2010年9月26日 (日) 掲載

◎石崎町でクジラ漂着、珍しい種類? 貴重な資料に

 函館市石崎町の砂浜で25日早朝、体長6メートルを超すクジラ1頭が漂着しているのを近所の住民が見つけ、漁業関係者によって陸揚げされた。専門家は「珍しい種類で、見つかる寸前まで生きていた可能性も高い。目立つ外傷はなく、国内外の研究分野において非常に貴重な資料になるかもしれない」と注目。26日午前に解剖される予定で、国立科学博物館(東京)の研究者が急きょ函館入りして調査にあたる。

 クジラに詳しい北大大学院の松石隆准教授も駆けつけ、状態を確認。世界で約20種の「アカボウクジラ科の鯨類」とされ、松石准教授の計測では体長6.19メートルの雌だった。生態が不明な種類が多く、学術的に価値があるという。

 陸揚げには重機が使われ、業者によると重さは4〜5トンだったという。漂着の理由について松石准教授は「外部の形態に傷んだ様子はなく、陸揚げ時に相当のガスが出ていたようなので、内臓に何らかの問題があった可能性がある。その影響で弱り、外洋から流されてきたのではないか」とみる。

 24日午後8時ごろ、漂流場所近くで「バシャバシャ」という水面をたたく大きな音を耳にした住民もいる。25日午前6時すぎに現場へ足を運んだ石崎町の小石幸太郎さん(67)は「クジラを目にしたとき、尾びれが少し動いていたような気がする。海はなぎで、雨や風もなかった」と話す。

 松石准教授によると、道内での鯨類の座礁や漂着は昨年69件で延べ73頭。函館近海では、春先の定置網に小型のネズミイルカがよく入るが、今回のような比較的大きなものが打ち上げられることはまれだという。

 26日の解剖調査は、松石准教授が代表を務める「ストランディングネットワーク北海道(SNH)」が主体で実施。種の判別に肉片などからDNAを抽出し、今後の研究に役立てるほか、希少種については死因を詳しく調べ、保全対策に活用する。個体数が多いものについては、漁業施設の近くにどの程度出没しているのか、漁業対象になる魚をどれほど食べているのかを推定し、漁業被害対策に生かす。

 ストランディングネットワーク北海道は、「北海道いるか・くじら110番」を随時設け、情報提供を求めている。TEL090-1380-2336。ホームページもある。(田中陽介、長内 健)



◎尾札部中で学校祭

 函館尾札部中学校(鈴木利治校長、生徒93人)の本年度の学校祭が25日、同校で開かれた。学年ごとのダンスや合唱、修学旅行の体験発表などが行われたほか、吹奏楽部の演奏も披露。地域住民や保護者も大勢訪れて思い出に残る楽しいひとときを過ごすなど、ことしも函館に学校祭シーズンが到来した。

 同校のことしの学校祭テーマは「Color キャンパスに描く一つの花」。ステージ発表や軽食販売のほか、授業の一環で制作したレポートや、3年生が修学旅行で訪れた仙台市などを題材にしてつくった「個人新聞」が展示された。

 ステージでは総合発表と題して、校外学習の内容などを報告。1年生は箱館奉行所や西部地区を見学した際の感想などを発表した。各学年が出し物を行う学年発表では芝居やダンスが披露された。このうち3年生は旗を使って踊る「トール・フラッグ」を行い、客席からは大きな拍手が送られていた。

 3年生の荒木花笑美さん(14)は「準備期間は少なかったけど、みんな頑張っている。最後の学校祭なので一生思い出に残ると思う」と話していた。(山田孝人)



◎日本郵趣協会の全国会員大会が開幕

 切手収集家でつくる日本郵趣協会(JPS、東京)の「全国会員大会in函館」が25日、函館市大手町の函館国際ホテルで始まった。26日まで切手展や記念講演、パネルディスカッションなどさまざまな催しが行われ、初日は全国各地から参加した会員ら約130人が切手文化の振興、発展を誓いながら交流を深めた。

