2010年9月20日 (月) 掲載

◎西川さん(江差)日本一に 江差追分全国大会

 【江差】第48回江差追分全国大会は最終日の19日、町文化会館で決選会が行われ、江差町の道立江差病院職員、西川俊昭さん(60)=乙部鴎翔会支部=が日本一の栄冠に輝いた。熟年大会は岩見沢市の金子美詩さん(67)=南空知支部=、少年大会は江差町の南が丘小学校4年、田村ひよりさん(9)=かもめ会=が優勝した。

 夢を実現することが人生のテーマです—。ほおを伝う涙をぬぐいながら、万雷の拍手の中でステージに立った西川さん。優勝旗を握り締め、年季を重ねたいぶし銀の歌声を響かせた。33年間にわたる追分の道は険しかった。50代半ばに心筋梗塞(こうそく)で生死の境をさまよい、2年以上の闘病を経て追分の道に復帰したのは2005年春のことだ。「元気になってもう一度追分を歌いたかった」。

 人知れず日本海の浜辺で練習を重ねた西川さんは「努力はうそをつかない」という信念を支えに08年は4位、昨年は3位と夢≠たぐり寄せてきた。「追分は人生そのもの。本場の追分を歌っていきたい」と優勝旗に誓う。

 1—10位入賞者は次の通り。(かっこ内は所属支部、敬称略)

 【第48回江差追分全国大会】1西川俊昭(乙部鴎翔会)2瀧本豊壽(深川)3井上さつき(江友会)4川俣明彦(菊水会)5東真喜子(乙部鴎翔会)6貝澤早綾佳(苫小牧)7中田桂敏(盛岡アカデミー)8大沢理絵(静内)9遠田千鶴子(札幌南)10佐藤美枝子(札幌喜童)

 【第14回江差追分熟年全国大会】1金子美詩(南空知)2榎本弥惣七(網走声友会)3菅井妙子(札幌ライラック会)4小野寺安喜(東京練馬)5飯村幸子(函館)6木田弘(札幌東白石)7上野勲(釧路ぬさまい)8藤本哲(声友会)9岡崎豊秋(同)10斉藤荒司(宝優会)

 【第14回江差追分少年全国大会】1田村ひより(かもめ会)2竹野留里(登別陽春会)3沼田彩香(函館)4大木風香(札幌白石)5田村つくし(かもめ会)6前川みどり(厚沢部)7石坂竜巳(千歳)8福田花梨(厚沢部美和)9大西莉華子(千歳)10東美羽音(乙部鴎翔会)
(松浦 純)



◎夷酋列像の魅力語る 宇江佐さん「小さな絵に大きな世界」

 【松前】松前高校(石塚耕一校長)の生徒2人がフランスへ派遣(30日—10月10日)されるのを前に、函館市在住の作家、宇江佐真理さんを招いた事前学習会が19日、同校で開かれた。宇江佐さんは生徒2人に松前藩の家老、蠣崎波響の人物像や「夷酋列像(いしゅうれつぞう)」の特徴、自身の作品執筆のきっかけを詳しく語った。生徒2人は真剣な表情で聞き、海外派遣への意欲を高めていた。

 同校では、生徒に国際社会への理解を深めてもらおうと、今年初めて海外派遣を行う。派遣されるのは3年生の堀翔平君と2年生の三浦賢也君の2人。パリやブザンソン市のルイ・パスツール高校で研修する。ブザンソン美術館で松前ゆかりの名画「夷酋列像」を見学することが今回の研修の最大の目的。

 宇江佐さんは波響の生涯を「夷酋列像」という作品にまとめ、発表していることから、同校が講話を依頼、実現した。宇江佐さんは「ブザンソン市で『夷酋列像』が発見されたことをニュースで知り、波響に興味をもった」とし、「絵の素晴らしさ、人物にひかれた。この絵にはドラマがあると感じた」と、作品を書くきっかけを語った。

 宇江佐さんは「夷酋列像」を「描写が細密。小さな絵の中に大きな世界がある」と評した。フランスに渡ったことについては「松前藩が国替えになり、引っ越しの際になくなったのでは」とし、「国替えにならなければ、松前にずっとあったはず。絵の運命を感じる」と語った。また、波響について「温厚でまじめな性格だったと思う」と話した。

 最後に「若さでいろんなことを感じてほしい。楽しんできてください」と生徒にエールを送った。堀君と三浦君は「小説を読み、宇江佐さんの話を聞いて、さらに波響のイメージが膨らんだ」と感想を話していた。(松宮一郎)



◎函館市高齢化率27%

 20日は「敬老の日」。函館市がまとめた8月末の老年人口(65歳以上)は7万6181人(男性2万9858人、女性4万6323人)で、全人口28万2286人(男性12万9243人、女性15万3043人)に占める比率(高齢化率)は27・0%となった。椴法華地区など旧4町村や西部地区で高く、農業、水産業の後継者不足や地域の活力低下は年々深刻になっている。

 今年3月末時点の高齢化率は、全国が22・7%で全道は24・3%だった。函館は2007年9月に25・0%、08年11月に26・0%を越え、今年3月末に27・0%となった。4月からやや下がったものの、8月末に再び27・0%となった。

