2010年8月25日 (水) 掲載

◎大沼で戦没者供養茶会 平和への祈り「千の風」に乗せて

 【七飯】茶道裏千家前家元の千玄室さん(87)と彫刻家の流政之さん(87)を招いた「北海道函館・大沼平和の祈り」が24日、町東大沼の流山温泉彫刻公園で開かれた。千さんが平和への祈りを込めて茶をたて、流さんが制作した慰霊碑「もどり雲」前に献茶。幾多の戦没者の霊を慰めるとともに、戦争のない恒久の平和を誓った。

 茶道裏千家淡交会函館支部、北海道流塾、JR北海道文化財団の主催。千さんと流さんは第2次大戦の戦友で、2006年8月24日に東大沼で再会を果たした。戦後65年の節目に合わせ、再び同地で平和の祈りをささげるために訪れた。

 この日は、中宮安一七飯町長、町在住の作家で作詞作曲家の新井満さんら関係者約150人が参列。JR北海道の坂本眞一相談役は「4年前にこの地で両氏が再会したときも大雨が晴れた。本日も雨がやみ、まさに奇跡という思いでいっぱい。末永く、平和への願いを伝えていかなければならない」とあいさつした。黒田月水さんによる土佐琵琶演奏の後、流さんがこの日のために制作した点茶盤で千さんが茶をたて、もどり雲にささげた。

 続いて、七飯東大沼小学校全校児童14人が「千の風になって」を合唱。子どもたちの歌声が空に響いたころ、澄み渡った青空と日差しが戻り、雄大な駒ケ岳が姿を見せた。

 千さんと流さんは「この地で、世界の恒久平和と戦没者のために祈りをささげることができ、感激でいっぱい」と話した。また、新井さんは「『千の風になって』は命の歌。平和とは命を伝達していくこと。子どもたちの歌を聴き、平和の祈りにふさわしい場所だと感動している」と話していた。(今井正一)

 


◎函館空襲の悲劇 後世に伝える 万年橋小で戦争体験講話

 函館万年橋小学校で24日、地域住民による戦争体験講話が行われた。函館市北浜町の寺岡祥介さん(80)を講師に招き、4年1組の児童が65年前に起きた函館空襲の生々しい現状を学んだ。

 同校では戦争に関する学習に役立てるため、戦争体験者から直接話を聞く機会を設けている。寺岡さんは同校の卒業生で、PTA会長を務めていたこともあり、毎年講師として話をしている。

 寺岡さんはまず、5歳の時に体験した函館大火について「まだ幼かったが、家族とともに命からがら逃げ惑った記憶はくっきりと残っている」と話した。15歳の時に体験した函館空襲については「七重浜の親せきの家から函館が爆撃される様子が確認できた。要塞(ようさい)であるはずの函館山からはほとんど砲撃が見られず、米軍機からの攻撃を受け続ける一方だった」と振り返った。

 寺岡さんは「戦争は大人同士のけんか。それを武力や暴力を使って解決するのではなく、お互いに話し合いをしなければいけない」と訴えた。

 子どもたちは自分たちの住む函館の地が戦争の舞台となったこと事実に驚きながら、平和の大切さを学んでいた。(小川俊之)



◎北海道ブランド確立へ初会合 27日に札幌で

 「北海道ブランド」の確立を目指し、函館や札幌、旭川など道内9都市が観光や新産業振興の分野で連携しようと新たな会議を立ち上げる。27日には札幌市で初会合を開き、各都市が力を入れている取り組みについて話し合う予定で、函館市は「観光を含めた地域経済の活性化につなげたい」としている。

 この会議は札幌市が提唱し、「北海道内都市経済活性化会議」(仮称)として各市の局長、部長級が参加する。豊かな食や水、観光資源など各地がそれぞれ持つ強みを生かすため、協力して事業に取り組む目的。具体的事業としては、各地の特産品を北海道ブランドとして売り出すことや、物産展の共同開催などが想定され、各都市における来年度の予算編成に向けて検討を進める。

