2010年9月18日 (土) 掲載

◎江差追分全国大会が開幕

 【江差】かもめの鳴く音にふと目を覚まし あれが蝦夷地の山かいな―。哀愁を帯びた音調が聴衆の心を打つ、第48回江差追分全国大会(主催・江差追分会など)が17日、江差町文化会館(茂尻町71)で開幕した。19日までの3日間にわたり、総勢404人の出場者が追分日本一≠フ栄冠に挑む。

 同日は162人が出場する熟年大会、189人が出場する一般大会の予選会がスタート。出場者は念願のひのき舞台で、万感の思いを込めた追分節を披露した。会場に詰め掛けた観客は、日本民謡の最高峰に位置付けられる江差追分の世界に酔いしれた。

 大会2日目の18日は午後8時過ぎまで予選会を行い、一般50人・熟年25人の決選会出場者が決まる。同8時15分からは、町内の子供たちによる江差追分大合唱をはじめ、昨年の少年・熟年優勝者による江差追分の発表を行う。最終日の19日は、54人が出場する少年全国大会と熟年・一般大会の決選会を行う。結果発表は午後7時ごろ。優勝旗を手にした今年の優勝者が感動の歌声を披露する。

 18日は入場無料。19日の決選会入場券を兼ねたプログラムは2300円。大会期間中はインターネット中継(http://www.hakodate.or.jp/oiwake/)も行う。問い合わせは大会本部рO139・52・1162へ。(松浦 純)



◎江差線経営分離、木古内町議会も財政支援求める意見書可決

 【木古内、函館】北海道新幹線の開業でJR北海道から経営分離される江差線の五稜郭―木古内間(37.8キロ)に関し、木古内町議会は17日、北斗市から要請のあった、並行在来線に対する財政支援要請に関する意見書を賛成多数で可決した。両市町の行政、議会が歩調を合わせ、国への要請活動をする見通しとなった一方、函館市と同市議会は同日、北斗市に要望書を提出しないことを伝えており、沿線自治体の見解ははっきりと分かれた。

 木古内町議会が可決した意見書には@1JRから譲渡される鉄道資産の無償譲渡、人件費の支援A車両基地や駅舎などの施設使用料の減免B分離後の初期投資、運営費の負担軽減措置―などが盛り込まれている。提案理由として、江差線が地域住民の日常生活の貴重な足であり、物流の面からも極めて重要な役割を担っているとし、「将来にわたって安定的な運営を維持するためにも、財政支援が必要」と説明した。

 竹田實議長は取材に対し「議会としての結論が出たので、北斗市と一緒に行動していくことになるだろう」との見通しを語り、「要請活動は道南地域並行在来線対策協議会の議論の突破口になる」と述べた。一方、大森伊佐緒町長も「北斗市とは行動をともにしていきたい」とあらためて賛同する意志を示した。

 一方、函館市議会は同協議会での議論の最中であることを理由に、要望書を提出しないことを決めており、同日午後に吉田崇仁議長、能川邦夫副議長らが北斗市を訪れて方針を伝えた。

 同日の総務常任委員会では同協議会の議論内容を説明。各委員からは「市の態度を早急に明確にする必要がある」「バス転換にした方がいい」などの意見が出たが、渡辺宏身企画部長は「どれがいいかはこれから検討する。財政負担や市民の権益を考える必要がある」と述べ、明言を避けた。(松宮一郎、千葉卓陽)



◎戸倉中で植樹会、校庭を緑豊かに

 環境緑化の大切さを学ぶ植樹会が17日、函館市戸倉町の函館戸倉中学校(矢本秀美校長、生徒326人)校舎周辺で開かれた。1年生103人が地域住民らとツツジを植えたほか、野鳥のための巣箱も設置し、心地良い汗を流した。

 同校の中庭をたくさんの花木で盛り上げようと、渡島みどりネットワーク(武下秀雄代表)と同校などが主催。植樹会は1年生の「総合学習」の一環で、武下代表は「来春にツツジが咲けば道行く市民らの心を和ませることができる。小さな活動だが、地球温暖化の抑止につながることも覚えてほしい」とあいさつした。

