2010年9月21日 (火) 掲載

◎「旧函館区公会堂」築100年記念し無料開放

 港町・函館を眺め続けて100年—。函館市元町の国指定重要文化財「旧函館区公会堂」が20日、築100年を迎え、同公会堂や周辺では記念イベントが開催された。節目を祝い無料開放された同公会堂には、約2550人の市民や観光客が来場。明治・大正時に社交場としてにぎわった往時に思いをはせた。

 同公会堂は1910(明治43)年に多くの市民有志の寄付を基に建設。左右対称の建築様式とブルーグレーとイエローの配色が特徴。日本各地の現存する公会堂の中でも、建築意匠や技法に優れることなどから、74年に国の重要文化財に指定されている。

 開会式では西尾正範函館市長が「100周年事業を通して公会堂を見つめなおしてもらい、今後100年、200年も函館の宝として大切に保存し愛し続けてもらえれば」とあいさつした。続いて無料開放が開始され、待ちわびた約100人の来場者が館内に入場し、バルコニーから海を眺めたり、ハイカラ衣裳館の貸し出し衣装を着て記念撮影をしたりして楽しんだ。

 このほか、函館北美原小学校合唱部などの音楽コンサートが行われ、元町公園でもマーチングバンドの演奏が披露された。

 秋田市から観光で訪れた長澤小百合さんは「建物の外観はもちろん、窓ガラス1つ取っても歴史を感じる」と語り、青柳町の新井正剛さん(73)は「この建物を建造した当時の人々を尊敬する。また新たな100年に歩みだしたのだなと思う」としみじみ話していた。(山田孝人)



◎江差追分少年全国大会、田村ひよりさん最年少優勝

 【江差】19日の第14回江差追分少年全国大会では、江差町立南が丘小学校4年の田村ひよりさん(9)=かもめ会支部=が最年少優勝を果たした。

 2003年の第7回少年全国大会では、田村さんと同じ南が丘小の4年生で当時10歳の中島琴美さんが大会史上最年少で優勝。田村さんも同じ4年生だが、年齢で中島さんの記録を超えた。背丈を超える優勝旗を抱え、大人顔負けの追分を披露した田村さんは「優勝できるとは思っていなかった」と笑顔をみせた。

 田村さんが江差追分を始めたのは3歳だった。「節回しが上手にできた時はとてもうれしい。大きくなっても続けていきたい」とつぶらな瞳を輝かせる。江差中学校1年の姉・つくしさん(12)や、08年の少年大会で史上初の2冠を達成した中島さんらとともに、杉山由夫・正師匠が指導する町内の「かもめ会」に所属。桧山管内の高齢者施設などで、かわいらしい振り袖姿で江差追分や全国各地の民謡を披露するボランティア活動にも取り組んでいる人気者だ。杉山正師匠は「田村さんと中島さんの2人で3回も優勝できたことはとてもうれしい」と笑顔をみせた。

 姉のつくしさんは、今回の大会で5位に入賞した。「大会で妹はすごく上手だった。すぐに優勝すると思いました」と語る表情は誇らしげだ。優勝旗を握り締める妹にぴったりと寄り添いながら「ちょっとだけ悔しいかな」とも。姉妹のライバル心≠ェ、2人の歌声をはぐくむ。田村さん姉妹の父・高臣さん(36)は、尺八の伴奏で2人の娘を応援する。大会翌日の20日は高臣さんの誕生日だった。子供たちとともに追分を学ぶ高臣さんは「追分では子供たちが先輩です。姉妹でけんかしながらも仲良く練習しています。最高の誕生日のプレゼントになりました」と表情をほころばせた。(松浦 純)



◎函館のプレミアム商品券利用状況まとめ/経済波及効果と課題

 函館商工会議所は、5月下旬に発行した函館市内のプレミアム(割り増し)付き商品券の利用状況をまとめた。2年目となった今年は「販売促進につながった」と答えた取扱店が前年より増えた一方、10%のプレミアム率については「低すぎる」との回答が増え、一定の経済波及効果と課題がそれぞれ浮き彫りになった。

 商品券は箱館奉行所のオープンを記念し、1万円で1万1000円分の買い物ができる10%の割り増し付き。計3万セット・額面総額3億3000万円分を発行し、販売開始から約2週間で完売した。昨年の約1・5倍に当たる約1070店が参加し、7月末で使用期限が切れた。

 同会議所が取扱事業所向けに行ったアンケート結果では、「販売促進に結びついた」と答えたのは38・7%で前年より5・2ポイント増加。さらに今後も参加したいかどうかについては、前年より7・3ポイント多い81・5%が「参加したい」と答え、店側の手応えもうかがわせた。

 一方、プレミアム率が昨年の15%から10%に低下したことについては「これで良い」が79・2%で、前年より9・3ポイント下落。「低すぎる」は前年より12・4ポイント増の17・9%だった。「前回よりもインパクトや盛り上がりに欠けた」(参加店)要因につながった格好だ。

