2010年9月15日 (水) 掲載

◎リュウキュウムラサキ 道南で相次ぎ捕獲

 東南アジアを中心に、日本では沖縄県など熱帯から亜熱帯地域に分布しているチョウ「リュウキュウムラサキ」が今年に入り、道南地域で相次いで捕獲された。道内では、1990年に江差町で捕獲されて以来20年ぶり。関係者は「熱帯地域に生息しているリュウキュウムラサキが北海道まで来ることはめったにない」と驚いている。

 捕獲されたリュウキュウムラサキは2匹で、ともにメス。8月8日に厚沢部町で土橋自然観察教育林(レクの森)で管理人をしている野村昭英さん(29)が敷地内で捕獲した。9月12日には「道南虫の会」会員の安井徹さん(59)と函館工業高校教諭の対馬誠さん(53)が松前町江良で採取した。

 対馬さんらは、松前町の通称沢町の川沿いで大型のチョウを発見。直感的に「リュウキュウムラサキだ」と感じ、ネットを振り、数十b追いかけて捕獲に成功した。対馬さんらが捕獲したリュウキュウムラサキは羽を広げると10センチほどで、黒を基調とした羽に白い紋様と鮮やかな紫の鱗粉が特徴のフィリピン型。対馬さんは「暑さの影響で北海道まで飛来してきたのでは」と予測する。

 北海道昆虫同好会の神田正五会長(64)も「台風が多く通過したのと高温が影響していると思う。いずれにせよ、北海道まで来ることはめったにないこと」と話していた。  (黒田 寛)



◎本年度も追加景気対策 函館市

 函館市議会の第3回定例会は14日、一般質問を続行し5氏が登壇した。西尾正範市長は厳しい函館市内の経済状況を踏まえて、「市単独でも一定の対策を打っていく必要がある」と述べ、本年度も追加の景気対策を実施する方針を示した。年内をめどに行う考え。

 佐々木信夫氏(市民クラブ)の質問に答えた。

 佐々木氏は「現在の経済情勢の中で緊急に対策を打つ考えはないのか」と質問。西尾市長は「どんな状況であっても市民生活の安定や安心を守ることが一番大事」とし、「どんな対策が効果的かその財源も含めて整理し、国の動向を注視しつつ経済界や議会にも相談しながら対応していきたい」と語った。

 市によると、すでに各部局に対して実施可能な事業の調査・照会を指示しており、景気対策のため道路や建物の維持・補修工事などが想定されるという。函館市では、2008年12月には緊急雇用対策として臨時職員50人を採用したほか、昨年度も緊急経済対策を実施している。

 また佐々木氏は、本年度初めて実施した新規高卒者等雇用奨励補助金について「現在の活用状況は」と問い、備前悟経済部長は「本年度は320人分の予算を計上し、9月10日現在で70の事業者から158人分」と採用計画書の提出数を明らかにした。

 利用が予算の約5割にとどまっている理由について備前部長は「市内高校の進路担当教諭に聞いた所、高校の市内の就職者約250人のうち、事業対象とならない医療法人や非正規雇用の生徒などが想定以上に多かったことが原因」と述べ、10月以降に事業効果を検証するとした。

 このほか石井満氏(民主・市民ネット)、志賀谷隆氏(公明党)、市戸ゆたか氏(共産党)、黒島宇吉郎氏(新生クラブ)が立った。 (山田孝人)



◎民主…政権の安定運営を、野党…景気対策を急ぐべき

 民主党代表選挙で菅直人氏が再選されたことに対する、道南の政界関係者の反応はさまざま。民主党サイドは政権の安定運営を求めた一方、野党側は経済の疲弊が続く現状から「一刻も早く景気対策を急ぐべき」と厳しく注文を付けた。

 菅政権で首相補佐官を務め、菅氏を支持していた民主党道8区選出の逢坂誠二衆院議員は「地元の得票も菅さんのダブルスコアだったと聞いており、全国的な民意の結果と受け止めている。これからが具体的な政策を実行していく菅内閣の本番。与党、場合によっては内閣の一員としてしっかり前進していきたい」と話した。道8区総支部の道畑克雄幹事長は「地方組織としては、昨年政権交代した際に掲げた生活第一の政治となるよう、安定した政権運営を望みたい」と述べた。

 一方、野党側は代表選の経過や経済対策の遅れを指摘。自民党函館支部の浜野幸子幹事長は「半月も選挙に費やした間に、円高の進行など経済対策が後手に回った」と批判。「期待はしていないが、国民のために公約を守ってほしい」と冷めた表情で話す。公明党函館総支部の茂木修支部長も菅氏に対し、「山口(那津男)代表が参院選でレッドカードを突きつけた人。関係を持つことはないが、1日でも早く経済対策をすべき」と求める。

 共産党函館地区委員会の高橋佳大委員長は「民主党政権もこれまでの自民党政権と変わらない。大企業や米国に向いている目を転換することがない限り、期待はできない」とし、「政権は早晩息詰まるのでは」と厳しい視線を向けている。(千葉卓陽、森健太郎)


◎京舞しっとり 児童うっとり

 京都・花街で活躍する舞妓(まいこ)と芸妓(げいこ)の2人が14日、函館神山小(後藤愼一校長、児童438人)を訪れた。2人は子どもたちの前にあでやかな着物姿で現れ、金屏風(びょうぶ)の特設舞台で流麗な京舞を披露した。

 2人は京都・先斗(ぽんと)町のお茶屋「舛之矢」の芸妓の市笑(いちえみ)さんと舞妓の市楽(いちらく)さん。棒二森屋で15日から開かれる物産展「第33回おいでやす大京都まつり」に合わせて、京都府物産協会の役員らと来函した。

 この日は総合学習の一環として、同校の6年生約90人が2人の京踊りを鑑賞。2人が体育館の特設舞台で「京の四季」と「祇園小唄」の2曲をしっとりと舞うと、食い入るように見つめていた児童らから大きな拍手が送られた。

 演舞後には質疑応答もあり、児童からは「なぜ顔が白いのですか」「芸妓さんと舞妓さんの違いは」などと素朴な質問が相次いだ。2人は「ろうそくの明かりでも顔がはっきりときれいに見えるように白いのどす」と京言葉で答えたり、年齢や着物、地毛とかつらの違いなどを丁寧に説明したりした。

 初めて舞妓さんを見た同小6年の石原祐希君(11)は「2人ともお化粧のいいにおいがした。とてもきれいで近づいた時にはドキドキした」と興奮気味に話していた。一行はこの日、函館市役所や函館商工会議所なども訪れ、京都の魅力をPRした。2人は15日、物産展会場でも京踊りを披露する。 (森健太郎) 


◎長寿者、道南全体で183人

 15日の「老人の日」を前に、函館市と渡島総合振興局、桧山振興局は14日、管内の長寿者(100歳以上)の概要をまとめた。道南全体では183人で、内訳は函館市が90人(女性78人)、函館市を除く渡島が61人(同53人)、桧山32人(同28人)だった。両管内の最高齢は男性が木古内町の仲上仁市さん(105)、女性は渡島管内の非公表希望者で106歳だった。

 9月1日現在の取りまとめで、本年度中に100歳になる人には内閣総理大臣から祝状と記念品が贈呈(各自治体で実施)される。該当者は函館市47人、渡島29人、桧山17人。

 渡島総合振興局によると、全国で100歳以上の高齢者の所在不明が相次いでいることから、記念品贈呈は自治体担当者が直接、本人に手渡すという。

 道内の100歳以上は男性が319人、女性1698人の計2017人(所在未確認の札幌市2人を除く)。