2010年8月28日 (土) 掲載

◎「はこりん♪」好調 8月には稼働率8割達成

 函館観光の新たな移動手段として、函館市内で6月から始まった電動アシスト自転車のレンタル事業「はこりん♪」が好調だ。開始から2カ月間で延べ262件の利用があり、観光シーズンが本格化した8月には稼働率が80%に達した。今後は電動自転車を使った市内の周遊プランの策定も検討している。

 函館市や函館商工会議所などでつくる北海道新幹線新函館開業対策推進機構が取り組む観光振興策の一環。6月11日から、同機構がリースした電動自転車をロワジールホテル函館(若松町14)と、地域交流まちづくりセンター(末広町4)に4台ずつ配備している。

 2カ月間の稼働率は53・7%で、一日平均4・29台が貸し出されている。同機構は「予想以上の滑り出しで、坂道の多い函館の新たな足として受け入れられた。駐車場やバス・市電のダイヤを気にせず、自由度の高いところが小グループの個人旅行の形態にマッチしたのでは」と分析する。

 利用1回当たりの平均走行距離は、函館市電の函館駅前—湯の川停留所間の往復に相当する13・7キロに上った。客層は若いカップルや中高年などさまざまで、中には「出張で訪れたビジネスマンが美原地区への移動に使ったケースもあった」(同ホテル)という。

 市内は西部地区、五稜郭地区などに主要な観光名所が分散していることから、「電動自転車が点と点を線でつなぐ効果に期待している」と同機構。今後は利用者を対象にアンケートを行い、「電動自転車を活用した函館の周遊観光ルートづくりも進めたい」としている。

 今年の貸し出しは11月7日まで。料金は4時間まで800円、一日で1200円。貸出時間は午前9時半—午後6時。(森健太郎)

 


◎100歳以上の戸籍上生存者 渡島4市町に266人

 所在不明の高齢者が全国で相次いでいる問題で27日、渡島管内の各自治体でも戸籍がありながら、住民登録がない100歳以上の高齢者が存在することが明らかになった。北斗市では1881(明治14)年生まれの「128歳」女性を含む計119人、福島町では1871(明治4)年ごろの生まれとみられる「139歳」の男性ら49人、このほか、松前町77人、鹿部町21人の4市町で計266人となっている。函館市など現在、調査中の自治体があり、さらなる「超高齢者」がみつかる可能性がある。

 北斗市は、住民票の付票がない戸籍は以前から把握済みだった。戸籍が抹消されなかった理由について「戦後、樺太からの引き揚げ者やブラジルに移民したケースがあると考えられる」(市民課)という。中には、ほかの自治体管内で行旅死亡人(身元不明者)として取り扱われている場合や何らかの理由で二重の戸籍が存在したことなども想定されるという。

 同市は、これまでにも戸籍上の年齢が110歳に達した段階で、年に1回、法務局に除籍の申請をしていた。しかし、戸籍に複数人数の記載がある場合では、生存の可能性があるとして、除籍が認められなかったケースがあるという。100歳以上の119人のうち、39人が110歳以上だった。今月1日現在で住民登録のある100歳以上の高齢者12人はすべて、確認がされている。

 一方、函館市では23日から調査を進め、来週にも結果を公表する。市戸籍住民課は「現段階ではまとまっていない。歴史的にも古い戸籍が数多いので、ほかの自治体と似たようなケースは多いのではないか」と話す。知内、木古内、森、長万部の各町は調査中で、七飯町は調査未定という。各自治体ともに「法務局と協議して適切に対処したい」としている。

 また、八雲町は昨年8月に戸籍事務を電算化。同問題が大きくなる以前の同年10月に100歳以上で、住民登録のなかった高齢者54人の戸籍を削除済みという。最高齢者は「124歳」だった。今後もさらに調査を進めるという。



◎箱館奉行所入館6万人を突破

 国の特別史跡「五稜郭跡」に復元された「箱館奉行所」(加納裕之館長)は、29日で開館1カ月を迎える。オープン効果や夏休み期間と重なったこともあり、入館者数は19日に計5万人を突破し、26日現在で計6万3521人と好調に推移。復活した同奉行所は、函館の新たな観光スポット、文化の発信基地として順調なスタートを切った。

 同奉行所は4年の工期を経て6月30日に完成し、7月29日にオープンした。総工費は約28億円。幕末当時、約2700平方メートルあった同奉行所の3分の1に当たる、約1000平方メートルが復元された。

 開館初日はあいにくの雨模様だったが、1245人が来場。オープン5日目の8月2日には1万人を超えた。お盆休み中は多くの観光客でにぎわい、13日からの3日間で1万430人が訪れ、14日は1日当たり最多の4116人が入場した。

