2010年9月29日 (水) 掲載

◎全国初 10月配信 ケーブルテレビで大学単位が認定に

 道教育大学函館校は10月から、ニューメディア函館センターと連携してケーブルテレビ配信による授業を実施する。キャンパス・コンソーシアム函館が実施した講義で、学校とケーブルテレビ局が連携して単位取得に対応する授業を放送するのは、全国初の試みという。これに伴い同校で28日、調印式と会見が行われた。

 授業は10月4日からケーブルテレビ局NCVで「函館アワー 北海道スタディズ」として放送する。内容はキャンパス・コンソーシアム函館が2005年から行ってきた公開講座「函館学」で、生徒は15回分視聴し、インターネットを介して問題に回答することで、教養科目「北海道スタディズ(函館BV)」の単位認定を受けることができる。「函館学」は一般の視聴者も教養番組として楽しむことができる内容という。

 調印式では道教育大の鴈澤好博副学長とニューメディア函館センターの金子敦センター長が覚書に署名。鴈澤副学長は「情報やネットが進化し、これから新しいものを取り入れていかなければならない。学校は教えることはもちろん、地域に情報を発信していくのが重要になってくる」、金子センター長は「地域の生涯教育に協力できてうれしい」とあいさつした。

 この日は同校の放送サークルに所属する生徒3人が会見に参加。質疑応答では3年生の桜庭千裕さんがケーブルテレビ未加入の生徒に対する措置を質問し、同校は図書館でDVD視聴ができることを説明した。終了後、1年生の柏明歩さんと天川優子さんは「普段、街のよさは授業で知ることが多い。番組を見ることで、より函館の魅力に触れることができると思うので、今から楽しみ。また、気軽に取り組めるのもいいと思う」と話していた。

 番組は月曜から金曜の午前零時からNCVで放送予定。第1回目は4日で、08年に実施した「幕末函館人物伝」を配信する。(堀内法子)



◎新駅は「北斗函館駅」 北斗市議会委決議

 【北斗、函館】北斗市議会の新幹線建設促進調査特別委員会(中井光幸委員長)が28日、開かれた。JR渡島大野駅付近に建設される北海道新幹線新函館駅(仮称)の駅名について「北斗函館駅」と決議し、今後関係機関に求めていくことを決めた。12月定例会時の全員協議会で報告した後、JRなどへの申し入れを含めて次回以降の委員会で検討する。この決定に函館市は冷静な対応を見せるが、少なからず波紋を広げそうだ。

 駅名は道や地元自治体の意向などを考慮して、JRが決定する。同委員会では6月から駅名についての議論を進めていた。

 この日は、駅のある行政区の名称が自然であるとして「北斗駅」を主張する案と、函館圏域として運動してきた経緯や函館市の全国的知名度などを踏まえて「北斗函館駅」とする案で二分された。一方で早期に北斗市議会としての主張を内外にPRするためにも、意見をまとめるべきとする声も多く出され、記名投票による決議に至った。

 投票は委員6人で両案それぞれで行われ、ともに3対3の同数に。そのため中井委員長の委員長裁決で「北斗函館駅」に決まった。

 決議後、中井委員長は「これまで函館と一緒に誘致を進めてきた経緯や、道南域のことを思えば函館は外せない。一方で、駅前整備や駅が所在する行政区を考えると、両市の名称を採った方がベター」と述べた。また函館の反応については「函館が判断すること。現在の仮称は決定したものではない」と語った。

 高谷寿峰市長は「市議会の決定で拘束されるものではなく、現時点ではコメントできない。ただ今後JRから駅名について話が来た時には議会の動きも伝え、自分の考えも表明する」としている。

 一方、函館市は従前から、市の知名度を受けて、新駅の名称から「函館」は外せないとのスタンスを取る。渡辺宏身企画部長は「現段階でコメントはできないが、市民の声を反映させることが市としての務め」と冷静に話す。

 ある函館市議は「“北斗函館”は折衷案として、函館に配慮したと考えた方がこれからの両市の連携や振興にとっていいのでは」と受け止める一方、別の市議からは「願わくば函館を先にしてほしいが、七飯町も含めて2市1町で委員会を作り、協議する必要があるのでは」との意見もある。

 また、保守系市議の一人は「新駅は函館から遠く、無理に“函館”を付ける必要はない。そうすることで現函館駅に誘致しようという機運が盛り上がるのでは」と含みを持たせる。(山田孝人、千葉卓陽)



