2010年9月14日 (火) 掲載

◎世界の料理が函館に集結 世界料理学会in函館が開幕

 国内外の一流シェフや料理関係者が函館に集い、料理・哲学論などを深めあう「第2回世界料理学会in函館」が13日、函館市末広町4の五島軒本店で開幕した。講演ではシェフによる料理観や食材の分析から、医療関係者から見た食の在り方など様々なテーマが取り上げられた。このほかシェフが腕をふるった料理を提供する記念パーティーも開かれ、大勢の来場者でにぎわった。

 「食を考える—口腔外科医の立場から—」と題し、講演を行った函館中央病院、歯科口腔外科の辻司医師は「味覚の伝達が部位によって異なる」「口腔がんの早期発見、治療が命を救うことになる」と話していた。

 「料理人の本〜Books of Cooks」をテーマにしたトークセッションでは、料理本を書くことについて、「痕跡を残すため」「自分以外の人に自分をどう表現するか」という熱い意見が飛び交った。

 シェフが腕によりをかけた料理がずらりと並んだパーティーでは、「フォアグラのミニ・ロールケーキ」「もち米揚げと鯖のへしこ」など多彩な料理がテーブルを飾り、来場者は我先にと料理に向かっていた。札幌から訪れた森本まどかさん(52)は「シェフの思いが詰まった料理を堪能できて最高の気分」と笑顔を見せていた。同学会は14日にも開催される。(黒田 寛)



◎函館市水道局でヤミ専従 今春には組合執行委員長が引責辞任

 函館市議会第3回定例会は13日、一般質問を続行し5氏が立った。上戸慶一総務部長は、市水道局の一部職員が過去に正規の手続きを得ずに、職員が職場を離れて労働組合の活動に従事する「ヤミ専従」を行っていた事実があったことを明らかにした。この問題の責任を取り、ことし春に組合の執行委員長が辞任している。現在は必要な手続きを経ずに、組合事務室などに常時滞在するといった実態はないとしている。

 小野沢猛史氏(市民クラブ)の質問に答えた。 市水道局では内部職員から4月に寄せられた投書で、一部の職員がヤミ専従を行っているとの指摘を受け、同局職員約230人に対してヒアリング調査を実施したという。中林重雄水道局長は「その中で一部の職員が年に十数回、手続きを取らずに職場を離れていた。委員長はその責任を取った」と述べた。

 上戸総務部長は2年前の定例会で取り上げられたヤミ専従問題も含め、「当時は労使一体となって行財政改革に取り組む中で、職員団体に対して協議を要請する機会が増えた。そのため団体交渉の窓口となった職員が職場の席を外す場面が多くなった」などと背景の実態を説明した。

 また小野沢氏は、同じ投書の中に「ヤミ専従専用の職場があると指摘しているがこれは事実か」などと、組合に配慮した人事異動の有無を質問した。上戸総務部長は「かつては行っていた時期もあったようだ」と認めた上で、現在は現職の書記長を含め行っていないと強調した。

 このほか、見付宗弥氏(民主・市民ネット)、松宮健治氏(公明党)、丸尾隆子氏(共産党)、斉藤明男氏(新生クラブ)が登壇した。(山田孝人)



◎鹿部の名物キャラ「カールス君」も頑張る

 道南の名物キャラクターに新展開—。先に五稜郭タワーで開かれた「新幹線フェア」記念撮影会で、函館市のイカール星人に子どもたちが殺到した。この様子に触発を受けてか、近隣自治体の着ぐるみたちは「次は自分の番。イカール星人の人気に追いつけ、追い越せ」と躍起になっている。

 新幹線フェアには、奥尻の「うにまる」、長万部の「まんべくん」らが登場。全国区の知名度を誇るイカール星人とその人気を分け合った。市内の宇野悠介君(8)、朱里さん(10)きょうだいは「イカール星人は怖いけど、面白い。うにまるの丸いところが好き」とにっこり。

 一方、ステージの隅では記念撮影会を見守る鹿部町の「カールス君」がいた。人気がないわけではない。「人見知りしているようでかわいい。イカール星人は売り込みがうまいが、カールス君もやればできるはず。素朴さが大好き」とファンの熱視線を受けた。

 カールス君は駒ケ岳の軽石が題材で、今年二十歳の設定。キャラクター仲間の「いずみちゃん」と恋人宣言し、交際は順調だという。ともにおとなしい性格で、いつも笑顔で心優しい。

