2010年8月29日 (日) 掲載

◎初のやさい祭り、道南野菜のおいしさ再認識

 道南の野菜を地域の特産品に育てよう――。8月31日の「やさいの日」にちなみ、道南の農業生産者と加工業者などが一堂に集まり、新鮮野菜や限定メニューなどの試食・販売を行う「やさい祭り2010」(同実行委主催)が28日、函館市西桔梗町のキョーツー社構内で開かれた。天候にも恵まれ家族連れらが大勢来場し、安心・安全でおいしい地元野菜の魅力に触れていた。

 道南地域は道内の中でも温暖な気候を生かし、多種多様な農産物が生産されている。最近では、地元企業を中心に道南の農産物を活用した商品開発が活発化しており、地域の人々にもその活動内容を幅広く知ってもらおうと、関係者が普及プロジェクトを立ち上げ今回のやさい祭り開催につながった。

 この日は生産者と一般企業、学生らによる約20店が出店。野菜マイスターによる団体「ベジフル函館」が大野農高生と協力し、3種の地元野菜を使って作った「野菜ケーキ」は、試食開始からわずか30分ほどで品切れとなる人気ぶり。また函館短大付設調理師専門学校生がその場で作るニョッキ(ジャガイモを使ったパスタ)を使った料理は、スパイシーな香りに誘われて多くの人たちが買い求めていた。

 このほかラッキーピエロが提供した、地元産のレタスやトマト、カボチャなどをたっぷり使った特別メニュー「夏たっぷり野菜バーガー」は、限定200個がまたたく間に姿を消した。野菜バーガーを購入した函館市桔梗町の吉田蒼空君(6歳)は「カボチャが甘くておいしい」と笑顔を見せていた。母親の朝子さんは「調理の方法によって子どもたちにも野菜をおいしく食べてもらえることが分かった。これからは地元の新鮮野菜を意識的に活用していきたい」と話していた。

 実行委メンバーの一人で、公立はこだて未来大の鈴木克也教授は「まずは地元の人たちに道南の野菜の魅力を積極的にPRしていきたい。将来的には観光客を対象にしたイベントも展開していければ」と話していた。(小川俊之)

 


◎道の駅あっさぶで水産物直販フェア

 【厚沢部】ひやま漁協(乙部町、市山亮悦組合長)が主催する「水産物直販フェア―活かせ!桧山のキラめく食材」が28日、道の駅あっさぶ(厚沢部町緑町)で開かれた。大勢の住民や観光客が、桧山沿岸で水揚げされたスルメイカやウニなどの新鮮な海の幸を買い求めていた。

 イベントは桧山振興局との共催。農業地帯として知られる厚沢部町を舞台に、新鮮な水産物をPRしながら、漁業者と消費者の結び付きを強めていこうと初めて開かれた。

 大漁旗を掲げた会場は、午前10時のスタートから、新鮮な海産物を求める大勢の住民が詰め掛けた。道の駅あっさぶは、農産物の直売でも人気を集めている。絶好の行楽日和だった同日は、函館をはじめ各地から大勢の観光客が訪れ、水揚げされたばかりのイカ、ウニ、ホタテが飛ぶように売れ、漁協の在庫を急きょ追加するほどの勢いだった。

 フェアに協力した、厚沢部町河川資源保護振興会(高橋満繁会長)は、道南有数の清流・厚沢部川で育ったアユやヤマメの塩焼きを販売。炭火で焼き上げた香ばしい塩焼きは観光客に大好評だった。

 今回のフェアを企画した桧山振興局地域政策課は「漁協や地元の皆さんの協力で初めてのイベントは大成功。同じ桧山の町でも、隣町の特産品にはなじみが薄く、イベントを通じて、地場産品の地産地消を進めたい」とする。9月には上ノ国町の「道の駅もんじゅ」でも、同様のイベントを計画しているという。(松浦 純)



◎道教大・佐々木馨教授「鎌倉仏教の世界」出版

 道教育大函館校の佐々木馨教授(64)=日本中世宗教史=が、16冊目の単著となる「鎌倉仏教の世界」を山喜房仏書林から出版した。鎌倉時代に奈良・平安の旧仏教がどう復活し、親鸞や日蓮、道元らの新仏教がどう創造され、どのように時代や人々に享受されたかを体系的に論述している。

