2010年9月1日 (水) 掲載

◎WAKOビル1階 「八百屋夢八」販売継続

 函館市若松町のWAKOビル1階で8月21日から31日まで、試験的に野菜販売を行っていた市内の人材育成会社「北海道ラボラトリー」(國分晋吾社長)が運営する「八百屋夢八」は、9月以降も継続して販売をすることを決めた。ファッション系のテナントが主体の同ビルでは異例の試みだったが、1日平均の来客数は約100人と好調に推移。リピーター多くも人気を集めている。

 売り場は同ビル1階の歩道沿いで、スタッフ5人で運営。販売する野菜は毎朝、契約する市内や北斗市、七飯町の農家へスタッフが出向いて仕入れ、常時25—30品目を用意。客層は駅前周辺に住む40—60代の主婦層が主だ。

 同ビルを管理する「NAアーバンデベロップメント」の布村隆二社長は「入居する1階には主婦層向けの服飾品を販売する店も多く、既存のテナント店との相乗効果も出ており、活性化につながっている」と話す。國分社長は「値段は決して安くないが、リピーターになってくれた人も多い。スタッフが元気にあいさつして会話することで、コミュニケーションを楽しみに再来店してくれる人が多いのでは」と分析する。

 今後は9月中にも売り場面積を拡張して、近く契約農家がつくる漬物やみそなど加工品も陳列する考えだ。1日から3日は店内改装のため休み4日から販売を再開する。午前10時—午後7時までで、売り切れ次第終了する。(山田孝人)



◎10日からユニバーサル映画祭 5年目迎え企画多彩に

 「みんなで楽しむ映画祭」を合言葉に、障害者と健常者がともに作り上げる「北海道ユニバーサル映画祭」(実行委主催)が10—12日の3日間、北斗市総合文化センターで開催される。5年目を迎えた今回は、北斗市商工会による「シネマ屋台」や上映作品の映画監督を囲む「シネマバー」など多彩な企画がめじろ押しとなっている。

 同映画祭は、視覚に障害のある人のために音声字幕や、聴覚に障害のある人に対して音を手で表現するミュージックサインが施される。

 上映作品はオープニングの10日は「風が強く吹いている」、11日は「1000年の山古志」「夕凪(ゆうなぎ)の街、桜の国」、最終日12日は活動弁士斎藤裕子さんが参加する「番場の忠太郎 瞼(まぶた)の母」。オープニングライブとして10日には、全盲の写真家大平啓明さんらによるYOSAKOIソーラン踊りが披露される。

 「シネマバー」では、「夕凪—」の監督で、テレビドラマ「北の国から」や映画「鉄道員(ぽっぽや)」など本道にゆかりのある作品に携わった佐々部清さんと交流をを深めることができる。実行委の島信一朗代表は「ただ映画を見るだけではなく、ミュージックサインや音声字幕の付いた映画から広がる世界を多くの人に知ってもらい、興味を持ってほしい」と呼び掛けている。

 前売り券は、3回鑑賞券が大人1500円、ジュニア(小中学、高校生)800円など。問い合わせはTEL0138・31・0010(同事務局橋本さん)(黒田 寛)



◎酷暑2010夏(下)/イカ漁、野菜 価格に影

 ■イカ漁

 今年の酷暑は函館市の特産、イカ漁を直撃した。8月に入ると最盛期を迎えるイカ漁だが、漁場となる津軽海峡の海水温が上昇し、イカの来遊が減少。水揚げ量も今のところ苦戦が続く。

 イカを漁船の水槽で生かしたまま水揚げする「いけすイカ」もイカが水揚げ前に死んでしまう状況が相次いだ。特に6、7月と海がしけた日はほとんどなかった。函館市漁協の幹部は「こんな年は初めて。一度、海水を循環させて海水温の下がる天候にならないと」と頭を抱える。

 ■野菜高騰

 全国的な猛暑で葉物を中心とした野菜にも影を落とした。函館青果物地方卸売市場での野菜の取り扱いはこの時期、道内産が中心。ホウレンソウやハクサイ、ニンジンなど産地からの入荷が少なく高値で取引されている。改行 スーパー魚長乃木店(乃木町8)では、ホウレンソウなど葉物の値段が高騰した。5—6株入りを例年に比べ100円以上高い300円で販売している。同店関係者は「青果全般が例年と比較して50円ずつ高値になっている」と話す。また、大手スーパー関係者は「暑さに弱いキャベツやレタスといった商品が100円以上の高値になるのでは」と予測している。

 ■健康

 例年にない暑さと多湿で熱中症や急性胃腸炎などで体調を崩した人も目立った。

 函館市消防本部救急課によると、6月22日から8月30日までに熱中症もしくはその疑いで、救急搬送された数は37件、40人だった。気温が高くなった8月の前半の週にほとんど集中したという。また、75歳以上の高齢者が18人と全体の半数を占め、40—55歳までが9人と続く。