 人口10万人以上の道内9市の中では、函館は小樽の31・1%に次いで2番目に高かった。人口の最も多い札幌は20・1%。全道的に、広い商圏があることや、交通網の整備が進んでいるなど、生活に便利な地域で低い。札幌圏では恵庭20・4%、千歳17・1%となっている。

 函館で今年8月末の高齢化率を支所別にみると、本庁30・0%、湯川28・6%、銭亀沢29・6%、戸井33・6%、恵山36・0%、椴法華36・2%、南茅部32・5%と高い。一方で、人口総数が本庁よりも多い11万9929人の亀田は23・0%と全道平均よりも低い。市内でも大型店舗が多く、車で各方面への移動が便利な場所であり、若い世代が流入しているとみられる。

 小樽と函館の共通点として、古くから港湾都市として発展したことが挙げられる。市内西部地区で、最も高齢化率が高い住吉町は8月末で42・0%となった。同町で生まれ、現在も住んでいる主婦(66)は「通っていた旧函館谷地頭小学校の児童は700人以上いた。現在、その世代が老年人口となっている。西部地区は古い町のため各家の土地は狭く、駐車場を整備して2世代が過ごせる家を建てられないことや、商店や廉売がなくなる一方で、子どもの代は離れていった」と話す。

 若い世代より高齢者が多い町もある。旭岡町は、15—64歳が45・7%に対し老年人口は48・8%。同町会の工藤敏夫会長(65)は「農家の多い地域で、後継者がいないので、高齢者が残って力を合わせて頑張っている。国や市の経済が良くなり、農業でも多くの収入を得られるようになれば、若い人も残ると思う」と語る。

 住吉町の主婦は「道幅は狭く、冬は除雪車が入れないため、生活の苦労を考えると若い世代は住むのを嫌がる。西部地区は函館の繁栄を支えてきたのに、地域の基盤を整備してくれないと、高齢化は進み地域の活力はなくなる一方」と危ぐする。(山崎純一)


◎函館Aチーム 史上初3連覇 道シニアチームボウリング選手権

 滝川市で12日に開かれたボウリングの第33回北海道シニアチーム選手権大会(道ボウリング連盟主催)で、函館Aチームが総累計得点8100点の大会新記録マークし、史上初の3連覇を果たした。大会は50歳以上が対象で、3人1チームの団体戦。会心の勝利を果たしたメンバーは「優勝を狙い、達成できたことが何よりもうれしい」と、喜んでいる。

 函館Aチームは盛長秀夫さん(53)、高橋俊幸さん(53)、笹森武雄さん(66)。盛長さん、高橋さんがシニアクラス入りした2008年にチームを組んだ。昨年、2連覇を果たした時点で、3連覇を狙っていたという。

 仕事をしているため、練習は休日に限られていたが、「短時間で1投に集中して取り組んだ」と高橋さん。ホームグラウンドのスターボウル(昭和4)でそれぞれ技量を磨いてきた。

 大会では、3人とも予選、決勝を通じてハイスコアをマーク。予選の第1ゲームで盛長さんがパーフェクトの300点をマークし、チームを勢いづかせた。

 高橋さん、笹森さんも安定したスコアで続き、予選の3シリーズを計6100点で通過。上位6チームで争った決勝(3ゲーム)も合計2000点を獲得し、2位に約650点の大差をつける計8100点をマーク。昨年優勝した時のスコアを634点上回る大会新記録で、さらにチームハイゲーム(1ゲームの最高得点)、チームハイシリーズ(シリーズの最高得点)も獲得し、優勝に花を添えた。

 チームキャプテンの笹森さんは「3人ともロースコアを出さなかったのが大きい。最後まで集中力を切らさずプレーできた」と勝因を語る。

 次は4連覇が懸かる。「狙っていきます」と3人はきっぱり答えた。(鈴木 潤)


◎力強く声高らかに

 全道、全国の合唱サークルや団体が集う「2010北海道うたごえ祭典&第26回医療のうたごえ全国祭典」(同実行委主催)が18、19の両日、函館市民会館(湯川町1)で開かれた。計44団体、総勢約1000人が力強く美しい歌声を響かせた。

 函館での北海道のうたごえ祭典の開催は10年ぶり3度目。医療のうたごえ全国祭典は初開催。今回は両大会のコラボレーションとして、初日は各団体による「合唱発表会」、2日目は団体の枠を超えて合同合唱を発表する「大音楽会」として多彩なプログラムが展開された。

 このうち19日の大音楽会は、地元の四稜郭太鼓や道教育大函館校モダンダンスクラブ、こぶし座などの合同パフォーマンスで華やかに幕開け。続いて男声合同合唱による力強い「炭鉱労働者のワルツ」「バイカル湖のほとり」や、女声合同合唱による優美な「青葉のうた」「赤とんぼ〜アリラン」などが披露された。

 大会の最後は、全日本合唱連盟の浅井敬壹理事長の指揮で総勢200人による大合唱がステージに登場。「木を植える」「夕焼け」「墓標」「アメイジング・グレイス」「大地讃頌」の5曲が会場内に感動的に響き渡った。(小川俊之)