 全国会員大会は今年28回目で、函館開催は初めて。JPS函館支部(渡利正義支部長)が準備運営に当たった。

 パネルディスカッションでは、JPS理事で普及委員長の大高正志さんを司会に、評議員ら4人がパネリストとして意見交換。「郵趣界最新事情」と題して、郵政の現状や後継者育成の問題などを語り合い、大高さんは「近年は入会者よりも死亡による退会者が増えている。新しい切手収集家を育成しないと立ち行かなくなる。収集を楽しむだけでなく文化遺産を守るという意識を持って取り組んでいかないといけない」と語った。

 このほか会場では、会員が所有する世界の名品、珍品切手が公開されたほか、東京などの切手専門店や販売業者13組が出店。

 郵便事業会社函館支店が臨時出張所を開設し、全国大会開催を記念して同支部が50シート限定で発行した函館奉行所の記念切手(1シート1200円)が初日で完売した。

 記念パーティーでは、会員が出品した切手のオークションが行われ、盛り上がりを見せた。

 甲府支部長で、長野県茅野市から参加した田中秀胤さん(70)は「全国各地の仲間との会話、情報交換が楽しみ。函館の観光も楽しみたい」と話していた。(鈴木 潤)


◎五稜郭公園内の堀でカヤック体験教室

 水上スポーツで函館市の活性化を目指している「総合型地域スポーツクラブ Bay Walk Communityはこだて」(小澤貢一会長)は25日、五稜郭公園内のお堀で「カヤック体験教室」を開いた。市民やスタッフなど約30人がカヤックに乗り込み、普段とは一味違った視点で五稜郭公園内の散策を楽しんだ。

 同クラブは、函館港の広大なフィールドを生かし、「まち」や「市民」を明るく元気にし、イメージアップに貢献しようとセーリングや水泳、ノルディックウォーキングなどの教室を開講している。同公園のお堀を使ったカヤック教室は今回で2回目。

 一行はアドベンチャーカヤッカーの加藤寛治さんの指導を受け、一周約1.8キロのお堀を2周した。パドルを器用に使い進んでいくと、近くに寄らないと見られない石垣や草木、花々などがあり、肌寒さや疲れもなんのそので、目をやり笑顔を浮かべていた。

 参加者は「とても楽しかった」「花がきれいだった」「親子での散策は最高」などと感想を話していた。 (小杉貴洋)


◎函館市が議員らからの物品購入調査、ほとんどの部局で依頼あり

 函館市がこのほど、市議会議員や団体などからの市職員に対する物品購入依頼に関する実態調査を行ったところ、ほとんどの部局で購入依頼があったことが分かった。職員の中からは、議員からの依頼を「断りづらい」と感じているとの意見もあったが、市は現段階で「自粛を求める考えは持っていない」としている。

 調査は昨年12月に市議会で指摘されたことを受け、今年5―7月に総務部が全28部局の庶務担当課長に電話や聞き取りで行った。

 それによると、購入依頼があったのは国会議員や道議、市議のパーティー券やチャリティーショー、イベントなどの鑑賞券、政党の機関誌など。議員や政党関係者、組合役員、各団体の関係者らが各部局にチラシや券を持参して購入希望者を募るなどの例のほか、機関誌は議員から直接電話で依頼されるケースもあった。

 市総務部によると、管理職の親睦(しんぼく)会費でビアパーティー券を購入する部局もあるほか、機関誌に関しては管理職のみならず主査職にも依頼が来るケースがある。また「最近は減ったような気がする」「持ってくる人が代わった」などと答えた部局もあるという。

 自由意見では、「議員からの依頼は強制はされていないが、断りづらい」「購入依頼を取りまとめたり、集金などで労力を要する」など、苦痛と感じる旨の意見があった。

 同部は調査結果を議会にも報告。「職員それぞれで判断してもらうしかないが、関係性を考えて断りづらいケースがあれば、1人で悩まずに上司に相談してほしい」としている。(千葉卓陽)