 新仏教が興った鎌倉時代以降も、奈良・平安仏教の権威や勢力は大きかったという近年の仏教史研究を踏まえて論考した。著書でいう「鎌倉仏教」には、奈良・平安の旧仏教も含まれている。

 前編では旧仏教の動向を踏まえて鎌倉新仏教の誕生を描いた。東大寺再建に尽力した重源、旧仏教の正しさを代弁した貞慶と明恵らの思想を紹介するとともに、旧仏教の比叡山(天台宗)で学び、新しい教えを開いた法然や親鸞、日蓮、道元らの生涯を追った。

 そうして生まれた鎌倉新仏教が、権威ある旧仏教とともにどのような形で中世の人々に受け入れられたかを中編で展開。権力者の源頼朝や北条時頼の信仰の世界、法然に帰依した熊谷直実ら在家信者の動き、日蓮の6人の弟子たちの伝道活動などを詳述した。

 後編では、中世仏教史研究の成果と課題を検証し、鎌倉幕府の宗教政策などから、幕府の体制仏教は反比叡山の園城寺や東寺の勢力であったことなどを論述している。

 人名や難解な用語にはふりがなをつけ、幅広く読まれるように工夫。佐々木教授は「先人の仏教者の生き方は、先行きが不透明で心の癒やしを求めている現代人の道しるべになるはず。そうしたことが著書から伝われば」と話している。改行 A5判、215ページ。定価2415円。問い合わせは最寄りの書店へ。(高柳 謙)



◎健康講演会、若者がイカ料理に挑戦

 健康はこだて21講演会「イカした健康づくり イカした食事力」(函館市主催)が28日、市総合保健センターで開かれた。10―20代の学生ら約30人が講話とイカ刺しなどの調理実習を通じて、正しい食生活のあり方を学んだ。

 市の健康づくり計画「健康はこだて21」の普及啓発を図る目的で2004年度から始まり、ことしで7年目。今回は同計画で重点取り組みとしている、早寝早起き朝ごはんの推進に焦点を絞り、食生活が乱れがちな18―29歳の若者を対象に行った。

 初めに市立函館保健所健康づくり推進室の管理栄養士、清水玲子さんが講話し、20代男女がともに朝食を抜く事例が多いことなどを説明。その後、とれたての朝イカを使った刺し身やイカ飯、酢みそあえなど5品目の調理にチャレンジ。市のヘルスメイト(食生活改善推進員)からのアドバイスを受けながら、イカの内臓を取り除くなどの作業をこなし、最後は全員で試食した。

 清水さんは「若いうちにすごくいい食事習慣を作っておくことで、“イカ”した人生に結びつくのでは」と話し、食生活の改善に期待していた。(千葉卓陽)


◎国際交流夏のつどいスピーチコン、留学生が日本語で熱弁

 いつかまた来ます―。道国際交流センター(HIF、山崎文雄代表理事)主催の「第32回国際交流夏のつどい」が28日、ことしの日程を終えた。最終日は函館国際ホテルで留学生による日本語のスピーチコンテストや親善パーティーを行い、ホストファミリーとの最後のひと時を過ごした。

 ことしの「つどい」は今月15日から開始。中国や台湾、米国など21の国・地域から97人の留学生が訪問し、渡島、桧山、後志管内の15市町村でホームステイしながら小中学校訪問や農作業体験などを行い、日本文化に触れてきた。

 恒例の日本語スピーチコンテストには9人が挑戦。古里のことやホームステイ先での出来事などについて5分間の熱弁をふるった。ヤン・ミナさん(韓国)は「日本のお弁当文化には、思いやりの強い日本人の考え方が表れているのでは」と、食文化の違いについてスピーチし、最優秀賞に輝いた。

 親善パーティーでは留学生たちが歌や踊りを披露して盛り上げ、ホストファミリーと写真を撮ったり抱き合うなどして別れを惜しんだ。ドイツ出身で、函館市でホームステイをしたシュビンコースキ・ペトラさんは「ホストファミリーと一緒に住んだことは特別な経験。着物を着たり、座禅を組んだりしたことも面白かった。終わってしまうのが寂しい」と話し、函館で過ごした思い出を振り返っていた。(千葉卓陽)