2010年8月22日 (日) 掲載

◎湯の川温泉いさり火まつり、晩夏の夜空に大輪

 函館の夏祭りの最後を飾る「第45回はこだて湯の川温泉いさり火まつり」(実行委主催)が21日、同温泉街で開催された。晩夏を彩る3000発の大輪が夜空に咲き、大勢の観客が行く夏を楽しんでいた。あわせて、源泉をみこしで運び湯倉神社(湯川町2)に奉納する「いさり火献湯行列」、灯篭(とうろう)流しも行われた。

 花火大会は昨年、悪天候で順延となったが、今年は無事に開催。河内孝善実行委員長が「無事に開催できて感慨深い。今夜は夜空を眺めて幸せな気分になっていただきたい」とあいさつした。カウントダウンとともに、大き音をたてて花火が夜空に打ち上げられると観客は「おお!」「きれい」と歓声を上げながら夢中で空を見上げていた。

 家族4人で訪れた市内の宮川りささん(34)は「子どもにきれいな花火を見せたくて訪れました」と話し、その美しさに魅了されていた。

 花火に先立ち日中は献湯行列を実施。ホテル入川(湯川町3)で行われた温泉採湯式では、神事を執り行った後、みこしの中のタンクに源泉を注ぎ入れた。みこしの担ぎ手約50人は、同ホテルから湯倉神社までの約3キロの道のりを、途中で休憩を挟みながら約1時間半かけ、「えいやー」と威勢のよい掛け声とともに練り歩いた。

 沿道には観光客や市民が見物し、勇壮なみこしをカメラにおさめ、お祭り気分を満喫していた。実行委は「温泉旅館の命である温泉が脈々と受け継がれ、絶えることのにようにしたい」と話していた。(黒田 寛)


◎企画「ACTION!北海道新幹線」/第2部・函館のいまE現駅前”顔づくり”急務

 今月5日。西尾正範函館市長、高野洋蔵函館商工会議所会頭ら、現在の函館をリードする顔ぶれが、港まつりで歩行者天国となったJR函館駅前に集結した。札幌延伸の際にJR北海道が函館駅—新函館駅(仮称)間17・8キロを並行在来線として経営分離する方針を示したことを受け、“函館の総意”として延伸後もJRによる運行を求める署名活動を行うためだ。

 JRが今春に同区間の経営分離を表明して以降、地元政財界ではこれに異議を唱える動きが本格化。7月からは全市的な取り組みを目指して市町会連合会、東商工会、亀田商工会が署名活動を行った。

 ただ、駅前での活動の2日前には道商工会議所連合会の高向巌会頭からの要請を受けて、西尾市長、高野会頭が道庁に出向き、延伸を求める署名にサインをしていただけに、地元でのトップ自らの行動は一種の矛盾にも映る。しかし、西尾市長は「同区間のアクセス列車がJRにおいて運行することを前提に署名してきた」と話し、最後の一線は譲らないとの姿勢だ。

 オール北海道で進める延伸運動に参加しながらも、地元関係者には「延伸でさらに札幌一極集中が進んでしまう」との本音も潜む。高野会頭は「道や道商連の調整のやり方によっては、また市長に(経営分離の)『判を押すな』と言わなくてはならない」と、札幌サイドの動きにクギを刺した。

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 政財界が経営分離問題に精力を傾ける中、刻一刻と近づいてくる新函館開業。現駅前の新たな顔づくりが急務だが、大門地区の空洞化には歯止めがかかっていない。

 「5年後はもちろん、12月の新青森開業も大変な転換期になる。このままでいいのかという思いは強い」。JR函館駅の真正面に位置する和光ビルの管理会社、NAアーバンデベロップメントの布村隆二社長(45)は危機感を募らせる。

 1968(昭和43)年に開業し、不況と大門全体の地盤沈下に伴って近年は空きフロアが目立つ同ビル。しかし昨年から、市の事業として小さなレンタルボックスを並べたアンテナショップ「たまて箱」をはじめ、アミューズメント性を備えた鉄道ショップ「北海道鉄道博物館」、親子の遊び場「大門キッズスタジアム」など、新たなテナントが次々と入居。DCブランドが軒を連ねた以前とは違った魅力を見せ始めた。

 「以前はテナントがなくなっても“去る者は追わず”だったが、それではいけない。函館の顔という使命を感じて行動しなくては」(布村社長)。一方で、築40年以上の建物は老朽化が否めない。「20年持つかと言われたら無理。新たなテナントを入れながら、オーナーには建て替えも提案していく」と話す。

 中心市街地の活性化をはじめ、人口減少や雇用の場の少なさなど、函館が抱える課題は他の地方都市と共通する。一方で多彩な観光施設や豊かな食材など、他地域に勝る資源に恵まれているのも事実。余りある可能性をどう生かすか、道南・函館の真価が問われる日が近付いている。(千葉卓陽)



