2010年9月11日 (土) 掲載

◎オール函館で観光PRを 新幹線新青森開業に合わせ函館市などキャンペーン

 東北新幹線の新青森開業を12月4日に控え、函館市や北海道新幹線新函館開業対策推進機構などは10日、今秋に南東北・北関東を中心に実施する観光キャンペーンの内容を発表した。2015年度の北海道新幹線開業を見据えた中で、キャッチフレーズを「いか。ないと。函館」とし、東北新幹線沿線駅での観光キャラバンや北海道物産展でのPRを通じ、オール函館で冬の函館観光をアピールする。

 活動に参加するのは市や同機構のほか、渡島総合振興局、道南18市町でつくるみなみ北海道観光推進協議会と函館物産協会。今月14日から栃木県宇都宮市で行われる北海道物産展を皮切りに、来年2月まで実施する。

 東北新幹線全線開業を契機に、函館が新幹線でより近くなることをPR。キャッチフレーズは、函館を代表する食材のイカと、クリスマスファンタジーや夜景など、冬の夜の美しさを掛け合わせた。

 具体的には、市が主体となって11月12日から27日まで東北新幹線沿線の駅構内(大宮、宇都宮、郡山、福島、仙台、盛岡)でPRプロモーションを展開。人気の「イカール星人」との記念撮影会のほか、タッチパネルゲームも初登場する。南東北の10路線では列車内で中づりポスターも掲示する。

 物産展会場内での誘致活動は9、10月に栃木、埼玉、東京の各デパートで実施。冬期のプロモーション誌「函館冬ナビ」やコーヒーキャラメル、ガゴメコンブなどをプレゼントするのに加え、池袋東武百貨店(9月16—18日)では青森の特産品も販売する。

 キャンペーンに際し、市は「いか。ないと。函館」ののぼり30本、同機構が新函館開業のぼり10本を作成して準備を進める。市ブランド推進課の池田敏春課長は「国内観光が地域間競争となっている中で、青森の力も借りて観光客を北に向かわせることが大前提。新幹線の開業で、函館も近くなるとPRしたい」と話している。(千葉卓陽)



◎函館市、来年度からワクチン公費助成へ 子宮頸がん、ヒブ、小児用肺炎球菌

 函館市議会第3回定例会は10日から一般質問が始まり、6氏が登壇した。西尾正範市長は、子宮頸(けい)がんを予防するワクチン接種の公費負担に関し、来年度から実施する考えを明らかにした。国が来年度予算の概算要求に関係経費を計上したことを受けての措置で、市長はまた、乳幼児の細菌性髄膜(ずいまく)炎を予防するヒブワクチンと、小児用肺炎球菌ワクチン接種に関しても、来年度から公費で助成する考えを示した。

 小谷野千代子氏(公明党)の質問に答えた。

 厚生労働省は8月、接種費用の助成について、概算要求の特別枠として、市町村が行う子宮頸がん予防ワクチン接種の費用の一部を助成する経費として150億円を盛り込んでいる。市はこれを受け接種費用を助成する方針で、助成率などは今後検討する。

 市立函館保健所健康づくり推進室によると、子宮頸がんの予防接種費は1回1万5000円。3回の接種が必要で経済的負担が大きいため、市や市議会には今年に入り市内の3団体から要望や陳情が提出されていた。

 また、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンに関して西尾市長は「重い課題と受け止めている。具体は議会と相談しながら、来年度からの助成実施に取り組みたい」と述べた。

 ヒブワクチンは1回7000円程度、肺炎球菌ワクチンは1回1万円程度。生後2カ月から接種できるが、生後7カ月未満の乳児では、各ワクチンとも4回接種が必要なため、両方合わせて約7万円がかかる。

 また市議会は、本会議終了後に委員11人からなる決算特別委員会を設置。委員長に工藤恵美氏(新生クラブ)、副委員長に日角邦夫氏(民主・市民ネット)を互選した。総務常任委員会所管分を22日、経済建設常任委員会所管分は24日、民生常任委員会所管分は27日に行う。(千葉卓陽、山田孝人)



◎ユニバーサル上映映画祭 勇壮な演舞で幕開け

 【北斗】健常者と障害者がともにつくり上げる「第5回北海道ユニバーサル上映映画祭」(実行委主催)が10日北斗市中野通の市総合文化センターで開幕した。初日はユニバーサルヨサコイソーラン節の披露と、映画「風が強く吹いている」(2009年)の上映が行われ、来場した約40人が演舞や映画を満喫した。

 オープニングで行われたユニバーサルヨサコイソーラン節には、筑波大学の「斬桐舞」(きりきりまい)、「函館学生連合〜息吹〜」、今年全国踏破を成し遂げた全盲の写真家、大平啓朗さん(31)も参加。息のあった勇壮な舞を披露し、最後には来場者も手を使って踊りに参加した。

