2010年8月3日 (火) 掲載

◎スタバ函館に進出…10月、西波止場に

 大手コーヒーチェーン「スターバックスコーヒージャパン」(東京)が今秋、函館市末広町24のベイエリアに市内1号店となる函館ベイサイド店(仮称)を出店することが2日、分かった。10月にもオープンする予定。今後、市内に複数の出店を計画しているという。

 同社は全国で886店舗(7月末現在)を展開していて、道内では札幌市に15店、旭川市に2店、北広島市、苫小牧市に各1店あり、函館が20店舗目。

 オープンするのは、函館港に面した函館西波止場内の2階建ての店舗。現在営業している土産品店が8月に閉店するのと入れ替わり、その後、店内を中心に全面改装する予定。

 同社は2年ほど前から函館進出を検討していて「これまでも地元からの出店要請はあったが、物流体制のめどが立ち、出店を決めた。観光客はもちろん、地元の方に非日常を味わってもらえる店を目指したい」としている。

 従業員は20―30人を地元採用する予定。メニューは日替わりコーヒー290円(240ミリリットル)、スターバックスラテ320円(同)など。同社は「この2、3年で函館市内に2―3店舗は出店したい」(マーケティング本部)と攻勢に出る構えだ。

 同社は市内ベイエリア地区とJR函館駅前・大門地区の2カ所で1、2の両日、アイスコーヒー約4200杯を市民に無料で振る舞い、函館への出店をPR。試飲した市内本通の山内政寿さん(67)は「よその町で飲んでおいしかったので、函館にできるのを待ち望んでいた」と喜んでいた。(森健太郎)



◎函館市 イオンの出店認めず

 函館市は、流通大手のイオン(本社・千葉市)が同市西桔梗町の市街化調整区域に出店を計画している商業施設について、改めて出店を認めない考えを明らかにした。市は同社が開発行為の申請を行った場合は不受理または、不許可とする方針。コンパクトシティー形成を打ち出した「函館圏都市計画 都市計画区域の整備、開発、及び保全の方針」(整開保)の見直し案に沿い、公の場で再度明確に市郊外部の開発抑制する姿勢を示した。

 このほど開かれた、整開保の見直し案を説明する市都市計画審議会の席上で、委員の質問に市が答えた。委員からは「イオンの出店に対する市の考えは変わっていないか」と質問され、市は「まちづくり3法の趣旨に則り、出店を認めることにはならない」と答弁した。07年に施行されたまちづくり3法は、市街化調整区域への建物立地を規制している。

 同社の計画は西桔梗町、産業道路沿いの市街化調整区域約11万5000平方メートルに、5万4000平方メートルの大型ショッピングセンターを出店するというもの。1998年に市に出店の申し入れがあり、01年には立地の可否を問う事前審査を終了。市からは「出店は可能」との返答を受けた。

 しかし同法施行の影響や既存商店街を守る観点から、地元経済界から強い反発が起こり、06年8月には市に大型店出店凍結を求める陳情書が提出された。市は07年12月に同社側に対して文書で出店中止を要請している。その後は計画に進展はない。

 市はこのほど発表した整開保で今後の人口減少や高齢化を推計で示し、これらを前提とした上でコンパクトなまちづくりを目指すと明記。市街化区域を今後拡大せず原状の中心市街地を充実させ、郊外への大規模集客施設の立地規制を図るとしている。整開保は7月30日に道に提出。3日からパブリックコメントを募集し、来年3月にも決定する予定。(山田孝人)



◎小型機墜落 尾根で左翼衝突か

 【福島】中日本航空(愛知県豊山町)の小型飛行機(セスナ206式)が福島町の山中に墜落し、乗員2人が死亡した事故で、道警は2日、同社社員2人立ち会いの下、業務上過失致死容疑での現場検証を始めた。機体の破損状況や事故原因などを詳しく調べるとともに、近く同社本社に捜査員を派遣し、家宅捜索を行う。

 道警はこの日、機体の散乱状況や現地の地形などを調べるため、捜査員に測量業者らが同行して現場検証を実施した。道警などのこれまでの調べによると、知内町内での目撃情報や現場の樹木の状況などから、事故機は、本来の飛行経路とは異なる同町方向から南側にある福島町側に向かい飛行したとみられる。

 一方、国土交通省運輸安全委員会の航空事故調査官2人も同日、地上からの調査を実施した。尾根にある直径約40センチ、高さ10メートルぐらいの樹木に左の主翼が裏返った状態で絡んでいるのを確認。その位置から北側約50メートルに枝の折れた立ち木があり、右の翼端部分を見つけた。尾根より南側の急傾斜の位置にあると思われる右の主翼や胴体部分は確認できなかった。立ち木に絡んだ左翼の前部分には衝突した跡や、木にも皮がめくれた跡が残っていたという。

