2010年8月27日 (金) 掲載

◎道新幹線路盤工事など着工、木古内で安全祈願祭

 【木古内】2015年度に開業を予定している北海道新幹線の路盤工事などの安全祈願祭が26日、町札苅の工事現場で行われた。町内でトンネル以外の工事が着工するのは木古内川橋りょうに次いで2番目。

 工事区間は佐女川地区から札苅地区までの全長約2.2キロ。線路の下の盛り土(約1.1キロ)と高架橋などの工事が行われる。総工費は約30億円。13年3月完成予定。

 式典には発注元の鉄道・運輸機構や渡島総合振興局、木古内町など工事関係者ら約70人が出席した。同機構北海道新幹線局の名越次郎局長や大森伊佐緒木古内町長らが鎌入れを行い、出席者が玉ぐしをささげ、工事の安全を祈願した。

 名越局長は「新幹線工事は順調に進んでいる。木古内路盤工事も安全に、1日も早く完成するよう頑張っていきたい」とあいさつ。大森町長も「町内の工事区間では最長であり、工事が進むにつれ、町民の関心と期待、夢がこれまで以上に膨らんでいく」と語った。同機構によると、新函館駅までの工事の7割がすでに着工済みだという。(松宮一郎)

 


◎千秋庵の歩み一冊に、創業150年で記念誌作製

 1860(万延元)年に創業し、今年で150年を迎えた函館市の老舗菓子店「千秋庵総本家」(松田俊司社長)がこのほど、記念誌「150年の歩み」を作製した。約1万5000部を発行し、宝来町の本店をはじめ市内の4店で無料配布している。

 記念誌はA4判カラ―刷り、22ページ。松田社長が同店に残された資料や写真などを活用して編集した。「150年間支えていただいた感謝の気持ちを込めた。これまでの歩み、わたしたちの菓子作りの姿勢を伝えることができれば」と話す。

 記念誌によると、秋田藩の下級武士であった佐々木吉兵衛が、開港でにぎわう箱館港で仕事する人を相手に食べ物や甘い物を立ち売りしたのが始まりと記されている。

 94(明治27)年に小樽千秋庵が、1919(大正8)年に旭川千秋庵がそれぞれ開店。小樽千秋庵から札幌千秋庵が生まれ、札幌千秋庵から帯広千秋庵(後の六花亭製菓)が誕生している。のれんを受け継いだ釧路、小樽、旭川の千秋庵は廃業し、現在、千秋庵を名乗るのは函館の千秋庵総本家と札幌の千秋庵製菓となっている。

 記念誌では、店の歴史を伝えているほか、「元祖山親爺(やまおやじ)」や「どらやき」といった店の看板商品の製法を記載。工場での菓子作りの様子や繊細な技で作った和菓子など写真で紹介した。

 創業150周年の事業の一環として、函館開港150周年だった昨年は、七飯町産のリンゴを使った「函館林檎(りんご)パイ」と道産バターを原料にして仕上げた「函館フィナンシェ」を発売。今年6月には「どらやき」を定価の39円引きの150円で販売した。

 松田社長は「菓子作りの意義はおいしさを通じてお客さまに喜びを提供することと考える。節目を契機にこれまで以上に精進する」と話している。(鈴木 潤)



◎桧山沿岸でクジラ・イルカの目撃増加、観光資源化に期待

 【江差】桧山沿岸の日本海ではクジラやイルカの目撃情報が増加傾向にある。奥尻島と江差・瀬棚両港を結ぶハートランドフェリーの船上から、海面でジャンプするクジラやイルカの大群を観察できることもある。道内では室蘭市や知床半島で、船上から沿岸を回遊するクジラやイルカを観察する「ホエール(クジラ)ウオッチング」も行われており、桧山振興局などでは観光資源としての活用を模索する動きも出てきた。

 桧山沿岸では、奥尻フェリーをはじめ、漁船や遊漁船からクジラやイルカが現れる頻度が増加。6月中旬には、フェリーの船上で毎日のように目撃情報があり、6月11日には、江差沖で約300頭ものイルカの大群が出現。海面でジャンプするクジラの群れが目撃されることもあった。

 桧山沿岸は、函館を拠点とするツチクジラ漁の好漁場。管内の漁業者は「クジラやイルカが船に並走するように泳ぐこともある」という。これまで漁業への影響は報告されていないが「数が増えてくると被害が心配」とも。漁業関係者からは「沿岸捕鯨を本格的に再開できれば漁業振興につながるのだが」との声も。