 同時にまとめた8月末現在の商品券の換金状況によると、換金額の上位7店はいずれも百貨店や食品スーパーなど大型小売店が占め、全体の64・5%に上った。地区別では大型店が集積する美原地区での利用が最も多く、全体の半数近くに達した。

 業種別ではデパートやスーパーの多くが前年を下回る苦戦を強いられた一方、家電量販店やホテル・旅館などが前年を大幅に上回り、同会議所は「昨年より使用期間が短く、2年目だったこともあり、目的を持って計画的に使用した人も多かったのでは」とみる。

 今年初めて行った利用者向けのアンケートでは、事業の継続を求める声が大勢を占めたが、「販売日は給料日後か6月下旬のボーナス後がいい」「500円券の方が使い勝手が良い」との声も。一方、店側からは「小売業にメリットが偏る」(住宅設備業者)「1000円券にしたことで利用が減った」(コンビニ)などの意見も寄せられた。

 同会議所は「約2カ月間で3億3000万円が実際に消費されたことを考えれば、市民の消費喚起に一定のプラス効果はあった。店側の意向とと消費者の利便性とのバランスが難しく、今後は販売する時期や額、プレミアム率、使用期間などをさらに検討したい」としている。(森健太郎)


◎道社会貢献賞に道南2団体

 道は17日、本年度道社会貢献賞(地域活動推進功労者)の受賞者を発表した。道南からは、函館市の「函館観光ボランティア愛」(小島洋一会長、会員22人)と「中島小学校PTA」(八木英樹会長)が受賞。表彰式は10月26日に、札幌市内で行われる。

 社会貢献賞は、奉仕活動などで地域住民が連帯性を高め、日常生活を明るくし、住みやすい環境づくりに努める個人や団体をたたえる。

 函館観光ボランティア愛は、1984年の設立以来、地域の歴史や文化をボランティアガイドで紹介。丁寧な振る舞いと分かりやすい解説が好評で、共同募金や清掃活動も積極的で観光振興と社会教育向上を支えてきた。

 中島小学校PTAは、88年から定期的に校区内の高齢者福祉施設へ訪問。入所者の訓練補助や傾聴活動などを保護者と児童、教職員らが同校の伝統として取り組んできた。地域社会の高齢者福祉の向上に貢献してきた。

 小島会長は「日々の活動の積み重ねを評価してもらい光栄。受賞の喜びを励みに、これからもメンバーと力を合わせてボランティア活動に力を入れたい」と意気込み、八木会長は「みんなが一丸となり頑張ってきたことが評価につながり、うれしい。子どもらにはここで得た絆(きずな)を人生に生かしてもらいたい」と話している。

 このほか8個人、2団体が受賞した。(田中陽介)


◎「歴史建物フォトコン」小学生部門は木村さん最高賞

 旧函館区公会堂の築100周年を記念した「ハコダテ歴史建物フォトコンテスト」の入賞者がこのほど決定した。最高賞に当たる函館市長賞には、小学生部門は函館東小6年の木村朱(あや)さんのタイトル「100年の歴史に想いをよせて」が獲得。一般部門は市内の会社員、金田一しげるさんの作品名「霧の教会」が輝いた。

 函館市教委の主催で、公会堂など市内の築100年の歴史的建造物などを被写体に、建物の存在価値や景観の重要性、函館の文化財の魅力を多くの市民に再認識してもらうことを目的に企画した。

 小学生部門は23人の個人や団体から41作品が寄せられ、一般部門には46個人から81作品の応募があった。審査は委員6人で行われた。

 木村さんの作品はライトアップされた公会堂を背景にして手前に少女の銅像を配置。審査員には「公会堂と上向きに座る少女の対比が過去と未来を感じさせる」などと評された。金田一さんの作品は霧に包まれたハリストス正教会をとらえたムード漂う作風で、「ライトアップを上手に使っている」などと評価された。

 20日に公会堂の大広間で開かれた表彰式で木村さんは「賞を取れると思っていなかったのでうれしい」と笑顔を見せ、金田一さんは「とてもうれしい。函館の建物を見るいい機会になった」と話していた。10月11日まで公会堂で作品展が開かれ、11月29日から12月3日まで市役所で、2011年1月7日から同17日まで市中央図書館で開く。問い合わせは市教委文化振興課TEL0138・21・2495。

 入賞者は次の通り(敬称略)。

 ◇小学生部門▽函館市長賞=木村朱▽優秀賞=佐藤完▽函館市教委教育長賞=吉本有秀▽市文化・スポーツ振興財団理事長賞=こども町並み観察隊3班(5人)▽コカ・コーラ特別賞=国谷滉大▽入選=中村理加、沢田柊楓、窪田海人、冨澤大和、こども町並み観察隊4班(5人)

 ◇一般部門▽函館市長賞=金田一しげる▽優秀賞=三嶋章好▽函館市教委教育長賞=松村幸平▽市文化・スポーツ振興財団理事長賞=小松英海▽コカ・コーラ特別賞=臼杵裕幸▽入選=田中朗、木村伸仁、東博昭、松崎一朗、岩山優光(山田孝人)