 小松了調査官は「急斜面の上からのぞき込んでももう一つの翼(左翼)や胴体部分は確認できず、散乱状況そのものが分かっていない。左翼のあった尾根に胴体が落ちたとしても、滑落したことも考えられ、衝突の勢いで機体がどのような飛び散り方をしたかはわからない」と話した。北から南に向かっていた飛行経路の可能性について「可能性がないわけではないが、結論には行き着いていない」とするにとどめた。


◎松風コースで9000人パレード…港まつり

 「開港151周年記念函館港まつり」(実行委主催)は2日、メーンの「ワッショイはこだて」1日目の十字街・松風コースが実施された。昨年に引き続き新潟、長崎など開港4都市の親善大使や、3年ぶりに「八雲山車(だし)行列『勝ち太鼓』」が参加。「函館港おどり」「いか踊り」の参加者と合わせて約9000人、山車85台がパレードし、夏の函館の夜を盛り上げた。

 函館市末広町の十字街付近で行われた出発式では、実行委の木村孝男会長が「多くの方に集まっていただき感謝している。みなさんに喜んでもらえるようがんばっていきたい」とあいさつ。ミス函館、長崎、神戸など5都市の親善大使も紹介された。

 「ワッショイ―」は午後4時20分ごろ、同市豊川町の豊川広路を先頭にスタート。同松風町までの約1・4キロの道のりを、華やかな衣装と各団体が工夫を凝らした個性あふれる山車とともに、踊りを披露しながら練り歩いた。行列は日が沈んでからも、にぎやかな音楽が鳴り響き、踊り手は気合いの入った掛け声をかけながら、会場を盛り上げていた。沿道に詰め掛けた大勢の市民は、その光景に大きな拍手を送っていた。

 3日は午後4時半からワッショイはこだて(堀川・五稜郭コース)が行われる。(黒田 寛)


◎【煙のゆくえ・5】おいしい料理、空気も提供…市内飲食店でも禁煙増加

 料理へのこだわりや健康への配慮などから完全禁煙を選ぶ飲食店が増えている。市立函館保健所は2003年から「おいしい空気の施設」として登録して、ホームページ上で公開している。近年は登録が伸び悩んでいたが、厚生労働省が分煙に関する通知を出した2月以降は順調に増え、7月15日現在で約300施設となった。

 手打ちと無添加の食材にこだわるそば店・起進堂(函館市深堀町)は、店を新築した2000年から全面禁煙にした。「新しい店をヤニで汚くしたくなかった」と語るのは店主の小川進越さん(56)。吸えないことに怒り店を出て行く客もいるが、たばこを嫌う新しいお客さんが増えた。八雲町から毎週のように訪れる山野井匡子さん(40)は「体に悪いたばこの煙はどうしても気になる。このような店の存在はありがたい」と話す。小川さんは「禁煙は(店が)選ばれる理由になる」と確信する。

 「料理やワインの香りを大切にするならたばこは厳禁です」。イタリア料理店「アンティカ・オステリア・デル・アルバ」(同市本通)のオーナーシェフ・奈良嘉克さん(38)は力を込める。テーブル席をすべて禁煙とした直後には、9割を占めていた女性を中心に客離れが進み、売り上げが25%もダウンしたことも。

 「あの時は大打撃だった。禁煙に踏み切れない店の気持ちは痛いほどわかる」と語る奈良さん。たばこの煙が充満する以前の店に後戻りするつもりはない。禁煙による売り上げの減少分は、高級テリーヌやフォアグラプリンなどの販売で取り戻し、煙のない新たな店作りに挑んでいる。

 客離れの不安から禁煙化をためらう飲食店が多い中で「おいしい空気の施設」には、たばことは切っても切れない酒場≠燒シを連ねる。昨年9月に店内禁煙に踏み切った同市杉並町の「BAR NEW YORK NEW YORK(バー・ニューヨーク・ニューヨーク)」のカウンターには「禁煙席」のプレートが光る。

 ずらりと棚に並ぶ、シングルモルトウイスキーを指さす、店主の辻義晴さん(61)は「ウイスキーの楽しみは半分が香りです。たばこを止めたらもっと味わいを楽しむことができるようになりました」と振り返る。禁煙で減るかと思われた客足は逆に伸び、売り上げもアップしているという。

 かつて愛煙家だった辻さん。病気に苦しむ友人と接して健康の大切さに目覚めた。独りで始めた禁煙だったが、客がくゆらす煙が気になり始めた。完全にたばこと手を切ったころには「変な臭いだ」と感じるように。禁煙成功の体験者でもある辻さんは「この業界に禁煙が広がれば店の居心地はもっと良くなる」との思いを強くする

 喫煙に対する包囲網≠ヘ道南でも確実に狭まっている。新たな法改正も検討される中、愛煙家の立場を尊重しながらも、他人に煙を吸わせない環境の整備が急務だ。家庭は、職場は、公園は―わたしたちの身の回りで、禁煙や分煙の取り組みをどのように進めるべきなのか。たばこの煙は有害という現実を正しく見つめ、冷静に考える時がきている。(小泉まや)