 市内の病院でも熱中症による来院や搬送が激増。市立函館病院(港町)では6—8月の間で昨年の23人増の25人が処置を受けた。函館中央病院(本町)は7—8月にかけて8人が治療を受けた。

 ■9月以降の天候は

 気象庁によると、全国的な猛暑の要因は、日本の東海上に南から温暖な太平洋高気圧が張り出したほか、大陸からのチベット高気圧も流れ込んだことが挙げられる。日本の上空を通る偏西風が北側にずれたことで高気圧がとどまりやすくなり、晴れの日が続いたという。「春先まで続いたエルニーニョ現象の影響で気温は高めに推移し、夏は寒気を含んだオホーツク高気圧の影響をほとんど受けなかった」(気候情報課)とする。

 気温の高い状況は9月以降も続くと見られ、1日から向こう1週間、前線の影響で雨の降る日はあるものの最高気温、最低気温は平年よりかなり高く推移するとしている。(鈴木 潤、黒田寛、小杉貴洋)


◎函館市議会 介護給付費事務処理ミス問題 不足額は業者と折半へ

 函館市議会の民生常任委員会(斉藤佐知子委員長)が31日開かれた。市が国から受ける昨年度の介護給付費「財政調整交付金」の事務処理ミス問題で、川越英雄福祉部長は不足額の補てん割合について、ソフト更新を行った委託業者と50%ずつ折半することで調整していることを明らかにした。この業者は契約を受注した業者の「下請け」に当たるため、各委員からは元請け業者の責任を問う声が上がった。

 ミスは同交付金について誤った内容を申請したため、必要額より少ない金額しか国から交付されなかった。当初の不足額は約1億3000万円とされていたが、最終的には1億6274万円となる見通し。国からの救済は7割以内で、約4880万円の不足額が残るため、市と委託業者で半分ずつ負担する方向としている。

 川越部長は委員会で「委託は市と大手電子機器メーカーと契約を結んでいるが、大手メーカーと委託業者が協議し、委託業者が窓口となった」と説明。これに阿部善一氏(民主・市民ネット)は「一般的にそんな話は通らない。あくまでも窓口は元請けのはずだ」とただし、同部長は「再委託した業者の行為でミスが起きた」とし、「市の顧問弁護士とも相談した上で、民法に基づく不法行為による賠償責任として対応する」と述べた。

 同部長はまた「市と業者それぞれに過失、責任がある。法的には職員が負担する必要はないが、市民負担がかからないように対応したい」と述べ、職員による補てんを示唆した。

 委員会ではこのほか、人工内耳体外機器の買い替えにかかる電池交換費用の助成など陳情2件を不採択とした。(千葉卓陽)


◎たばこのまとめ買い予約急増 10月から大幅値上げで

 たばこ税が10月1日に引き上げられ、たばこの小売価格が大幅に値上がりするのを前に、函館市内の販売店ではまとめ買いをしようと喫煙者の予約申し込みが急増している。多くの店舗では節煙・禁煙で10月以降の販売数が減少することを見込み、「9月が最大の商機」とにらみ予約販売の周知に懸命だ。

 たばこ税は1本あたり3・5円の増税で、「マイルドセブン」「セブンスター」(ともに300円)などの一般的な銘柄は、現行から110—140円の値上げとなる。

 多くの販売店では10箱入りのカートンを単位に前金の予約販売を実施。8月中旬から予約を始めた美原の「対馬商店」(対馬トモ店長)では、24日までは1件の予約もなかったが25日から増えた。中には50カートンの申し込みもあり、対馬店長(84)は「こんな大量予約は過去にない」と驚きの声を上げる。

 8月13日に予約販売を始めた宮前町の「函館たばこらんどセラーズ磯」(磯初枝代表)も、25日以降予約が相次いでいる。100カートンの予約を考えている人もいるというが、「そういった人はまれ。3—5カートンの予約が大半」(磯雅晴店長)。MEGAドン・キホーテ函館店(美原)は9月1日から予約販売を始める。「販売数はこれまでの倍は見込める。9月が勝負」と意気込む。

 一方で、過去に例のない大幅値上げに、「たばこをやめようとする客は多い」と各店。1日約50本吸う函館のタクシー運転手佐藤正宏さん(52)は「本数を減らしてもお金はかかる。節煙は無理、この機にきっぱりやめる」、3カートンを予約した美原の主婦(37)は「当面は小遣いと相談して吸う。やめないと思うけど本数は減らす」と話す。

 対馬店長は「とは言え、予約はまだ続くと思う。10月以降の売れ行きは読めない。9月中に稼げるだけ稼がなければ」と意気込んでいる。(長内 健)