2010年8月24日 (火) 掲載

◎ベジフル函館、大野農高校生と「野菜ケーキ」試作

 ジュニアベジタブル&フルーツマイスター(通称・野菜ソムリエ)の有資格者らでつくる「ベジフル函館」(川崎保江代表)がこのほど、地元の野菜をふんだんに使用した「野菜ケーキ」を試作した。今回は大野農業高校食品化学科の2年生5人が製造に協力。川崎代表は「野菜本来の味を生かした味わい深いケーキができた。今後は試食会などを通じて一般の意見も取り入れながら、函館の特産品に育てたい」と話している。

 今回試作したのは、ルバーブと呼ばれるハーブ系野菜を使ったシフォンケーキと、ニンジンケーキ、ゴボウケーキの3種。いずれも素材の味を前面に出した濃厚な風味が印象的で、お菓子として食べるとともに、酒のつまみにもなりそうな癖になる味わいが特徴。

 今回は28日に函館市西桔梗町863の「キョーツー株式会社」で開かれる「やさい祭り2010」(同実行委主催)に食メニューとして提供するもので、手作りのパウンドケーキなどが評判の大野農の生徒に協力を依頼した。

 同校の岩崎あすかさん(17)は「自分たちでは思いつかない独創的なレシピで、とても刺激になった」。川崎代表も「子どもたちの手さばきの良さには驚いた。これからも互いに協力しながら、斬新なアイデアを出し合っていきたい」と話していた。

 野菜まつりは午前10時スタートで雨天決行。野菜ケーキは数が限られているので、早いうちに品切れになる可能性が高いという。(小川俊之)

 


◎世界遺産登録へ推進専門家委「垣ノ島も縄文遺跡群に追加を」

 「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」の世界遺産登録に向けた基本コンセプトを整理する「第4回縄文遺跡群世界遺産登録推進専門家委員会」(委員長・菊池徹夫早稲田大学名誉教授)が23日、函館市役所で開かれた。委員から、同市南茅部地区の垣ノ島遺跡を登録に向けた遺跡群に追加することを求める声が上がるなど、今後、現状の15遺跡に加え新たに道南から世界遺産候補が出てくる可能性も出てきた。同委員会が遺跡の追加について言及するのは初めて。

 会合では、世界遺産登録を目指す遺跡群について、現状の北海道と北東北とした地域設定の理由などを協議。事務局は「縄文時代、この地域は共通の物質文化を持った文化圏が成立していた。日本の縄文文化を代表する地域と言え、遺跡を群としてとらえる場合、現状のくくりが妥当を考える」と北海道、青森、秋田、岩手の4道県で構成した理由を説明した。

 その中で委員の小林達雄国学院大学名誉教授は「まだまだ重要な遺跡はあり、この15遺跡だけでいいのか。垣ノ島遺跡や大森勝山など早急にこの中(遺跡群)に入れるべき」と指摘。垣ノ島遺跡(臼尻町)は国内最大級の盛土遺構が確認され、環状列石が特徴的な大森勝山遺跡は青森県にある。

 また遺跡群を現状の範囲とする理由を菊池委員長は「この地域は日本各地にある縄文文化の一番色が濃いところ。根源的な縄文文化の地だと思っている。今後それをわかりやすく一般や世界に伝えることが大事」と見解を述べた。

 このほか「貝塚」の調査報告が行われたほか、委員会に先だち、鷲ノ木遺跡と大船遺跡の視察が実施された。同委員会は全国の考古学者ら7人で構成され、函館では初開催。会には関係者を含め約40人が出席した。同遺跡群の世界遺産登録に向けたエリアや縄文文化の定義、遺跡の位置付けなどの考え方を統一するため昨年6月に設置された。同委員会で示された方針は国への推薦書に盛り込まれる。(山田孝人)



◎森町議員定数・報酬削減問題 町長と議長、アンケート結果めぐり応酬

 【森】議員定数などの削減幅をめぐり、森町長と議会が対立している問題で、佐藤克男町長、野村洋議長が23日、相次いで会見を開いた。佐藤町長はアンケート結果を公表し、「民意の80%以上が町長案への賛意。批判の声や議員案への賛意は真摯(しんし)に受け止める」と述べ、議会に再検討を依頼したことを明かした。一方、野村議長は「二者択一式で、恣意(しい)的な回答を誘導する内容。町民の意見は参考にするが、議会が決めた定数が結果によって左右されるものではない」と反論した。

 アンケートは広報誌8月号にはがきを添付し、▽議員報酬について「議会決議の7・7%削減」か「町長要請の20%削減」▽議員定数について「議会決議の16人」か「町長要請の12人」のいずれかを選択する方式。配布数の21・7%に当たる1632通の回答があり、報酬、定数ともに町長案に賛成の意見が8割となった。

