2010年9月23日 (木) 掲載

◎「北海道チョび」全国発売

 菓子製造販売の昭和製菓(函館市西桔梗町、田口修社長)は10月から、道内限定で販売しているチョコレート菓子「北海道チョび」をコンビニエンスストア大手のセブン—イレブン・ジャパン(東京)の店舗で全国販売する。2005年の発売以降、全国展開は初めて。同社は「お菓子を通じて函館の活性化につなげたい」としている。

 チョびは十勝管内浦幌町産のトウモロコシの粒をフリーズドライ加工し、中にホワイトチョコレートをしみ込ませた菓子。「トウモロコシなのかチョコレートなのか分からない不思議な食感」(同社営業部)が売りで、今年の函館圏優良観光土産品の推奨会で最高賞に当たる函館市長賞にも輝いた。

 初年度は年間約9万個の売り上げだったが、近年は芸能人のお気に入り菓子としてテレビ番組などで取り上げられ、人気が上昇。08年4月から主原料のトウモロコシを米国産から道内産に、パッケージもボトルタイプから食べきりサイズに切り替えた。本年度は8月末現在で、すでに昨年度の年間販売数に当たる約20万個を売り上げるヒット商品だ。

 08年に大手コンビニチェーンの東日本エリア限定で販売したことはあるが、全国展開は初めて。10月21日から全国にあるセブン—イレブン約1万3000店のうち約3000店で、計約4万4000個が限定販売される。なくなり次第終了。

 田口社長は「特許を取得した独自の製法で、見た目はトウモロコシだが、味はチョコレートというほかにはない商品に仕上がった。函館発の菓子を全国に広め、地域のブランド力や景気のアップに貢献したい」と話している。一個50グラム入り、346円。問い合わせは昭和製菓TEL0138・50・8080。(森健太郎)



◎稲刈りピーク「ことしもうまいコメ」

 【北斗】道南のコメどころ、北斗市の旧大野町地区で稲刈りがたけなわだ。さわやかな青空の下、作業は進み、22日には農業関係者が新米を試食。「今年もうまいコメができた。例年より味がいいのでは」と好評だった。

 今年の渡島の水稲の作付面積は、昨年並みの約3000ヘクタール。そのうち北斗市内が3分の1を占める。春先の天候不順から一転、夏の高温多湿で水稲の生育は10日以上早く、収穫作業も前倒しとなっている。

 市内清水川で22日午前10時から夕方まで稲刈りに追われた高橋均さん(54)は「暑さの影響を心配していたが、コメの品質は比較的いいと聞いているので安心している。ただ、成長が早すぎて、トマトの収穫作業と重なって忙しい」と話していた。

 新米の試食会は新函館農協「函館育ちライスターミナル」で実施。農協や行政、農業改良普及センター職員ら計25人が、道南銘柄「ふっくりんこ」「ななつぼし」と茨城産「コシヒカリ」を食べ比べした。

 銘柄を伝えず、炊きたてを味わった結果、「色つや、甘さ、風味ともにこれがおいしい」と道南産に高い評価が集まった。同農協米穀課の三浦治係長は「道南のコメのおいしさを再確認することができた。特に『ふっくりんこ』は美しい白さで、粘りがある。コメがおかずになるようなうまさ」と紹介する。新米の「ふっくりんこ」は、27日から各店頭に並ぶ予定だ。(田中陽介)



◎函館発バル街 全国に広がり

 函館で生まれた「函館市西部地区バル街」を参考にしたイベントが近年、全国各地で開かれるようになった。実際に開催した市や町では、バル街のノウハウを取り入れつつ、地域の特色を生かしたイベントを作り上げ、にぎわいを創出させている。大分県の別府温泉で生まれたオンパク(温泉泊覧会)や山形県新庄市の100円商店街などように、バル街も函館発のまちおこしイベントとの成功例として各地に波及しそうだ。

 バル街はスペインの立ち飲み居酒屋(バル)を飲み歩く風習をヒントにし、参加飲食店が用意したピンチョー(つまみ)をはしごしながら楽しむイベント。西部地区の由緒ある街並みを市民に親しんでもらいたいと、同市内のスペイン料理店のオーナーシェフ、深谷宏治さんが発案し、2004年から年2回のペースで行われている。