 川村茂町長は「カールス君、おとなしくしてもだめだ。もっと元気に動いてPRを頼むぞ」と激励する。ただ、カールス君はこのフェアを通じて、ひと回り成長した。これからもイカール星人らと切磋琢磨(せっさたくま)しながら、新幹線時代に先駆けて道南の積極的なPRに努めていく。(田中陽介)


◎公立高校配置計画 道教委決定 戸井高、2013年度に募集停止

 道教育委員会は13日、(2011—13年度)の3カ年にわたる公立高校配置計画を決定し、同日開いた道議会文教常任委員会に報告した。道南の戸井の募集停止や長万部の連携型中高一貫教育終了は、6月に出された案の通り確定した。本年度の入試結果で1学級減となった江差高校は、減少した学級数のままとする。

 道内の中学校卒業見込み者数は減少傾向にあり、06年度に策定した「新たな高校教育に関する指針」に基づき、中学校の卒業者などを踏まえて高校数や学級数を調整する。道教委は6月案を出して以降、道内各地で地元自治体などから意見を聞く地域別検討協議会を開催していた。

 渡島管内では戸井が13年度から募集せず、12年度入学生の卒業と同時に廃校となる。長万部は11年度から1学年が1学級となるため、12年度末で連携型中高一貫教育を終える。函館西と函館稜北はどちらも11年度から普通学級を1ずつ減らし、5学級ずつとする。このほか14年度以降の4年間には「7—8学級相当の調整が必要」とし、函館市内で再編検討の必要性が盛り込まれた。

 桧山管内では、江差が10年度に4学級募集したが、入学選抜の結果1学級以上の欠員が生じたため、本年度自動的に3学級となった。今後の地域の中卒者状況では4に戻す必要性が認められなかったたため、現状を維持することに。瀬棚商業(情報ビジネス学科)は計画通り、11年度から募集を行わない。管内で14年度以降は「0—1学級相当の調整が必要」で、学区全体で配置の検討が必要とした。

 全道では、石狩や釧路、十勝管内などで合わせて7学級増やし、道内全域で計37学級減らす。募集停止は11、13年度に2校ずつ。6月案からの変更点としては、札幌厚別高校に総合学科を設置する。

 定時制は11年度に、後志管内の2校を再編し、小樽商業を廃止する。今回の案で道南に再編対象校はないが、14年度以降に「配置のあり方について検討が必要」とされた。

 また、公立特別支援学校の11年度配置計画も決定した。道南では五稜郭養護学校に、知的障害のある生徒を対象にした高等部(2学級、定員16人)を新設。函館養護(肢体不自由)の普通科を1学級(定員3)減らす。(小泉まや)


◎「厚沢部町の課題」研究発表 九州女子大 「男性も家事に参加を」

 【厚沢部】町内に滞在して過疎地の生活環境をめぐる課題を学ぶ「アウト・キャンパス・スタデイ」に取り組んでいる、九州女子大家政学部人間生活学科(福岡県北九州市)の学生24人が13日、研究成果を発表する「北の学びの報告会2010」を町民交流センターで開いた。学生は4つのグループに分かれて研究成果を発表。渋田正己町長やホームステイの受け入れ先となった家族ら約50人が熱心に聞き入っていた。

 家族・生活経営領域の研究グループは、町内の世帯では、妻が単独で家事を行う傾向が強いとの調査結果を報告。町内の高齢化を踏まえて「妻の負担が年を取るとともに大きくなる。夫が1人になった時には家事ができなくなる」として、男性の積極的な家事参加を呼び掛けた。

 衣環境領域の学生は、男性が家事に参画しやすい環境をつくるには、普段から抵抗なく着用できるエプロンが必要とし、紺色の落ち着いた色合い、大きなポケットなどの工夫を凝らした男性用エプロンを考案。渋田町長らがモデルを務めてお披露目を行った。渋田町長は「生まれて初めてエプロンを着けた」と笑顔を見せた。

 食生活領域の学生は、40歳以上の町民を対象に、思い出に残る伝統的な郷土食の聞き取り調査を行い「三平汁」「ナスみそ」「かたこもち」のレシピを作成。調査に携わった学生は「懐かしい味とともに、当時の時代背景や父母とのたくさんの思い出を知ることができた。多くの思い出を伝えるためにもレシピの作成は大切」と話していた。町内で11日間の研修を終えた学生たちは14日朝、町内を離れる予定という。(松浦 純)