2010年9月24日 (金) 掲載

◎学ぶ楽しさ 地域ではぐくむ 元教師有志が「寺子屋」開設

 函館市内・近郊に住む元教員12人が、子どもを対象としたボランティアの学習支援組織「寺子屋ききょう」を立ち上げ、週1回、同市桔梗1の宝皇寺で開いている。児童たちは計算問題が早くなるなどの効果が表れ、一緒に遊べる地域のまなびやへの愛着も芽生えている。関係者は「こうした取り組みがもっと広がれば」と張り切っている。

 勉強を理解する喜びや学ぶ楽しさを体験してもらおうと、今年5月に開設した。宝皇寺敷地内のフリースペースを借り、毎週水曜日の午後2時半から約2時間実施。現在は函館桔梗小の児童30人が登録している。

 子どもたちはランドセル姿のまま続々と来館。テーブルに宿題を広げ「『うかんむり』ってどう書くの」「この引き算はどう解くの」と支援員に尋ね、一緒に考える。互いに教え合ったり、競い合って学ぶ姿も。支援員が一方的に教えるのではなく、子どもが分からない場面で応じるのが特長だ。

 中心メンバーの多田真理子さん(62)は「勉強を強制したくはない。子どもが個々に質問し、思い思いに勉強できる空間を目指している」と紹介。「自分たちも子どもとともに学ぶ意識で活動している。学力向上は結果として付いてくればいい」と話す。

 友達と一緒に学ぶ5年生の花田育君(10)は「ここで宿題や問題集をやると楽しいしはかどる」と意欲的に学習。勉強が終われば集団でじゃんけんゲームをしたり、紙飛行機で遊んだりして盛り上がる。「そうした遊びもあるから、毎週多くの子がやって来る」(多田さん)という。

 函館市は現在、中島、深堀両町の児童館で寺子屋事業を試行しているが、「民間での寺子屋は、市内では聞いたことがない」(市子ども未来室)という。

 多田さんは「活動は模索中だが、対象の拡大も視野に入れている」とし、「自由に勉強できる場はまだまだ必要なのでは。こうした取り組みが増えたらうれしい」と期待している。

 「寺子屋ききょう」の問い合わせは多田さんTEL0138-65-7430。 (長内 健)



◎コンブ新幹線の東京出張成功

 渡島合同庁舎(函館市美原4)1階ロビーに展示している工芸品「コンブ新幹線」が、初の“東京出張”を成功させた。リンゴで作ったトンネルを走る構図で、青函の魅力を都民らにPR。青森県の新聞でも話題に上がり、「今後も地域の素晴らしさをどんどん伝えてもらいたい」と関係者は作品に期待を寄せる。

 物産展全国一の売り上げを誇る東武百貨店池袋店で16―29日開催の「秋の大北海道展」に登場。初日から3日間限定の展示だったが、企画した渡島総合振興局によると「コンブを器用に組んでいるところがすごい。リンゴの青函トンネルも面白い」などと買い物客の注目の的だったという。

 青森県の陸奥新報は記事で「特製オブジェ関心集める」と紹介。同局担当者は「青森県関係者もコンブ新幹線を重宝してくれた」と振り返り、「特別出店した青森物産のリンゴが飛ぶように売れた」という。

 コンブ新幹線の制作者の一人、福島町の鳴海健児さん(70)は「福島には青森から嫁いで来た人が多く、みんな一生懸命頑張っている。青函トンネルもあり、縁を感じてならない。コンブ新幹線が、青森と北海道の友好や発展を支える存在になることを期待したい」と力を込める。(田中陽介)



◎ニトリ函館店 新装オープン

 家具・インテリア販売大手のニトリ(札幌)は23日、函館市美原2の「ニトリ函館店」を新装オープンした。約半年ぶりの営業再開を待ちわびた買い物客が大勢足を運んだ。

 同店は建物の老朽化などの理由で、今年3月から既存店での改装工事を開始。新店舗は3階建てで1階が駐車場、2、3階が売り場となっている。売り場面積は約6700平方メートルで、旧店舗より約1000平方メートル広い。取り扱いアイテムは約7000品目で、リビングやキッチン周りの小物類から、ソファ、ベッド、テーブル、タンスなどの大型家具まで豊富に取りそろえている。また、実際の部屋の雰囲気を再現したトータルコーディネートルームも設置している。

 この日は開店前から買い物客約150人が列を作り、午前10時の開店と同時にそれぞれ目的の売り場に向かっていった。船見町から訪れた70代の男性は「新しい店舗の様子を見に来た。売り場も広くてゆったりとしているので、歩いて回るだけでも楽しめる」と話していた。

 同店の営業時間は10月4日までが午前10時から午後8時。5日以降は午前11時から午後8時(土・日・祝日は午前10時開店)。なお改装工事に伴い仮店舗として営業していたニトリ上磯店(北斗市七重浜7)は、このまま営業を続ける。 (小川俊之)


◎秋の風うけ街中散策

 函館の街を歩いて楽しむイベント「てくてくはこだて秋の特別版」(函館市主催)が23日、始まった。初日は全9コースのうち西部地区や五稜郭公園をめぐる6コースで実施。大勢の市民がさわやかな初秋の風が吹く中で、まちあるきを楽しんだ。

 今回の特別版は、通常実施しているまちあるきツアーを1コースから9コースに大幅に拡大したイベント。各コースで函館を知り尽くしたガイドの案内を受けて散策することで、より深く函館の魅力に触れてもらうことが狙い。各コースは、市内の名所を中心に設定したまちあるきマップのルートを使用した。

 このうち、7月に復元オープンした箱館奉行所をめぐる「真説・五稜郭物語」コースには市民22人が参加。五稜郭の堀が深さ4〜5メートルほどあり「この掘り起こした土で土塁を造った」などとガイドが説明すると、参加者はうなずきながらメモを取っていた。また、同奉行所外郭をぐるりとまわり往時の規模を体感しながら、周辺に生える赤松の由来などを学んだ。参加者で青森県の佐藤寿樹さん(40)は「参加して五稜郭の成り立ちなど興味深い話を聞けて良かった」と話していた。

 同特別版は26日まで連日開催され、開催日により実施コースは異なる。前日の午後5時まで申し込み可能で、定員は各コース20人ほど。参加料は500円。問い合わせ、申し込みは函館観光コンシェルジュセンターTEL0138-26-0300。(山田孝人、黒田 寛)


◎ペットの健康 しつけ相談も

 動物愛護週間行事「動物ふれあいフェスティバル2010」が23日、函館市青柳町の函館公園で開かれた。家族連れなど大勢が来場。ペットの健康やしつけ相談、犬の散歩体験などが行われ、動物のぬくもりが来場者を優しく包んだ。

 渡島総合振興局と市立函館保健所の主催。公園の噴水広場近くにテントを構え、獣医師や動物愛護団体が飼い主のペット相談に応じた。

 噴水広場をひと回りする柴犬の散歩体験は、子どもたちに大人気。「ちょっと怖い」と腰を引いていた幼児もいたが、人懐こい犬に触れるとすっかりご機嫌。ポニーや子猫に触れられる一角も終始にぎわい、愛犬の写真コンテストや一芸披露も好評だった。

 八雲町から家族5人で来場した石井芽依さん(8)と寧々ちゃん(5)姉妹は「犬のお腹が柔らかくて気持ちいい。動物が好きになった」と満足の様子だった。 (田中陽介)