◎児童らプロ棋士の屋敷九段と指導対局

 プロ棋士の屋敷伸之九段を迎えた特別指導対局が21日、日本将棋連盟函館中央支部(函館市五稜郭町17)で開かれた。小学生から一般まで9人が参加し、プロの実力を体感した。

 札幌出身の屋敷九段は、1990年に史上最年少の18歳でタイトル(棋聖位)を獲得。97年には第25回将棋大賞の連勝賞と殊勲賞に輝いている。この日は小学生を飛車角落ち、中高生を飛車落ちで、一度に3人を相手にする「3面指し」で対局。一般の腕自慢3人との手合わせでも、鮮やかな駒さばきを見せていた。

 函館港小5年の野田省吾君は「今日はとても緊張したけれど、プロと対局することができて勉強になった。自分も将来はプロを目指したい」と刺激を受けていた。

 屋敷九段は22日に函館新聞社(函館市港町1)で開かれる「第14回道南竜将戦」でも指導対局を実施。この日はサイン会も予定されている。問い合わせは同社TEL0138・40・7733。(小川俊之)



◎「はこだて国際科学祭」開幕

 多彩なイベントや実験などを通して科学の魅力を伝える「はこだて国際科学祭」(サイエンスサポート函館主催)が21日、函館市内3地区8会場で開幕した。初日は地元の高校生らが研究発表を行う「サイエンストーク」などが開かれ、多くの市民らが楽しみながら科学の魅力に触れていた。29日まで。

 同祭は函館市と函館圏の高等教育機関、市民団体などが連携し、昨年初めて実施。2回目となる今回は「食の未来を函館から考える」をテーマに、食べ物という身近な題材をさまざまな視点から切り開いていく。

 函館市中央図書館で開かれた「サイエンストーク」には函館圏の4高校に加え、高校生科学研究国際大会の参加者らが出演。このうち函館水産高校は「食品加工残さを活用した魚醤油の製造とその利用法」を発表。高校生の柔軟な発想力が注目を集めていた。

 五稜郭タワーアトリウムでは、サイエンスライブ2010「ビールを科学し、JAZZを味わう」を開催。サッポロビールでビールの味を数値化する「コク・キレセンサー」や「喉ごしセンサー」の研究を行っている金田弘挙さんを迎え、ビールのおいしさを科学的に分析した。参加者を対象としたビールの味覚テストでは、真剣な表情で香りや味わいをチェックしていた。後半は、ジャズシンガーのMIZUHOさんのステージが繰り広げられ、観客はビールを試飲しながら美しい歌声を楽しんでいた。

 訪れた市内梁川町の矢部博文さん(50)は「ビールの味の違いを見分けるのは難しかった。身近な飲み物を科学する試みはとても興味深い」と話していた。

 このほか、市地域交流まちづくりセンターでは29日まで「おいしく、食べる」の科学展が行われているほか、22日には科学夜話(サイエンス・カフェ)など多彩なイベントが開かれている。同祭の詳しい内容はホームページ(http://www.sciencefestival.jp/)で紹介している。(小川俊之)


◎しかべ海と温泉のまつり、カッター競漕で熱戦

 【鹿部】第29回しかべ海と温泉(いでゆ)のまつり(実行委主催)が21日、鹿部漁港で開かれた。伝統のカッター競漕(きょうそう)大会をはじめ、豪華景品が当たるビンゴ大会、ゲストを招いたサマーステージなど多彩なイベントで地域を盛り上げた。

 開会式で、実行委員長の吉康郎鹿部温泉観光協会長が「鹿部最大のイベントで観光の大きな目玉にもなっている。もてなしの心を持って、楽しい一日にしてほしい」とあいさつ。メーンイベントのカッター競漕が開始された。

 今年は、男子18、女子6チームが出場。舟をこいで、途中で救命胴衣を拾いながら片道90メートルの距離を往復するレースで、見物客からは「息が合ってないぞ」「頑張れー」などと盛んに声援が送られた。男子は「宮浜A」チームが2分5秒、女子は「渡島リハビリ女子」が2分40秒のタイムで見事に優勝し、それぞれ、優勝旗が贈られた。

 初めて町外からの参加となった厚沢部町職員でつくる「チームコウヘイMkU」は特別賞を受賞。同チームの首藤浩平さん(24)は「後ろこぎのボートと知らずに参加し、予想以上に難しかった。来年、リベンジしたい」と話していた。

 このほか、会場には屋台が並び、商工会女性部手作りのすり身汁が振る舞われた。また、近海の魚介類を集めた「ふれあい水族館」コーナーでは素手でタコやカレイを触ったり、「ソイの稚魚すくい」なども楽しめ、子どもたちの人気を集めていた。