 佐藤町長は、多くの民意を反映する結果として「(未回答者の中には)広報を読んでいない、興味のない人もいるだろう」と述べた。「アンケート費用の公費支出を議員が問題視するのは議論のすり替え。私の意見が通るのであれば、安価で費用対効果の高い手法」とした。

 野村議長は「報酬については現在も審議中。定数削減は町長も出席した議会の場で正式に決定したこと」と町長の手法に疑問を呈する。また、「町民のほとんどが広報を読んでいる。回答率が2割程度なのは『アンケートは返答するに値しない』という判断ではないか」と述べた。

 今後について、佐藤町長は「互いの歩み寄りはあってしかるべき。何もない場合は、首長としてできる範囲での調整をしなくてはならない」と専決処分などを検討していることを示唆した。野村議長は「全面対決ではないが、行財政改革という大事な仕事がある中で、大変な事態。長引くようであれば、議会側として重大な判断をしなくてはならない」とした。(今井正一)



◎「野菜」価格高騰 天候不順や夏の暑さで 「規格外」販売に力

 春先の天候不順と夏の暑さが野菜の生育に影響し、価格の高騰を招いている。函館市内でも、ホウレンソウ、レタスなどの葉物を中心に市場に出回る数が減少。このためスーパー各店では、食味には問題のない、重量や形状が規格外となる野菜の販売に力を入れている。

 イトーヨーカドー函館店(美原1)では、通常1束198円のホウレンソウを298円で販売。店関係者は「市場に葉物が出回らず、入荷ができない状況」と話す。函館青果物商業協同組合の川崎正博理事長も「暑さの影響でキュウリやダイコンなども入荷量が減っている」と語る。

 同店では形状的に規格から外れるインゲンを「まがったインゲン」と名付け1袋98円で販売している。通常198円する品物を安価で購入できるとあって「まがった—」シリーズは消費者から好評を得ている。

 コープさっぽろでも7月31日から、規格外品を「ぶこつ野菜」と名付けブランド化。ジャガイモ、キュウリ、トマトなどを1袋200—300円程度で店頭に並べている。同店ひとみ店で「ぶこつ野菜」を購入した主婦(57)は「品質も良く量も多いので、最近よく購入する」と話し、60代の女性も「味が良ければ形にはこだわらない」と評判も上々だ。

 同店関係者は「まだ、始めたばかりの試みだが、確実に数字を伸ばしてきている。より多くの消費者に『ぶこつ野菜』の存在を浸透させていきたい」と話していた。(黒田 寛)


◎美鈴コーヒーの味をカステラに 不二屋本店が発売

 観光土産品卸売業の不二屋本店(函館市西桔梗町)は、コーヒー製造・販売などの美鈴商事(同市上湯川町)のコーヒーを使った「美鈴珈琲(コーヒー)カステラ」を発売した。国内で初めてコーヒーが飲まれた街とされる函館で、道内最古の歴史を持つ老舗コーヒー店の味を広くPRし、新たな函館発祥スイーツ≠ニして売り込んでいる。

 同社が今年4月に発売したキャラメル「函館美鈴珈琲キャラメル」(130円)が半年足らずで約4万5000個が売れる大ヒット商品に。今回は第2弾として、古くから親しまれるカステラに着目し、春先から試作を重ねて商品化にこぎつけた。

 原料にはアイスコーヒーなどで使われる深めに焙煎(ばいせん)した豆の抽出エキスを使い、口の中にコーヒーの香りやコクが広がる味わいに仕上げた。小麦粉や乳製品も道産素材にこだわり、じっくりと焼き上げることでしっとりとした重量感も出した。

 製造は市内の専門業者に委託しているが、手間のかかる工程のため、一日60本程度しか生産できないという。パッケージには1932(昭和7)年に市内栄町で創業した前身の「鈴木商店」の外観写真をあしらい、歴史を超えて受け継がれる伝統の味を表現した。

 発売から約1カ月で既に1800個を販売する「驚異的な売れ行き」(不二屋本店営業課)で、9月3—5日に棒二森屋で開かれる「はこだてスイーツフェスタ」にも出品される。不二屋本店は「商品のリピーターを増やし、観光客や市民に長く愛される定番土産に育て上げたい」。

 一箱1本(約380グラム)入りで、1260円。市内の美鈴商事の直営店のほか、函館駅前や函館空港などの土産店などで取り扱っている。問い合わせは不二屋本店TEL0138・49・5175。(森健太郎)