 生徒たちはグループに分かれ、エゾヤマツツジとヨドガワツツジの苗木(約60センチ)計54本を植え付け、根と土にすき間ができないよう丁寧に土をかぶせた。スズメやシジュウカラなどの野鳥が集まるようにと巣箱10基も設置。最後は「戸倉ヶ丘の森」との記念看板を立て、緑豊かな中庭になるよう願った。

 参加した山崎恭弥君(12)は「植樹は初めて。校庭が美しくなるのはいいことだし、仲間と協力して活動できたのが楽しかった」と話していた。(長内 健)


◎高校生の就職試験解禁

 来年3月卒業予定の高校生の就職試験解禁を受け、函館市内をはじめとする道南の高校生も続々と入社試験に臨んでいる。各学校とも「前年並みに厳しい状況」と受け止め、試験開始に向けて学校を挙げて生徒のレベルアップに取り組んできた。多くの学校の就職希望の生徒は、遅くとも10月上旬には1社目の試験を終える見込み。

 函館公共職業安定所によると、ことし7月末現在の高卒者への求人数は、前年同期比20.6%減の316人。特に管内で働く求人の出足が鈍く、136人と過去10年間で最も低い。同職安は「経済不況の影響で、企業は慎重になっている」。管内高卒者のうち就職希望者1083人に対する求人倍率は0・29倍。ただ「現在8月末の数字をまとめている途中で、求人は今後徐々に増えると思われる」という。

 このような状況のなか、16日から入社選抜試験が始まった。函館市内の就職を希望する高校生も、早速試験に臨んでいる。3年生236人中約半数が就職を希望する函館商業高校では、10月上旬までにほぼすべての希望者が最初の試験を予定している。希望する職種は大半が事務・サービス系で、9割が市内の企業を希望する。同校は「早めの試験で優秀な生徒を確保したいという企業は多い」と分析。春からレベルアップに取り組んできた生徒の力に期待をかける。

 私立の函大付属柏稜高校も、市内を望む生徒が就職希望者の9割を占める。「企業からの事前説明では昨年より厳しいと聞いていた」。多くが進学を希望する函館西高校では、3年生の7%に当たる13人が就職希望だ。「地元企業の求人が少ないのは想定内。一生を左右することなので、生徒も自覚して入念に準備を進めてきた」という。

 厳しい就職戦線。多くの生徒が狭き門に殺到することから、各校の進路指導担当者は1社目で確実に内定を手にすることを目指している。函館工業高校は「2回目の試験はより厳しくなるだろう。そのためには1社目で受かるよう実力を付けてきた」とする。

 一方、本州方面にこれまでの卒業生が築き上げた強力な信頼がある函館水産高校は、「就職難でも学校指定の求人はある」と語る。「就職しやすい」として生徒には道外企業を積極的に勧め、本年度は就職希望者の半数以上に当たる42人が、道外を希望した。主に自動車・食品製造業が多いという。(小泉まや)


◎函館駅―新函館駅間の経営分離問題、11万筆の署名集まる

 北海道新幹線の札幌延伸に伴う函館駅―新函館駅(仮称)間の経営分離問題に際し、函館市は17日、JR北海道による同区間の経営継続を求める署名が11万1259筆に達したことを発表した。22日に西尾正範市長らがJR北海道本社と道を訪れ、署名を提出する。改行 署名活動は今年7月に市町会連合会が始めたのを皮切りに亀田商工会、東商工会、函館商工会議所が実施。8月にはJR函館駅前で各団体合同で署名活動を行った。

 22日には西尾市長と高野洋蔵商工会議所会頭、敦賀敬之市町会連合会会長がJRを訪れ、中島尚俊社長に署名を提出するほか、道の高橋はるみ知事に総括表を提出する。

 市企画部は「当初の想定(10万筆)を上回る署名を集めることができた。JRに対し、経営存続を強く訴えたい」としている。(千葉卓陽)