 加納館長は「来場者には大広間や、渡り廊下に腰かけて風を浴びながらゆっくりと幕末に思いをはせる楽しみ方が人気のようだ」と話す。また同奉行所の建設過程を映像で紹介するシアターが人気を集めている。来客層は観光客や全国からの修学旅行生のほか、函館市や周辺の小学生が写生に訪れる姿も多いという。同奉行所は「9月のシルバーウイーク以降、客足が落ち着くのでは」とみている。

 今後は市中央図書館など周辺施設と連携して、同奉行所を活用した歴史講座などを考案しているという。加納館長は「今週からアンケート調査を始めた。1カ月ごとにまとめて来館者の声を運営に生かしたい」と話している。所管する市教委は「これだけの人に来てもらいありがたい。秋に向けてまた多くの人に箱館奉行所を見てもらいたい」としている。(山田孝人)



◎高野会頭勇退正式表明 後任に松本氏

 函館商工会議所の常議員会が27日、函館市内のホテルで開かれ、10月末で3年間の任期満了となる高野洋蔵会頭(82)=道水会長=が今期限りで退任する意向を正式に表明した。後任には松本栄一副会頭(70)=ホンダカーズ南北海道社長=を推薦し、いずれも満場一致で了承された。11月1日に予定されている臨時議員総会で正式に決まる。高野会頭は退任後、同会議所初の名誉会頭に就任する見通し。

 常議員会は非公開で行われ、常議員30人が出席。関係者によると、高野会頭は席上で「会頭職を長年務めてきたが、10月末をもって辞任させていただきたい」と述べ、後任には松本副会頭を指名、推薦した。松本会頭もこれに応じ、出席者から異議はなかったという。

 高野会頭は会合後、函館新聞の取材に対し、退任の理由に自身の高齢を挙げ「昨年入院したあたりから(退任を)考えていた」と話した。4期10年余りの間で印象に残った職務として、北海道新幹線の開業決定や箱館奉行所の復元などを挙げた。

 後任に松本氏を推したことについては「市や道が何を言おうと、会議所は独自の考えで歩まなければならない。函館経済の将来を間違いなく引っ張っていける適任者」とし、北海道新幹線の経営分離問題などの解決に期待を寄せた。高野会頭は退任後に名誉会頭職に就くことも内定した。

 一方、後継指名を受けた松本副会頭は「身の引き締まる思い。新体制の人事は現時点では白紙だが、今後、副会頭や会頭らと相談して決めたい」とした。函館経済の問題として3次産業に偏った産業構造や人口の減少、流出などを挙げ「市や他の商工会とも積極的に協議を進める経済対策会議のような組織を立ち上げたい」と語った。

 来年4月に控える函館市長選については「経済界として大切なことだが、いまは推移を見守るしかない。現時点で誰かを応援するというのは厳しい」と述べた。

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 この日の常議員会では、会頭が選任する3号議員15社の再任に同意したほか、2号議員35人の業種別割当数を原案通り可決した。3号議員は候補社の承諾を得て9月1日に確定し、2号議員は同6—10日に開かれる各部会で選任する。

 3号議員に選ばれた企業は次の通り。(順不同)

 テーオー小笠原、函館丸井今井、函館どつく、北海道ガス函館支店、北海道電力函館支店、北海道サンアグロ、森川組、魚長食品、道水、JR北海道函館支社、ジャックス函館支店、北洋銀行函館中央支店、北海道銀行函館支店、エスイーシー、函館空港ビルデング(森健太郎)


◎2人の「おいしい」笑顔

 【七飯】大手乳製品メーカー、森永乳業の商品の宅配会社「アライブ」(七飯町大川5、稲垣明美社長)は9月20日の敬老の日の贈り物にと、おじいさん、おばあさんの顔をあしらったまんじゅうセット「じいじとばあばのほっこり饅頭(まんじゅう)」(4個入り、650円)を限定で200セット販売する。事前予約が必要で、敬老の日に合わせて届ける。

 同社が七飯町内の菓子店「遥し乃(はるしの)」(大川6)に協力を依頼して開発した。一口サイズの白いまんじゅうの表面にヨーカンでできた目や髪などを付けて、かわいらしいおじいさん、おばあさんの顔に仕上げた。

 希望者には、祖父母に寄せるメッセージカードも用意している。

 同社は「受け取った時に笑顔になれるようなプレゼントをと思い考案した。メッセージカードを添えて、おじいちゃん、おばあちゃんを喜ばせて」と呼び掛けている。

 申し込み、問い合わせは同社TEL0138・66・3690。(鈴木 潤)