2010年9月25日 (土) 掲載

◎函館近海、秋サケ不漁か

 函館近海の秋サケ漁が不調だ。渡島海区漁業調整委員会のまとめ(20日現在)によると、渡島の定置網漁獲量は5万1514匹で、過去5年の平均11万8724匹を大幅に下回っている。地区別では、北斗から松前が167匹(前年同期1万226匹)と極端に少ない。急激な値上がりは起きていないが、関係者は「10月以降の最盛期に不漁が続けば、値段が跳ね上がるかもしれない」とし、「酷暑で海の表面に熱がこもり、サケが近寄ってこない。潮の流れが変わらない限り大漁は見込めない」と不安を隠せない様子だ。

 道南の秋サケ漁は8日に解禁。河川へ戻る増殖用のサケを確保するため、渡島が7日、桧山が5日と2年連続で延期措置を取っていた。

 同委員会のまとめでは、長万部—森町砂原が2万5575匹(前年同期2万1560匹)、鹿部—南茅部は2万3873匹(同13万4670匹)、恵山—函館が1899匹(同2万5966匹)だった。1匹3キロが主体で、渡島管内の水揚げ額は6252万7000円(前年同期2億1920万9000円)。過去5年の平均は1億2876万2000円。

 漁獲量、水揚げ額ともに振るわないが、ここ数日の涼しさで好漁への期待感もあも。上磯郡漁協上磯支所は24日、今季最高の112匹を水揚げ。漁協幹部は「昨年のこの時期は5800匹だったので、今年の不漁は深刻だが、漁は上向きになりつつある。海の下のほうは冷たいので、しけがあればサケが好む適温になる。最盛期に大漁を期待している」と話す。

 はこだて自由市場(函館市新川町)のサケ専門店は、地元産雌1キロ1000—1200円で販売。店主は「水揚げは少ないが、売り値は例年並み。お客は10月、11月のサケを買い求める傾向があるので、今のところ需要と供給は安定している」。中島廉売(同市中島町)の鮮魚店では雄のみを仕入れ、1キロ350円前後で売る。同店は「高くても売れないから、平年並みの値段にせざるを得ない。利益度外視で、旬の味を提供することが売り上げにつながるはず。おいしいサケをたくさん買ってほしい」としている。(田中陽介)



◎JR北海道12月4日ダイヤ改正、青森新幹線開業で東京へ22分短縮

 JR北海道は24日、12月4日のダイヤ改正の詳細を発表した。函館|札幌間を運行する特急「スーパー北斗」と「北斗」は、新たに上下7本が五稜郭駅に停車し、往復22本中21本が同駅から利用できることになる。また、同日の東北新幹線「新青森駅」開業に合わせ、特急「スーパー白鳥」と「白鳥」の運転区間が函館—新青森間に変更となり、新幹線を利用した函館—東京間の所要時間の平均は5時間58分(最速5時間44分)と、改正前に比べ平均22分短縮される。

 スーパー北斗と北斗は、下りのスーパー北斗13号(午後4時28分函館発)を除くすべての便が五稜郭駅に停車。利用者の多い函館北部地域の住民の利便性が高まる。運行本数に変更はないが、ダイヤの見直しによって午後2時以降に函館駅を発車する便の運転間隔はほぼ1時間間隔になる。

 東北新幹線との接続では、スーパー白鳥と白鳥の全10往復がすべて青森駅を経由し、函館—新青森間を約2時間から2時間20分程度で結ぶ。年末年始やゴールデンウイーク期間に臨時「白鳥」2往復を増発し混雑緩和を図る。

 このほか下りの北斗14号(午後1時17分札幌発)が新たに森駅に停車することになり、最終の東京行き新幹線「はやて42号」(午後11時8分東京着)への乗り継ぎが可能となる。なお、今回のダイヤ改正による函館周辺における在来線の運行本数に変更はない。(小川俊之)



◎函館視力障害センターが出前講習実施へ

 函館視力障害センター(函館市湯川町1)は、職場に講師を派遣し、視覚障害者の介助方法などを指導する出前講習会を始める。接客、介護などを通して視覚障害者と接する業務を行う事業所が対象。同センターは「視覚障害者を支える地域の輪を広げたい」としている。

 視覚障害者を支援するための講習会は、函館市社会福祉協議会で行っている小中高生らを対象にしたノーマリー教室か、有志のボランティア関係者が視覚障害者のガイドヘルパーに講師を依頼して実施しているが、事業所への普及はまだまだ不十分。

 一方で、視覚障害者を支援したいという思いはあっても、どこで教えてくれるのか分からないとの声もあり、こうした実情を受けて、出前講習を実施することにした。

 内容は実習を中心に視覚障害者への初歩的な介助や接し方を指導するほか、目隠しなどして視覚障害の状態を体験してもらう。同センターで職場側の要望や業務の内容に応じてプログラムを作成し、支援課の職員を派遣する。澁谷公平支援課長は「地域に出向いて一人でも多く支援者を増やしていきたい。気軽に相談してほしい」と話す。

 函館視覚障害者福祉協議会の島信一朗理事長は「視覚障害者の社会参加は市民の理解がベース。センターの小回りの効いた活動に期待したい」としている。

 受講料無料。申し込み、問い合わせは同センターTEL0138・59・2751。(鈴木 潤)


◎函館市、国勢調査票の配布進む

 5年に1回実施される国勢調査の調査票配布が、道南の各市町で進んでいる。函館市では23日から配布が始まっており、市は調査への協力を呼び掛けている。

 国勢調査は全世帯を対象に家族構成や年齢区分などを調べ、地方交付税の算定や地方議会の議員定数の決定、各種行政計画の策定・評価の基礎資料として活用される。

 今年は前回(2005年)より3項目多い20項目で、10月1日午前零時時点の状況を調べる。今回から個人情報に配慮し、調査票を封筒に入れて手渡す方式に変更されており、提出も調査員への手渡しか、郵送の2種類となっている。改行 函館市は調査員約1900人体制で、30日までに約14万世帯に調査票を配布する。市の実施本部には24日、午前中から記入方法を問い合わせる市民からの電話がひっきりなしに寄せられた。

 実施本部は、閉庁日となる今週末もスタッフを配置して対応する一方、調査員をかたって個人情報を聞き出す「かたり調査」への注意も呼び掛けている。同本部は「調査員は身分証明書を身につけて歩いている。おかしいと思ったら連絡してほしい」と話している。問い合わせは同本部TEL0138・21・3888。(千葉卓陽)


◎稲束、丁寧に天日干し

 【北斗】季節は実りの秋—。稲刈りが盛んな北斗市内の水田は、収穫後もにぎやかだ。稲穂をとった稲束が天日干しされ、澄んだ秋空の下、のどかな田園風景をつくり上げている。

 この天日干しは、一部農家が取り組む伝統ある作業。水稲の収穫直後の市内旧大野町地区でよく目にし、作業には多くの人手を要するため親せきや知人らが総動員で取り組む。

 稲束を器用に縦に重ねて、20日ほど陽光や雨風にさらす。ほどよくしなった稲束は、トマトやキュウリなどのビニールハウス栽培の土壌肥料に活用されるという。

 市内清川付近で天日干し作業をした年配の女性は「乾燥の決め手は肌寒さ。ここ数日で急に気温が下がったので、いい肥料ができると思う」と話していた。(田中陽介)