 走ることとは無縁だった大学生たちが箱根駅伝を目指す「風が強く吹いている」の上映では日本語字幕、音声ガイド、手話通訳、ミュージックサインなどが付けられ、障害者も健常者もスクリーンに見入った改行 11日には、中越大地震からの復興の過程をドキュメンタリーで追った映画「1000年の山古志」(午前10時半)、被ばくという体験を通して現在と過去に生きる2人の人生を温かなまなざしで描いた「夕凪の街 桜の国」(午後4時)を上映する。「夕凪—」について実行委の島信一朗代表は、「忘れてはいけない歴史を優しい視点で撮った映画。見る人の心に届くはず」と話していた。(黒田 寛)


◎ショパンコンクール本選出場の岡田さんインタビュー「目標1位…楽しみたい」

 函館出身のピアニスト、岡田奏さん(19)が、10月にポーランドの首都、ワルシャワで開かれる「第16回ショパン国際ピアノコンクール」本大会に出場する。若手奏者81人が挑む世界最高峰の同コンクールには3つの予選があり、ファイナルに進めるのはわずか10人という難関。14日の函館出発を前に、同コンクールに向けた意欲などを聞いた。

 ——コンクールに応募した動機を教えてください。

 10年前には漠然と、中学生の時には本気で挑戦したいと思っていました。今年6月にパリ国立高等音楽院ピアノ科を卒業するということで、一つの節目でもあり、これまで学んできた成果を披露してみたいと考え、応募しました。

 ——パリでの4年間を教えてください。

 単身でフランスに渡った15歳の時は、フランス語もままならず、生活習慣の基盤を築くのにとても苦労しました。しかし、世界から集まる同期の人たちとの交流や、パリの街並みや風景には新鮮な発見があり、飽きることがありません。そうした楽しい日常を送る一方で、毎日の練習も怠りなく頑張ってきた成果だと思います。

 ——今回のコンクール予備審査は、ポーランドでの航空機墜落事故、アイスランドでの火山噴火といった大混乱の中で開かれる異例の幕開けになりました。

 現地の飛行機が飛ばなくなる中、TGVと寝台列車を乗り継いで何とか予備審査会場にたどりつきました。ただでさえ高名なコンクールである上に大天災とあってさすがに動揺しましたが、「ここまできたら弾くしかない」と自分を強く持って臨みました。

 ——もうすぐ故郷函館を出発します。

 14年間過ごした函館はパリでも忘れられない大切な故郷。年に1、2回帰国するたびに出迎えてくれる学校の先生方や同級生、そして家族の励ましがなければここまで頑張れなかったでしょう。自分を育ててくれたこの街を本当に誇りに思います。

 ——最後に、本大会への抱負を聞かせてください。

 私が一番あこがれるアルゼンチン出身の世界的ピアニスト、マルタ・アルゲリッチさんら素晴らしい先生方が審査する前で演奏できるのが本当にうれしい。目標は一位ですが、心から楽しんで鍵盤に向き合いたいです。(長内 健)

 プロフィル=おかだ・かな 函館鍛神小、同本通中出身。中学卒業後の06年に単身渡仏し、パリ国立高等音楽院ピアノ科に入学し、今年6月に同科を首席で卒業した。08年にはラニーピアノコンクール(フランス)で最年少優勝、09年にはエピナル国際ピアノコンクール(フランス)で3位入賞するなど実績を重ねてきた。現在は同音楽院室内楽科に在学中。


◎日吉が丘小金管バンド部 初の全国コンクールへ

 函館日吉が丘小学校の金管バンド部(黒島歩部長、部員47人)が、4日に札幌で行われた道吹奏楽コンクールに初出場で金賞を受賞し、同時に初の東日本大会出場の切符を手にした。同校始まって以来の快進撃に関係者は沸き、部員一同が次の大舞台で力を出し切ることを誓った。

 7月下旬の函館地区大会では、創部30年にして初めて全道大会への出場権を獲得。初出場となった全道でも金賞を取り、10月10日に東京で開催される事実上の全国大会「第10回東日本学校吹奏楽大会(主幹・東京都吹奏楽連盟)のコンクール部門(11団体が出場)に出ることになった。

 道大会について黒島部長は「大きな失敗がなく、目指していた感動的な演奏ができました」と振り返る一方で、「他の学校の演奏が素晴らしくてあまり自信はなかった」という。東日本に進めるとわかった時は「すごくうれしくて、応援してくれた家族や地域の人、先生への感謝の気持ちでいっぱいになった」という。

 練習は朝と放課後がそれぞれ週に4回ずつと、土曜日午前に行っている。演奏するのは「ディオゲネス」(デ・ハーン作曲)。拍子が変わる特徴がある曲で、今後の課題は「テンポを完ぺきにすること」(黒島部長)だ。顧問の古川典之教諭は「道大会ではスピード感とリズムが高評価を受けたが、緊張していたのかおとなしかった」として、「のびのびとした演奏にしたい」と話す。

 快進撃に同校の鳥羽栄治教頭は「努力が実った」と喜び、「感謝の気持ちで常に最高の演奏を目指し、東日本でも良い成績を残してほしい」と期待している。(小泉まや)