◎介護保険会計を不認定

 函館市議会の決算特別委員会(工藤恵美委員長)は28日未明まで2009年度各会計決算の審議を行い、介護保険事業特別会計決算を不認定とした。市のミスで国から支給される介護給付費「財政調整交付金」の交付額が不足し、会計に多額の欠損金が出ていることが理由で、30日の本会議でも不認定となる見通し。西尾正範市長は、管理職を中心に市職員に任意での負担を求める方針について、再検討する考えを明らかにした。

 介護保険事業決算は、共産党以外の4会派が不認定とした。

 決算の不認定は市の第3セクターの不祥事を受け、07年度の市港湾事業特別会計決算を不認定として以来で、07年の西尾市政発足後では2度目。予算は執行済みのため決算の組み直しはできず、市は道義的な責任が求められる。一般会計決算など15件は認定した。

 介護給付費の不足額は約1億6000万円で、国からの救済は7割以内。約4880万円の不足額が残り、市はソフト更新を行った委託業者と50%ずつ折半する方向とし、市の補てん分は幹部職員を中心に、職員に任意での負担を求める考えを示していた。

 総括質疑で阿部善一氏(民主・市民ネット)は、任意負担が地方財政法で定める割り当て的寄付の禁止に抵触すると指摘し、「管理職に割り当てるのは強制にあたる。税による負担をすべきだ」と追及。西尾市長は「市民に迷惑をかけないように皆で補てんしたらどうかと考えたが、途中経過であり、時間をいただいて再検討したい」と述べた。

 志賀谷隆氏(公明党)は、6月の定例会見で職員の任意補てんに言及した点を指摘し、「職員の気持ちを吸い上げた中で最終的に決断した方がいい。市長が最初に(方針を)言うべきではない」と批判。市長は「現場の職員を安心させることを第一に考えた」と説明した。(千葉卓陽)


◎自分で植えた「ふっくりんこ」収穫 大妻高で稲刈り体験

 大妻高校(池田延己校長、生徒456人)の食物健康科1年生42人が28日、北斗市内の田んぼで稲刈りを体験した。黄金色に染まった稲穂を前に、生徒たちは楽しげに取り組んでいた。

 同科では「食を通じた人間の健康と福祉」を教育方針に掲げており、3年前から授業の一環として1年生が米作りを行っている。収穫したのは6月に植えた道南米「ふっくりんこ」で、田んぼは北斗市の農業、斉藤秀樹さん(60)から約60平方メートルを借りた。斉藤さんが「いよいよ稲刈りです。けがをしないように気をつけて始めましょう」とあいさつすると、生徒からは歓声があがった。

 かまの使い方や稲の束ね方は渡島農業改良普及センターの深尾伸一さん(39)をはじめ、七飯の青年農業者グループ七飯4Hクラブのメンバー2人が指導にあたった。深尾さんは「束ね方のコツをつかむのが早く、作業が丁寧で感心した。食べ物を大切に思う気持ちが伝わってきた」と生徒たちを評価。

 作業を終えて麓花穂さんと松井みなみさんは「稲を束ねるのは難しかったが、だんだんコツがわかって面白かった。米作りの大変さを知れて勉強になった」「自分たちで収穫した米を調理実習で使うのが楽しみ。でも、まずはそのまま米を味わってみたい」と笑顔で話していた。(堀内法子)


◎自動車税 徴収強化へ

 道は自動車税の徴収強化を図るため、全道一斉に給与差し押さえ予告書を発送。渡島管内では約1100人(滞納額約5000万円)に28日付で実施した。また初めて、道と市町村は足並みを合わせ、差し押さえ予告などの催告書も送る。渡島で道税・市町村税の滞納者延べ7200人に、9月下旬から10月にかけて一斉催告される。

 渡島管内の自動車税の本年度納期内税率は65・2%(全道平均67・6%)。8月末実績では道内15振興局中14位と振るわない。8月末の累積滞納額は、8億500万円(前年9億1800万円)だった。

 全道の水準に追いつかず、低迷をたどっていることから、今年は自動車税の滞納者に給与差し押さえ予告を1カ月前倒しで発付。渡島総合振興局によると、納税がない場合は10月下旬までに調査し、可能であれば給与を差し押さえるという。預貯金や生命保険の差し押さえ(対象約2500人)は、10月26日に予告し、納税や連絡がない場合は順次差し押さえる。

 個人道民税は、市町村が個人市町村民税と合わせて賦課徴収。渡島では9月に函館市と松前町、10月には七飯町や木古内町、八雲町の5市町が道と時期を合わせて延べ3600人に一斉催告し、累積滞納額の圧縮を図る。

 渡島総合振興局納税課は「納税者との公平を図るため、催告後に連絡のない未納者には毅然(きぜん)とした姿勢で臨んでいく」と述べ「指定期限までに納税できない場合は相談に応じるので必ず連絡をしてほしい」と話している。(田中陽介)