2010年9月19日 (日) 掲載

◎万代町在宅福祉委員会、町会館にサロン開設へ

 函館市の万代町在宅福祉委員会のメンバーらが、地域住民の誰もが生き生きと暮らせるまちづくりを目的に「函館の地域福祉を考える会」(伊藤千代会長、会員約30人)を立ち上げ、本格的な活動に向け準備に取り組んでいる。町会館に子どもからお年寄りまでが気軽に集える交流の場としてサロンを設ける試みで、関係者は「これをモデルケースに取り組みが全市的に広がれば」と期待している。

 「考える会」事務局長の永澤和枝さん(59)が2年前から考えてきた試みで、昨年5月の同町会総会での承認を得て同会が発足。@町会館での行事に若い世代を巻き込むA一人で暮らす70歳以上のお年寄りの社会参加を図るB地域の拠点である町会館を有効活用する―を活動の三本柱に、12月までのサロン開設を目指す。

 市内の多くの町会では、役員の高齢化や町会加入率の落ち込みといった悩みを抱え、若い世代の活動参加が喫緊の課題となっている。サロンの開設で若い世代の親子が活動に加わり高齢者と接することで、「地域で取り組む奉仕活動のやりがいや意義を理解してもらうことができる」(永澤さん)と期待する。

 また、在宅福祉委が行っている安否確認活動の対象となるお年寄りも、サロンの運営に加わってもらうことが特徴。ボランティア体験を通じて交流の楽しさを実感し、地域住民とのきずなを深めてもらう考えだ。

 「函館の地域福祉を考える会」では、万代町会と同町在宅福祉委と連携して活動を展開していく。サロン開設後は毎月1、2回、土日を利用して町会館を開放し、図書コーナーのほか、お手玉や将棋、囲碁などを用意し子どもに楽しんでもらう。このほか、保護者が子育てや身近な生活での悩みを抱えていれば、同会でのアドバイスも期待できるという。  9月17日にはその対象者と同会のメンバー13人が町会館に集合。笑顔が絶えない和やかな雰囲気の中、子ども向けのお手玉を作った。参加した対象者の一人、難波幸子さん(82)は「声を掛けてもらうだけでありがたい上、知っている仲間と一緒に何かをするだけでとても面白いですよ」と居心地の良さを語る。

 同会によると、こうした取り組みは市内では珍しいだけに、サロン開設後の2年間も会の活動や運営の基盤を築く準備を進めるという。伊藤会長(78)は「中心メンバーはお年寄りが多いけど、何とか頑張りたい」と張り切る。

 永澤さんは「町会館からいろんな情報発信もできるのでは。夢は大きいが、当面は地道に活動しながら周知も図りたい」と話している。(長内 健)



◎恵山で大漁祈願祭

 函館市恵山で18日、「恵山大権現大漁祈願祭」が行われた。若手漁師が早朝、恵山(標高618b)頂上にある恵山権現堂へお参り。ふもとの禅龍寺ではベテラン漁師が地域の安全や発展を祈願した。関係者は「異常気象で漁は低調だが、何とかこの難局を乗り切って頑張ろう。明日からは大漁だ」と結束を深めた。

 恵山地域の恵山・御崎両地区の漁師でつくる「恵山船主船頭連合会」(大野謙司会長、会員50人)の主催で、毎年9月18日に実施。この日は「沖止め」でコンブ採取などは行わず、漁業者のほか商工や教育関係者らも祈願祭に参加する。

 午前6時半から恵山権現堂参り。斉藤洋治さん(35)と三好寛暢さん(25)、大坂祐二さん(24)、二本柳達也さん(21)が登山で向かった。権現堂を1時間かけて掃除し、お神酒と供物をささげて両手を合わせた。4人は「大漁安全のほか、家族の健康を祈った。大役を無事果たすことができた。きれいに掃除をして気持ちもそう快」と話していた。

 禅龍寺での祈願には大野会長や会員の家族ら約80人が出席。渡会元康住職が漁船や船頭、住民の名前を読み上げて無病息災や子孫繁栄などを祈った。

 大野会長(52)は「この祈願祭は地域の伝統で、みんなが準備を一生懸命してくれた。若い漁師も朝早くから頑張ってくれて、頼もしい限り」と笑顔。前浜のイカが少ないため、遠方の苫小牧沖で操業する二本柳章治さん(52)は、片道4時間かけて帰港。「漁は厳しい状況だが、こうやって仲間の元気な顔を見ることができてほっとした。権現さまに守られているという気持ちで、仕事を頑張りたい」と意気込んでいた。(田中陽介)