 25軒からスタートしたが、その後参加店が増え、今月12日に開かれたばかりの第14回も過去最高の74軒に上った。定着すると観光客にも広まり、全国各地の自治体関係者やまちおこしグループが視察に訪問。実行委員会(委員長・深谷さん)もバル街の運営方法を惜しみなく伝えた。

 宮城県石巻市では、バル街のノウハウを取り入れて「ボンバールいしのまき」を昨年、今年と8月に実施した。料理記者の紹介でバル街を知り、昨年4月に視察した有志6人が魅力を体感し、開催を呼び掛けた。

 2回とも市の一大音楽イベント「トリコローレ」音楽祭と同時開催し、にぎわいを見せ、運営に当たったまちおこしグループの「知産地賞の会」は「普段行けない店や知らない店を新たに知る楽しさがあり、まちを歩くきっかけになったのでは」と効果を語る。

 兵庫県伊丹市でも同様にバル街のノウハウを取り入れ、中心市街地で「伊丹まちなかバル」を、09年10月と今年5月、今月19日と3回開催。参加店は54軒、80軒、82軒と増加。清酒発祥の地として知られる市の土地柄を生かした、日本酒の振る舞いが好評で、実行委のメンバーは「近年、魅力的な店が出店し、イベントを始めるきっかけとなった。今後も継続させていきたい」と手ごたえをつかむ。

 その伊丹市からノウハウを取り入れた和歌山県田辺市は11月6日に「南紀田辺☆うめぇバル」を行う予定。特産の梅を生かし、梅酒の振る舞いなどを企画し、主催団体は「海が近く海産物が豊富。食の資源を生かし、まちの活性化と交流を生み出したい」と意気込みを見せる。

 このほか、福岡市も11月3日に「バルウォーク福岡」を開催する。

 こうした流れに深谷さんは「バル街は行政の補助金に頼らず、民の力で運営を継続してきた。こうした取り組みが広がることは将来の日本にとって良いのでは」と話している。(鈴木 潤)


◎市長らJRに署名提出 現役-新駅の経営存続求め

 【札幌】函館市の西尾正範市長らは22日、北海道新幹線の札幌延伸時にJR北海道が函館駅—新函館駅(仮称)間を経営分離する意向を示している問題で、JR北海道に対し、同区間のJRによる経営存続を求める署名を提出した。

 西尾市長、高野洋蔵函館商工会議所会頭、敦賀敬之市町会連合会会長が同日午後、JR北海道本社を訪問し、中島尚俊社長に11万1481筆の署名を提出。関係者によると、函館サイドが「市民の強い思いを受け止めてほしい」と経営存続を求めたのに対し、中島社長は延伸時に経営分離する意向に変わりがないことを、改めて示した。

 また高橋はるみ知事に署名の総括表を提出し、道による調整を求めたほか、市長、会頭は道商工会議所連合会の高向巌会頭も訪問した。

 西尾市長は函館新聞の取材に対し「知事からは署名を重く受け止めるとの回答があった。道に調整をお願いしている以上、今後は市とJRがこの問題で直接やり取りすることはない」と話した。(千葉卓陽)


◎市都市景観賞に末広町の「齊藤邸」

 都市景観に配慮した建物や景観づくりに貢献した団体・個人を表彰する本年度の函館市都市景観賞の受賞者が22日発表され、末広町の「齊藤邸」が選ばれた。個人と団体の受賞は昨年に続いてなかった。表彰式は10月1日に函館市役所で開かれる。

 同賞は5年以内に新築、改築した建物を対象に選定する。西部地区の歴史的な街並みに配慮し、周辺の環境に調和したデザイン、色彩などを工夫した建物で、歴史的な建築様式を継承していることなどが条件。今回で16回目の開催となる。

 木造建築の「齊藤邸」は、末広町の人通りの多い場所に立地。選考委員会からは「プライバシーの確保に努めながらも、塀の一部をデザイン性に富む金物で装飾しながら開口部を設けており、塀内部のミニガーデンと歩道上の街路灯などが調和して行き交う人の心をなごませている」などと評価された。

 またレンガをイメージしたデザインの防火壁などを設置するなど、函館の伝統的な様式を新しい建材で表現。隣接する伝統的建造物群保存地区や地域景観に対する配慮を行っている。設計は川嶋建築総合研究所(川原町、川嶋紀夫所長)、施工は加藤組土建(千歳町、加藤健太郎社長)が担当した。(山田孝人)