だという。

 いずれも速報値。前年度を上回ったのは、松前、福島、知内、木古内、鹿部、森、八雲の計7町。伸び率が最高だったのは木古内町で、34・0%増の3万8200人。大型駐車場完備のサラキ岬公園チューリップ祭り、海産物販売会など風光明美を生かした催しが効果を上げたとみられる。「道の駅」がオープンした松前町も対前年比16・5%増の56万3800人。知内町が同10・2%増の12万4500人、福島町6・9%増の7万3200人と渡島西部で軒並み増加。同振興局は、高速道路のETC休日特別割引や道縦貫自動車道落部IC開通が加わったことなどが主な要因と分析する。

 一方、前年度を下回ったのは函館市と北斗市、七飯町、長万部町。函館市は22万9900人減の433万1900人、北斗市が5万8900人減の59万3500人、七飯町は17万3400人減の165万8500人、長万部町が16万6800人減の46万4700人だった。

 新型インフルによる国内外ツアー客・修学旅行の自粛や景気低迷による旅行控えなどが響いたという。

 訪日外国人宿泊数は14万4211人で、同2・3倍となった。08年度と同じく、台湾が7万3621人と最も多い。次いで韓国が3万1102人、中国が1万846人、香港9698人、シンガポール5564人。宿泊実数は8万1586人増だった。

 増加の背景として大型の4宿泊施設が今調査から加わったこと、中国の経済状況の回復、訪日個人観光査証(ビザ)の受け付け開始が大きな要因で、同振興局は「中国の一大旅行シーズンの旧正月などに増えた。本年度も好調で、駒ケ岳登山や函館競馬場のリニューアルなどがプラス材料。箱館奉行所のオープンも好材料となるはず」と話している。(田中陽介)


◎【煙のゆくえ・4】職場、経営者の判断に左右 飲食店、愛煙家に解放の店も

 身近な職場や飲食店の禁煙や分煙の状況はどうか。函館商工会議所常務理事の桜井健治さんは「経営者の自覚で決まる」と言い切る。会議所では事業所の判断を尊重し、これまでも分煙指導などの取り組みは行っていない。「社長がたばこ好きだと対応は難しい」との立場だ。

 だが、会議所自身はビルを移転した昨年4月、すべての事務スペースを禁煙化した。職員の半数はたばこを吸うが、対外的なイメージも重視した。「会頭をはじめ喫煙習慣のない役員が多く、取り組みやすかった」(桜井さん)。喫煙に要する時間は「頻繁に席を外す人もいる。かなりの時間がロスになり仕事の能率が下がる。業務にも差し障りがある」と問題視する。車庫内部に喫煙室を設けたが、利用時間は午前10時と午後3時の1日2回に限定。喫煙習慣のある男性職員(41)は、「正直言うと時間外でも吸いたい時はあるが、制限されたことで業務に集中できる時間は増えた」と納得した。

 庁舎の禁煙化を進める道に足並みをそろえた企業もある。海洋土木の菅原組(函館市浅野町)は「建設業界は意外と敏感だ。国や道が仕事先となるので、人を迎える会社の事務所を禁煙にするのは自然な流れだった」とする。だが、このような取り組みはまだまだ多数派とは言えない。

 客と従業員が同じ空間で過ごす時間が長いのが飲食店だ。市内でも「食事の後に一服すると気分が落ち着く」(函館の30代男性)という愛煙家は少なくない。喫煙席は簡単に無くせない。そこで禁煙席を設ける店も多いが、「食べている時に隣のテーブルで吸われるのは嫌だ」(函館の40代女性)との声も無視できなくなってきた。

 禁煙や分煙に悩む飲食店からは「今こそ、愛煙家がくつろげる場所を提供して集客につなげたい」という声も出てきた。函館市港町1の喫茶店「クロエ」を経営する青木太さん。自身は喫煙しないが、営業戦略として「愛煙家が心地よく居られる店づくり」を掲げる。青木さんの狙いは当たり、禁煙や分煙の流れが広がる中で肩身を狭くしている愛煙家で店はにぎわっている。近くにある市立函館病院は敷地内が禁煙のため、医師や看護師だけでなく患者も訪れる。

 青木さんは「あえて禁煙にして収益を下げるリスクは負いたくない。吸わない人には我慢してもらう」と力を込める。たばこを片手に友人との会話を楽しむ市内の女性(32)は「吸えない場所では我慢する。ここでは気にせずくつろげる」と、笑顔で紫煙をくゆらす。(小泉まや)


◎渡辺先生の本がハングル版に

 本紙に毎週土曜日掲載の「Let’s Try(レッツトライ)理科実験」を担当する市立函館高校の渡辺儀輝教諭(44)の著書「おもしろ実験と科学史で知る 物理のキホン」のハングル版が、韓国の出版社「Argo Nine」(アルゴナイン)から出版され、韓国の書店にも並んでいる。同著書は科学史をひもとき、ユニークな実験を交えて物理の基本を分かりやすく伝える一冊。渡辺さんは「身近な実験を通して科学に親しみ、韓国での理科振興に役立てば」と話している。

 日本では昨年5月、東京の出版社ソフトバンククリエイティブから出版された。今年1月ごろ、同著書を目にしたアルゴナインからソフトバンククリエイティブを通じてハングル版の出版の話が舞い込み、4月に発行された。

 ハングル版は日本語版と表紙や大きさは異なるが、内容はすべて同じでオールカラー。力学、熱、光、電気、流体の5章で構成される。多くの科学者の功績が、思考のリレー≠ニなって次代に引き継がれ、現代の科学技術を支えていることを知ってもらおうと、科学史を分かりやすく解説。その要点を身の回りの物を使った実験で体験できる内容となっている。

 日本語版は222ページで価格は1000円。全国の主要書店で取り扱っている。(宮木佳奈美)