◎白鵬54連勝に福島でもたたえる

 【福島】大相撲の横綱白鵬が千代の富士(現九重親方)の持つ53連勝記録を抜き、昭和以降単独2位となった18日、千代の富士の故郷、福島町でも多くの町民や関係者らが歴史的な一番をかたずをのんで見守った。白鵬が小結稀勢の里を下すと、町民らは「記録はいつか破られるもの」とさわやかに語った。白鵬の偉業≠たたえ、あらためて「昭和の大横綱」千代の富士の強さを思い起こしていた。

 千代の富士が53連勝の記録を打ち立てたのは1988(昭和63)年の5月場所から11月場所14日目の旭富士戦まで。「どこで見ていたかは忘れてしまったが、千秋楽で大乃国に負けたときは本当に悔しかった。がっかりしたのを今でも覚えている」。2人の横綱の足跡を紹介する町福島の「横綱千代の山・千代の富士記念館」に勤務する九重親方の姉、小笠原佐登子さん(57)は53連勝の記録を作った当時を振り返る。

 「それでも22年間も記録が破られなかったのが不思議。現役の力士たちは記録を破ろうと頑張っているので、いつかは破られると思っていた」とさっぱりとした表情で語った。圧倒的な強さを見せる白鵬を「若くて勢いもあるので、まだまだ記録を伸ばしそう」と分析していた。

 また、毎年6月に町内で開かれる「女だけの相撲大会」で名物行司として活躍する馬躰一廣さん(64)は「(記録を破られたのは)町民としては少し残念」と複雑な思いをのぞかせたが、「九重親方はきっと白鵬を祝福しているはず。記録を作っても、記録を塗り替える人が現れるのがスポーツの世界。それは相撲でも同じこと。それでこそ相撲はもっと盛り上がる」と話し、相撲界の発展を願っていた。(松宮一郎)


◎渡島信金創業100周年で物故者慰霊祭

 【森】創業100周年を迎えた渡島信用金庫(伊藤新吉理事長)は18日、創業以来の関係者に感謝をささげるため、物故者慰霊祭を町御幸町の龍光寺で開いた。伊藤理事長をはじめ、役員や関係者約100人が参列。先人の労苦をしのぶとともに新たな発展を誓った。

 同信金は、1911(明治44)年に瀬下与三左衛門初代組合長、佐野雨田(義正)2代目組合長ら森村(当時)の有志が集い、森村信用組合として創業。51年に渡島信用金庫に改組し、社会情勢や経済情勢の変化など、幾多の困難を乗り越えて、地域密着の信金として現在にいたる。

 慰霊祭は、創業者や歴代役員、総代ら関係者の功績をしのび、創業100周年を記念するために開催。法要が営まれた後、参列者が焼香し、先人の築いた歴史に感謝をささげた。

 伊藤理事長は100年の歴史を振り返るとともに「独自の信用組合を作ろうと情熱を燃やし、相集った創業者有志の結束力と組織力のすごさに驚嘆する思い。『地域へ感動を そして未来へ』のキャッチテーマにこだわり、200周年に向けてのスタート元年として、歴史に恥じない経営に専念することをお誓いする」と述べた。(今井正一)


◎エアポートフェスタにぎわう

 空港や航空機に親しんでもらうイベント「函館エアポートフェスタ’10」が18日、函館市高松町の函館空港で開かれた。3連休の初日とあって大勢の家族連れら約3500人が来場。パイロットが仕事を紹介する航空教室や折り紙飛行機作り体験、メーン会場の空港駐車場で開かれたステージイベントなどを楽しんだ。

 同空港の関係者らでつくる函館空港「空の日」実行委員会の主催で、1992年に制定された9月20日の「空の日」にちなんで実施。同空港周辺住民への日ごろの感謝を込め、毎年開催している。

 同空港ターミナル内で開かれた紙飛行機を作るコーナーでは、子どもたちが指導員に教えてもらいながら自作の飛行機を完成させ、早速飛ばす姿が見られた。航空教室にも大勢の子どもたちが参加し、パイロットなどの話に目を輝かせながら聞き入った。またメーン会場ではジャガイモやカボチャなどの農産物販売のほか、今年初めて企画された奥尻町の特産物を紹介するブースなどが立ち並び、新鮮な商品を買い求める人でにぎわった。

 紙飛行機作りに参加した函館中央小4年の岸田光平君(9)は「イカ型の飛行機を作った。よく飛んで面白かった」と話し、弟のあおい幼稚園年長の悠希ちゃん(6)は「お家に帰ってまた作ってみる」と笑顔だった。(山田孝人)