 人口10万人規模の市に参加を呼び掛け、3市のほかに江別、小樽、帯広、北見、釧路、苫小牧が参加。室蘭市も参加を検討している。道、道経済産業局はアドバイザーとして入る。

 札幌市によると、同会議は年2回開催する考え。27日の初会合では各市が取り組んでいる事業などを紹介しながら、観光、食資源、環境産業、バイオなどの新産業に関する4部会を設置する方針。同市は「単独の施策には限界がある。関係都市で強みを共有し、資源に高い付加価値を付けていきたい」(経済局)と説明する。

 函館市から参加する備前悟経済部長は「地域としても北海道一体となったブランドづくりに取り組みたい。観光はもちろん、水産加工や機械金属といった基幹産業の振興につながれば」と話している。(千葉卓陽)



◎「長雨いつまで…」桧山で戸惑う声

 【江差】桧山南部では今月に入り豪雨や長雨が続き、市街地や農地の冠水被害が相次いだほか、高温多湿による農作物への影響も出始めた。台風シーズンの到来を前に被害の拡大を懸念する声も上がる。住民は「雨はいつまで続くのか…」と、困惑気味に空を見上げている。

 江差町では8月1―23日の総雨量が227ミリに達した。平年値の151.7ミリ(月間)を大幅に上回り、少雨だった昨年8月の総雨量65.5ミリと比べると3.5倍近い雨が降った計算だ。大雨の影響で11日には姥神大神宮渡御祭が午後9時で打ち切りに。各地の夏祭りなどのイベントもゲリラ豪雨≠ノ見舞われている。

 24日には道央で豪雨の被害が拡大。町内でも未明に激しい雨が降り、住民の不安をかき立てた。11―12日の豪雨では、町内でも河川の護岸や川岸が侵食されたり、地盤の緩みに伴う斜面崩壊が続発。尾山町の田沢川では川岸が約150bにわたり崩壊。町道や老人保健施設の駐車場が巻き込まれた。現場付近では本年度、道が護岸工事を行う予定だったが「本格的な工事を前に豪雨に見舞われた」(町建設課)。住民は「これから台風シーズンを迎える。早く対策を講じてほしい」と不安視する。

 梅雨を思わせる蒸し暑い天気は、ブロッコリーなど露地物の野菜にも影響を及ぼしている。管内南部の農家は「湿気に弱いブロッコリーは中から腐り始める。収穫の最盛期なのに残念」と恨めしげな表情。収穫期を迎えたメークインも「冠水した畑は水が抜けずにイモが腐り始めた。土が乾くようなすっきりとした天気になってほしい」(他の農家)。メークインの被害は、水田から転作した水はけの悪い畑に多くみられ、出来秋への影響が懸念されている。(松浦 純)


◎交通安全 意識高めて キャラバン隊、渡島管内で活動開始

 地域の交通安全意識を高めようと、内閣府が主催する「全国キャラバン隊」の道内キャンペーンが24日、函館市を皮切りに始まり、渡島管内各地でキャラバン隊が安全運転を呼び掛けた。

 キャラバンは全国交通安全母の会連合会が母体となり、全国7ブロックに分けて47都道府県を訪問する。道内では26日までの日程で渡島管内の2市9町を回り、各地で啓発活動を行う。渡島管内での開催は11年ぶり。

 この日は渡島総合振興局で出発式を行った後、函館市役所を訪問。1階ロビーに約90人が集まった中、キャラバン隊隊長の中村照男・道交通安全推進員会専務理事が、荒井聡内閣府特命担当大臣からのメッセージを西尾正範市長に伝えた。同市長は「今月1日には交通事故で2人の尊い命が失われている。関係機関と連携し、交通事故の撲滅に努力します」と述べ、信条を記した色紙を手渡した。

 渡島管内でのキャラバン後は9月14日まで青森、秋田など日本海沿岸を経由し、富山まで回る。(千葉卓陽)