 道内では、噴火湾に面した室蘭市や世界自然遺産に指定された知床半島で、ホエールウオッチングが新たな観光の目玉として注目されている。観光船や遊漁船を運航する業者などが道外客をターゲットに、積極的な売り込みを図っている。

 桧山振興局でも、入り込み客の減少が続く奥尻観光の起爆剤として活用できないか模索を始めた。同局ホームページ(http://www.hiyama.pref.hokkaido.lg.jp/)には「奥尻航路クジラ&イルカウオッチング情報」のコーナーを設けてPRに乗り出した。

 同局は「クジラやイルカの観察にフェリーを活用してもらうことで、観光客や乗客の増加につなげることができれば」とし、日本海を舞台とするホエールウオッチングの新たな展開に期待している。(松浦 純)



◎来春高卒求人 さらに厳しく

 函館公共職業安定所がまとめた来春の新規高卒者の職業紹介状況によると、7月末現在の求人数は316人で、前年同月比20.6%の大幅減となった。過去10年では2005年に次いで2番目に低い出足となり、「超氷河期」といわれた前年よりも厳しさを増している。  同職安では6月21日から来年3月に卒業予定の高校生を対象にした求人票の受け付けを開始。就職希望者は少子化の影響などで同9.7%減の1083人で、求人倍率は0.29倍と、前年同月を0.04ポイントも下回った。

 7月末までに受理した求人の内訳は、希望者の多い管内(渡島・桧山)が136人で、同29.2%減と最も落ち込みが目立った。道内も同14.3%減の18人、道外も同12.4%減の162人と軒並み前年を大きく下回っている。

 採用選考の解禁は9月16日。同職安は「景気回復の遅れや先行きの不透明さから地元企業を中心に採用を手控える傾向が続いている。例年、管内の高卒求人が出るのは道内、道外に比べて遅めだが、生徒の選択肢を広げるため、早めに求人票を提出してほしい」としている。

 一方、新卒以外の一般が対象となる7月の管内の有効求人倍率は同0.07ポイント上昇の0.36倍で、2カ月連続で前年同月を上回った。新規の求人と求職者がリーマンショック前の08年7月の水準まで回復しつつあり、同職安は「持ち直しの動きがみられるものの、依然として厳しい状況にある」と総括判断を4カ月ぶりに上方修正した。

 雇用の先行指標となる新規求人倍率は前年同月を0.20ポイント上回る0.81倍で、3カ月連続で改善。新規求人が同20.8%増の1905人と3カ月連続で伸びたほか、新規求職者は同8.0%減の2361人で、2カ月連続で前年同月を下回った。(森健太郎)


◎高校生集団暴行死から3年、東富岡町会でいじめ根絶集会

 函館市の東富岡町会(石井満会長)は26日、同町会館で「いじめをなくす決意の日」集会を実施した。市教育委員会や町会関係者、民生委員など約40人が参加。3年前に少年7人から集団暴行され死亡した市内の高校3年の少年(当時18)の冥福を祈るとともに、いじめ根絶への決意を新たにした。

 参加者全員で黙とう後、石井会長は「このような悲惨な事件は2度と起こしてはならないと強く感じる。半年後には学校を卒業、就職へと人生を歩んでいくはずだった若者の死を乗り越え、いじめの原因となりうる希薄化した人間関係や格差という社会構造の変革に努めたい」とあいさつ。26日の「いじめ・虐待をなくしていく決意の日」を風化させない意志を明らかにした。

 来賓あいさつで、市教委学校教育部教育指導課の木村雅彦課長は「3年のときが流れても痛恨の念は消えない。痛ましい事件を風化させないためにも、いじめ防止のリーフレットを作成し各学校に配布している。授業で活用し、いじめ根絶の一助にしたい」と語った。

 その後、東富岡町会いじめ虐待相談室での活動が報告され、2009年から相談員8人がローテーションを組み、悩みを抱えた子どもの相談に対応していることが発表された。最後に亡くなった少年への献花式がしめやかに行われた。

 集会に参加した長永茂さん(71)は「自分は実践しているが、いじめの兆候に気付くためにも、積極的な声かけの重要性を改めて感じた。このような悲劇は2度と起こしてはならない」と話していた。(黒田 寛)